きっかけというのは唐突にやってくるもの
現代の人生において、俺は特に何事もなく過ごしていた方だと思う。
普通に仕事をして、普通に趣味をしたり家事をしたり。
家庭でも亀裂が生み出すようなこともなく順風満帆に暮らしていた。
そんな何の変哲もないある日のことだった。
湿気の多い雨の日、傘を差しながら買い物袋持った状態でいつも使っている歩道橋を降りていた時、雨でぬかるんでいた段差に足を滑らせて転んでしまった。
だけど、転んだ後に力が全く入らず、意識が遠のいてしまっていた。
「あれ……なん、で」
雨の音でかき消されていくその言葉が最後となり、俺、「
*
「歩道橋で転落して打ちどころが悪く、くも膜下出血による失血死。だそうですよ」
走馬灯のような思いでに浸りつつも、向かい合わせで座っているロングヘアの女性は残念そうに告げる。
そんな理由で死んじゃったんだ。思いのほかあっけなかったなぁ。
「そしてここで貴女と話している、と」
「はい。死んだ後にすぐ魂をこっちに呼び寄せました」
にこやかに言いのける向かいの女性。これでも神様だというらしい。
そして、魂だけとなっている俺は白くどこまでも広い空間で神様と死ぬ前の記録を見ながら、対談している。
「だけど、貴方が死んだのはちょっと予想外と言いますか。時期がまだではなかったような気がします」
貴方のような人は長生きする予定のはず……と、小さく呟いて焦っているようだ。
「じゃあ、生き返れるのか?」
「それは出来ません。あの世界と魂が分離してしまった為、元の世界で蘇生することは不可能です」
そんな都合よく戻ることはないんだ。
せっかく前に買ったゲームや本を消化するという密かな思いはその言葉で潰えた。
「とはいえ、急に起きてしまった事で私達も想定外なものでしたので。お詫びに他の世界で生きることが出来ますよ」
「それは、漫画とかで見た異世界とか?」
その問いかけに神様は頷いた。
漫画の世界とかでしか見れなかった物が実際にあるということで少し驚きはあった。
そして、俺にもその出来事やきっかけが舞い降りてくるとは思わなかった。
だけどその世界で生きられるなら。
第二の人生を歩めるのなら。
「じゃあ、それで」
「わかりました。貴方を異世界へとご招待します……その前に、何か転生ついでに欲しい物とかありますか?」
これも転生する特典で、よくチートとか持ってる状態で過ごしたり出来る前の選択肢があるというのを展開だ。俺にもこういうのがあるんだなと思い、どんなものがいいかと考える。
考えて、考えて、考え抜いて数十秒。
「神様のお任せで。だけど、生まれ変わるならちゃんとした人間でありたいのは条件で」
「お任せでいいんですか?もっとこう、巨万の富で永遠にくらすとか。圧倒的な力で世界を救うとか」
魅力的な提案や合いそうな意見を沢山言い続けるのだが、俺はどれもしっくりこなくて黙ってるままだった。
心が折れたのか、ため息をつきながらさっき言った俺の言葉を受け入れた。
「わかりました。私の気ままなお任せでいくつか付けます。ではそのまま力を抜いて意識を集中してください」
そう神様が言うと、俺の視界の回りで光が強み始める。これから転生先へ向かうための儀式らしい。
俺は目を閉じて静かにその時を待った。
そして、その魂は神様の前でいなくなり次への人生へと向かっていったのだった。
「次の世界で、健やかに歩むことを私達は祈っています」
短い!!
すっごい短い。
そんなわけでゆるりと更新していきますので、長目でみてやってくだせぇ