俺のビジネスアカデミア   作:エニスマン

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もはや初投稿とは言い張れなくなってきました
戦闘しない戦闘訓練の回です。


第3話 戦闘訓練(戦闘するとは言ってない)

 「わーたーしーがー‼︎

普通にドアから来た‼︎」

 うるさい。というかもはや画風が違うとしか言いようのない見た目からしてうるさい。

視覚と聴覚に同時にダメージを与えてくる男である。

今日はこれからヒーロー基礎学の授業のはずだが、この漢が教師として来たからには何か特別な内容なのだろうか。

「早速だが今日はこれ!戦闘訓練!」

アメコミ調でbattleと書かれたプラカードを掲げながらオールマイトが言う。

「そしてそいつに伴って…こちら!」

ガゴッという音を立てて壁から収納棚が迫り出してくる。

このタイミングで出してくるということは、あれはおそらく───

 

戦闘服(コスチューム)‼︎」

クラスメイト達が一気に沸き立つ。当然だ、コスチュームは彼らがヒーローとして目指す姿の一部。彼らが出会い、憧れてきたヒーロー達も身につけていただろう、ある意味ヒーローの象徴とも言える物だ。

 

「学校から入るってのも大切なことだぜ少年少女‼︎

自覚するのだ‼︎‼︎今日から自分は…」

ヒーローなんだと‼︎

 

 皆が各々のコスチュームを着用し、順次グラウンドβへと向かって行く中、俺は少し悩んでいた。

「ちょっとヒーローっぽかねえよなコレは…」

一応、サポートアイテムの会社に頼んだ製品ではあるのだ。

自前の装備一式を持ち込んでもよかったが、野戦服と防具を別にして重く嵩張る装備を使いたくなかったので、サポートアイテム会社に裏地に防刃・防弾布を使った野戦服を作ってもらった。

結果、出来上がったのが今俺の目の前にあるピクセルパターンの都市用(アーバン)迷彩のコスチュームである。見た目はポケット多めで小物入れのついたベルトを何本か付けただけの野戦服であり、地味な上に雰囲気が特殊部隊か何かだ。間違ってはないんだけどな…

まあ、ヒーローっぽさは完全に捨てている。地味なのはそもそも背景に溶け込む迷彩柄なのだからしょうがないのだ。俺は割り切って着替えることにした。

「うおっ⁉︎お前センスか!軍人が来てんのかと思ったぜ!」

少し遅れてグラウンドに行くといきなり切島に声をかけられる。

「はい、私のコスチュームはこういう感じですね、あなたのも良い感じですよ。」

 

そんな会話をしていると、オールマイトから声がかかる。

 

「さあ‼︎始めようか有精卵共‼︎

戦闘訓練のお時間だ‼︎」

 

「先生!ここは入試の演習場ですがまた市街地演習を行うのでしょうか⁉︎」

 

お前飯田だったのか。

全身をプロテクターに包み、顔も見えなくなった飯田が質問すると、オールマイトは待ってましたとばかりに対人戦闘訓練を行うと答えた。

そしてこの訓練の意図などを語ると、皆から質問が飛ぶ。

しかし…

「勝敗のシステムはどうなります?」

ブッ飛ばしてもいいんスか

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか………?」

「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」

「このマントヤバくない?」

 

笑えるなこれ

 

「んんん〜聖徳太子ィィ‼︎」

オールマイトも妙な呻き声を出しながら戸惑っている。まとまりないなこのクラス。

 

 その後、訓練の設定と組み分け、対戦相手決めなどを行った。

無個性の首席というイレギュラーのせいでA組は21人の生徒がいる為、一組は3人組になってしまうが、数的不利を覆す戦い方も、数的有利に慢心しない心構えもヒーローには必要なもの、だそうだ。

 

 組み分けは、敵vsヒーローの順で

1戦目 爆豪&飯田vs麗日&緑谷

2戦目 蛙吹&常闇vs轟&障子

3戦目 俺&耳郎vs芦戸&尾白&葉隠

4戦目 切島&瀬呂vs青山&口田

5戦目 上鳴&峰田vs砂藤&八百万

 

