常磐ソウゴは魔王である   作:ぬんぬん

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EP5「NEXT LEVEL 2006」

ジオウに初変身してから二ヶ月程度が経った。時々バーテックスがやってくることはあったが、歌野とソウゴのの協力で二人に大きな怪我は無く、完全勝利と言っていいような状況が続いていた。

 

今も、バーテックスを処理し終えて休憩している時間なのだが、完勝したはずのソウゴの顔は少し暗い。

 

「なんか、違う気がする…」

 

「どうしたの?ソウゴくん」

 

「いや、なんかバーテックスの攻め方が最初と違う気がするんだよね」

 

考え込んでいたソウゴに水都が話しかける。するとソウゴは水都に自分の考えを話し始めた。ソウゴが言うには、初めに攻めてきた時はとりあえず数を揃えて攻め込んで来ていたが、最近では戦略…と呼べるほど上等なものでは無いが、作戦に近いものをたてて攻めてきてるような気がするという。

 

「気のせいかもしれないけど…」

 

「バーテックスには知性があるからね」

 

「うわぁ!?…って、ウォズか…びっくりした」

 

「ウォ、ウォズさん…?」

 

「失礼、少々面白そうな話をしていたからね」

 

突如としてソウゴの背後に現れたウォズに肩をびくりと揺らすソウゴと水都。ウォズはちっとも失礼とも思っていないような表情でソウゴの隣に座って本を開き話し出す。

 

「この本によれば、バーテックスは知性があり、様々なことを学習して進化する…とある。つまり、今の状況は我が魔王や歌野くんの戦力を調べていると言ったところじゃないかな」

 

「やっぱりそうなんだ。このままだとなんかヤバい気がする」

 

「進化する…ってことは」

 

「そうだ。歌野くんや我が魔王に対して何かしらの対策を取ってくるかも知れないね」

 

ウォズは笑いながらそう告げる。そして立ち上がると、マフラーを伸ばして姿を消す途中に、ソウゴに一言告げる。

 

「我が魔王、そろそろ平成ライダーの力を引き出さねば、死者が出るかもしれないよ?」

 

その言葉がソウゴに届いた時にはウォズの姿は既に消えていた。突如現れ、突如消える。そんなウォズの居たところを怪しむように見つめていたソウゴだったが、ウォズの言ったレジェンドライダーの事を考える。

 

「平成ライダー…か」

 

ソウゴは自分の力の源であるジオウライドウォッチをポケットから取り出す。そして、バーテックスに対してどう対処するか考えていたその時、ソウゴのいる場所がソウゴを起点として塗り替えられるように荒野に変わる。

 

ソウゴの足元には、なにかの像を破壊したかのような瓦礫が転がっていた。

 

「ここ…どこ?」

 

知らないはずなのに知っている。そんな不思議な場所で周りを見渡す。そして、周囲を見ようと歩き出そうとしたその瞬間、一つの幻影がソウゴの目の前に現れる。

 

「アンタは?」

 

──俺は天の道を行き、総てを司る男。天道総司。…またの名を、仮面ライダーカブト。

 

──お前は、なんの道を行く?

 

天を指さす特徴的なポーズを取るカブトムシのような見た目をした仮面ライダー。仮面ライダーカブトがソウゴに問いかける。その言葉に、ソウゴは笑って返す。

 

「アンタが天の道を行くなら、俺は王の──最高最善の魔王の道を行く!」

 

そう指を天道総司に突き出しながら叫ぶと、一つのブランクライドウォッチが赤く光り輝いて、ソウゴの前に浮かび上がる。

 

──ならば掴み取れ、お前の運命をな。

 

仮面に隠れて分からないその顔に笑みを浮かべたとハッキリわかる声でソウゴに告げると赤い光となりカブトがウォッチに取り込まれる。そのウォッチをソウゴが掴み取るとブランクライドウォッチが形を変える。

 

【カブト!】

 

「…なんか、行ける気がする!」

 

そう呟いた瞬間、世界が()()()()()()。荒野は消え、ソウゴは元いた休憩室へもどされていた。

 

「…戻ってきた?」

 

「戻ってきたって…何が?」

 

「いや、なんでもない。次の戦いがいつかわかる?」

 

荒野から帰ってきたことを確認し、ソウゴが水都に問いかける。しかし、神託が下っていない以上、水都は答えられない。

 

「ううん、神託が来てないからなんとも…」

 

「そっか。ウォズ!」

 

「…何かな?我が魔王」

 

「次の戦い、いつか知ってるんでしょ?教えてよ」

 

確信を持って笑いかけるとウォズが困惑したように本を開く。そして、ある程度目を通すと、ソウゴに真剣な表情で話し出す。

 

「我が魔王、それは──」

 

「大丈夫、行ける気がするから」

 

「…やれやれ、人使いの悪い魔王だね。次の戦いは一週間後だよ、我が魔王」

 

「やっぱりね。水都、歌野にも伝えといてくれる?」

 

ソウゴが静かに言うとウォズが呆れたように次の戦いの日を伝える。それを聞いて、何かを確信したようにソウゴが笑う。

 

「え?う、うん…わかったけど」

 

「大丈夫。なんか…行ける気がする!」

 

何かが噛み合っていなかった今までとは違い、何かが噛み合い上手くいくような感覚。ソウゴのよく当たる勘がこのままで行けると告げていた。

 

「まさか、我が魔王…!」

 

「そゆこと。ウォズ、一週間後に祝う準備しててよ?」

 

「…ふっ、盛大に祝わせて頂こう」

 

ウォズとソウゴが笑うとバン!と扉が開かれ歌野がやってくる。そして、ウォズの姿を認めるとの首を傾げつつも笑顔で話しかける。

 

「あら?あらら?あららら?ウォズちゃんじゃない!ハロー!」

 

「やあ歌野くん。お邪魔しているよ」

 

「良いのよ!…まあ、あの謎パワーで急に現れるのはやめて欲しいけど!」

 

「うたのんの言う通りだよぉ…心臓に悪いから…」

 

二人の様子に苦笑いしながら、ポケットに入ったウォッチを掴んで微笑んだ。

 

「まずは一つ目、かな」

 

 

 

 

 

とある時代、荒野としか形容出来ないその場所で。地面に転がった大量の瓦礫の一部がまるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そして、巻き戻っていく瓦礫を見て、ノイズがかかった謎の存在が瓦礫の付近まで歩み寄る。

 

『ようやく王への道を歩みだしたか、かつての私よ…』

 

最高最善の魔王が、静かにそう笑った。

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