転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第134話となります。

まさかクレイマンリベンジがアニメ化とは・・・・・・仮にやるとしても転スラ日記の二期が先だろうなと思ってたので嬉しい誤算です。


ヤムザたちとの別れ

穏やかな風が吹き抜け、頬を撫でる。数時間振りに味わうその心地好さに俺はつい口元を緩め、青空の下で大きく伸びをした。

 

 

 

駆け付けてくれた青娥さんの魔法で洞窟の外へと脱出した俺たち。転移した先は洞窟の入り口付近で、そこにはレインさんと彼女に助けられたフォビオたちの姿があった。

 

互いの無事を喜び合った後、アルヴァロと青娥さんが中心となって、フォビオたちが撤退してから起きたことをレインさんを含めた彼らに伝えた。スコルパイドを倒したこと、異界の裂け目を閉じたこと。それから、ユーラザニアにダンジョンをいくつも造り、魔物と魔物を融合させる『邪配合』という恐ろしい力を持った道化師・・・・・・ドルマゲスのことを。

 

ドルマゲスの存在を知った皆の反応は様々だった。驚く者もいれば恐れる者もおり、そして怒りを見せる者もいた。まぁ、怒っていたのはほとんどフォビオたちユーラザニアに暮らす皆だったけれど。

 

 

 

そんなフォビオたちは、当然のようにドルマゲスを見付け出して倒すと意気込んでいたのだが、ドルマゲスが俺どころか青娥さんよりも強いかもしれないと知ると流石に冷静さを取り戻した。青娥さんより強いということは、彼らの王であるカリオン様よりも強いということ。残念だが、彼らに勝ち目はほぼ無いと思う。

 

それに、ドルマゲスを征伐するつもりが逆に返り討ちにされ、『邪配合』の素材にでもされたら目も当てられない。それも踏まえ、一先ずドルマゲスについては各々各陣営に持ち帰り、対策を練るという方針になった。

 

 

 

こうして報告を終え、今回の戦いは終わり・・・・・・かと思ったのだが、俺たちにはまだやるべきことが残っていた。残った魔物の掃討である。

 

レインさんから聞いたのだが、どうやら洞窟内にはまだ異界の裂け目から現れた蟲魔族(インセクター)たち、それからダンジョン内の魔素により自然発生した魔物たちが沢山残っているらしい。というか、洞窟の規模が元に戻ったことで外へと放たれた個体もいるそうだ。

 

アーマーサウルスだとか吸血蝙蝠(ジャイアントバット)辺りの通常の魔物なら多少増えたところで問題はないが、蟲魔族(インセクター)だとそうはいかない。ジュラの大森林の生態系を乱す恐れがあるし、万が一にも上位種である蟲型魔人(インセクター)に進化でもされたらこの森どころか近隣諸国にまで危険が及ぶ可能性が出てくる。スコルパイドと戦った俺たちにとって、レインさんの言葉は非常に説得力があった。

 

 

 

それなら、すぐにでも倒しに行かなければと意気込む俺にフォビオが待ったを掛けた。どうやらスコルパイドとの戦いで役に立てなかったことを申し訳なく思っていたらしく、せめて後始末くらいは任せて欲しいとのこと。彼の言葉にスフィアや他の皆も賛成したので、残った魔物退治はスコルパイドを倒した俺たち以外のメンバーに任せることになった。

 

あ、ちなみにクロコダインだけはフォビオたちの方に回った。なんでも自分はあの戦いであまり役に立てなかったから、とのことだが・・・・・・全然そんなことは無い。滅茶苦茶活躍してくれたし、そこまで気にしなくても良いとは思うのだけど。

 

 

 

話を戻して。残った蟲魔族(インセクター)たちの討伐に向かったフォビオたちだが、念の為に青娥さんとレインさんも同行することとなった。恐らく無いとは思うが、万が一ドルマゲスが戻ってきた場合、彼らだけでは太刀打ち出来ないからである。

 

多少効率は落ちてしまうが、ざっくりとメンバーを二つに分け、青娥さんとレインさんがそれぞれ受け持つ。二人は常に感知系のスキルや魔法を発動していてくれるそうなので、うっかり彼女たちから離れてしまったとしても、多少の距離であればすぐに助けてもらえる筈だ。

