本編どうぞ
6/2松原花音
作田さんが私達を助けてくれてから何日かが経った今日。すっかり尾関のグループは私達に近づかなくなり私達に無縁な平和が訪れたかのように思う。外は真っ暗だけど星明かりがきれいかな?学校にいる間で陰湿ないじめにあうこともここのところ0。奇跡としか思えない。
それでも家で陽頼君と一緒にいる時間が私にとって一番なことに変わりはない。不条理だらけの世界とは隔離されたかのような感覚に陥る。幸せな感覚。
「ねぇ陽頼君。」
「ん?なんだ?」
「作田さんが来てから私達の学校生活がだいぶ楽になったと思わない?」
「まあ…随分平和になったよな。」
「だよね。というか陽頼君、勉強し始めてたらいつの間にか3時間経ってたね。」
「おっと…いつの間にそんなに経ってたのか。」
「おいで?」
「…ああ。」
私の胸の中に陽頼君が収まる。陽頼君とハグしているこの瞬間が何よりも幸せ。
最初は幼馴染みだった私達がいつの間にか「一緒にいたい」とまで思うようになった。それは今でも同じ。これからもそうなんだろうな。あの事件をきっかけに私達は人を信用しなくなった。人間は仲間外れを作り、忌み嫌う生き物。そう悟ったのだから。
どんな理不尽があっても私達は一緒。傷を癒しあい、支えあう。そんな関係。
「眠そうだね。」
「花音こそ疲れてないのか?」
「私はこうしていることが疲労回復だから。いつも陽頼君に癒されてるんだよ?」
「そうか…。」
これは本当の事。陽頼君と触れ合うことで生きてる実感が湧いてくる。笑顔が自然と溢れてくる。幸せに隔離された小さな世界でやることなんて限られてる。でもそれで良い。
そう思っていた。
でも最近外の世界で変化が起こり始めた。作田さんの存在だ。あの人が私達の目の曇りを少し取り払ってくれた。劇的にって訳じゃない。少しだった。でもその少しが私にはすごく大きかった。不条理だらけの世界で少しだけ希望が見えてきた気がする。
「私ね…こんな現実に少し希望が見えてきたんだ。」
「希望?どういう事だ。」
「信用できなくなっちゃった人間の中にもいい人はいるんじゃないかなって。」
「良い人か…。」
「その人を通して現実を見渡せばまた違う景色が見れるんじゃないかな?」
「実は俺もそう感じててな…。」
「陽頼君も?えへへ。私達やっぱり同じだね。」
「最近景色が変わった。この希望は捨てたくない。」
「…そうだね。今日はもう遅いね。一緒に寝よっか。」
「ああ。そうだな。」
雨はずっとは続かないってことなのかな。まだ人生経験が豊富じゃないから分からないけど今は少し晴れ間が見えたのかな。
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読了、ありがとうございました