転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第111話となります。

クレイマンREVENGEの方でスケルトンのランクが判明しましたので、第71話等を一部修正しました。


元五本指筆頭アルヴァロ

ヤムザとの模擬戦を終えた俺は青娥さんたちと訓練所で待機していた。その間、新たに味方となってくれた中庸道化連のラプラスに俺がこちらの世界に来てからの日々を話すことに。

 

ラプラスは聞き上手というか、とてもコミュ力が高いようで、こちらの話を聞きながら様々な反応を見せたり、時折質問を投げ掛けてきた。そのお陰かとても話しやすい。仮面により素顔は見れないし、出逢ってまだ少ししか時間は経っていないが、俺はラプラスに対し少しだけ心を許し掛けていた。

 

やがて俺についての話も大体終わった頃。エヴァさんが三人の魔人を連れて訓練所に戻ってきた。

 

 

 

「青娥、皆様。お待たせ致しました。彼等が追加の戦力となる者たちです」

 

 

 

エヴァさんはそう言うと彼等を紹介するかのように横に身を引いた。

 

俺から見て左には、無骨な鎧を身に纏った短髪で褐色肌の男が腕を組んで立っている。右にも同じく褐色肌の男がいるが、左の男とは違い軽装で、髪は肩より少し長めに伸ばしている。よく見ると二人とも耳先が尖っている。エヴァさんと同じ黒妖耳長族(ダークエルフ)なのだろうか。

 

その二人の間には、黒い衣装の上からローブを羽織った男の姿があった。どこか魔法使いのようにも見える格好をしたそいつは他の二人とは違って褐色肌ではないし耳も尖っていない。代わりに、頭から二本の黒い角を生やしていた。

 

 

 

「御初に御目にかかる、邪仙殿。私の名はアルヴァロ。こちらにいるのがサイラスとジョイスだ。エヴァ殿から話は聞いている・・・アグレッサーとの戦い、我々も力を貸そう」

 

 

 

二本角の魔人は一歩前に出ると、名を名乗ってから軽く頭を下げた。どうやら鎧の男がサイラス、軽装の男がジョイスという名前らしい。サイラスの方は一言も発せず目を伏せていたが、ジョイスは俺と視線が合うと軽く片手を上げにこりと笑ってみせた。

 

 

 

「彼等はクレイマン様の配下の中でも特に古参の者たちで、特にアルヴァロ殿はヤムザ殿に匹敵する実力者なんですよ」

 

 

 

エヴァさんの紹介を聞き、俺はへぇ、と声をこぼした。あのヤムザに近い実力を持っているということはつまり、ガビル以上の強者である可能性が高い。

 

・・・・・・あれ?けど、それなら何でアルヴァロは五本指に選ばれていないんだ?ヤムザの方が強いにしたって、他の指のポジションに就いていてもおかしくない筈。まさかそれ程他の幹部たちが優秀なのだろうか。

 

 

 

「なんや、エヴァちゃんは来ぉへんのかい?」

 

「えぇ。私は城の掃除やクレイマン様のお食事を用意しなければなりませんし・・・」

 

「ま、それもそうやな。あーぁ、エヴァちゃんもおれば大分楽やったねんけど」

 

 

 

俺が一人思案していると、ラプラスとエヴァさんの会話が耳に届いた。ラプラスは頭の後ろで手を組み、残念そうに呟く。

 

そう言えば、模擬戦の前にケーニッヒが現れたことで起きたトラブルを、エヴァさんは妖気を解放して無理矢理収めた。突然のことだったのでその際の魔素量は正確に計れなかったが、かなり大きかったように思える。ラプラスがこう言っているし、やはりエヴァさんは強いのかもしれない。

 

 

 

「戦力となる方を三人も貸してくれるだけで十分ですよ。ありがとう、エヴァさん」

 

「十分ですかね?クレイマン様の配下でしょう?」

 

「レインさーん?」

 

 

 

青娥さんがエヴァさんに感謝する中、俺の隣でレインさんがぼそりと呟いた。注意する意味も込めて俺が名前を呼びつつじとっと見つめると、レインさんは涼しげな顔で視線を逸らした。この人も青娥さんの友人なだけあって、良い性格してるわホント。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・あっ・・・あ、あー・・・その、えっと・・・俺はアクト・・・です。よろしくお願いします、アルヴァロさん」

 

 

 

その時、アルヴァロの視線がこちらに向いていることに気付いた。まさか、今の会話を聞かれてしまったのだろうか。

 

