日本代表に選ばれる予定だったのに、なんで俺は小学生なんだ… 作:とうふ
やっぱ面白いね!まだ半分くらいしか観てないから次の投稿も遅れるかもしれない。
申し訳ねぇ!!!!
「いや、上手すぎでしょ……」
そんな誰かの言葉がフィールドで溢れた。その言葉は1人、相手チームを翻弄する成結に向けた言葉である事に間違いない。
「(この試合のノルマを作るなら、2点が俺。最後の逆転の1点が雷門メンバー。だから俺は煽る)」
試合開始早々、成結は相手からボールを奪った。
「倉間くん!ワン・ツー!」
「はぁ?」
「ダメじゃん!パスはもっと相手のことを考えて出すものだよ!このボールは取りにくかった!」
倉間にワンツーをするよう指示とパスを出す。突然のことに困惑する倉間はパスにしては強く、位置の遠い場所にパスを出してしまう。
しかし、こんなのは誤差だと言わんばかりに成結はパスを受け取りダメ出しをした後プレーを続けた。
「《おっと!突然現れた雷門のスーパープレイヤー77番は栄都学園を翻弄している!》」
「誰だよあいつ!バカか!」
相手チームの罵倒に聞く耳を持たず成結はゴール前にやってきた。
まだ小学生である成結の欠点を挙げるなら体力のなさ。小学生の中で見れば体力がある方にしても、中学生と比べるとその差は歴然。
しかし、成結はここで貴重な体力を使ってでも技を出そうと考えていた。
「僕のおじいちゃんが教えてくれたゴッドハンド。それは円堂くんも使っている最強の技だ。そこで僕、考えたんよ」
「な、なんだよ……」
ゴール前に立って会話をするように1人喋り出した。キーパーは先ほど見せたスーパープレーからどんな技を持っているのか恐怖している。
「〝ゴッドランス〟ってどう思う?かっこいい?」
「————な」
そう言った瞬間、成結は高く飛び上がった。その時のボールは、細く光り輝く槍を連想させた。
「ゴッドランス‼︎」
その槍をボレーシュートの様に蹴ると一瞬にしてゴールに突き刺さった。
地面に着地した成結は一息つくと会心の笑顔でベンチに手を振る。その様子にマネージャー達も手を振りかえして笑う。
「《ゴール‼︎雷門77番がゴッドランスを決めた!まさに神の槍!》」
「あいつ!なんでシュート打ってんだよ!これ以上フィフスセクターに逆らうつもりか!」
成結の技に驚愕しながら倉間は不満を漏らした。
ただでさえ神童が一点を取ってしまったのに、部外者の余計な行動のせいでサッカー部が廃部になりサッカーができなくなるなんてと、不満が募るのは当然だった。
全員位置に着く。全員の視線は成結に集まっていた。成結はその視線に気づいて独り言のように、だけど全員に聞こえる様に言った。
「一点取ったなら何点取っても一緒だよ。ここで負けてガリ勉に負けたっていう評価を受けるより、僅差だろうと勝つ方が僕はかっこいいと思うな」
全員はその言葉に対してさらに不満を募らせた。お前は何も知らないだろう、部外者にはわからない、そもそもフィフスセクターについて知ってんのか?と。成結も当然その気持ちに気がついていた。
「倉間くん。僕、去年のホーリーロードで見たサイドワインダーほんとに好きだよ。あれ、かっこいいよね!」
そして、ちょうどそのタイミングでホイッスルがなる。
またも、一番に動いたのは成結だった。ボールを取るとすぐに速水に回した。
「速水くん!」
「えぇ!?神童くん!」
そしてボールは神童の元へ。後半10分にゴールを決めた神童は、その時から全く動かない。それはまさに後半開始直後の天馬そのものだった。
「神童くん!僕は神童くんの素直なプレー好きだ!気持ちに素直になりなよ!」
「いや、俺は……」
神童がボールを見ている隙に相手がボールを奪う。それでも神童は動かなかった。
「(ダメだ。今の神童くんにはどんな言葉をかけても動かない。やっぱ倉間くんを煽るか)」
