俺のビジネスアカデミア   作:エニスマン

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かなり投稿期間が空いてしまったので実質初投稿です。
他の方の作品が面白くて読む専になっておりました。執筆もこれから再開しようと思います。


第6話 平和の象徴

 (怖いな)

ゲートをぶち破って入って来たオールマイトは、普段とは違い憤怒の形相を浮かべていた。

その心はあらゆる悪に対する憎悪に燃えていて、まるで砂漠の烈日のようだ。

正直なところ怖い。

威圧感がハンパない。イメージから力やエネルギーを予想しても、ここにいる敵を全員殲滅することだって可能だろう。戦いたくないし逃げ出したい。

(けど、無自覚に悪意を腐らせた衆愚の中に放り込まれるよりかはマシな気分だ。)

プルスウルトラ、限界を超えていこう。

 

「嫌な予感がしてね…校長のお話を振り切りやって来たよ。

もう大丈夫

私が来た!」

 

「待ったよヒーロー、社会のごみめ。」

さっそく死柄木がやる気になっている。俺は正直笑ってないオールマイトとか怖すぎるが、もう覚悟は決めた。

個性を使ってオールマイトが高速で組み立てている鎮圧までの流れや動きを読み、対策を同じく高速で組み立てる。俺と彼は相性自体は悪くないのだ。

ただパワーに差がありすぎて一対一では逆立ちしても勝てない。だから脳無を使う。

 

僅かに残っている広場の敵を殴り倒し、イレイザーヘッドを救出してから俺らの近くにいる切島と爆豪を助ける。ついでに俺たちを殴る。

 

とりあえず作戦はこんなところか

オールマイトがゲート前から軽く飛んだかと思うと、次の瞬間には残りの敵達を殴り倒してイレイザーの元へ駆け寄っていた。

目で追うのがやっとの速度。人が出して良いスピードじゃない。

オールマイトはイレイザーを抱き上げると、こちらを睨む。

次の瞬間、飛び掛かってくる。爆豪と切島を拾い上げ、次はこちらに殴りかかってくる。

拳の軌道はもうわかっているので、右手で死柄木を抱き寄せながら左手を軌道上に合わせてガードする。

 

バシィッ‼︎

 

痛え。でもこれ彼にとってはついでにブチ込む程度のジャブにすぎない。

だが、こんなことをしている暇はあるのだろうか?

俺が切島にプレゼントしたテルミットグレネードは持ち上げるとピンが外れるようにピンを地面に固定しておいた。

オールマイトはもう安全なところまで下がっている。爆豪と切島を横たえてくっついているグレネードに気づいたようだが、もう遅い。

テルミットグレネードは範囲が狭い分爆発までの時間が短いのだ。

オールマイトがグレネードを取り投げようとしたところでそれが燃え散る。

「SHIT‼︎」

「⁉︎がぁぁぁぁ‼︎熱いイィ⁉︎」

オールマイトの手と切島の背中が焼けている。

とりあえずこの隙に俺はグロックをそこに向けて連射する。しかしオールマイトがすぐさま水辺まで行き切島を水につけたため外してしまった。

けれど、テルミットってのは水中でも燃えるのだ。切島は重篤な火傷で済みそうな燃え方だが、思い切り握っていたオールマイトの右手はヤバいことになっている。真っ黒に焦げて端の方が欠けた手ではもう今までのような拳撃は繰り出せないだろう。

 

 ふと横を見ると、死柄木がオールマイトのパンチの衝撃で外れた顔の手を拾いながらなにやらボソボソと言っている。

「救けるついでに殴られた

(俺がな)

…ははは国家公認の暴力だ。さすがに速いや、目で追えない…けれど思ったほどじゃない。やはり本当だったのかな…?

弱ってるって話………」

それを聞いて明らかに緑谷が狼狽える。

「オールマイトだめです‼︎あの黒い(ヴィラン)、何かやばい!あいつ…」

「緑谷少年」

それでも、平和の象徴は自らが悪を裁く力なのだと立ち続ける。

「大丈夫!」

 

 直後、オールマイトが腕をバツ字に構えて凄まじい速度で飛び掛かってきた。

「脳無」

「CAROLINA…SMASH‼︎」

強烈なクロスチョップを脳無が受け止め、そのまま掴みかかる。

しかしオールマイトはその巨躯からは想像し難い柔軟さでその攻撃を避け、反撃すらしている。

「マジで全っ然、効いてないな!!!」

今のところはいい感じだ。オールマイトには脳無と殴り合って無駄に消耗してもらおう。その後は俺たちが詰めればいい。

「効かないのは"ショック吸収"だからさ。

脳無にダメージを与えたいならゆうっくり肉をえぐり取るとか効果的だね……それをさせてくれるかは別として。」

(………なんで言っちまうんだ?)

