常磐ソウゴは魔王である 作:ぬんぬん
一人の少女が過去か、現在か、未来か──はたまた別の世界か。それすら分からぬ謎の空間で椅子に座り、一冊の本を読んでいた。
ふわりと踊るように立ち上がった少女は本を開いて、我々の方を見る。
「この本によれば。普通の高校生、常磐ソウゴは魔王にして時の王者であるオーマジオウとなる未来が待っていた…はずだった」
本に目を通し、謳い上げるように告げる少女だったが、どこか困惑したように目を伏せる。
そして、本を閉じると目を閉じ、静かに口を開く。
「しかし、2015年7月30日、本来の歴史では起こらなかった災害によって彼の未来は変わってしまった。──だが、彼は最大最強の力を手に入れ、世界を救うだろう」
淡々と述べていた少女が確信を込めてそう告げる。そして、手を広げて堂々と謳い上げる!
「祝え!新たなる魔王の誕生を!」
★★★
「おじさーん、ただいまー!って、そういえば今日はおじさんいないんだった」
時計屋『クジゴジ堂』。時計屋なのにラジオやテレビ、果てには時の列車も治すと近所では有名な時計屋。そんな時計屋に一人の少年が帰ってきた。
彼の名は、常磐ソウゴ。光ヶ丘高等学校に通う高校一年生。そして、将来の夢は『王様になること』という夢のような確信のような不思議な何かを胸に抱いている少年。
そんな彼の大叔父、『常磐順一郎』は現在四国の香川へと用事で出かけており、クジゴジ堂に常磐ソウゴ以外の人は居ない…そのはずだった。何者かの気配を感じて振り返ったソウゴ。
「…君、誰?」
「おめでとう」
「は?」
誰もいないはずのクジゴジ堂の玄関に突如として現れた黒いフードを目深に被った謎の少女。そんな存在に突如として祝辞を述べられて困惑するソウゴ。
「今日はキミに取って人生を変えるものになるだろう…ああそれと、白い怪物には気をつけたまえ」
「何言ってんの?…って、あれ?」
クジゴジ堂のカウンター付近まで歩いてそう告げた少女の言葉を理解出来ず、首を傾げながら聞き返そうとすると、突如として風が吹いてその場にはソウゴ以外に人は居なくなっていた。
「なにこれ?」
カウンターにポツンと置かれていた時計型のデバイスに首傾げつつ、掴み取って眺める。ソウゴに見覚えは無いが、叔父さんの物だろうと元の位置に戻そうとする。
そんな時だった。バキリと天井を突き破って何かが現れたのは。
「うええ!?なにこれ!」
天井を突き破って現れたのは白い異形と言うべきもの。白く丸い見た目に大きな口が着いただけの化け物はソウゴの方を見つめ──突如として突っ込んでくる。
「あっぶな!?なんなのこれ!」
白い怪物から逃れるように外に向かって走るソウゴ。そして、外に出たソウゴの目に写ったのは、地獄であった。
「なに…これ…」
先程天井を突き破って来た白い怪物が大量に飛び回り、人間のことを喰らうそんな地獄。そんな状況でソウゴが覚えた感情は恐怖でも、絶望でも無かった。
「俺の…!俺の民に何やってんだァァァァァ!!」
ソウゴの胸に浮かぶは純然たる怒り。その怒りが、殺意が、奇跡を呼んだ。本来は険しき旅路の果てに得る力の前借りとも言うべきソレ。代償があることはソウゴも本能的に…いや、彼の中に宿る『王の素質』が告げていたが、それを超える怒りによってそれな顕現する。最大にして最強、究極にして無敵。絶対的なる時の魔王の力が、今ここに覚醒した。
不快感を覚えるような禍々しい鐘の音と共に出現した
「変身ッ!」
ソウゴの周囲の地面がバキバキとひび割れ、その罅は目のような形へと変貌したあと時計を象る。その罅の中を大量の溶岩が満たし、完全に時計を完成させると10時10分を示す位置に針が止まると、溶岩が赤黒いライダーの文字を作り出し、地面の時計がまとわりつき、ソウゴの身に鎧となって変化する。完全に全身が金と黒の悪趣味とも言えるような鎧に包まれたあと、顔の仮面にライダーの文字が嵌る。たったそれだけで、周囲の家が吹き飛ぶほどの衝撃波が放たれる。
「ふんっ!」
ソウゴの周囲に大量の時計のようなものが浮かび上がると、ソウゴに取り込まれソウゴの力となる。
「この世界から消えろ!」
オーマジオウは天に手をかざすと、その手から漆黒の波動を放ち、一瞬にして、地球上に存在する全ての白い怪物が消し飛ばされた。
「ぐっ…」
「おっと…やれやれ、まさか祝う余裕すら無いとはね。だがやはりキミは王の器だよ、
力尽き、ふらりと倒れたソウゴを黒いフードを被った少女が抱きとめる。そして、その口元に優しげな笑みを浮かべて、優しく言うと少女のマフラーが二人を包んで忽然と姿が消える。
後に残ったのは、ボロボロになったクジゴジ堂と、白い怪物の残骸だけだった。
常磐ソウゴ
初手オーマジオウとかいうバグ。原点より威圧感マシマシ魔王力タカメ。
なお、オーマジオウが次出てくる時は多分物語が終わる時だと思う。
フードの少女
とある預言者。