 

 

 

一方、討伐に参加しない俺とヤムザ、アルヴァロの三人にはラプラスが付いてくれることとなった。初めは青娥さんがこちらに残ると言い張っていたのだが、ラプラスよりも強く転移魔法とスキルが使える彼女がフォビオたちの方に回った方が良い筈だからと俺が頼み込むと渋々頷いてくれた。

 

しかし、どうして青娥さんはあんなにもこちらに残りたがっていたのだろう。そう言えば、残った魔物退治の話をする前に青娥さんはヤムザと何か話していたっけ。

 

 

 

「・・・・・・それが関係してるのかな」

 

 

 

呟いて、俺は視線を手元に移す。まぁ、考えたところで分かる訳もない。俺が意識を切り替えようとした瞬間、隣にやってくる足音が聞こえた。

 

 

 

「おい、まだか?」

 

 

 

現れたのはヤムザで、そう問い掛けながらこちらを覗き込んで来る。俺は彼に振り向いて、もうすぐだよと告げる。それから再び視線を手元に戻し、そこにあるスキレットを眺めた。その中には赤い液体がくつくつと煮込まれており、辺りには良い匂いが立ち込めている。

 

 

 

「ヤムザ、アクトの気が散るだろう。こちらで待っていろ」

 

「けど、こんな良ぇ匂いしとったらしゃあないとこもあるわな。ワイも結構働いたから腹減ったで」

 

 

 

そう声を掛けるのはアルヴァロとラプラスだ。二人は少し離れたところに用意されたテーブルの前に腰掛けている。彼らの声にヤムザは舌打ちしつつも、席には戻らず俺の傍に立ったまま腕を組んだ。俺が今作っている料理が気になるのだろうか。

 

 

 

この料理の名前はシャクシュカと言って、元の世界では中東や北アフリカ辺りで食べられている伝統的な家庭料理らしい。以前、これを作っている動画を見掛けて気になり、調理法等を詳しく調べて何度か作ったことがある。

 

ざっくり説明すると、野菜やスパイスを加えて煮込んだトマトソースの上に卵を落とす料理だ。人によってはそこにベーコンや挽肉を入れたりして、アレンジされたレシピも沢山ある。パンに合わせることが多いようだが、ご飯にも結構合うと思う。

 

流石に元の世界で使っていたスパイスを全て用意することは出来なかったし、ホールトマトなんかもないのでやや調理に手間取った。味見をした感じ、普段作っていたものとは少し味が違うけど・・・・・・それでも十分上手く作れているとは思う。

 

それと、言うまでもないが材料は全て青娥さんが用意してくれたものだ。あの人には本当に頭が上がらない。

 

 

 

「・・・・・・・・・っと、出来たー!」

 

「いよっ!待ってました!」

 

 

 

そんなことを考えている内にソースが煮詰まったようだ。俺はシャクシュカの入ったスキレットを持ち上げ、アルヴァロたちの待つテーブルへ向かう。料理の完成を告げる俺の声を聞いたラプラスは嬉しそうに何度か拍手した。

 

 

 

「・・・・・・これもだろ」

 

「ん、ありがとうヤムザ」

 

 

 

スキレットをテーブルに乗せると、後ろから付いてきていたヤムザがパンの詰められているバスケットを傍に置いた。振り返った俺が礼を言うと、ヤムザは一瞬視線を合わせた後で何も言わずどかっと腰を下ろす。そんな彼に苦笑し、その隣に俺も座った。

 

 

 

「それじゃ皆、食べよっか。口に合えば良いんだけど」

 

「ほんじゃ、早速頂くで~・・・・・・おぉっ!ウマッ!」

 

 

 

最初にシャクシュカに手を付けたのはラプラスだった。スプーンでソースをすくい、まずはそれだけを味わう。そしてソースを口に含んだ次の瞬間、ラプラスは目を見開いてそう声を上げた。その反応を見た俺は内心で静かに喜ぶ。

 

 

 

