シンフォギア世界にバーチャロイド(ライデン)が参戦したようです 作:とおりすがりのふに族団長
立花響と小日向未来に未来を託して消滅したかに思われたシェム・ハ。
しかし、未来の体を乗っ取った時に隼人に言われた一言が引っかかった。
「おーい、小日向~今頑張って戻って来たら美味いうな重食えるぞ~」
圧倒的力で体を支配していた筈なのに、その言葉を聞いた瞬間に未来は信じがたい力でシェム・ハの支配力を押し返そうとした。
「それほどの力を生み出す食べ物に興味がある」と思い、適当にその辺の人間の体を借りて食べて行こうと思ったが、何故か街中に人が全くおらず、やっと見つけた人間の女性は倒れて重症という有様。
(他に人の気配無いし、致し方ない。傷を治して目的を果たしたらこの体を抜けよう)
なんて甘く考えていたら、中々都市機能は回復しない&体から出られなくなり、現状に耐えかねて隼人にコンタクトを取ったのがこの二人の「なれそめ」になるだろう。それくらい事件中二人が絡む機会は少なかった。
「あの時は( ゚д゚)ポカーンってなったぜ、唐突に女子大生から『我、うな重を所望する故、早急に用意されたし』と来たもんだもんな」(隼人談)
勿論、S.O.N.Gはおろか、世界中大混乱。女子大生が住む安アパートを各国の特殊部隊が囲む中、うな重の出前をするという非常にシュールなお役目を仰せつかる羽目になった隼人だった。
扉を開けたら、本来居るべき女子大生の姿は無く、容姿は完全にシェム・ハになっていた。
最初は女子大生を乗っ取ってまた戦いが始まるかと空気が凍り付いたものだが、話を聞く&詳細な情報を確認すると、新しい事実が出て来た。
戸籍は確かに日本人、しかし在籍していた大学の情報と幼少期の情報を照らし合わせると。明らかにシェム・ハが乗っ取った女子大生は当初の戸籍とは違う人間だった。所謂「背乗り」というやつである。
おそらくどこかの国の工作員だったと思われるが、避難もせずに街中で一人倒れていた彼女に何が起きたのかは今は分りようもない。
シェム・ハも体の修復で精いっぱいで、彼女の記憶をたどる事は出来なかったらしい。もちろん、持参したうな重はがっつり美味しくシェム・ハが頂きました。
その後は当然、彼女をどう扱うべきか激論が交わされた。結論としては『彼女を罰する法律が存在しない』という結論に至り、身柄はS.O.N.G・・・というか隼人に預けられる形になった。
彼女の監視(というか世話)をするうちに徐々に距離が縮まり、自然と恋愛に発展していた。
かつての力はほぼ失ったが、知力は変わらぬ彼女がどんな進路を選ぶのかヤキモキした隼人だったが、以外にも選んだ進路は「リハビリ医師」という職業だった。
曰く「我は意外に頑張る人を応援するのが好きみたいでな。しばらくはこの仕事をやらせて貰う」との事。
そんな彼女の仕事風景はというと・・・
~ XVから5年後 都内某大型病院のリハビリ施設 ~
「ふむ、リハビリ初日よりは大分マシになって来たな。この調子でメニューをこなせば予定より早く退院できるかもしれんぞ」
「ありがとうございます。最初は半信半疑でしたが、本当に回復を実感出来てます!!」
興奮気味に感謝を口にする患者に『鏡音シェム・ハ』は苦笑する。
「足の骨折は『痛いからリハビリを先延ばしにしたい』とか『早く治したい』と計画を勝手に変える患者が多いからな。キミは無理せず良くやっているよ。明日からはもっとキツいリハビリになるから今日はゆっくり休むことだ」
「はい!」
「くれぐれも何処かの『筋肉ダルマ』と『レーザー馬鹿』の様に『体動くし血が止まったからOK』だのとほざいて勝手に窓やら壁やらを破壊して退院しないようにな」
そう言ってリハビリ室から去って行くシェム・ハの背中に「そ、それはどっちも人間では無いのでは?」と思う一般患者さんであった。
「さて、任務で無茶して怪我した我が伴侶の様子を見に行くか・・・って何故病室の前に隔壁があるのだ?」
夫である『鏡音隼人』の病室へ向かうシェム・ハを阻むように突如昨日までは存在していなかった隔壁に首を傾げる。
「友人の医者と妻のリハビリ医の言葉を無視し続ける男(隼人)用の特別隔離病棟だ!今回は意地でも逃がさんぞ!」
後ろから、この病院に医師として勤めている「キャロル・マールス・ディーンハイム」が現れた。
S.O.N.Gの面々の最近の入院先として使われるこの病院だが、目下の悩みの種は最近、ノイズがあまり出ないのを良い事に隼人と一緒に好き勝手に戦ってはケガ⇒一日で回復して医師の判断を無視して窓から『ダイナミック退院』する筋肉司令官(弦十郎)とその部下である隼人だった。
窓の無い部屋に入れても、隼人の入れ知恵で習得したと思われる威力が桁違いなパンチのせいで、壁が粉々に粉砕されてしまったり、レーザーで綺麗に切断されて逃げられる事案が続いていた。
「我が提案した壁に衝撃を吸収する素材を挟む案は上手く行かなかったのか?」
「拳は防げたが、次は『南斗●拳』やって来やがった」
「レーザーを拡散させる素材は?」
「あの野郎は、ガリィが煽りに行くの読んでたらしくてな・・・部屋に入った瞬間にCQCで捕獲して、皆が忘れてた『偽装能力』でちょっとデカいガリィとして堂々と病院から出て行きやがった」
「成程、流石にここまでされたら我が愚夫も大人しくなるだろう」
それならこの隔壁も致し方なしかと思いつつもIDカードを入れて中に入る。隔壁はもちろん、中の壁も特殊なコーティングが施されており、キャロルの苦心が伺える。
「エルフナインから訓練データを横流ししてもらって作成した俺の技術を結集して作った壁だ。あいつらのどんな攻撃も効かんぞぉぉ!」
と宣言するだけあり、自身の護衛用の『ミニライデン』に壁を叩いて貰っても、うんともすんとも言わない。これなら脱出は不可能だろうと思い、病室に入る。
「いい加減大人しくしているか?これ以上好き勝手してると我も実力行使に移るぞ」
「ムギギギ、もう怪我は治ってるというのに・・・」
ベッドの上でブーブーと不満を漏らす男は鏡音隼人(30)。
「治ってるから退院して良いと言う物では無い。キャロルのヘソの曲げ具合からして、今回は大人しくしておくんだな。どれ、リンゴ位は剥いてやる」
お見舞いの品として置かれていたフルーツセットからリンゴを手に取って剥き始める。
「シェム・ハにリンゴを剝かれるとは・・5年前には想像もつかなかったな~。仕事は順調なのか?」
「無論だ。後は夫と筋肉司令官が同僚を困らせなければ完璧だな」
再び『ムギギギ』となる隼人をからかいながら切ったリンゴを楊枝で刺して「あ~ん」の構えに入る。
「え!?」
「何を驚く。我々は夫婦なんだからこれくらい当然だろう」
「家でやらねーじゃん!?ここ、多分キャロルに録画されてるって!」
「無論、分かっている。積極的に同僚にネタを提供している。止めて欲しかったら、次からは医師の言う事は聞くことだ」
結局羞恥に負けて隼人が白旗を上げるのにそれほど時間はかからなかった。
一方、弦十郎は指で隔壁をこじ開けて退院した。
ノイズが出て来ないのを良い事に弦十郎が無双始めたらヤバそう(;^_^A