転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第15話となります。

ポケモン新作楽しみです。


アクトVSガビル

「準備は良いか、アクト殿!」

 

 

 

リザードマンたちの住処を出て、数分程歩いた場所。シス湖の中央付近の湿地帯で、俺とガビルは向かい合っていた。俺達を見守るのは、青娥さんと親衛隊長に爺さんの三人。

 

 

 

「あぁ、いつでもいいぜ」

 

「そうか。しかし・・・・・・念の為もう一度聞くが、本当に武器は要らんのだな?」

 

「あー・・・・・・うん、大丈夫・・・かな・・・」

 

 

 

訓練の時に使っていた物ではなく、穂先の付いた槍を持つガビルとは違い俺は素手である。正直なところ、なにか武器を借りようと思ってはいた。ランドルらしくはないが、あくまでランドルのような男に憧れているだけでランドルそのものになりたい訳じゃない。それにもし俺が負けたら、自業自得とはいえ青娥さんに迷惑がかかる。

 

だが、その青娥さんから「武器は必要ない」と言われてしまったのだ。理由を聞いたが「なんでもです♪」とかなんとか言われてはぐらかされてしまった。この人、俺が苦しむところを見たいだけなのでは・・・?

 

いや、きっと素人が武器を持ったところでどうしようもないと思ったのだろう。例えば槍を借りたところで、ガビルのあの槍捌きには太刀打ち出来ない。かといって、ファンタジー定番の武器とも言える剣を借りたとしても結果は同じだろう。『ダイの大冒険』のラーハルトもヒュンケルに『距離さえ保てば剣が槍に勝てる道理は無い』と言ってたし。

 

 

 

「銃なんて無さそうだしなぁ・・・」

 

 

 

『ダイの大冒険』には魔弾銃という物があったが。それはさておき、おそらくこの世界の飛び道具は弓だろう。しかし弓は使いたくない。飛び道具を使うのは卑怯・・・・・・なんて理由ではない。単純に、剣や槍より難しそうだからである。

 

 

 

「アクトくーん、頑張って~♪」

 

 

 

そんなことを考えていると、離れたところでこちらを見守る青娥さんの呑気な声が響く。笑みを浮かべながらそう応援してくれる青娥さんに軽く手を振っていると、どこか疲れたような顔の爺さんが話し掛けてきた。

 

 

 

「アクトさん。その、程々でお願いしますよ・・・」

 

「え?あ、あぁ・・・・・・」

 

 

 

爺さんの言葉の意味を理解出来ず、そんな曖昧な返事をしてしまった。多分、俺が怪我しないように言ってくれたんだろう。ガビルを相手に無茶をするなと。

 

 

 

「はぁ・・・・・・ガビル殿。そろそろ始めては如何でしょう」

 

「む、そうであるな!ふっふっふっ、アクト殿には悪いが青娥殿に一泡吹かせてやりたい・・・すぐに終わらせてやろう」

 

「そうですね・・・すぐに終わらせてください・・・」

 

 

 

爺さんと似たような顔しながら親衛隊長が呟く。しかし先程からの親衛隊長と爺さんの様子が気になるな・・・・・・本当にどうしたのか。

 

 

 

「・・・・・・よし。それじゃ、始めようぜガビル」

 

 

 

もしかすると急ぎの用事があるのかもしれない。そう思った俺はすぐ戦いを始めようとガビルに声を掛ける。ガビルは頷くと目付きを戦士のそれに変え、俺を真っ直ぐ見据えた。

 

 

 

「では、勝負だアクト殿!でぇええええいっ!!!」

 

 

 

威勢の良い掛け声と共に、槍を構えたガビルが突進してくる。不意打ち気味だったとはいえ、昨日のオーガが反応しきれなかった程のスピードで迫るガビルの攻撃を俺は──

 

 

 

「・・・・・・・・・ん?」

 

 

 

特に何事もなく、横に飛んで躱した。

 

・・・・・・あれ?なんか、あんまり速くないな?

 

 

 

「なにっ!?」

 

 

 

驚きの声を上げながらガビルは体勢を整える。しかし驚いているのはこちらも同じで。妙な沈黙の後、俺は恐る恐るガビルに言った。

 

 

 

「あー・・・・・・ガビル?その、本気で来てくれていいんだぞ?」

 

「えっ、我輩本気だったのだが?」

 

「えっ」

 

 

 

再びの沈黙。

 

どこか気まずい空気が俺たちの間に流れた。この空気をなんとかしてくれと願いながら、こちらを見守っている三人に視線を向ける。しかし笑いを堪えている青娥さんと、「あぁ、やっぱりな・・・」とでも言いたげな親衛隊長と爺さんたちは口を閉ざし、気まずくなっている俺たちを眺めているだけだった。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・ふ、ふふふ・・・・・・ふははははははははははっ!中々やるなアクト殿!昨日のオーガ共なんかよりよっぽど強いのである!流石はドラゴニュートよ!」