・・・・・・・・・ところで、仮面を付けたまま食べているのはスキルか何かを使っているのだろうか。仮面の口元にスプーンを近付けたらいつの間にか料理だけが消えてるんだけど。

 

 

 

「確かに・・・・・・中々に美味だ。この間作ったラタトゥイユと同じトマトを使った料理だと言うのに、これはまた違った味わいだな」

 

 

 

ラプラスのことはとりあえず置いておこう。意識を切り換え、そう呟いたアルヴァロに視線を向ける。ソースを塗ったパンを口にし、小さく笑みを浮かべていた。

 

こっそりヤムザの様子も確認したところ、無言ではあったがソースを付けたパンをひたすら口に運んでいた。どうやら彼の口にも合ったらしい。嬉しくて、俺はつい口元を緩ませた。

 

 

 

「・・・・・・?・・・なんだ」

 

 

 

その時、こちらの視線に気付いたヤムザが振り向いた。彼の訝しげな顔に慌てた俺は、見ていたことをなんとか誤魔化そうと頭を回転させる。

 

 

 

「え、あー・・・その・・・・・・そう!さっき青娥さんと何話してたのかなー、って・・・」

 

「・・・・・・・・・大したことじゃない。お前に危機感が足りないという話だ」

 

 

 

咄嗟に思い付き口を出たのは、先程目撃した二人のことだった。とは言え、気になっていたのは事実。丁度良いし会話の内容を教えて貰おうとしたのだが、ヤムザは少し悩むような素振りを見せた後、それだけ言って視線を逸らした。

 

・・・・・・本当にそんな話だったのだろうか。いや、ただ俺に話したくなくて誤魔化しただけかもしれない。

 

それなら、あまり追及しない方が良いだろう。そう考えた俺は曖昧に笑いながら、そっか、とだけ呟いた。

 

 

 

四人だけの食事の場。俺の好奇心のせいで一瞬妙な雰囲気になりかけたが、それを察知してかラプラスとアルヴァロが色々な話題を振ってくれた。ぶっきらぼうではあったもののヤムザもそれを無視することはなく、和やかな時を過ごした。

 

それから少しして食事が終わった頃。使った食器を洗っていると皆が戻ってきた。青娥さんとレインさんによれば、少なくとも蟲魔族(インセクター)は洞窟の内外から全て討伐完了したらしい。通常の魔物たちまでは手が回らなかったようだが、とりあえずこれで一安心だ。

 

するとシャクシュカの残り香を嗅ぎ取り、自分たちにも食べさせろとライカンスロープの面々が訴え始める。そう来るだろうと予想していたので、皆の分もしっかり用意しておいた。早速配膳すると、スフィアやフォスたち一部のメンバーはがっつくように食べ始める。他の皆も喜んでくれているらしい。

 

美味しそうに料理を食べながら楽しそうにテーブルを囲む皆の様子がなんとも微笑ましくて、俺もその輪の中で顔を綻ばせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・では、ユーラザニアの皆様は私が御送り致します」

 

 

 

こうして、今度こそ八日間にも及ぶ長い戦いは終わりの時を迎えた。同時に、皆との別れも意味している。まぁ永遠の別れではないし、その気になれば何時でも会えるだろうから悲しむことは無いのだけれど。

 

話を戻して。フォビオたちユーラザニアの面々はレインさんが。ヤムザたちジスターヴの面々は青娥さんが転移魔法で送り届けることとなった。本当は青娥さんもユーラザニアまで共に行き、カリオン様に軽く挨拶と今回のお礼を言うつもりだったそうだが、なんでも急用が出来たそうで、早く済ませる為に二手に別れることとしたらしい。

 

 

 

「フォビオ、スフィア。エンリオにグルーシス、そしてフォス。一緒に戦ってくれて本当にありがとう」

 

「気にすんな。こっちとしても良い経験になった」

 

「はいです!また何かあれば呼んでください!助けに行くです!」

 

 

 

俺は青娥さんと一緒に行動する為、ここでユーラザニアの皆とはお別れになる。俺は彼らに歩み寄り、改めて感謝の言葉を告げた。それを聞いたフォビオは小さく、フォスは元気翌年笑みを浮かべた。

 

 

 

