転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第14話となります。

ここに書くことが無いときはもう空欄にしようと思います。


一触即発?

「───と、言う訳で。少しの間お邪魔致しますわ♪」

 

「は、はぁ・・・・・・?」

 

 

 

青娥さんから名前を付けて貰った後、俺たちはシス湖に帰ってきた。当初の目論見とは違ったし、トラブルもあったものの、俺について色々と知ることが出来たし収穫は大きかったと思う。案を出し、森へ連れ出してくれたガビルも嬉しそうに微笑んでいた。

 

しかし、何故か青娥さんも一緒にリザードマンの住処に付いて来ると言い出したのだ。

 

本人曰く、折角名前を付けたのだからもう少し俺の面倒を見たいとのこと。俺としても、まだ青娥さんと話をしたいので是非と言いたいところではあるが・・・・・・流石に俺では決められないので、リザードマン一族の次期首領たるガビルに判断を委ねた。

 

その結果、ガビルからあっさりとOKが出て、こうして首領の間で青娥さんが首領が向き合っている訳である。

 

 

 

「旅人殿ーーー!」

 

「旅人さーーーん!」

 

「うおっ!?」

 

 

 

ここまでの経緯を振り返っていた時。青娥さんと首領が向かい合って話している中、親衛隊長と爺さんが慌てた様子でこちらに駆け寄って来た。ちなみに俺を呼んではいるが何故か小声である。

 

 

 

「た、旅人さん!一体なんなのですか奴は!」

 

「なにって、青娥さんだよ。魔人の。さっき自己紹介してただろ」

 

「そういうことを言ってるんじゃないんですよ!なんですかあのオーラに魔素量!あ、あんなの・・・・・・我らリザードマン、一万の全軍で挑んでも勝てるかどうか・・・!」

 

 

爺さんも親衛隊長も僅かに声が震えている。成程、どうやら青娥さんを恐れているらしい。俺を呼ぶ声が小さかったのも彼女を刺激しないようにと思ってのことだろう。

 

それはそうと。魔素量は分からないが、オーラ・・・というモノはなんとなく分かる。肌で感じるこの威圧感・・・とでも言えばいいか。確かに、首領ですら緊張しているようなのでリザードマンたちからすれば十分恐ろしいのだろうが・・・・・・瞬間的とは言え、先程リーチリザードたちに発したそれの方が凄まじかったので、俺は平然としている。

 

多分、青娥さんが本気を出したらこんなモノではないのだろうが。確信はないが、そう思わせるだけのなにかが彼女にはある。

 

 

 

「どうしてあんな恐ろしい魔人を連れてきたんですか!?」

 

「だってガビルがOKって言ったし・・・」

 

「兄上の馬鹿ッ・・・・・・!」

 

「いやはや、流石はガビル様というか、なんというか・・・」

 

 

 

顔を手で覆い親衛隊長は嘆き、爺さんは苦笑する。当のガビルはと言うと、青娥さんと首領の間に挟まるように立ち、今日起きた出来事を青娥さんと一緒に首領へ説明していた。

 

 

 

「・・・・・・そうか、そんなことが・・・旅人、いや・・・アクト、だったか」

 

「はい。改めて自己紹介させて頂きます、アクトです。種族はドラゴニュート・・・らしいです」

 

 

 

首領に呼ばれ、そちらへ向き直る。玉座から全身をまじまじと眺める首領の視線にくすぐったさを感じていると、やがて首領は感嘆の声を漏らした。

 

 

 

「ほう・・・・・・見違えたな。しかもドラゴニュートとは・・・名付けにより、凄まじい力を手に入れたらしい」

 

「そう・・・なんですかね」

 

 

 

確かに今朝ここを出た時より身体に力が漲っているような気がするが、よく分からないというのが正直なところだ。名付けの後は特に戦うこともなく、帰りもただ走っているだけだったし。

 

 

 

「自分では分からぬか。ならば、後で確かめてみるが良い・・・・・・それで、青娥殿だったか」

 

「はい。なんでしょう?」

 

「・・・・・・昨日に続き今日も珍しい客人が来るとは思っていなくてな。大したもてなしは出来ぬが、それでも良ければ好きにするが良い」

 

「まぁ!寛大なお心に感謝致しますわ、首領様♪」

 