 

 

 

やがて沈黙を破ったのはガビルの笑い声だった。強いって言うけど、俺攻撃を一回避けただけでまだ何もしてないんだよな・・・・・・

 

 

 

「だがしかぁし!我輩は負けぬ!我輩はリザードマン族の次期首領!多くの仲間たちの上に立ち、導く者として、強くあらねばならぬ!故に、絶対に負けられぬのだッ!」

 

 

 

自分を鼓舞するように声を上げながら、再びガビルが突進してきた。さっきのように横へ飛んで攻撃を回避──したのだが。

 

 

 

「ふっ、読んでいたぞ!」

 

 

 

ガビルは俺がそうすると分かっていたらしく、突き出した槍を横に薙いだ。少し驚きながらも、対応出来る速度だったので即座に上体を反らしそれを躱す。

 

 

 

「なんとぉ!?」

 

 

 

驚きつつも攻撃の手を緩めないガビル。距離を詰めながら突きを連続で繰り出してくるが、俺は首を反らしたりバックステップしたりして攻撃を避け続けた。

 

 

 

「よっ!っと、ふっ・・・!」

 

「あ、当たらない!?なんという身のこなしだ・・・!」

 

「んー・・・・・・・・・これ以上はもう無駄ですね。アクトくーん、そろそろ終わりにしちゃってくれますー?」

 

 

 

ガビルの攻撃を躱し続けていた時、青娥さんがそう呼び掛けてきた。確かにこのまま逃げてばかりではいけないよな。俺の力がどこまでガビルに通用するか知りたいし・・・・・・よし、やってみよう。

 

 

 

「行くぜガビル・・・今度は、こっちの番だ!」

 

「ぬぉっ!?」

 

 

 

そう宣言した俺は、ガビルの突き出した槍を躱した後に掴んだ。それをこちらに思いっきり引っ張りガビルの体勢を崩す。そのタイミングを狙って──

 

 

 

「オラァッ!」

 

『ドッ!』

 

「ごぱぁッ!?」

 

 

 

腹に蹴りを叩き込んだ。その一撃によって、ガビルは変な悲鳴を上げて吹っ飛んでいく。

 

 

 

「っと・・・・・・中々綺麗に決まったな」

 

 

 

地面を転がるガビルの姿を見てそう呟く。持っていた槍を手放してしまう程の威力だったらしく、俺の手に残された槍を見ながら僅かに口元を緩めた。

 

 

 

「どうだガビル。青娥さんのおかげだけど、俺もそれなりにやるだろ?」

 

 

 

身体を動かしてみて分かった。俺の身体は昨日とはまるで別物になっている。今ならまたあの数のリーチリザードに襲われたとしても絶対に勝てる。いや、オーガたちにだって負けはしない筈だ。

 

 

 

「おっと、悪いガビル。ほら、槍返すよ」

 

 

 

そんな事を考えていた時、ガビルの槍を持ったままだったことを思い出す。俺は謝りながらそれをガビルの方へ投げ返したのだが・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・あれ?」

 

 

 

何故かガビルの反応が無い。というか、立ち上がって来ない。どうしたのだろうか。

 

 

 

「ガビル?おーい?・・・・・・お、おい・・・どうしたんだよ」

 

「・・・・・・その様子だと、本当に気付いてなかったんですね・・・」

 

 

 

ガビルに声を掛けていると、後ろから親衛隊長の声がした。振り向くと、爺さんと青娥さんも一緒にこちらに来ている。

 

 

 

「気付いてないって、どういうことだよ?」

 

「えぇ・・・・・・実はですね・・・アクトさんの方がガビル様より強くなっているんですよ・・・それも、遥かに」

 

「は?俺が?」

 

 

 

爺さんの言葉が信じられず、思わず問いかけるように青娥さんを見た。そんな俺を青娥さんはどこか困ったような顔で笑い、何故か頭を撫でてくる。

 

 

 

「ふふふ・・・・・・」

 

「ちょ、あの・・・・・・青娥さん!?」

 

「それと、もう一つあるのですが・・・・・・」

 

 

 

撫でる青娥さんから逃れようとしていると、爺さんはそう言ってあるところを見つめる。次はなにかと俺も爺さんの視線の先を見ると、そこには──

 

 

 

 

 

「・・・・・・この通り、兄上気絶してます」

 

 

 

親衛隊長に抱えられた、白目のガビルの姿があった。




皆さん結果は読めていたでしょうが、アクトくんの勝ちでした。
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