日本代表に選ばれる予定だったのに、なんで俺は小学生なんだ… 作:とうふ
いやぁ、びっくりだよね。半年以上経ってるなんてさ。でも仕方ないよね。忙しいんだもん。あー忙しい忙しい。
次もそれくらいか、それ以上投稿しないと思うけど、よろしくお願いします。
「成結、この前の試合はとことんやったらしいな」
父さんが俺の部屋にノックをして入ってきて、一言目にそう言った。
顔は笑顔で、全く怒っていない。むしろ喜んでいるようにも感じる。
「やったっていうか、まぁ。楽しかったよ」
今日は月曜日で、宿題をやりながら父さんの言葉に返した。
楽しかったのは事実だ。ただちょっと怖いだけ。倉間くんや神童くん、天馬くんや信介くんは大丈夫だとして。他の雷門メンバーの恨みは買ってしまっただろうし。好きなキャラクターだった人から冷たい目線を送られるのは精神的にきつい。
剣城くんにもフィフスセクターに逆らわせたとして排除する対象にでもされたら嫌だ。
「ちょっと父さんと散歩に行くか」
「うわっ、すっげぇ」
俺は、夜の冷たい風に頬を撫でられながら夜景を眺めていた。
父さんと来た場所は鉄塔広場。聖地巡りとして、ここは何度も訪れていたが夜来たのは初めてだった。高い場所にあるだけあって稲妻町が一望できる。
「もうすぐホーリーロードが開催するのは知ってるだろ?」
「うん、俺も毎年楽しみにしてるからね」
まるで、円堂くんと鬼道くんかのように手すりに手をつけながら父さんと話す。もちろん俺は届かないので背伸びだ。
「じゃあホーリーロードがフィフスセクターの新たな聖帝を決める聖帝選挙であることは知ってる?」
「うん、それも知ってる。毎年、管理サッカーしてるからイシドシュウジって人が聖帝になってるやつ」
俺が管理サッカーについて知ってるのに父さんは驚いたかもしれないが、久遠さんに聞かされたんだ。これは原作知識じゃ無い。
イシドシュウジに関してもたまにテレビに出てるし問題ないはず。
「父さんやおじいちゃんは〝革命〟を起こそうとしているんだ。この管理サッカーを変える、ね。その為におじいちゃんを新しい聖帝にする。だから雷門中サッカー部にはホーリーロードで勝ち続けてもらわないといけない」
父さんの話は、アニメで帝国の地下で話した内容だろう。帝国の地下にはおじいちゃんである響木正剛や名前は忘れちゃった雷門中の元理事長&校長。鬼道くんや久遠さんもいた。
—————俺がここでこんな重要な話を聞いていいのだろうか?
「成結には雷門中への出入りが許可されたよ。父さんは雷門中のコーチを務める。成結、君に父さん達から頼みたいのは雷門中サッカー部の強化だ」
「強化……えぇ、うーん」
「この話は他言無用。まずは雷門中にホーリーロードで勝ち進んでもらおう。その為には成結の力は必要不可欠だよ」
なんか俺、すっごい期待されてない?いやいや、どうすればいいんですか。えぇ?俺小5だけど。中身は歳とってるけど小5だよ?
