転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件 作:乃出一樹
ダイの大冒険が放送延期になってとても悲しいです。
青娥さんと出会い、彼女から名前を貰い、そしてガビルと戦った翌日。
俺とガビルは湿地帯の昨日と同じ場所で青娥さんを待っていた。昨日の約束通り、青娥さんに修行を付けてもらう為である。
「一体どんな修行になるのであろうな・・・・・・」
「不安か、ガビル?」
「そうだな・・・確かに、僅かだがそんな気持ちもある。しかしそれ以上に楽しみなのだよ。青娥殿からどんな教えを授かれるのか、そしてどれだけ強くなれるのか!」
「はは、そうだな。俺も同じだよ」
気合いの入った様子のガビルを見て思わず笑みがこぼれる。もう昨日の落ち込んだ雰囲気はどこにも無い。
「・・・・・・しかし、青娥殿も我等の住処に泊まっていけば良いものを・・・そうすれば待つことも無かっただろうに」
明るい表情をしていたガビルだったが、そこでぽつりと愚痴をこぼした。昨日のやり取りの後、青娥さんは一旦家に帰ったのだ。ガビルは遠慮は要らないからここに泊まって行けと誘ったのだが、「迷惑になるから」とそれを青娥さんは断ったのである。
しかし、本当のところはそうではない。帰る直前、俺にだけこっそり教えてくれたのだが、「人の住む所じゃないでしょう、ここ」とのこと。まぁ・・・・・・確かに、分からなくはないけども。無礼・・・いや、正直な青娥さんに思わず苦笑してしまったものだ。
「あー・・・・・・ほら、女の人は色々あるからさ。許してあげてくれよ」
「あぁ、いや。別に怒っている訳ではないぞ?気にしなくて良いのである」
青娥さんとガビルに揉めて欲しくなかったので、俺は雑に誤魔化すことにした。苦笑いしながら言った俺の表情には気付かなかったのか、笑顔でガビルがそう返した時である。
突如、俺とガビルの目の前の空間がぐにゃりと歪み出したのだ。何事かと思わず身構えた俺たちだったが、次の瞬間そこから顔を出した人物を見て安堵する。
「おはようございま~す♪」
「青娥さん・・・!なんだよ、脅かさないでくれよ・・・」
「全くである。一体なんなのだ、今のは?」
「今の・・・・・・?あぁ、『空間移動』のことですか」
一瞬だけ何のことか分からないと言った顔をした青娥さんだが、すぐに状況を理解する。『空間移動』・・・・・・確か昨日も聞いた言葉だ。
「『空間移動』・・・・・・便利なスキルですよね。どこにでも行けるんだっけ?」
「一度行ったことのある場所に限りますし、少しだけタイムラグがあったりしますけどね。あると便利ですよ。さて、それはさておき・・・二人共、修行の準備はできてますか?」
「うむ、勿論だ!それにアクト殿の作った朝食も食べたのでな、パワー全開である!」
そう。ガビルの言う通り、今朝の彼の朝食は俺が作った。簡単なサンドイッチとシンプルなオムレツだが、喜んで貰えたようでなによりである。ちなみに親衛隊長と爺さんの分も作ってあげたのだが、二人にも中々好評だった。下手の横好きだが、三人が喜んでくれたのなら本当に嬉しい。
「あら、アクトくんの手作りですか。んー、私も食べたかったなー」
「そ、そんな大した物作った訳じゃないんですけど・・・・・・まぁ、材料さえあれば青娥さんの分も作りますよ」
「まぁ、本当ですか?嬉しい!」
俺の言葉に青娥さんは笑顔を浮かべる。お世辞かもしれないが、不思議と悪い気はせず少し照れた。と、そんなやり取りをしていると、隣のガビルが咳払いをして話の続きを促した。
「おほん・・・アクト殿の手作りはともかく、だ。早速だが青娥殿。お主は我輩らに何を教えてくれるのだ?」
「おっと、失礼しました・・・・・・そうですね。二人には
「えっと・・・・・・一応は」
青娥さんの問いに俺は頷く。とは言っても、一昨日爺さんから簡単な説明を受けただけだが。
「我輩も爺から聞いた覚えがあるな。魔物と違って魔素を持たず、魔力にも乏しい人間はアーツを磨いて力を得ることが多いのだったか。その為、人間が得意とする分野とも言われていると」
「えぇ。それだけ聞くと、魔素の無い者が何とか使える弱い能力と勘違いするかもしれませんが、アーツは使いこなせば非常に強力な力となります。それこそ、半端なスキルでは太刀打ち出来ない程に」
「そ、それほどであるか・・・・・・」
「スキルも強力ですが、こちらはふわっと生えてくることもありますし・・・・・・まずは地力を上げることとしましょう。と、言う訳で。二人にはアーツの『気闘法』を教えてあげますね」
「簡単に言いますけど、本当に俺なんかが習得できる力なんですかね・・・仮に習得できるとしても、一体何年かかるか・・・・・・」
「御心配なく。アクトくんたちに覚悟があればすぐに習得できますわ。だって、師が私なんですもの♪」
俺の弱気な発言に対し、青娥さんはそう言って意味深な笑みを浮かべた。どういうことか分からないが、きっと青娥さんには何か考えがあるのだろう。