そう考え、少し不安になった俺はレインさんの言葉を誤魔化すように笑顔を取り繕い挨拶をした。するとアルヴァロは一瞬目を丸くすると、ふっと口元を緩める。

 

 

 

「・・・・・・あぁ、こちらこそよろしく頼む。アクト、だったな?そう畏まらないでくれ」

 

「えっ?」

 

「済まない、私の視線が気になったのだろう?敵意がある訳では無いんだ。エヴァ殿からヤムザを倒した男だと聞いてね、まだ若いのに大したものだと驚いていたんだ」

 

 

 

どうやら怒っている訳ではないようで、逆に謝られてしまった。俺はほっと胸を撫で下ろしながら、気にしないで欲しいとアルヴァロに告げた。

 

 

 

「それなら良かった。キミや邪仙殿のような実力者たちと肩を並べ、共に戦えることを光栄に思うよ」

 

 

 

そう言って、アルヴァロ・・・さんはこちらに手を差し出した。俺はその手とアルヴァロさんの顔を交互に見つめた後、小さく笑って握手に応じた。

 

・・・・・・なんか滅茶苦茶良い人だな、アルヴァロさん。ヤムザや他の五本指の連中があんまり友好的じゃなかったから余計にそう感じる。いや、エヴァさんやアダルマンさんは優しかったけども。

 

 

 

「へへっ。短い間だけど仲良くやろうぜ、アクト?」

 

「おわっ!」

 

「ジョイス、いきなり馴れ馴れしいぞ・・・・・・済まん、こういう奴なんだ」

 

 

 

アルヴァロさんと握手していると、ジョイスさんがいきなり肩を組んで笑い掛けてきた。ジョイスさんの行動に困惑していると、サイラスさんが彼に呆れながらも俺に謝罪してくれた。

 

正直、クレイマン様の配下だしさっきの五本指やケーニッヒみたいな性格だと思ってたけれど・・・・・・この三人であればうまく俺だけじゃなく、他の皆ともうまくやれそうだ。俺が安堵したその時、アルヴァロさんの背後から足音が響いた。

 

 

 

「───誰が来るかと思えば・・・アルヴァロ、お前たちか」

 

 

 

足音の主は、先程戦いの準備をしてくると言って一度この場を離れたヤムザだった。彼の全身を見ると、俺との模擬戦で壊れた鎧や服が新しい物に変わっている。

 

戻ってきたヤムザはアルヴァロさんたちの姿を確認するとどこか嘲笑うようにそう呟く。振り向き、ヤムザと向かい合ったアルヴァロさんの表情から笑顔が消えた。

 

 

 

「・・・・・・・・・ヤムザ」

 

「せめて『殿』、くらいは付けて欲しいものだな。()五本指筆頭殿?」

 

 

 

ヤムザの言葉を聞いて、俺と肩を組んだままのジョイスさんが舌打ちする。サイラスさんは何も言わず腕を組んだままだが、その顔を見ると眉間に皺が寄っていた。

 

それより・・・・・・ヤムザは今、元五本指筆頭と言ったよな?つまり、アルヴァロさんは以前までクレイマン軍の最高幹部だったのか。

 

 

 

「さて。皆様御揃いのようですし、そろそろ参りましょうか」

 

 

 

場に険悪な空気が漂い始めたその時。レインさんがにこりと微笑みながらそう言葉を発した。この空気をなんとかしようと・・・・・・した訳じゃ無いんだろうな、多分。仮にこの四人が暴れ始めてもレインさんなら一人で鎮圧出来るだろうし。

 

 

 

「・・・・・・失礼した。ではレイン殿、今この場にいる全員でアグレッサーとの戦いに臨むということでよろしいか?」

 

 

 

心を落ち着かせる為か、アルヴァロさんは一度目を伏せてから小さく頭を下げ謝罪した。それからアルヴァロさんがそう訊ねたところ、レインさんはんー、と小さく唸る。

 

 

 

「そうですね。長期戦になるであろうことと、ガビル様が途中で抜ける可能性を考えれば、もう少し余裕が欲しくはあります」

 

 

 

少し考えてからレインさんはそう答えた。もしオークロードの件で何か動きがあった場合、ガビルとシーザー、場合によってはクロコダインもシス湖へ戻すことになるかもしれない。

 

 

 

「やっぱりカリオン様のところからも何人か借りましょうか?あの人たち、こういうの好きそうだし」

 

「それが良さそうですね。仕方ありません、カリオン様に頭を下げるとしましょうか。私が楽をする為にも」

 

 

 