ふぅ、まぁやりますか!アニメなんかとは違う。〝雷門無双〟でも目指そう。俺は原作知識もあるしなんとかなる。
まずは、神童くんを元気にさせないとね。
「お前のせいなんだど。神童は練習に来ないし、倉間だってシュートを決めた。お前が変なことを言ったからだど。それを分かってるのか⁉︎」
「あぁ〜、反逆者が二人増えちまった」
「監督は辞めちゃいましたしね。やっぱり廃部だぁ」
天城くんと南沢くんが俺にそういう。速水くんは独り言のよう呟いた。
俺は、学校が終わってからすぐに雷門中に来た。それは練習に参加するという意味もある。だけどまぁ当然みんなに責められるわけで。
ちなみに、南沢くんのいう反逆者は倉間くんと神童くんだろう。二人ともこの前の試合でそれぞれ一点とっている。
「雷門中は廃部にはならないよ、絶対」
俺が断定的にいうものだからみんな黙ってしまった。だけど廃部には絶対にならない。アニメの展開的にそうだったし、父さんから話された話なら既に革命を起こす為に大人達は動いている。廃部にしようとフィフスセクターが動いても、乗り切れるだろう。
「そうだ、雷門中は廃部にはならない!」
突然大きな声が聞こえた。その声は大好きな声で頼りになる逞しい声だ。
全員が一斉に声のした方を振り向く。
「……あっ、
「成結〜!久しぶりだな!元気だったか?」
グランドのベンチのところまで降りてきた円堂くんは俺の頭を撫でる。俺は「元気だったよ」と答えながら雷門メンバーの方を向いた。
その俺の行動が意味する言葉とは「俺、こいつとダチだぜ」だ。決して口には出さないが、顎を上げ、口角も上げニヤッと。
「え、円堂って……あの…」
「「「「えぇ〜!!!!」」」」
俺の煽り顔は無視され、当然といえば当然のみんなの驚く声。
通称〝伝説のゴールキーパー〟円堂守。廃部寸前だった雷門中をフットボールフロンティアで優勝に導き、フットボールフロンティアインターナショナル、通称FFIでも日本代表のキャプテンとして優勝に導いた。
この精神面で不安定な雷門中の大きな支えになってくれるだろう。なんと頼りになる存在か。
「今日から雷門中サッカー部の監督を務める円堂守だ。みんな、よろしくな!」
幼さも感じられる笑顔で円堂くんはそう挨拶した。なるほど、自己紹介は元気な声ですると若く見えるのか。俺、心は28歳だからさ。やっぱ若く見せたい年頃だよね。
「放課後の予定を伝える。集合場所は河川敷のグランドだ。そこはここでは見えないものが見える」
円堂くんはそう言ってから「待ってるぞ」とただ一言だけいってその場を去った。
俺はそれについていく。俺の今の役目は神童くんをやる気にさせる事だ。
「円堂くん、僕は神童くんのところへ行くよ」
「あぁ、分かった。頼んだ!」
円堂くんは分かってたのか直ぐに許可を出してくれた。俺は大きく頷いて円堂くんと別れる。
そこから俺は、すぐに神童くんの家に向かった。
道は知らないけど神童くんの家はとんでもなく大きい事で有名だ。きっと適当に行ってもたどり着ける。
そう思って歩いていたら、迷子に……なることもなく無事ついた。いや、俺って頭いいし迷子とかなったことないんだよね。俺ってば欠点ない。
「いや、でっけぇ。タキシードでも着てくるべきだったかな」
たどり着いた神童邸はそこそこの距離で遠近法を使っても両手に収まらないくらい大きかった。
インターホンを押すと、執事らしき人が出てきてすぐに案内された。
神童くんは俺が来たこと分かってて入れてくれたのか……?ぐすん、なんて優しい子。
まあ、そんなことはいい。俺の熱弁で神童くんを円堂くん並みにサッカーバカにしてやるぜ。
「————ピアノ上手だね、神童くん。弾いてる曲はショパンのワルツ……10番かな?忘れちゃった。その曲は、今の神童くんの気持ちを表してるの?」
俺がそう言って声をかけると、ピアノの音が止まって神童くんはこっちを勢いよく見る。
ちなみに俺は文武両道、才色兼備だ。弾いている曲くらい当てられる。ショパンのワルツは全て弾けるくらい好きだから間違えるわけないが、何番がでは自信がないかな。
「成結くん……か。霧野だと思ってたが」
神童くんは、訪れたのが霧野くんだと思ってたらしい。
