私のお父さん? 龍神オルステッドですよ?   作:口の端にほっぺが!

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第3話 空中城塞への旅路

雪が降り積もる道を、男に抱えられて運ばれること1週間。

丁度冬の季節に入ったのか、ここ3、4日は降雪しっぱなしだった。

 

今日はしばらくぶりに空が晴れて、太陽をまみえることができたが、“ああ太陽”以上の感慨は湧きそうにない。

 

この三白眼の男は、雪だろうとなんだろうと平然と歩き続ける。なんなら弾かれるように雨粒も雪も彼を避けるので、視界不良以外の弊害が見つからなかった。

そんな彼の恩恵を受けてか、私自身濡れることなく、さらには寒さに凍えることもなく、“日本じゃ雪少なくなってきてたな”などと感慨深く思うほどには余裕があった。

 

それが何日か続いて、そんな感慨も消えた。

 

暇つぶしで雲の流れを眺めることも、遠くの赤々した山脈を見ることもできず、ただ目の前を睨む男を顎下から注視するだけ。

何も見えないとなると、男がつぶやくことも無くなり、習いたい言語に触れることも少なく。

超がつくほど暇でした。

 

男の戦いも、このジャングルから移動してめっきり減り、実際あの卑怯な男以外人を見ていない。

獣も冬眠の季節なのか、ジャングルで臭った獣臭すらしなかった。

 

ただひとつの救いは、少しずつ体に力が入ってきたことだろうか。

この世界では普通なのか、それともこの男の影響か、私が中身にいるからか、もう既にハイハイをできるようになった。

首も座り始め、足腰も、そろそろつかまり立ちできそうなくらいにはしっかりしてきた。

 

ほとんど抱えられて身動きしないのに、不思議だ。

 

早く体を動かしたいという気持ちが早って体に出てるんだろうか。

 

フラストレーションが溜まる。

 

そういえば、なんだか背中もむず痒くなってきた。

ここら辺の川はほとんど凍っていて、彼が体を拭いてくれないせいだろう。まあ凍っていなくても死ぬほど冷たいだろうから、必死に泣き叫ぶつもりではいるけど。

 

そんな心身むず痒い道中。

変わらない景色が過ぎる中、街道沿いに列になって並ぶ7つの石碑を見つけた。

誰かに雪を払ってもらったのか、その石の上には一切雪が積もっておらず、何が記されているのかはっきり見えた。

まあ、見えたとはいえどこかの家の紋章のようで、まったく見当がつかなかったけど。

 

いや、一つだけ心当たりがある。

というか、今見えている。

 

奥から2番目の石碑の紋章が記された腕輪が、彼の右腕についているのだ。

なんだろう、この人高貴な生まれなんだろうか。

確かに服の見た目や触り心地がいいと思ったけれど。

 

これは本当に貴族物語が始まるかもしれない。

 

まあこの間の武術見たせいで、お転婆令嬢やるのは決まったようなもんですけどね。

 

学校とかあるのかな、じゃあ尚更言葉を早く覚えたいな、などと妄想を膨らませていると、急に彼が足を止めた。

丁度石碑の前で足を止めたので、なにか説明でもしてくれるのかななんて見守っていると。

 

フスーー!!

 

金属製の笛を取り出して、めっちゃかすれた音で吹きました。

何!?一体何が起きたの!?

ていうか何してるの!?

 

まるでそれで終いだ、とでも言うように彼は遠くの空を見やる。

なんだろう。ペットのドラゴンとかでも呼んだのかな。犬笛みたいな感じで竜笛なんてのもあるのかもしれない。

まあ、この世界にドラゴンがいるのかすらまだ知らないけど。

 

しかし、よく見てみると彼の顔が、今まで見た事のない感じで僅かに歪んでいる。しかめっ面レベル10からレベル11になったくらいの違いではあるが、いつもと違う表情をしていた。

僅かな違いだ。そのうち顰め面ソムリエになれるかもしれない。

 

『光輝のアルマンフィ。参上』

 

「うあっ!?」

 

今まで何も無かった地面の上に、突然仮面の男が訪れた。真っ白な制服を前でとめ、狐のお面をかけた男性。

パリッとした印象が、仮面の不思議ちゃん感を消していた。

 

三白眼男は、それが当然かのごとく立ったままだ。

さっきの笛は、この人を呼ぶためだったらしい。

 

『...謁見か』

 

『ああ』

 

『そうか』

 

気のせいどころじゃなく、狐男の声が固い。

あんなに気安く呼んだことを怒っているのだろうか。

でも笛吹いたら来てくれる簡単仕様なのが悪いと思うし...。

 

互いに口数の少ない2人を見守っていると、不意に狐男の顔がこちらを向いた。

 

『その赤子は魔族か?』

 

仮面と平坦な声のせいで、どんなことを喋っているのか予想がつかない。

 

『...純粋な魔族では無いはずだ』

 

『わからぬ、ということか』

 

『...ああ』

 

なんだか、三白眼の彼が申し訳ない顔をしているように感じる。

ダメだ。どっちも感情の起伏が小さすぎて、どんなことを話しているのかわかりそうにない。はよ、はよ言葉を覚えねば。

 

すると狐男は、2本の筒を差し出してきた。

 

『素手でもて』

 

そう言って、そのうち1本を私に押し付ける。

 

『そのままで待たれよ。しばし』

 

それを見届けた狐男は、初めと同じように消えてしまった。

黄色のエフェクトと共に。

 

キ〇ル!?

 

何あれ!?すごいかっこいいんですが!?

あれは魔法ですか?それとも身体能力なんですか!?ピ〇ピカの実があるんですか!?

 

 

 

突っ立ったまま待つこと10数秒。

突然、真っ白な世界に引きずり込まれた。

 

驚いて周りを見渡しても、私を抱えていた男がいない。

 

「うあーー!」

 

軽くパニックになりかけた瞬間。視界が晴れた。

それと同時に、また彼に抱えてもらったのが感覚でわかった。

しばらくこの状態でいるからなのか、途端に安心感が私を包む。

 

落ち着いた頭で周りをゆっくり見回す。

 

「ええ...」

 

絶句した。

 

最初に目に入った女性の、その後ろ。

前世でも見たことがないほど巨大な城が、真っ青な空を突き抜くようにそびえ立っていたのだ。

 

『ようこそ』

 

狐男と同じように仮面をつけた女性が、言葉を発する。

しかし、あの男と違い警戒心よりも自慢のような、誇らしい思いを感じた。

 

『空中城塞ケィオスブレイカーへ』




オルステッドがペルギウスたちと会話しているシーンが少なすぎて難しい...。

ペルギウスはヒトガミのこと知らないようだし、オルステッドは基本的にノータッチなんだろうな。

七星は異世界に転移で戻りたいって願ったから、転移陣の権威であるペルギウスを頼ったんだろう。

ていうか、ペルギウスとオルステッドの実際の年齢っていくつなんだろう...。
転生体って、生まれたばかりじゃなくてもいけるのかな...?
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