青娥さんの案に賛同したレインさんは小さく息を吐いて眉を下げる。最後に呟いた言葉は聞かなかったことにして俺が一人苦笑していると、レインさんはどこかから地図を取り出して青娥さんの前で広げた。

 

 

 

「私たちの担当するポイントはジュラの大森林の西側にあるここ・・・・・・ブルムンドに近い場所ですね。この辺りに洞窟がありまして、その奥が異界と繋がっているようです。近くまで行けば魔素の濃度が高まっているのですぐ分かるかと」

 

「ほうほう・・・・・・この辺りなら足を運んだことがあるので転移ですぐに行けそうですね」

 

「それは良かった。では、青娥様は他の方々を連れて先にそちらへ向かってくださいますか?野営の準備も進めておいて頂けるとと助かります」

 

 

 

地図を見ながら青娥さんとレインさんの二人は話を進める。その様子を静かに見守っていると、突然レインさんがこちらに振り向き隣まで歩いてきた。

 

 

 

「さて・・・・・・行きましょうか、アクト様」

 

「えっ!?俺も行くんですか!?」

 

「そうですが・・・?」

 

 

 

思わず聞き返すとレインさんは何を言っているんだとでも言いたそうにきょとんとした顔を向けてきた。いや、その反応は俺がするべきなんじゃない?

 

 

 

「ちょちょちょ・・・!レインさん、なんでアクトくんも連れて行くんです!?」

 

「私一人で行くより、アクト様も一緒の方がカリオン様たちからのウケが良いかと思いまして」

 

「何その理由!?い、いや・・・それなら私がアクトくんとユーラザニアに行きますよ!代わりにレインさんが皆を連れてジュラの大森林へ・・・」

 

「依頼主である私が直接出向かないなど筋が通りませんわ。カリオン様に失礼です」

 

「それなら全員で・・・!」

 

 

 

俺がユーラザニアに連れて行かれると聞いた青娥さんはレインさんに詰め寄るが、レインさんは涼しげな笑みを浮かべたまま淡々と応対する。それでも食い下がろうとする青娥さんだが、このままアルヴァロさんたちを待たせるのは悪いと思った俺は二人の会話に割って入ることにした。

 

 

 

「あー・・・俺なら大丈夫ですよ青娥さん。レインさんの言う通り、ここは別れて行動しましょ?」

 

「せやな、効率的にいこうや。それにあんま大勢で、しかもワイやレインはんら他勢力の魔人が自分らの支配領地にぞろぞろやってきたら向こうも良い気せんやろ」

 

「うぅ~・・・・・・・・・はぁ・・・分かりましたよ。私は皆さんを連れて先にジュラの大森林へ向かいます」

 

 

 

俺に続いてラプラスも青娥さんを宥める。俺たちにそう言われた青娥さんは少し逡巡していたが、やがて渋々と言った様子で頷いた。

 

すると、俺たちのやり取りを隣で見ていたレインさんが俺の肩に手を乗せた。

 

 

 

「決まりですね。それでは青娥様、アクト様をお借りします。参りましょうか、アクト様」

 

「は?ちょっ───」

 

 

 

俺が声を上げた時にはもう遅く。目の前の景色がぶれたかと思うと、俺とレインさんは一瞬でユーラザニアへと転移していた。

 

いや、レインさん・・・行動が早すぎない?そう言葉に出すのが少し怖かった俺はただ苦笑することしか出来なかった。とりあえず数日前まで滞在していたユーラザニアを眺めると、自分たちがカリオン様のいる城に近い場所にいることに気付く。

 

 

 

「あれ?そう言えばカリオン様のいる玉座の間へ直接行かなかったんですね」

 

「あら、嫌ですわアクト様。クレイマン様ならまだしも、カリオン様にそんな失礼な真似をする訳にはいきません。ちゃんと門番か部下のどなたかに一声掛けてからお邪魔しませんと」

 

「・・・・・・薄々感付いてましたけど・・・レインさん、クレイマン様のこと舐めてますよね?」

 

「はい♪」

 

 

 

言い切っちゃったよこの人。しかも滅茶苦茶良い笑顔で。くそ、青娥さんと言いレインさんと言い、アレな性格してる癖にどうしてこんなに顔が良いんだ。何かされても許してしまうかもしれない。

 

 

 

「・・・・・・・・・おや?アクト殿・・・アクト殿ですよね?」

 

 

 

そんな馬鹿なことを考えていた時だった。聞いた覚えのある男の声が俺の名前を呼んでいることに気付き、そちらへ顔を向ける。そこにはここユーラザニアで知り合った猿のライカンスロープ、エンリオが立っていた。

