転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第16話となります。

エルデンリングが少し気になってます。


弟子入り

「・・・・・・・・・・・・負けた・・・・・・我輩が、負けた・・・・・・」

 

 

 

暗い表情でそう呟きながら、ガビルは地面に手を付いていた。

 

あれからすぐにガビルは青娥さんに叩き起こされた。初めは何があったのか理解できていなかったようだが、青娥さんや爺さんたちから自身の敗北を知らされ愕然としていた。

 

 

 

「・・・・・・その、ガビル様には申し訳ありませんが・・・当然の結果でしょうね」

 

「な、なんだと!?どういうことだ爺よ!」

 

 

 

嘆くガビルを見つめながら言った爺さんの言葉にガビルは食って掛かるように顔を上げる。そんなガビルに溜め息を吐きながら、爺さんの代わりに青娥さんが答えた。

 

 

 

「だって元々の強さが違いますし。リザードマンはCランクなのに対し、その上位種族のドラゴニュートはBだと知っていた筈ですよね?」

 

「だ、だが!我輩はあのゲルミュッド様から名付けを・・・・・・」

 

「そもそも。そのゲルなんとかって言う魔人、聞いたことないんですよね。私もそれなりにこの世界の実力者については知ってるつもりですけど、本当に上位魔人なんですか?その方」

 

 

 

青娥さんの問いにガビルが口を閉ざす。青娥さんの疑問は最もだ。なにせ上位魔人というのはそいつの自称なのだから。ガビルの話を聞くに証拠らしい証拠は無い。ガビルより強いのは間違いないだろうが・・・・・・

 

 

 

「百歩、いえ千歩譲って。そのゲルなんとかが私と同格だとしても。その場合、余程の事が無い限りは名付けによって成長する度合いだって同じ筈なんですから、同じくネームドであるアクトくんにどうやったって貴方が勝てる訳無いでしょう?」

 

「というか、『魔力感知』があるのにそれを怠ったガビル殿の失態かと。ある程度アクト殿の実力を見極めていれば、このような結果にはならなかったのでは?」

 

「青娥殿、妹様。少し言い過ぎでは・・・」

 

「・・・・・・・・・情けない。次期首領だなんだと浮かれて、このザマか・・・」

 

 

 

青娥さんの言葉と親衛隊長の追い打ちにガビルは顔を伏せる。その二人を爺さんが抑えようとした時、ぽつりとガビルがそうこぼした。

 

 

 

「運良く名付けによって手に入れた力に驕り・・・青娥殿とアクト殿の実力を見極められず、無謀な戦いを挑んで・・・・・・その結果、こんな無様を晒してしまうとはな・・・・・・」

 

「・・・・・・ガビル殿?」

 

「これでは・・・我輩を慕ってくれる仲間たちに申し訳が無い・・・・・・アクト殿に友と呼んでもらう資格も・・・!済まぬな妹よ・・・こんな間抜けな兄で・・・」

 

「あ、あの・・・・・・ガビル殿、なにもそこまで卑下なさらずとも・・・」

 

 

今にも泣き出しそうな声で呟くガビルを見て、少し慌てたように親衛隊長は励まし始めた。なんだかんだ言いつつも、兄であるガビルのことを大切に思っているんだろう。そんな二人の兄妹の姿に口元を緩ませながら、俺はガビルに近付いた。

 

 

 

「それじゃあ、一緒に頑張ろうガビル」

 

「え・・・・・・?」

 

 

 

俺の声にゆっくりとガビルは顔を上げる。その顔を真っ直ぐ見つめながら地面に膝を付き視線を近付けると、俺は優しく彼に語り掛けた。

 

 

 

「情けない自分が嫌だと思うなら・・・・・・仲間に申し訳無いと思うなら、一緒に強くならないか?」

 

 

 

そう言って俺はガビルに手を差し出す。その手をじっと見つめたガビルは、俺と視線を合わさずに問い掛けた。

 

 

 

「・・・・・・何故、こんな情けない男に手を差し伸べられるのだ?」

 

「・・・・・・今度は俺の番かと思ってさ」

 

 

 

俺のその言葉に、ガビルはようやく顔を上げた。しかし、何のことか分からないとでも言うように訝しげな顔をしている。そんな彼の表情に少し笑いながら、俺は答えた。

 

 

 

「あの時、オーガたちから助けてもらった時にガビルはこうやって手を伸ばしてくれただろ?」

 

「これは、あの時の礼だと・・・?」

 