「心配要らぬよアクト殿。我輩が隣にいるからな、共に頑張ろうぞ!」
「ガビル・・・・・・あぁ、そうだな」
俺を勇気付ける為か、ガビルが俺の肩を叩き笑う。そうだ、俺にはガビルもいる・・・・・・青娥さんだって良い人だ、きっと大丈夫だろう。なにより、自分で決めたことだしな。
「さて、その『気闘法』ですが。体内の魔素を練って闘気とするアーツです。これを基本として、主に身体や武器を強化する・・・まぁ、武術の一種と理解してくだされば。気闘法にはいくつかあるのですが、二人にはまず、『気操法』を習得して貰おうと思っています。見た所、どちらも戦士タイプみたいですし」
「ふむ・・・・・・その『気操法』というのは?」
「闘気を武器や身体に纏わせ強化するアーツです。気闘法において初歩の技術ですが、とても有用なアーツですよ」
ガビルの問いにそう答える青娥さん。彼女の言葉から『気操法』がどのようなモノなのか脳内で想像していた俺は、ざっくりとではあるが浮かび上がったイメージが正しいのか確認するべく、あと青娥さんへの悪戯も兼ねて一つ訊ねた。
「『気闘法』、『気操法』・・・・・・ドラゴンボールにおける『気』や、ダイの大冒険の『闘気』みたいなモノと思えばいいですかね?」
「そうそう、そんな感じ──・・・」
「・・・・・・・・・」
俺の問いに笑顔で答えた青娥さんはそのまま硬直する。
・・・・・・いや、然り気無くカマ掛けたとはいえ簡単に引っ掛かりすぎでは・・・?
「あの・・・・・・青娥さん、やっぱり異世界人ですよね・・・?」
「違います。ドラゴンボール?ダイの大冒険?知りませんね・・・」
「・・・・・・青娥殿。我輩にはよく分からぬ話であるが、少なくともアクト殿にお主が異世界人であることを隠すのはもう無理では──」
シラを切る青娥さんをジト目でガビルは見る。呆れたように彼がそこまで言った時だった。青娥さんが突然目をカッと見開いたかと思うと──・・・
「チョイ!」
「わっふぅ!?」
「ガビルゥーーー!?」
いつの間にかガビルの背後に青娥さんは回り込んでいた。そして手刀を叩き込み、ガビルに奇妙な悲鳴を上げさせながら意識を刈り取ったのである。
「ふぅ・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・と、言う訳で。今使ったのは気闘法の一つ、『瞬動法』と呼ばれるアーツです。闘気を用い超速で移動するモノで、それを使い私は一瞬でガビルさんの背後に回り込んだのですよ」
「いやいやいやいやいやいや」
聞いてもいない説明で目の前で起きた凶行を誤魔化そうとする青娥さん。その被害者となったガビルは白目を向いてピクピクしていた。昨日に続いて今日も白目になってる・・・・・・
「ガビルさんなら心配要りませんわ。ただ気絶しただけですし、割りと頑丈ですし。勿論加減もしましたので」
「いや、そうは言っても・・・・・・」
「そもそも!アクトくんが悪いんですからね?私が異世界人かどうか詮索はしないと約束したでしょう!」
反論しようとしたところで、青娥さんは怒って頬を脹らませる。確かにその通りなのだが・・・・・・いや、もう止そう。機嫌を損ねて修行の話が無くなったら困るし。
「あー・・・いや、まぁ・・・・・・そうですね・・・すいません」
「よろしい♪良い子ですねー」
「はっ!?あの、ちょっ・・・!」
ぱっと笑顔を浮かべ、何故か青娥さんは俺の頭を撫でる。カマを掛けられた仕返しに子供扱いして辱しめているんだろうか。しかし、顔が良いなこの人・・・・・・
「・・・・・・さて、ガビルさんが不慮の事故でダウンしてしまったので、目が覚めるまでアクトくんのスキルについて説明しましょうか」
「故意なんだよなぁ・・・・・・って、スキル?俺の?」
何気無く放たれた青娥さんの言葉を思わず訊き返してしまう。予想もしていなかったことを言われ俺は動揺していたが、青娥さんはそんな俺の反応を予想していたのか、ただ笑みを浮かべていた。
「えぇ、そうですよ。折角手に入れたんですから、自分のスキルについては詳しく知っておいた方が良いですわ」
「俺、スキルあったんだ・・・・・・つーか、なんでそれが分かったんです?」
「昨日、私には解析系のスキルがあると言いましたよね?それを使ってアクトくんのことを調べさせてもらいました♪」
そう言って悪戯な笑みを浮かべる青娥さん。いつの間に調べたんだろうか・・・・・・本当に食えない人である。
しかし、もし本当に俺にもスキルがあるのなら興味がある。アーツの習得をやめる訳ではないが、スキルの方も使いこなしてみたい。
「自分のことを調べられるのは、少し恥ずかしいっつーか、なんつーか・・・・・・変な感じはするけど、青娥さんが折角調べてくれたことだし、教えて貰うことにします」
「ふふ、分かりました。では、アクトくんのスキルについて説明致しましょう・・・・・・二つのユニークスキル──『
やっぱりどこか可哀想なガビルがとても愛しいです。