「わざわざサンキュー!そう言うことなら‼︎

やりやすい‼︎」

(ほらやっぱこうなる)

 

ズドム‼︎

 

轟音を立てて脳無が地面に叩きつけられる。どういう力の入れ方をしたらあんな砲声の如き音が出るのか理解できない。

峰田も「何でバックドロップが爆発みてーになるんだろうな…‼︎」

などと言っている。

 

しかし、着弾点には黒霧さんがカバーに入っている。

脳無の上半身がワープゲートを通ってオールマイトの真下に出現し、その脇腹を鷲掴みにしている。

オールマイトも辛そうにしているし、脇腹が弱点なのだろうか?

「あイタ‼︎君ら初犯でコレは…っ覚悟しろよ‼︎」

さて、黒霧さんたちのカバーに入るとするか。正直俺には脳無とオールマイトの殴り合いのサポートなんかできない。オールマイトには拳銃は効かないし、あの乱打戦に近づこうものなら余波だけで吹っ飛ばされかねない。こうやって動きを止めてもらったときぐらいは働かなくてはな。

 

「オールマイトォ!!!!」

 

突っ込んでくるのは爆豪と緑谷。横から轟と葉隠も来ている。

優先して対処するべきは黒霧の対策を理解している爆豪と強力な個性持ちの轟、次に緑谷最後に葉隠。

 

「どっけ邪魔だ!!デク!!」

 

緑谷を飛ばそうとした黒霧を狙って側面から爆豪が飛んでくる。そのまま腕を振りかぶり…

「クソがァ!!!」

俺は爆発が起きる前に股間を狙って蹴りを放った。

避けられる。まあ、ついさっき片玉を潰されたのだ、警戒しているだろう。

緑谷は黒霧さんが飛ばしたようだ、位置は…火災ゾーン。それなりの距離だ、しばらくは戻ってこない。

左手で抜いた拳銃で立て続けに2発、爆豪を牽制し距離を取らせる。そのまま轟を狙い、3発発砲する。

命中2発、残弾ゼロ。

しかし、轟は止まらない。

銃撃によろめきながらも地面を氷が這い、オールマイトを掴んでいる脳無の半身を凍らせる。

俺の銃はどちらも弾切れ、このチャンスを逃したのは正直痛い。ジャミング役もたった今最後の1人がやられた。無線での連絡を試せば普通につながるだろう。ここにいる奴らはアホでは無い。すぐに教師陣が救援に来るだろう、実質タイムリミットができてしまった。

(だったら、さっさと何とかするしかないか…)

 

 オールマイトが脳無の拘束を振りほどき、倒れ込んだ轟を救助しながら距離を取る。

「平和の象徴は…てめェら如きには…グッ…殺れねぇよ…」

轟が血を吐きながらも啖呵を切る。

なんか状況が膠着しそうだしリロードしておこう。追撃を警戒して黒霧さんのそばに寄りながら銃のマガジンを抜いてポーチにしまう。新しいマガジンを挿して、コッキング。

遮蔽が無く、相手が銃より対応の難しい道具を使っているので戦闘中にリロードすることもできない。やりずれぇ。

「怪我しながらもオールマイトを助け出す…すごいなぁ最近の子どもは…恥ずかしくなってくるぜ敵連合………ああでも、それはお前も同じかオールマイト…!」

脳無が凍った半身を砕きながら起き上がり、再生を開始する。

「自分を庇って教え子が死ぬ気分はどうだ?答えろよオールマイトォ‼︎」

 

瞬間、脳無が爆豪を狙って突貫する。オールマイトが寸前で入れ替わるが、脳無の一撃を喰らい吹き飛んだ。

 

土煙が晴れると、傷を負い吐血するオールマイトが立っている。

「…………加減を知らんのか…」

 

「お前を倒すために集い、そして倒された奴らの分さ。他が為に振るう暴力は美談になるんだ

そうだろ?