「それもあるけどさ・・・・・・なにより、友達が苦しんでるんだ。助けたいって思うのは当然じゃねえか」

 

 

 

その言葉にガビルは目を見開く。そう、当然なのだ。友達を助けたいと思うことは。少なくとも俺は、目の前にいるこのリザードマンの友達を助けたいと思っている。立ち上がって欲しい・・・笑っていて欲しい・・・そう願っているのだ。

 

 

 

「それにさ、ガビル。お前からすれば、また俺を助けることにもなるんだぜ?一人よりも、二人で一緒に頑張った方が強くなれそうだろ?」

 

「アクト殿の助けに・・・」

 

「そうだ。そんで、俺もお前を助ける。知らないことは教える。間違えたのなら、正してみせる。だからガビル・・・俺がくじけたり立ち止まってしまったら、その時はお前が手を引っ張ってくれよ?あの時みたいにな」

 

「───・・・・・・」

 

 

 

俺の言葉を聞いた何やらガビルは考え込む。そして暫しの沈黙の後、彼は僅かに微笑んだ。

 

 

 

「そうだな。そうである。我輩は、一人ではなかったな・・・・・・」

 

「あぁ、そうだぜ。俺だけじゃない。爺さんも親衛隊長も、沢山の部下たちだっているじゃねえか」

 

「ふっ、その通りだ。ありがとう、友よ・・・!」

 

 

 

その言葉と共に、ガビルは俺の手を取り立ち上がった。その顔からは先程までの悲壮さは消え去っており、いつもの自信に溢れたガビルそのものだった。

 

その姿を見て思わず頷いた後、俺は青娥さんに向き直る。

 

 

 

「青娥さん、お願いがあります。俺を・・・いや、俺たちを鍛えてくれませんか?」

 

「えっ?俺たちって・・・・・・まさか、ガビルさんも?」

 

 

 

そう訊ねる青娥さんに俺は頷く。それを見た青娥さんは眉を下げ考え込むような仕草をした。

 

 

 

「んー・・・・・・アクトくんなら別に構わないんですけど、ガビルさんもですか・・・・・・」

 

「無理を言ってるのは分かってるつもりです。それでも、俺はガビルと一緒に強くなりたい」

 

「あ、アクト殿・・・・・・!ぐ、うぅ・・・・・・青娥殿、恥を忍んでお願い申す!どうか、どうか我輩にも修行を付けて頂きたい!」

 

 

 

立ち上がったばかりだが、必死な声を上げてガビルは土下座で頼み込む。それを見た青娥さんは少しばかり逡巡する。やがて、諦めたように溜め息を吐きながら青娥さんは頷いた。

 

 

 

「・・・・・・・・・はぁ、仕方ありませんね。いいでしょう。二人纏めて面倒見てあげますわ」

 

「ほっ、本当であるか!?」

 

「ただし、アクトくんのついでですからね。あと、私の気分優先ということを頭に入れておいてくださいな」

 

「構わぬ!かたじけない、青娥殿!」

 

 

 

途端に表情を明るくさせ、地面にめり込むんじゃないかという勢いでガビルは頭を下げた。笑顔を取り戻したガビルに安堵しつつ、俺は青娥さんに頭を軽く下げ礼を言う。

 

 

 

「ありがとうございます青娥さん。俺の我儘を聞いてくれて」

 

「本当ですよ。たーっくさん、感謝してくださいね?」

 

 

 

冗談めいた口調でそう言い、にこりと微笑みながらウインクする青娥さん。そんな彼女に少しドギマギしつつ、俺も笑顔を返すのだった。

 

 

 

「良かったですね、ガビル様」

 

「うむ!親父殿にも認めて頂けるよう励まなければな!」

 

「・・・・・・アクト殿と青娥殿に迷惑を掛けないようにしてくださいね」

 

 

 

張り切るガビルの姿に小さく溜め息を吐く親衛隊長。しかしその表情はどこか優しげで。そんな目の前の兄妹を見て、少し微笑ましくなった。

 

 

 

「とはいえ、今日はもう微妙な時間ですので。修行の方は明日から始めるとしましょう」

 

「心得た!アクト殿、共に頑張ろうぞ!」

 

「あぁ。よろしくな、ガビル!」

 

 

 

そう言って俺たちは握手を交わす。その様子を見て呆れたように溜め息を吐く青娥さんだったが・・・・・・同時に、僅かに口元が緩んでいたのは、俺の見間違いではないのだろう。




青娥さんはアクトくんには結構甘いのです
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