というものになった。

 

 1戦目の準備のため、敵チームの爆豪と飯田がビルの中に入って行き、同時に俺たちはビルの地下の観戦ルームに移動する。

皆が戦闘訓練の開始を少しの緊張の混じった期待と共に待っていると、八百万が話しかけてくる。

「あなたはこの勝負はどうなると思いますか?」

少し考えて、結論を出す。

「実力だけ考えたら、飯田爆豪チームだろうな、ただ、試験会場が同じだったから緑谷と麗日の個性と爆発力も見ているんだが、それを加味すると正直結果は分からない。」

爆豪は思いっきり暴走するつもりでいるしな

「そうですか…緑谷さんと爆豪さんは仲が悪そうですし、そういうのも関係してくるかもしれませんわね。」

ところで、と区切って彼女は避難がましい目を向けてくる。

「貴方絶対汚い手を使うつもりでしょう」

「あ、バレた?」

「バレた?じゃありませんわ全く…

せめてヒーロー志望なら真っ当な戦い方をしなさい。」

「良いんだよ、俺は敵なんだから。」

マジで。

 

ため息をつかれてしまった。

 

「お、始まるぞ。」

一応声をかけるが、そのときにはもう八百万は真剣に見始めていた。

やたら真面目な奴である。まあ、飯田よりかはソフトだが。

 

 訓練が始まり、緑谷と麗日が建物に侵入すると、すぐに爆豪が奇襲を仕掛けた。

単身での特攻を飯田が許すはずもなし、間違いなくチームワークはバラバラだろう。

緑谷は核のハリボテは麗日に任せ、爆豪との一騎討ちを始めた。1対1が2組ある状況になってしまったので、いよいよ勝負がわからなくなってきた。

 

 え、爆豪の奴ヤバいな、あれはちょっとヤバいわ。

画面の中で大爆発が起きた

爆炎が晴れると、ビルの壁に大きな穴が空いていることが分かる。

オールマイトが慌てて計画しているが、確かにあれは誰か死んでもおかしくない威力だった。建物自体を崩すほどの威力はなかったが、この建物は次の訓練には使えないだろう。

 

爆豪と緑谷が殴り合いを再開するが緑谷の策がはまりやすい状況にどんどん近づいている。

「これは、緑谷かな」

建物に無理矢理吹き抜けを作り、麗日に弾幕を張らせ、核を回収する。

画面の中でこれから起こるであろう事は端的に説明すればこうなる。冷静さを失っている爆豪では対処できないだろう。

 

 あ、やった。

『ヒーローチーム WIN!』

 

アナウンスが流れる。

爆豪はまだ敗北を受け入れられていないようだが、すぐに2戦目が始まる。

もっとも、すぐに終わりそうだが。

 

『ヒーローチーム WIN!』

 

一瞬だった、轟がビルごと敵チームを凍り付かせて、核を回収。

戦いになっていなかったが、敵に何もさせないことが理想である以上、最上級の勝利だろう。

 

「さて、次は私たちですね。」

 

耳郎と一緒に建物に入る。

建物の中は窓が少ないため薄暗く、また訓練のためか通路が狭くて妙に部屋が多い。またそう頻繁に使う訳でもないのか、床は薄くだが埃をかぶっている。

 

「よろしくお願いします、耳郎さん。

とりあえず、作戦会議しましょう。」

 

「うん、まずは自己紹介から行こうか。ウチは耳郎響香、個性はイヤホンジャックでこの耳から出てるのを使って攻撃したり、音を聞いて索敵ができる。あとイヤホンジャックは6mぐらい伸びる。

こんなとこかな。」

 

索敵ができる個性か、相手の位置がわかることを隠さなきゃならない俺にとっては非常にありがたい存在だ。

 

「私はノージア・センス。好きに呼んでください。

無個性なので特別なことは特にできませんが、格闘には自信があります。」

 

「マジ⁉︎無個性でよく入試突破できたね⁉︎」

 

「まあロボットをぶっ壊すぐらいのことはできると考えてもらえればいいです。

とりあえずは耳郎さんが索敵、私が奇襲を仕掛けて確保するという作戦でどうでしょう。」

 

