───「貴方を愛してるわ、ノージア」
「……俺もだ、母さん」
またこの夢だ。母さんが死んだ日、そして俺が初めて人を殺した日。忌々しい俺の
背後には男の死体が一つ。目の前にたった今事切れた母さん。その奥のドアから見える草原を一人の男が一目散に走っている。
俺はそばに落ちていた拳銃を拾い、弾倉を確認する。母さんの体に体重を預けて、未だ逃げている男の頭に狙いをつけ、慎重にトリガーを絞っていく。
──────ああ、やっと夢が終わる─────
足と胸に走る激痛を堪えトリガーを引き切る。
そして───
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デジタル時計のアラームの音で目が覚め、ベッドから起き上がる。
一つ欠伸して、携帯を手に取り、朝のメールチェックを始める。
「うん?一つ来てるな…父さんからか」
そのメールを開くと、仕事の斡旋をするから、今日の午前十時に社長室に来てほしいと書いてあった。
「仕事だと?」
いくつかの疑問が頭に浮かぶが、考えても仕方がないと片付けて朝飯を食べに食堂へ向かうことにする。
ひとまず朝飯を食べた後、身だしなみを整えて言われた通りに社長室へ向かう。
社長室のドアをノックしてから開ける。
「おはよう。昨日はよく眠れたか?」
「いつも通りクソッタレな夢見だよ、父さん。」
軽く挨拶をしてから本題に入る
「で、俺に斡旋する仕事ってなんだ?」
「日本に行って、ある犯罪組織に協力して欲しい。詳細はこの資料を読んでくれ。」
「それはまた無茶苦茶な依頼だな」
悪態をつきつつも資料に目を通すと、報酬や犯罪組織のアジト詳細な場所などが書いてある。その内容は要約すると、ヒーローやその作成機関、また警察などに対して諜報や情報操作を行い、その組織のサポートをしろというものだった。中でも目を引いたのは、その組織の名前と目的だった。
『オールマイトの殺害』を目指すその組織の名は─
───『敵連合』
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「…一つ、質問いいか?」俺は気になったことを質問しようとした。
「言ってみろ」
「何故俺なんだ?こういった裏の仕事は諜報部か武装流通部の担当のはずだろ?わざわざろくに戦闘経験の無い半人前の俺に回す仕事とは思えない。」
父さんはこの質問を予想していたようだ。まあ、当然の疑問だということだろう。
「理由は2つある。久しぶりに大口の契約が入ってることは知ってるな?」
「来年の、中東の反政府組織の反乱か。」どうやら理由の一つは仕事の都合らしい。
「そうだ。奴らは結構大ごとにするつもりらしい。社員の大半にはその件についての仕事をしてもらう。ただ、お前に斡旋した仕事の依頼主は祖父の頃からの付き合いでな、断るのも嫌だったんで受けることにした。」
「そいつひょっとして例の『巨悪』か?大層イカれたクソジジイのようだな。」
「否定はしない。それで、動けそうなのがお前だった。」
「それが一つ目か、次は?」
そう聞くと父さんはニヤリと笑った。嫌な予感がしたが、そのまま話を聞くことにした。
「日本におけるヒーロー育成機関と言ったら?」
「雄英高校だろ、俺でもそれぐらいは知ってる…おいまさか」嫌な予感がやけに具体性を帯びてきた。こんな状態なのに目の前の男から俺に対する悪意が感じられないのが妙に気になる。
「お前って今15になったばっかだろ?」
「……俺に雄英に行けと?」
「
バカじゃねえの?
「バカじゃねえの?」
おっとつい本音が出てしまった。だがそれほど衝撃的な指示であるし、荒唐無稽な話だ。
「まあとにかく、今週末には依頼主と敵連合のリーダーに会いに行くからな、準備しとけよ。日本語の勉強とかな。」
もう無茶苦茶である。俺はため息をついた。
続く…はず!