「じゃあなアクト。ガビルによろしく言っといてくれよ」

 

 

 

最後にスフィアからガビルへの言伝てを預かったところで、ライカンスロープの皆はユーラザニアへ帰って行った。彼らの見送りが終われば、今度はこちらの番。小さく頷いて、青娥さんが魔法陣を展開した。

 

 

 

「それでは、私たちも行きましょうか」

 

 

 

青娥さんの声を合図に残った全員が魔法陣の上へ集まる。それを確認した青娥さんは術式を起動させ、俺たちはあっという間にジスターヴ・・・・・・クレイマン様の城へと転移した。

 

 

 

「ここは・・・訓練場か」

 

 

 

転移した先で、アルヴァロが周囲を見回しながら呟いた。確かに、ヤムザと模擬戦をした場所である。広いからここを転移先にしたのだろうか、なんて考えながら青娥さんをちらりと見る。

 

その時、小走りでこちらにやってくる足音が耳に入った。

 

 

 

「青娥、それに皆様・・・!お帰りなさいませ!」

 

 

 

足音の主はエヴァさんだった。俺たちの傍までやってきた彼女は安心したような笑みを浮かべ一礼する。あれからずっと心配してくれていたのだろうか。

 

 

 

「ただいまエヴァさん。ヤムザさんたちを返しに来ましたよ」

 

「チッ、物みたいに・・・・・・」

 

 

 

出迎えてくれたエヴァさんに軽く手を振る青娥さん。その時の言葉を聞いていたヤムザは、俺の隣で腹立たしそうに舌打ちし、青娥さんの背中を睨み付けていた。

 

 

 

「戻ったぞエヴァ。私たちのいない間、変わりはなかったか?」

 

「御無事で何よりですアルヴァロ殿。そうですね、特に・・・・・・あぁ!そうでした。只今御不在のクレイマン様からヤムザ殿への言伝てを預かっておりました」

 

「く、クレイマン様から・・・・・・?」

 

 

 

アルヴァロに問われたエヴァさんは何かを思い出したらしく、そう答えながらヤムザに向き直った。するとヤムザは粛清され掛けた時のことを思い出したのか、不安そうな表情を浮かべ身を強張らせた。

 

 

 

「はい・・・・・・脱走した傭兵たちを速やかに処分せよ、とのことです」

 

「・・・・・・なに?」

 

 

 

しかし、エヴァさんから告げられた内容は予想とは違うものだった。緊張していたヤムザだったが、それを聞いて拍子抜けしたのか目を丸くする。

 

 

 

「脱走だぁ?俺らがいない間にそんなことがあったのかよ」

 

「えぇ、つい昨日のことです。とりあえずケーニッヒ殿が兵を引き連れ出撃なさいましたが・・・・・・どうやら苦戦なさっているようでして。ヤムザ殿の加勢が必要だとクレイマン様は判断なされたのでしょう。ヤムザ殿が城に戻り次第、すぐに伝えるように仰っておりました」

 

 

 

呆れた様子のジョイスに苦笑混じりでエヴァさんは状況を説明する。仮にもネームドであるケーニッヒが苦戦するとなると、相手もそれなりの奴なんだろう。

 

しかし脱走とは・・・・・・どうしてそんなことになったのか詳しく聞くのは失礼だろうか。

 

 

 

「エヴァちゃん、クレイマンの奴どこ行ったんか分かるか?」

 

「申し訳ありません。お出掛けになられる際に伺ったのですが、答えて頂けなくて・・・・・・」

 

「・・・・・・分かった、すぐに出発する」

 

 

 

クレイマン様の行き先を訊ねたラプラスだったが、エヴァさんは小さく首を横に振った。その隣で呆けていたヤムザだったが、やがて我に返ったのか短くエヴァさんに告げて訓練場から出ていこうとする。そんな彼を、俺は思わず呼び止めた。

 

 

 

 

「ヤムザ!あー、その・・・・・・今回は一緒に戦ってくれてありがとう。ヤムザがいてくれて本当に助かった」

 

「・・・・・・お前に礼を言われることじゃない。俺はクレイマン様からの御命令で動いたに過ぎん」

 