「それがいいだろうね、ウチの個性なら葉隠の位置もわかるし、核の隠し場所から指示する感じで。」

 

「あ、じゃあ一応これを持っておいてください。スモークグレネードです。」

ポケットから2つ、スモークグレネードを取り出して耳郎に渡す。

「視界を奪ってからなら、音で位置を特定できる耳郎さんが有利なはずです。私が取り逃がした時はお願いします。」

 

「ん、ありがと。」

 

───────────────────────

 『スタート!』

アナウンスと同時に耳郎から声がかかる、

 

「1階南側の窓から2人、北側の裏口から1人侵入した。音の聞こえ方からしてそれぞれ男女と女子1人。」

「了解」

すぐに今いる3階から1階南側に向かって移動する。

1階のT字の通路の角に来たところで通信機に連絡が入る。

 

「今いる位置から左方向に伸びる通路を2人が歩いて来てる。前に女子、後ろに男子がいる。接敵まであと五秒ぐらい!」

「ありがとうございます、わかりやすい。」

自分の個性に意識を向ける。

どうやら女子の方は芦戸のようだ。あまり警戒心は感じられない。

 

接敵まであと3─、2─、1──

 

 ───ピンク色の腕が見えた瞬間、曲がり角から手だけ出してその手首を掴む。

そのまま思い切りこちらの通路に引き摺り込み、体勢を崩している芦戸に足払いをかけ、転ばせながら力任せに引っ張って顔から壁に叩きつける。

 

その間、実に0.7秒。

 

「なっ、芦戸⁉︎」

衝撃と激痛で崩れ落ちる芦戸を放って飛び上がり、壁を蹴って天井近くまで登りそのまま腕を突っ張るようにして張り付く。

 

「芦戸!大丈──

曲がり角に駆け込んで来た尾白の視線が倒れ込む芦戸に吸い込まれる。

そして声をかけようとするが、

 

ドスッ

 

俺は手を離して落下し、その勢いを乗せて尾白の首筋に蹴りを入れた。

鈍い音が響き、尾白が力なく倒れ込む。

着地してすぐに倒れている2人に確保テープを巻きつけて確保し、耳郎に通信を入れる。

「2人やりました。これで2対1です。残りの1人が葉隠さんですね。」

「早いね…えっと、葉隠はまだ1階から2階に上がる階段のところ。回り込めば挟み討ちできると思う。」

「わかりました、では」

───────────────────────

   〜観戦者side〜

 

 「やっぱりやりましたわね…」

八百万はため息をついてぼやく。最初からわかっていたこととは言え、ノージアのヒーロー科高校生とは思えぬ手慣れた奇襲と残虐ファイトに、周囲からどのような目が向けられるかを考えれば頭の痛くなるような思いだった。

「男らしくないとかそういうレベルじゃねえぞあれ!ふつー女子を顔からぶつけるような投げ方するかよ‼︎」

先程も爆豪の奇襲を「男らしくない」と批判していた切島からヤジが飛ぶ。

「あー、うん、見事な、敵っぷりだね!」

オールマイトも若干引いている。

まあそりゃそうだろう、今のところ彼がやったことといえば、

・不意打ちで女子の顔面を攻撃

・その女子を囮に男子を釣り不意打ち

の2つである。人がやっていいギリギリのラインから少しはみ出しているレベルだ、そりゃブーイングも起きる。

 

───────────────────────

〜ノージアside〜

 

 葉隠を探しに行こうとして、ふといい作戦を思いついたので耳郎に無線を入れる。

「耳郎さん、少し良いですか?」

 

「何?」

 

「少し作戦を思いついたのですが…」

 

「…え、流石にそれはまずくない?」

 

「いや私たち今敵チームですし、敵っぽい行動をするのも授業として大事なんじゃないでしょうか。」

 

「うーん…言われてみれば、そうかも…」

意外とチョロいな…

「では、やるだけやってみるので、サポートお願いします。」

倒れている尾白を担ぎ上げ、北側の階段に向かう。

 

 階段を登り、しばらく歩いた先で葉隠を発見した(・・・・・・・)ので、背後から声をかける。

 