ヒーロー?」

(嘘をペチャクチャと喋るよりさっさと脳無動かせよ…)

 

「俺はな、オールマイト!

怒ってるんだ!同じ暴力がヒーローと(ヴィラン)でカテゴライズされ良し悪しが決まるこの世の中に‼︎

 

何が平和の象徴‼︎

所詮、抑圧の為の暴力装置だお前は!暴力は暴力しか生まないのだとお前を殺すことで世に知らしめるのさ!」

 

「めちゃくちゃだな、そういう思想犯の眼は静かに燃ゆるもの。自分が楽しみたいだけだろ、嘘吐きめ。」

「バレるの早…」

遊んでる間に緑谷と尾白が合流してこっち来ちゃったじゃねえか。何してんだ死柄木。

仕方ないので拳銃を向けて牽制しつつ、オールマイトの出方を伺う。

(うわぁ、何あの脳筋戦術…バカみたいなパワーゲーム故に策が通じねえ、俺やっぱこいつ嫌いだわ。)

オールマイトの作戦は単純。殴って効かない相手はもっと強く、たくさん殴る。

「状況は4対4でイーブン…ぶっ殺される覚悟はできてんのか…?」

「ダメだ!!!負傷者を連れて逃げなさい。」

「アァ⁉︎なんでだ!!」

「オールマイト、血……それに時間だってないはずじゃ…」

 

「大丈夫!!プロの本気を見ていなさい!!」

まあ妥当な判断だ。だが俺たちは子供を狙うぞ。

「脳無 黒霧

やれ。

俺とUBは子どもをあしらう。」

了解した。

 

(確かに、時間はもう5分とない…!力の衰えは思ったよりも早い!

しかしやらねばなるまい‼︎)

「クリアして帰ろう!」

死柄木とUBが駆け出す。

何故ならわたしは

平和の象徴なのだから‼︎

 

 オールマイトの拳と脳無の拳が激突する。

「"ショック吸収"って…さっき自分で言ってたじゃんか」

オールマイトの威圧に怯み、下がった死柄木が言う。

UBは生徒に囲まれ、乱取りのように次から次へと飛び掛かって来るヒーローの卵たちをいなしながらオールマイトの様子を伺う。

「そうだな!」

一度、二度、三度四度五、六七

猛烈なラッシュが激突し、拳の起こす風は暴風となって黒霧の介入を阻む。

最初は拮抗していた殴り合いも次第にオールマイトが圧し始め、脳無が対応しきれなくなる。

 

「"無効"でなく"吸収"ならば‼︎限度があるんじゃないか⁉︎私対策⁉︎私の100%を耐えるなら‼︎さらに上からねじふせよう‼︎」

 

(オールマイトは血を吐きながら戦っている。おそらく呼吸器系か消化器系に重篤なダメージが生じているはずだ。)

UBはそんなことを考察しつつ、尾白を投げ、横から飛んできた爆破を躱す。

(だが、それでもまだあのパワー、経験の多さは厄介だ…脳無やられたらそのまま帰っちゃダメかな⁉︎)

オールマイトがさらに踏み込みながらトドメを刺しにかかる。

「ヒーローとは常にピンチをぶち壊していくもの!敵よ、こんな言葉を知ってるか‼︎?」

 

Plus Ultra‼︎(更に向こうへ)

 

オールマイトの大ぶりの一撃が脳無の腹に突き刺さり、その巨体をブッ飛ばした。脳無はその勢いのままドーム状の天井を突き破り、あっという間に見えなくなった。

 

 あれはダメだな、回収して再起動する時間はない。撤退時に回収するか。

UBが黒霧に近づき小声で脳無の位置を伝える。

「南西の方角、およそ400〜450m飛びました…撤退時にサルベージしてください…」

「わかりました、増援は?」

「3分以内です」

 

「チートが…!」

オールマイトの言葉を聞いた死柄木が苛つく。

 

「衰えた?嘘だろ…完全に気圧されたよ。よくも俺の脳無を…チートがぁ…!