 

 

少し悩んだような素振りを見せた後、首領はそう告げた。それを聞き、青娥さんは嬉しそうな声を上げにこりと笑う。そのやりとりを見ていた親衛隊長は慌てて首領に詰め寄った。

 

 

 

「首領!よろしいのですか、そのような・・・!」

 

「仕方あるまい。断ったところでどうにもならん。それに万が一、彼女の頼みを断り怒りを買いでもすれば。その瞬間、我等リザードマンは滅ぶ・・・・・・それだけの力が、この方にはあるのだ」

 

「・・・・・・!」

 

 

 

首領の静かな、しかし緊張感の伴った声に親衛隊長は口を閉ざす。どうやら首領はなんとなくだろうが、青娥さんの奥底に秘められた力を感じ取っているらしい。

 

その時。

 

 

 

「ふはははははっ!親父殿、流石にそれは言い過ぎであろう!確かに青娥殿は強い!しかし、我輩を含むリザードマンの精鋭にかかればなんてことはないのである!」

 

「ばっ・・・・・・!」

 

 

 

ガビルの笑い声が部屋に響く。笑顔のガビルとは対称的に、首領に親衛隊長、それと爺さんの三人は青ざめる。彼等の怯えた表情に気付かず、自信に溢れた表情でガビルは続けた。

 

 

 

「もしもだぞ?もしも、親父殿の言う通り、青娥殿がそれだけの実力の持ち主であるならば。ゲルミュッド様より強いかもしれぬ、ということではないか!いくらあの方でも、我等リザードマン全てを相手には──」

 

「出来ますよ?」

 

「えっ?」

 

 

 

青娥さんのその一言に、ガビルは目を丸くし言葉を止める。俺とガビルを除く三人が怯えている中、青娥さんは事も無げに言い放った。

 

 

 

「私は出来ますよ?ここにいる全てのリザードマンを殺すことくらい簡単に。勿論ガビルさん、貴方を含めてね」

 

「なっ・・・・・・なんだとぉ!?青娥殿、それは我等への侮辱か!誇り高くそして強者たるリザードマン全てをもってしても、お主には勝てぬと!?」

 

 

 

怒りに震えるガビルが青娥さんに向け怒鳴る。昨日出逢ったばかりの彼だが、リザードマンであることを誇りに思っていることを俺は知っている。そして仲間を大切にしていることも。そんなガビルにとって、今の青娥さんの言葉は許せないのだろう。

 

その青娥さんはガビルの怒りを物ともせず、肩を竦めるとある提案を出した。

 

 

 

「そうまで言うのでしたら仕方ありません。実際に戦って、力の差を教えて差しあげましょう・・・・・・と、言う訳ですので。よろしくお願いしますね、アクトくん?」

 

「はっ!?」

 

 

 

突然そう振られ、思わず変な声が出た。にこにこと笑顔を浮かべている青娥さんに慌てて叫ぶ。

 

 

 

「ちょちょちょ、青娥さん!?なんで俺がリザードマンたちと戦わなきゃならないんですか!」

 

「あぁ、ごめんなさい。それはアクトくんにも首領様にも悪いですし、ガビルさんとの一騎討ちにしましょうか」

 

「いや、そういうことじゃなくてね!?」

 

「あ、アクト殿と我輩が?」

 

 

 

ガビルがちらりと俺を見る。どうしたものかと二人で目を合わせていると、玉座に座る首領の声が響いた。

 

 

 

「息子よ!わざわざ言うまでもないが、そんな無駄な戦いをするなよ・・・・・・得る物などなにも無いのだからな!」

 

「受けるメリットはありませんけど、受けなかった場合のデメリットはありますよ?その時は、とりあえず皆さんを敵とみなし、シス湖のリザードマンたちに攻撃を行います」

 

「なっ!?」

 

「青娥さん、それはいくらなんでも──」

 

『勿論、冗談ですからね?』

 

「・・・・・・っ!?」

 

 

とんでもないことを言い出した青娥さんを宥めようとした時だった。突然、頭の中に直接青娥さんの声が届く。その声に驚き青娥さんを見ると、悪戯な笑みと共に俺へウインクをしてきた。

 

 

 