「葉隠さん葉隠さん。」

「ひゃあっ⁉︎」

音と埃の動きから見て、どうやら飛び上がってこちらに向き合ったようだ。さて、交渉開始といくか。

 

「お願いします、降参してください。さもないと

『まさか──』

尾白さんをこっぴどく痛めつけます。」

『『『汚ねえ‼︎』』』

なんだかめちゃくちゃなじられているような気がするがきっと気のせいだろう。あーなんだか個性の調子が悪いなー。

 

「そんなっ…なんでそんなこと⁉︎」

 

「言動には気を付けてくださいヒーロー。私は質問して良いなんて言ってませんよ?言っときますけどスタンガンって結構痛いんですよ?」

懐から取り出したスタンガンを尾白の頬に押し当てながら威嚇する。

葉隠は明らかに狼狽えていて、すぐに決断することはできなさそうだ。

どうやら耳郎はもうすぐ着くようだ。時間稼ぎさえできれば勝てるのだから良い作戦ができたと思う。

 

バチバチッ

 

スタンガンから火花を散らし、さらに脅しをかける。

「仲間を見捨てるんですかヒーロー?早く決断しないと彼の顔がえらいことになりますよ!」

 

「…私は!降参なんてしないし尾白くんも守る‼︎」

一瞬の間の後、決意を固めた声音で叫びながら葉隠が突撃してくる。

そして───

「素晴らしい。でも、時間切れです。」

通路の奥からテープを保持した耳郎のイヤホンジャックが飛んできて、葉隠の体に素早くテープを巻きつけた。

 

『敵チーム WIN‼︎』

 

 アナウンスが響きわたる。

葉隠が呆然と突っ立っていたので声をかけておく。

「あなたの判断は、悪くないものでした。健闘を讃えます。」

判断自体には甘いところもかなりあっただろう。

しかし、あの一瞬、尾白をリスクに晒すことになるという事実と、自身の心の中にある怒りを自覚した上で、それでも立ち向かうことが善であると

決断した彼女を俺は好ましく思う。

それから、耳郎のところへ向かう。

「お疲れ様でした。最後のサポート、ありがとうございます。」

「アンタが考えたんだしいいよ、お礼は。あとこれ、返しとくね」

 

使うことのなかったグレネードをしまった後は講評になった。

 

「今回のMVPはセンス少年だね!八百万少女、なぜかわかるかい⁉︎」

「完全に役になりきっていたからですわね。敵がとりそうな行動を積極的に取り入れつつ、即座に連携や作戦を組み立てる判断力や戦闘にならないよう立ち回る手腕を発揮した結果ですわ。

…いささか汚すぎるような気もしますが。」

おう、フォローありがとさん。感謝してるから、そんなに睨むなよ。

「また、尾白さんと芦戸さんは奇襲への警戒が足りず、葉隠さんも立ち回りは悪くなかったものの、気がついた時には追い詰められていました。耳郎さんとセンスさんのチームの完封勝利といったところですわね。」

めっちゃ言うなお前。

やめてやれよ、オールマイト仕事なくなってちょっと焦ってるぞ。仕事取られるのって結構辛いんだからな…あれ、俺らから仕事奪ったのこいつだからやり返しても良いのでは?

 

良いぞ八百万もっとやれ。

 

───────────────────────

 その後は残りの2試合も済ませてそれぞれの講評を聞いてお開きになったのだが、俺は家に帰る前に適当なネットカフェに入り、仕事用のケータイで自分の銀行口座を確認した。

「OK.ちゃんと20万ドル入ってるな。

物分かりのいい客で良かった。

まあ、金の支払いもまともにできない裏の支配者とかいたら逆に驚くがな。」

今度こそ俺は家に帰った。

 




銀行口座はスイスの銀行のやつです。
スイスは永世中立国なので、銀行業に関しても誰に対しても同じように守秘性の高い金庫を提供してくれます。特に、富豪などが利用するプライベートバンクは口座ナンバーがわかってもそこから持ち主の身元が割れないなど非常に強く秘匿されます。
コメントなどお待ちしてます。
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