転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第103話となります。

Switch2、ポケモンコロシアムが遊べると知って絶対購入すると決めました。


戦力拡充③

クシャ山脈にて『長鼻族(テング)』たちの長代理であるモミジさんと出逢った俺と青娥さん。彼女の許可の元、俺たちは『長鼻族(テング)』の少女を仲間に加えることに成功する。

 

黒髪短髪で仮面の『長鼻族(テング)』の少女には名前が無かった。今回ばかりは俺が名付けをする訳にもいかないので、少女のことは一先ず『テング』と仮称することに。その後、モミジさんたちと別れた俺たち三人は、青娥さんの『拠点移動(ワープポータル)』によってガビルとシーザーが待つ、山間の氏族が暮らす洞窟付近へと戻ったのだった。

 

 

 

 

 

 

「おぉ!アクト殿、青娥殿。無事に戻ってくれて何よりである」

 

「お待たせガビル」

 

 

 

転移を終えた俺たちは後ろから声を掛けられる。振り返ると、そこには洞窟の入口で待っていてくれたらしいガビルの姿があった。こちらに向かって歩いて来る彼に片手を上げて俺はそう応える。

 

 

 

「おぉおお・・・・・・本当に一瞬で移動しちゃった・・・!青娥さん、何者・・・?」

 

「む?アクト殿、そちらの少女は?」

 

「あぁ、クシャ山脈で会った『長鼻族(テング)』の女の子だよ。一緒に戦ってくれることになったんだ」

 

 

 

青娥さんの『拠点移動(ワープポータル)』に驚いているテングを見つけたガビルに俺はそう説明する。話を聞いたガビルはほう、と呟くだけだったが、ガビルの後ろに付いて来た見張りのリザードマンたちは驚愕していた。

 

 

 

「ま、まさか『長鼻族(テング)』を従えてしまうとは・・・!」

 

「従えた訳じゃないけどな・・・一時期に協力してもらうだけだよ」

 

 

 

苦笑しながら彼等の言葉を否定する。変に誤解された話が広まってモミジさんたちとの間にトラブルを起こしたくないしな。

 

と、俺が見張りのリザードマンたちと話している内にガビルがテングに声を掛けていた。

 

 

 

「初めまして、『長鼻族(テング)』の少女よ。我輩はリザードマン一族次期首領のガビルである」

 

「あやや、これはどうも御丁寧に。私は名を持たぬただの『長鼻族(テング)』・・・ですのでテング、とお呼びくだされば」

 

「うむ、テングであるな。テングよ、アクト殿たちの声に応えてくれて感謝する。かの神聖な種族、『長鼻族(テング)』と共に戦えることを光栄に思うぞ」

 

「こちらこそです、ガビルさん・・・・・・・・・あの、ところでガビルさんって本当にリザードマンなんですか?なんか、私より強そうなんですけど?あとレッサードラゴン従えてるんですけど?」

 

 

 

感謝の意を示すガビルにテングは礼儀正しくぺこりと頭を下げる。それと同時にガビルの強さとシーザーの存在に気付いたらしく、笑顔を浮かべたまま滅茶苦茶狼狽えていた。

 

 

 

「わはは、実はリザードマンではないのだよ。アクト殿から名付けをされたことにより『龍人族(ドラゴニュート)』へと進化したのである」

 

「へっ!?名付け!?い、いや・・・でも、『龍人族(ドラゴニュート)』って確かBランクでしたよね?それなら平均的な『長鼻族(テング)』より少し弱いくらいの筈・・・」

 

 

 

ガビルが名付けされたという事実を知ったテングは、その名付けをした本人である俺とガビルを交互に見比べる。それでもガビルの強さに納得がいかないのか、顎に指を当てて考え込む。

 

 

 

「それについては話すと長くなるが・・・・・・まぁ、我輩はアクト殿から名付けされる前からBランク程度の実力があった上に、常日頃から厳しい修行を積んでいるのでな!青娥殿と出逢ってからは特に!この力はその賜物である!」

 

「ふーん・・・・・・修行、ですか・・・?」

 

 

 

胸を張るガビルだったが、テングはその理由にあまりしっくり来ていないらしい。彼女の反応が気にはなったが、今はそれよりここに来た本来の目的だ。

 

 

 

「それはそうとガビル。例のリザードマンは?」

 

「む?おぉ、それなら・・・・・・」

 

「──ここだ!」

 

 

 

その時、ガビルの後方、洞窟の入口から男のものと思われる低い声が響いた。どうやら洞窟の影に紛れるようにして誰かが立っているらしい。

 