『驚きました?これは念話です。私とアクトくんの精神を繋いでみまして。一方通行じゃないので、今ならアクトくんも私と念話できますよ』

 

『念話・・・・・・そんなこともできるのか・・・』

 

『はい、出来ちゃいます♪』

 

 

 

成程、どうやら彼女の言う通りしっかり俺の声も届いているらしい。ちなみにこのやり取りの間も青娥さんは普通に口で喋っている。器用な人だな・・・・・・

 

 

 

『それより青娥さん、なんでこんなこと言い出したんですか・・・』

 

『ごめんなさーい♪ガビルさんにイラッと来ちゃいまして。あと、自分が初めて名付けした子がどれだけ強いのか確めたかったんですよ』

 

『そんなことで・・・・・・』

 

『まぁまぁ、いいじゃないですか。名前を付けてあげたんですから、私のお願い聞いてくださいな♪それに・・・・・・アクトくんだって、今の自分の力を知りたいでしょう?』

 

 

 

念話に集中している為に内容は聞こえないが、首領たちとなにやら話しながら青娥さんは念話でそう訊ねた。まぁ、確かに。そんな気持ちは無い、と言えば嘘になる。

 

 

 

『・・・・・・一応確認しますけど、殺し合いしろってんじゃないんですよね?』

 

『勿論!あくまで模擬戦ですわ。武器を使って真剣にやってもらいますけど』

 

『うーん・・・・・・俺、ガビルには勝てないと思うんですけど。それでもいいですか?』

 

『・・・・・・・・・まぁ、とりあえずやってくださいな。結果はどうなっても構わないので』

 

 

 

謎の間の後、青娥さんから告げられた言葉に小さく息を吐いた。

 

 

・・・・・・仕方ない。ガビルと戦いたくはないが、別に殺し合う訳ではないんだ。青娥さんの頼みだし・・・・・・それに、ネームドとなった自分の力も知りたいしな。

 

 

 

「・・・・・・分かった。ガビル、戦おうぜ」

 

「むう・・・・・・アクト殿がそういうのであれば・・・ただし青娥殿!我輩が勝った暁には、先程の無礼を詫びて貰うぞ!」

 

「えぇ、ガビルさんが勝ったら何でも言うことを聞いて差し上げますわ。私の財を全て差し上げてもいいし・・・・・・あぁ、リザードマン全員に名前を付けるなんてのもいいかも?」

 

「ぜっ、全員にですって!?」

 

 

 

青娥さんの案に爺さんが驚愕する。名付けとは魔素を消費する為に気軽には行えない行為。それをリザードマン全てに行うと言うのだ、驚くのも無理は無いだろう。

 

 

 

「わーっはっはっはっはっ!これはまた大きく出たな青娥殿!その言葉、忘れるでないぞ?・・・・・・ではアクト殿、帰ってきたばかりで何だが、再び外に出るとしよう」

 

 

 

大きく笑った後、そう言ってガビルは首領の間を後にする。その背中を見ていた首領と親衛隊長は頭を抑えながら深く溜め息を吐いた。

 

 

 

「首領、どうしましょう・・・・・・?」

 

「どうにもならんよ、我らでは・・・・・・とりあえず、様子を見てきてくれ娘よ。爺、お前もだ」

 

「畏まりました、首領」

 

「頼むぞ・・・・・・・・・結果は見えているがな・・・」

 

 

 

最後にそう呟き、首領はぐったりとした様子で玉座に寄り掛かった。突然こんなことになってしまい申し訳ないと思いつつ、俺はガビルの後を追おうとする親衛隊長に話し掛けた。

 

 

 

「なんだかんだでガビルのこと信じてるんだな、首領さん。ガビルが勝つって分かってるみたいだぜ」

 

「・・・・・・・・・・・・兄上と一緒にいたせいでアクト殿まで・・・!」

 

 

 

悲痛な声を漏らしながら親衛隊長は部屋を出ていく。その言葉の意味を理解出来ず、どういうことなのかと爺さんを見るが、ただ苦笑を浮かべて彼もその場を後にした。

 

 

 

「・・・・・・どうして・・・」

 

「戦えば分かりますわ。ほらほら、早く外に行きましょうねー」




『念話』は確かスキルではなかったと思います。しかしアーツとも言われてないような・・・?なんなんですかね(にわか)
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