全っ然弱ってないじゃないか‼︎あいつ…俺に嘘教えたのか⁉︎」

 

(いや、彼は確実に弱っている。どころか俺が予想していたよりも弱っている。それでも埋められない差があるだけだ。)

UBはそこまで考え、そして決意した。やれるだけやってみることを。

(残り時間はギリギリ、オールマイトは限界が近いが耐えられるかもしれない。一切休み暇を与えないように攻撃し続けるしかない。)

 

「どうした?来ないのかな⁉︎

クリアとかなんとか言ってたが…できるものならしてみろよ‼︎」

(じゃ遠慮なく)

 

UBがオールマイトの正面に飛び込む。咄嗟に迎撃しようとしたオールマイトの右ストレートを掴みつつ、そのまま背後に回り込んで腕を極める。そして空いた左手で拳銃を掴み、オールマイトの後頭部、環椎のあたりを

 

───間に合わない。

 

オールマイトの腕を極めていた右手をあっさり放し、UBはオールマイトの正面へ背中を飛び越えるようにして回り込む。

(対抗手段を考えてから実行に移すまでの判断が異様に早い…!コレがトップヒーローか‼︎)

オールマイトの左肘が豪快な風切り音を発しながら背後に振るわれる。

(左拳、ストレート。反撃するならここ)

肘を後ろに振り切った姿勢から、やや大振りなパンチが繰り出される。

その拳がUBの仮面を砕く前に彼は右足を引き、最小の動作で拳を躱す。オールマイトはすぐさま拳を戻そうとして、違和感を覚える。

そして、その違和感の正体に気づいた。先程拳を振るった先、UBのその後ろ、支えを失いやけにゆっくりと回転しながら落ちる親指を見て(・・・・・)

 

「何っ…」

同様したのだろう。一瞬の後、オールマイトが注意を目の前に向けた時には既にUBはそこにいなかった。

(どこに⁉︎)

ザシュッ

オールマイトの内股をUBが切り付ける。しかし股をくぐり抜けながら放たれた一撃は通っていなかった。

(スーツは防刃仕様か…!)

お返しとばかりにオールマイトは右の拳を叩きつけるが、かわされた上に姿勢を崩され投げられてしまう。

(左足…避けられない!)

しかしオールマイトもいくつもの修羅場をくぐり抜けてきた英雄。投げられながらもUBの左腕を蹴り砕き、受身をとってすぐに構え直す。

(分かっていたことだが…勝ち目ねぇなこれ)

一撃、二撃

UBはラッシュを避けるように間を空けずにナイフを振るうが、次第にオールマイトの拳を交わしきれなくなっていく。

その拳が当たるたびにどんどん動きが鈍くなっていき、ついに一方的に殴られ始める。そして左の手刀を仮面にモロに喰らい、仮面をひしゃげさせて崩れ落ちた。

 

「おいあれ…生きてんのか…?」

「かっちゃん!ヒーロー的にトドメを刺しにかかるのはまずいよ‼︎」

「ざまぁみろクソ金的野郎が!!死ね!!」

 

 

 

 (増援…撤退…まずい…‼︎)

黒霧が個性でUBを回収する。

「クソ…役立たずが…!」

「増援…来ます………撤退を…警備、室のも…」

何とか声を絞り出して意図を伝える。すぐさま黒霧がワープゲートを拡げ、UBと死柄木を包み込む。

 

「今回は失敗だったけど……今度は殺すぞ平和の象徴、オールマイト」

 

そんな捨て台詞と共に、敵は去っていった。

 

〜UB side〜

 

 「クソ…あのクソ筋肉……ぐぅぅ…!」

敵連合のアジトであるバーに着いた、俺が通ってきたゲートから死柄木が出てきて、最後に黒霧さんが出てゲートを閉める。そして───

「黒い人、ボロボロになっちゃいましたねぇ…んふふ、カッコイイです。」

もう一つ、別のゲートから、そんなイカれた台詞を放ちながら金髪の少女が現れた。




原作との違い
 UBが飯田を行かせなかったので、ゆっくりやってきたオールマイトが脳無を倒した後も少し動ける。オールマイトと援軍の到着が少し遅れてる。
 トガヒミコは受験期に息抜きにディ○ニーに行こうとしたノージアのレーダーに引っかかり、「見どころがある方がいるから勧誘しましょう」と言って黒霧、死柄木と共に勧誘しました。死柄木は機嫌を悪くした。
 負傷者たくさん。トガちゃんは警備室でハイになってました。
 オールマイトが両手負傷。まあどうせすぐ引退だしあまり関係ないな。
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