 

 

俺の声に足を止めたヤムザは、こちらを振り返ることなくそう言った。ここ数日で最早慣れてしまった彼のそっけない反応に俺は少し苦笑して、それからこう続けた。

 

 

 

「それでもだよ。ありがとうヤムザ・・・・・・一緒に戦えて、嬉しかった」

 

「っ・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・引き止めてごめん。仕事、頑張ってな」

 

 

 

改めて感謝の言葉を伝えたところ、ヤムザは途端に黙ってしまう。沈黙が気まずくなった俺は謝罪の後で簡単なエールを送った。

 

やがて、無言のままヤムザは歩き出す。何も返事は無いかと思ったその時、なんと彼は片手をこちらに軽く振った。

 

多分、出逢ったばかりの頃はこんなことしてくれなかっただろう。彼の取った意外な行動に俺は一瞬目を見開き、そして口元を緩めた。

 

 

 

「あいつ・・・・・・変わったな」

 

「あぁ・・・」

 

 

 

訓練場を後にするヤムザの背中を眺めながら、ジョイスが呟いた。すると彼の隣に立つサイラスが静かに頷き、ちらりと俺を見る。なんだろう、俺のお陰だとでも思っているのだろうか?ヤムザには特に何もしてないのだけども。

 

 

 

「・・・・・・・・・さーて。ほな、ワイらもここで青娥はんらとはお別れやな」

 

「えっ?青娥、もう帰ってしまうの?少しくらいゆっくりしていけば良いのに・・・」

 

「ごめんなさい、そうしたいのは山々ですけれど・・・・・・ちょっと用事がありまして」

 

 

 

ヤムザの姿が見えなくなった後で、ラプラスがそう切り出す。引き止めようとするエヴァさんだったが、青娥さんは申し訳無さそうにその申し出を断った。しょんぼりと俯くエヴァさんの姿に苦笑しつつも、青娥さんは俺やクロコダインたちに向き直る。

 

 

 

「えぇっと、その件なのですが・・・・・・私とアクトくんが用事を済ませている間、クロコダインさんは一旦ジュラの大森林にある住処に戻っていてくださいますか?」

 

「む、承知した。何かあればすぐに呼んでくれ」

 

「すみません、今から向かう場所に魔物を連れて行くのは危険でして・・・・・・あ、テングさんは暫くここで待機してください」

 

「えっ」

 

 

 

告げられたその言葉にテングはぴしりと身体を硬直させた。いや、まぁ・・・仕方のないことだけれども。以前話していたが、俺が名付けをしていないテングだけは『魔物師者』のスキルで召還出来ないし。

 

それはそれとして、全く知らない土地・・・しかも恐ろしい魔王のいる城に置いていかれるのは流石に可哀想ではある。テングの面倒を見て貰うよう、エヴァさんやアルヴァロたちに頼んでおかねば。それと、なにかお詫びの品でも用意しておくか。

 

 

 

「・・・・・・それで青娥。用事って言ってたけど、どこへ?」

 

「それは・・・・・・あれ、そう言えばアクトくんにもまだ言ってませんでしたっけ?」

 

 

 

俺がそんなことを考えている内に気持ちを切り替えたらしいエヴァさんが行き先を訊ねる。答えようとした青娥さんだが、俺に行き先を伝えていなかったことに気付き、ばつの悪そうな顔でこちらを見た。

 

 

 

「そう、ですね・・・・・・まぁ、俺も聞こうとしなかったし気にしなくて大丈夫ですよ」

 

「ごめんなさーい・・・・・・・・・では、改めてアクトくんにもお話しますね。これから向かうのは・・・・・・」

 

 

 

曖昧に笑う俺を見て、青娥さんは両手を合わせると目を伏せて謝罪した。その後、顔を上げた青娥さんは足元に魔法陣を展開する。最早見慣れた転移用の魔法陣。そこへ俺を誘いながら、青娥さんは行き先を告げるのだった。

 

 

 

 

 

「・・・・・・西方聖教会、そしてルミナス教の総本山──神聖法皇国ルベリオスです」




アルヴァロたちの声優さんは誰になるんでしょうねぇ。
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