だからすんなりと入れてもらえたのね。強盗でも直ぐ部屋に入れちゃいそうで、怖いよ神童くん。
「そうだ。僕の自慢できることの一つは、魔王の伴奏が弾けることだよ。最初のタララってところも完璧さ。え?僕の自慢なんて聞いてない?そんなこと言わずにさ」
少々失礼してピアノを弾き始める。ちょうど神童くんの演奏が止まっていたところから俺が演奏を始めた。
この曲は全体的に暗い曲だが、一部は高い。それが神童くんの心の葛藤を表しているようで、神童くんの今の気持ちが目で見えるかのように分かる。
「……紅茶を用意しよう」
「あ、砂糖もよろしくね。僕は砂糖入りの紅茶が好きなんだ。あでも、無理して持ってこなくていいからね?お構いなく」
「砂糖入りだな。わかった」
神童くんが一度退出するので俺もピアノをやめた。
この部屋にはサッカーボールが転がっている。今度はそれを蹴り上げてリフティングを始める。
いや、俺この部屋で自由にしすぎじゃないか?ピアノを弾いてはサッカーを始める。よろしくないな。後で反省の姿勢を見せよう。まぁ、姿勢を見せるだけなのだが。
適当にリフティングしてたら神童くんが紅茶を持って部屋に来た。俺の要望通り角砂糖も持っている。やはり神童くんは優しい。
「試合の時から分かっていたが、サッカーが上手なんだな」
リフティングの様子を少し見ていたのかそう神童くんは言った。
「あんなシュートは見たことない。〝ゴッドランス〟だったか?きっとあのキーパーはボールを捉えていなかった。目で追えない速さ、そして威力。素直に尊敬するよ」
力無く笑ってそう言った。その表情は何かに疲れたような、そんな表情で痛々しく感じる。
「ありがとう。昔ね、練習したんだよ。いずれ雷門イレブンでみんなの力になりたかった。でもこの通り僕は小学生だから」
この言葉に嘘偽りはない。俺は転生したと気がついた時から新生イナズマジャパンに選ばれることを目標にしていた。
しかし、俺は年齢が足りない。初めて気がついた時にはしばらく寝込んだが、今こうやって力になれることがあるなら全力で頑張りたいと思う。
「ってことで、神童くん?サッカーやろうぜ」
足元のボールをふんわりと浮かせる。
身体が覚えているのだろう。神童くんは咄嗟に胸トラップをしてから地面にボールをつけた。
「さっきの話からどうしてサッカーをする事になる」
「サッカー嫌い?」
俺がそう聞けば神童くんはボールを手で持ち上げて黙り込む。
少し間が経てば、ポツリと独り言のように喋り出した。
「嫌いなわけない。好きに決まってる」
「じゃあ部活行こう。円堂くんも待ってるよ」
俺が円堂くんの名前を出すと神童くんはあからさまに顔を顰める。円堂とは誰だと表情が語った。
だから俺は簡単に新しい監督に伝説のゴールキーパー円堂守がなったと伝える。神童くんは首を傾げながらも納得したようだ。
「もし部活に来ないのが責任を感じてる、とかだったらお門違いだよ。責任は俺にあるし、俺の責任を取ってくれるのは久遠監督だから。そもそも神童くんには追う責任がないわけ」
「そんなわけっ……」
神童くんがそう切り出した時、執事の人が「来客です」と言い人を連れてきた。
「霧野……」
「あ、やっほー霧野くん……」
「……成結くん、どうしてここに?」
気まずい沈黙が流れた。
「……河川敷行こうよ」
耐えきれなかった俺はそう切り出した。
「見えただろ?ここには、本気で勝利を目指してる仲間の顔がある!」
俺たちが河川敷に来た時には、既に剣城くんのデスソードがゴールに決まっていた。
俺たちはそれを橋の上から見下ろしていた。円堂くんの声は聞こえているし、何も問題はない。
「ねぇ神童くん。本気で勝ちに行くサッカーがもう出来るんだ。やらない理由はないでしょ」
そう言ってから付け足すように「霧野くんも」と言った。二人は返事をくれなかったが、緊張の解けるようは雰囲気を感じ明日からは練習に来てくれるだろうと思えた。
よしっ。俺の仕事は一つ終わった。明日からは本気の雷門強化だ。今日のはスタートラインに立っただけ。本当の〝雷門無双〟はここからだ。
あー最高に楽しみだな。
内容全然進んでないやんけ!
次から本気で雷門無双しに行く。