俺や青娥さんたちの視線が集まる中、その男はゆっくりと影から現れ・・・・・・そして、俺と青娥さんを驚愕させた。

 

 

 

「お前が・・・ガビル様の言っていたアクトという者か?」

 

 

 

そうこちらに訊ねながら、のしのしと歩いて来たのは一人のリザードマンの男。しかし、そのリザードマンは俺がこれまで見てきた個体とは少し違った。

 

巨大なのだ、その身体が。ランドルと同じ姿になっている今の俺もガビルも結構背は高いのだが、このリザードマンは俺たちよりもさらに大きい。

 

二メートルを越える背丈で、通常のリザードマンより肩幅のある逞しい肉体。ガビルとは違って頭部に角は生えておらず、その姿はどちらかと言うと蜥蜴というよりは巨大なワニ・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「・・・・・・もしかして、転生者?」

 

「は?なんだそれは」

 

 

 

どうやら違ったらしい。てかこのやり取りついさっきもやったな。

 

いや、でもそう思っても仕方ない筈だ。身に付けている鎧というか服装は違うし、手にしている武器は酷く原始的な石の斧。肌も橙ではなくピンクに近い色合いで・・・・・・ん?アニメ旧作ではピンクなんだっけ?

 

 

 

とにかく、このリザードマンは『ダイの大冒険』に登場するあの『クロコダイン』にとても似ているのだ。心なしか、声も似ている気がする。

 

ちら、と隣に立つ青娥さんの顔を見る。すると彼女も俺と同じようなことを思っていたらしく、現れたリザードマンを見て困惑しつつも笑いを堪えるかのように口元をひくひくさせていた。

 

 

 

「あ、あー・・・・・・何でもないよ、ごめん。それで、アクトは俺で合ってる」

 

「そうか・・・・・・ふむ・・・?」

 

 

 

先程の問いに頷いて答えたところ、クロコダイン・・・ではなく、リザードマンは俺を見定めるかのようにじろじろと見つめてくる。彼の視線に少し居心地の悪さを感じていると、ガビルが俺の隣に移動してきた。

 

 

 

「一応ここの氏族長には話を付けてきたぞ。この者を一時貸してもらう件については了承を得られた。しかし・・・オークや『侵略種族(アグレッサー)』との戦いには参加出来ないそうだ」

 

 

 

申し訳無さそうにガビルはそう告げた。なんでも氏族長が言うには、現在クシャ山脈の周辺は暴風竜消失の影響からか魔物が凶暴化しているらしい。

 

山間の氏族に限った話ではないのだが、シス湖で暮らしているガビルたち本家と比べると他の氏族はどこも戦力が足りないそうだ。平均的な個体の強さはほぼ同じだが、このクロコダイン風のリザードマンを除けば、ガビル(俺による名付け前)や親衛隊長のような実力者はどの氏族にもいないんだとか。

 

さらにそれぞれそこに暮らすリザードマンの数自体も本家よりずっと少ない。流石に里が壊滅する以前のオーガたちよりは多いそうだが、それらの理由から自分たちの縄張りを他の魔物たちから守るだけで精一杯とのこと。

 

侵略種族(アグレッサー)』はまだしもオークたちとの戦いにも手を貸してはくれないなんて・・・・・・彼等にも事情があるとは言え、ガビルと首領の要請にも応えてくれないとは。

 

・・・・・・いや、たった一人とは言え大切な戦力を貸してくれるのだし文句は言わないでおこう。予定外の戦力としてテングも増えたしな。

 

 

 

「待ってくれガビル様!・・・・・・済まんが、俺はまだその話に納得した訳ではない」

 

「な、なに?」

 

 

 

しかし、ガビルの言葉をリザードマンは否定した。どういうことかとそちらを振り向いたガビルは目を丸くする。

 

 

 

「強敵との戦いに俺の力が必要だと、そう言われるのは戦士として光栄なこと。しかも名まで授けてくれるとは願ったり叶ったりだ。だが、名付けをするのはガビル様ではなくどこの馬の骨とも知れんこんな男だと?・・・・・・名付けで魔素を奪われた瞬間に命を落とすのではないか?」

 

「キサマ、アクト殿に失礼だぞ!アクト殿は我輩の大切な友人であり、暴風竜ヴェルドラの居ない今、ジュラの大森林で最も力のある魔人である!まさか我輩の言葉が信じられないのか!?」

 

「ガビル様が嘘を吐いているとは思っておらんさ。ただ、仕えるべき相手は俺自身の目で確かめたい・・・それだけのこと!」

 