 

 

 

「エンリオ!久しぶり・・・って程でもないか」

 

「おぉ!やはりアクト殿でしたか!」

 

 

 

片手を振って俺が答えると、エンリオは小さく笑って小走りでこちらにやってくる。その時、彼の後を付いてくる一人の男が視界に映った。

 

 

 

「おいエンリオ。今アクトって言ってたが、もしかして・・・」

 

「そうだともグルーシス。この間話したあのアクト殿だ」

 

 

 

やや黒みがかった銀髪に、褐色肌をしたその男はグルーシスと言うらしい。前回ユーラザニアに来た時は見なかった顔だ。

 

とりあえず挨拶しようとしたところ、エンリオからそう返されたグルーシスは目を輝かせて俺に詰め寄ってきた。

 

 

 

「そうか!アンタが三獣士の方たち全員を倒したっつーアクトか!」

 

「え、あ・・・あー、うん。ドラゴニュートのアクトです、よろしく」

 

「グルーシスだ。会えて光栄だぜ」

 

 

 

何故か興奮した様子のグルーシスに少し気圧されながらも、俺は自己紹介する。グルーシスも同じように名乗ると右手を差し出してきたので、俺は口元を緩めてそれに応じた。

 

 

 

「アクト殿。こちらのグルーシスも我等と同じ獣王戦士団の一員なのです。フォビオ様たちと比べると流石に大分劣りますが、戦士団の中では一番腕が立つんですよ」

 

「こないだは仕事でラウラを留守にしててな。カリオン様に認めれる程の力を持つアンタとアルビス様の戦い・・・見られなくて残念だったぜ」

 

 

 

眉を下げたグルーシスはわざとらしく肩をすくめ、大きな溜め息を吐いた。お世辞かもしれないが、そう言われると少し照れ臭いな。

 

 

 

「ところで、本日はどのような御用件でユーラザニアに?それに邪仙殿とガビル殿の姿が無いようですし、そちらの方は・・・?」

 

「あぁ、この人はレインさん。魔王ギィ・クリムゾン様・・・だっけ。その人の配下だよ」

 

「ギィ・クリムゾン・・・!?あの『暗黒皇帝(ロード・オブ・ダークネス)』の配下とは・・・」

 

 

 

俺がそう紹介すると、エンリオとグルーシスは静かに驚く。その反応を見たレインさんはにこりと微笑み、スカートの裾を摘まみ優雅に礼をしてみせた。

 

 

 

「アクト様から御紹介に与りました、レインと申します。本日は偉大なる魔王カリオン様に御依頼がありまして」

 

 

 

そう前置きしてから、レインさんはアグレッサーの件を二人に伝えた。話を聞いたグルーシスはへぇ、と呟き目を輝かせ、エンリオは額に汗を浮かべ不安そうな表情を浮かべる。

 

 

 

「アグレッサーか・・・・・・話だけは前に聞いたことがあるが・・・なんだか面白そうなことになってきてるじゃねえか」

 

「そんなことを言っている場合ではないぞグルーシス!私も直接見たことはないが、数十年前にジュラの大森林に現れた時はとてつもない被害が出たと聞く!」

 

 

 

凄い剣幕のエンリオに詰められ、グルーシスは悪い悪いと苦笑して謝罪する。一応二人もアグレッサーについては知識があるらしい。話が早くて助かると思いながら、俺はひとまずエンリオを宥めた。

 

 

 

「・・・・・・すみません、取り乱しました・・・つまり、お二人はカリオン様に助けを求めに来たと?」

 

「んー・・・まぁそんな感じかな。ただそんな大袈裟な話じゃなくて、応援として何人か貸して欲しいだけなんだよ。こっちもそこそこ数は揃ってるし」

 

「分かりました。そういうことであれば私からカリオン様に取り次ぎましょう。ささ、こちらに!」

 

 

 

エンリオは俺の言葉に頷くと、カリオン様の元へ俺たちを案内するべく走り出した。なんか・・・俺たち以上にこの件を真剣に受け止めてる気がするな、エンリオ。

 

妙に張り切るエンリオの背中を眺め苦笑していると、グルーシスが俺の肩を軽く叩き、それからエンリオの後を追っていく。俺とレインさんは一度顔を見合わせてから、彼等に続いてカリオン様の城へと入っていくのだった。




以前調べた際にワイトのランクがBだったのでスケルトンも同じくらいかなー、と思ってしまったんですよね。
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