ディフェンスラインまで下がった成結がボールを奪った車田にパスを回す。車田も焦りからそのまま成結にボールを返した。
「(時間もないなぁ、とりあえずここでもう一点取らないと)」
ドリブルをしながら成結は考える。このままだと最後の一点を雷門メンバーに取らせる事は不可能。それほどまでにフィフスセクターを恐れている。
そもそもこの練習試合が負けという指示が出ている時点で、雷門メンバーには連携をして一点を取るという考えがない。それは成結の命取りで体力のない成結には全てのフォロー不可能に近い。
「雷門中サッカー部は潰れない!絶対に!無責任なんかじゃない。僕は責任取れるぞ!」
「《ゴール!!雷門77番また決めたー!これで3-3同点だー!》」
次はノーマルシュートで決める。相手が必殺技を出す間も無くゴールは決まる。
この時点で、既に成結は体力がほぼなかった。ディフェンスからオフェンスまで、フィールド全体を走り回ったのが原因だ。
「みんな!あと一点だよ。勝てるよ!ここに来てビビるのか!余裕だろ!僕に出番取られるぞ!雷門中サッカー部はこんなにも落ちぶれたのか!!」
「くそっ」
成結のその言葉に倉間がそっと呟いた。その声は成結には届かない。
後半残り5分。ホイッスルがなった。
そして、やはり一番に動くのは成結。当然のようにボールを奪うが、体力切れが原因でその動きのキレは失われている。
「倉間くん!速水くんは上がって!」
倉間にパスを出した成結は指示を出す。既にボールの動きについていけない成結は今は動かない司令塔の代わりをすることにした。
「浜野くんにパス!浜野くんは速水くんに!」
そして、突然の指示に慌てるせいで全員がその指示に従う。ボールは順調にゴールに近づいてきた。
「あと一点で逆転だ。もう負ける事はないだろう。フィフスセクターの指示に逆らってしまった。ならもう勝ってもいいと思う!いっそ開き直ってこの試合を楽しもうよ!」
そして、ボールは倉間に渡る。倉間は先ほどの成結の言葉を思い出していた。『サイドワインダーほんとうに好きだよ』その言葉はサッカープレイヤーとして本当に嬉しい言葉で無茶苦茶なことをする成結以外に言われたのならその場で喜んでいただろう。
「(もう同点だ。ならこんな雑魚相手に同点で終わらせるより、勝った方がいいか……)」
「シュートだ!倉間くん!」
「———ッ、あぁ!サイドワインダー!!」
倉間はシュートを打つ。蛇を想像させるボールが左右に揺れながらゴールへ向かった。
「《ゴール‼︎倉間が土壇場でゴールを決めたぁ!》」
「「「「倉間!?」」」」
驚く雷門に栄都学園。今まで、シュートを決めたのは天馬のパスと成結の声に背中を押された神童と、経験という定でやってきた部外者の成結。
しかし、そこにフィフスセクターの指示には忠実に従ってきた倉間が逆らうということは、フィフスセクターの支配が成結の影響で崩れ始めたという事だ。
「さすが、倉間くん!!!」
「《ここでホイッスルー!試合終了だ!4-3で雷門の勝利だー!》」
「勝っちゃた……これってかなりやばい事なんじゃ…?」
「そうだねー。倉間もシュート打ったし、廃部かぁ」
「なんで浜野くんはそんな歓楽的なんですか!サッカー部の危機ですよ!?」
速水と浜野の会話を傍目に倉間は成結に声をかけた。
「俺のサイドワインダー、どうだった?」
その質問に成結は一瞬かしこまるが、すぐに明るい笑顔になり応える。
「サイコーだった!やっぱり好きだ!」
その成結の言葉に倉間は「そうか」と呟き、微笑む。
成結も荒い息遣いが収まり体力が回復してきたようだ。そんな成結に倉間は言う。
「サッカー部は潰れない、だっけ?責任取れるんだろ。任せたぞ」
「お、おお」
そして、この試合の1番の活躍を見せた成結には天馬を始めとする数人が集まる。そして質問攻めと称賛の言葉。それが止んだのは久遠が声をかけた5分だった。