 

 

リザードマンは力強く言い放つと俺を真っ直ぐ見据えた。そして全身からじわじわと妖気を立ち上らせている。これは・・・・・・そういう流れか。

 

 

 

「・・・・・・落ち着いてガビル。俺は大丈夫だから」

 

「アクト殿・・・!」

 

 

 

済まぬ、とガビルは小さく謝った。俺は気にしなくていいと小さく笑って、それからリザードマンに向き直る。

 

 

 

「別に名前をやるから俺の手下になれ、なんて言うつもりは無いけど・・・・・・俺のことを試したいってんなら相手になるよ」

 

「なに?・・・・・・・・・本気で言ってるのか」

 

「勿論。掛かってきな、いつでもいいぜ」

 

「・・・・・・ぐふふっ、その勇気は褒めてやる。だが・・・後悔するなよ?」

 

 

 

俺の誘う言葉を聞いてリザードマンは口元を歪めた。そして、ぐっ、と石斧を握る手に力を込める。俺は小さく息を吐いてリザードマンの攻撃に備える。

 

その数秒後。

 

 

 

「おぉおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」

 

 

 

咆哮し、リザードマンは俺の脳天目掛け石斧を振り下ろした。ゴォッ!と空を斬る音を立てながら、凄まじい勢いで迫るそれを俺は右手で受け止め・・・・・・

 

 

 

 

 

「あっ」

 

「はっ?」

 

 

 

受け止めて、ばきりと砕いた。砕いてしまった。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・な、なぁああああああっ!?俺の斧がぁあああああっ!」

 

「えっ!?あ、あーっ!ごめん!うっかり!」

 

 

 

状況を理解出来なかったのか、リザードマンは最初砕けた石斧を呆然と見つめていた。やがて彼は悲鳴に近い声を上げ、それを聞いた俺は慌てて謝罪した。

 

 

 

「・・・・・・舐められた仕返しですか?陰湿ぅ~」

 

「違う違う違う!思ってたよりもパワーのある一撃だったから力加減を間違えただけだよ!」

 

 

 

後ろから見守っていたテングが冷ややかな視線を向けてくる。そんな彼女の言葉を必死に否定した。

 

いや、本当にそうなのだ。このリザードマンが姿を見せた際、俺は『魔力感知』でこっそり魔素量を計っていたのだが、その量からして大体B-ランク──親衛隊長以上ガビル(俺による名付け前)未満くらいの強さだった筈。

 

しかし、いざその攻撃を受けてみると予想以上のパワーがあったのだ。彼を侮っていた訳ではないが、やり過ぎないように俺は最初力を抑えていた。それもあって、攻撃を右手で受けた瞬間に慌てて闘気を少しだけ解放したら、こうなってしまったのである。

 

 

 

「本当にごめん!悪気はなかったんだ!その、弁償するから・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・いや、良いんだ。謝らないでくれ」

 

 

 

俺が謝罪を繰り返していると、リザードマンが目を伏せつつ小さく呟いた。それからどかっとその場に腰を下ろし、俺に深々と頭を下げる。

 

 

 

「謝らなければならんのは俺の方だ・・・・・・先程の無礼、心から謝罪する。そしてガビル様・・・貴方の目の前で、貴方の大切な友人を侮辱してしまったことも謝らせて欲しい。本当に、申し訳無い・・・!」

 

 

 

俺への謝罪の後、リザードマンはガビルにも深く頭を下げる。急な態度の変わりように驚いた俺とガビルは思わず顔を見合せたが、一つ咳払いしてガビルがリザードマンに声を掛けた。

 

 

 

「う、うむ。分かれば良いのだ、顔を上げるのである。それで・・・理解出来たか?アクト殿が屈指の実力者であるということを」

 

「あぁ・・・ほんの一瞬のやり取りではあったが、今の攻撃でな。俺とて戦士の端くれ。この男・・・いや、アクト殿の底は知れなかったが、俺より遥か高みにいることくらいは理解したとも」

 

 

 

ガビルにそう答えたリザードマンは俺をじっと見つめる。先程とは違って、その視線を受けても居心地の悪さは感じない。

 

 

 

「あれだけ無礼をしたのだ。アクト殿がその気であったなら、俺などとっくに殺されていただろうし、そうなっても仕方は無かった。しかし、アクト殿は殺すどころか痛ぶることもせず、俺の渾身の一撃を軽く受け止めてみせただけだった。挙げ句、武器を壊してしまったことを謝られては・・・・・・ふっ、完敗だ」

 

「まぁ、あのまま続けられたら流石に一発くらいは反撃してたけどな・・・とりあえず、俺も別に怒ってないから気にしなくていいよ」

 

 

 

そう告げるとリザードマンは再び俺に頭を下げた。この様子なら普通に会話も出来そうだし、ここで俺は気になっていたことを訊ねる。

 

 

 

「ちょっと聞きたいんだけど、俺の気のせいじゃなければ攻撃の瞬間にお前のパワーが増したよな?あれって何かした?」

 

「あぁ、スキルを使った。エクストラスキル『剛力』をな。その名の通り、筋力を増加させるものだ」

 

 

 

成程、エクストラスキルの力だったか。恐らくそれを使った際の瞬間的なパワーは、俺に名付けされる前のガビル以上になるだろう。だからと言って当時のガビルに勝てるから不明だが。

 

 

 

「・・・・・・さて、話を戻すとしよう。これでアクト殿を認めたと言うのであれば、我輩たちと共に戦ってくれるな?」

 

 

 

ガビルに問われたリザードマンは静かに頷く。すると彼は姿勢を変え、その場に跪いた。

 

 

 

「勿論だ。ガビル様、そしてアクト殿。俺の命を貴方たちに預ける!この力、存分に使ってくれ!」

 

 

 

俺たちを見据え、リザードマンは力強くそう宣言した。その言葉を聞いてガビルが嬉しそうに頷く中、少し離れて様子を見守っていた青娥さんが俺に声を掛ける。

 

 

 

「それじゃアクトくん、名付けを済ませちゃいましょうか」

 

「そうですね・・・・・・まぁ、もう名前決まってますけど」

 

 

 

流石にこの外見、それと武人肌な性格を見ちゃったらな・・・・・・

 

苦笑して俺は小さく息を吐く。呼吸を整えた俺は心落ち着かせながらリザードマンと向き合い、そして告げた。

 

 

 

「───クロコダイン。お前の名前は、今日からクロコダインだ」

 

「クロコ・・・ダイン・・・・・・っ!う、ぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!?」

 

 

 

彼がその名を繰り返した次の瞬間。彼の全身が突然光り輝き始めた。同時に俺の身体からかなりの量の魔素が一気に消費される。ガビルの時と比べると、やや消費量は少ないか。

 

それはさておき・・・どうやら成功したらしい。

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・・・・お、おぉっ!?これはっ!」

 

 

 

やがて発光が収まると、リザードマンが驚きの声を上げた。

 

体格自体はほぼ変わらず、ガビルのように翼も無ければ頭に角も生えていない。だが、肌の色がピンクから橙へと変色していた。そして魔素量はテングより少ないが・・・・・・恐らくランクとしては同じA-くらいにはなっているだろう。

 

 

 

「なっ、なんということだ!力が満ち満ちてくる!これが名付けによる影響か・・・!」

 

「嘘ぉ・・・・・・本当に名付けしちゃった・・・!?」

 

 

 

ほんの少し前より大幅に魔素量を増やした自分にクロコダインは驚愕しているらしい。テングも俺が本当に名付けをしてみせたことに目を丸くしていた。

 

 

 

「・・・・・・一応解析してみましたが、成功ですね。魔素量も増えてますし、種族もちゃんとドラゴニュートになってます」

 

「ふーっ・・・・・・進化したってことは、この名前を気に入ってくれたってことでいいかな?」

 

「あっ、あぁ!感謝するぞアクト殿・・・いや、アクト様!」

 

 

 

疲労感から大きく息を吐いてから俺はクロコダインに確認を取る。自身の進化に困惑していたクロコダインだが、俺の言葉に我に返ると大きく頷きそう答えた。

 

 

 

「無理に様なんて付けなくていいよ。さっきも言ったけど俺は部下じゃなくて味方が欲しいんだ。ガビルにも名付けしたけど友達同士だし」

 

「そ、そう・・・か?では・・・・・・アクト、と呼んでも?」

 

「うん、いいよ。これからよろしく、クロコダイン」

 

 

 

笑って、俺は彼に手を差し出した。クロコダインはその手と俺を交互に見た後、ふっと微笑む。

 

それから彼はその大きな手を伸ばすと俺の手を包み込むようにして握る。そうして俺たちは互いに見つめ合うと、力強く握手を交わすのだった。




名無しのリザードマン改めクロコダインの今の服装、というか装備ですが、ダイの大冒険のスピンオフ作品である『勇者アバンと獄炎の魔王』の頃と同じような感じだとイメージして頂ければ。
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