転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件 作:乃出一樹
仕事が忙しかったり、行きたくもない職場の飲み会とかに付き合ったり、FGOやったり、グラブルやったり、ポケモンやったりしてました。
こんな感じでのんびり更新となりますが、暖かい目で見守ってくださると幸いです。
ちなみにSSRランドルくんは無事に団へ迎えられました。
「・・・・・・・・・・・・っ、いてて・・・」
体中に走る痛みで意識が覚醒する。痛みに呻きながらゆっくりと体を起こし目を開くと、信じられない光景が広がっていた。
「ここ・・・・・・どこだよ・・・なんで俺、こんな森の中に・・・!?」
視界に入ったのは沢山の木々と緑。耳に届くのは風で草木が揺れる音と鳥たちの囀ずる声。
どうみても森の中である。しかもかなり広そうな・・・・・・何故自分はこんなところにいるのだろうか。自然などあまり無い都会の街中で死んだ筈なのに。
しかも───
「・・・・・・・・・全裸で・・・」
生まれたままの姿で思わず頭を抱えた。おかしいな・・・制服着てた筈なのにな・・・誰かに脱がされた・・・訳無いか・・・
現在居る場所やら自分の置かれた状況やらがさっぱり分からず、思考を放棄するように全裸のままなんとなく上を眺めた。すると多くの枝が折れた一本の木が目に映る。
「そうか・・・この木の枝や葉がクッションになって助かった・・・・・・いや、助からないだろ!?」
一瞬納得仕掛けたが、直ぐ様自分の考えを否定する。色々と混乱して忘れかけていたが、自分は何故か空からここに落ちてきたのだ。それもかなりの高さからだった筈。いくらなんでも木の枝や葉がクッションになったくらいで助かるとは思えない。
「多分、あの高さから落ちたら即死だよなぁ・・・なのにこれだけの傷で済むなんて有り得な・・・・・・は?」
視線を空から自分の体に戻し呟く。そこで俺はようやく自分の体に起きた異変に気付いた。
「傷が・・・これだけ?あの時、車に轢かれた時に出来た傷が無くなってる・・・!?」
車に轢かれた後に実際見た訳じゃないが、その時に出来たであろう傷が無くなっている。所々に擦り傷や腫れた箇所はあるが、これはおそらく落下した際に出来た傷だろう。そうだとしても傷が少なすぎるが。
冷静に考えるとおかしなことだらけだ。少し状況を整理した方がいいかもしれない・・・というか、この状況で他にどうすればいいのか分からないから現実逃避なのかもしれないが・・・そもそも全裸だから下手に移動なんて・・・・・・・・・
と、視線を下に落とした時だった。そこで俺はさらに体に起こった異変に気が付いたのだ。それは──
「嘘だろ・・・・・・でっかくなってる・・・!?」
自分の息子が大きくなっていたのだ・・・!いや、下ネタではなく。生理現象でもなく。
元々のサイズからして違っているのである。記憶にある本来の自分の息子は・・・・・・その、とても可愛らしい姿で・・・恥ずかしがり屋なのか普段は隠れてて・・・・・・
しかし今の息子はどうだ。
以前とはまるで違う大きな、かといって下品すぎないサイズと形。そして自信満々に顔・・・いや、頭を出している。
「息子だけじゃない・・・!なんか視線がいつもより高い気がするし、背も伸びてるんじゃないか・・・?あと、声もなんだか違う気も・・・」
真っ直ぐ立ち上がったことで更に謎が増えた。色々と分からないことだらけだが、まず今の自分の体がどうなっているかだけでも知りたい。
どうにか自分の体を見る方法はないかと周囲を見回していると、少し離れた場所に小さな池を発見した。
「お、あそこなら水面に姿が映るかも・・・よし、早速──!?」
言い終わらない内に駆け出した瞬間、またしても違和感を見つけた。自分から出たとは考えられないような力で体が動いたのである。驚いてすぐ止まってしまったが、物凄く速く走り出していた。
「な・・・なんだ、今の動き・・・・・・体格が変わったから力も増した・・・?いや、違う・・・もっと、根本的な何かが違うような・・・」
先程、あの高さから落ちてこれだけの傷で済むのはおかしいと思ったが・・・もしかすると、今の自分はかなり強力で頑丈な体になっているのかもしれない。それなら、あれだけの高さから落下したのにこの程度の怪我で済んでいるのにも説明がつく。
まぁ、どうしてそうなったのかは見当もつかないが・・・
なんだか自分でも怖くなり、ゆっくりと歩いて池まで向かうことにした。裸のまま歩き回るなんて本来なら絶対にしないし考えられないことではあるが・・・・・・多くの謎で困惑してそれどころでは無くなってしまった。勿論、周囲に誰も居ないから出来たことでもあるが。
そして池に辿り着いて、しゃがんで水面を覗き込んだ時。俺は更なる衝撃に襲われた。
「だ・・・・・・誰だよこいつ!?」
思わず、水面に映り込んだ人物に問いかけるようかのように叫んだ。
何故なら、そこにいたのは自分とはあまりにもかけ離れた姿の人物だったからだ。
男らしい整った顔立ちに、綺麗なピンク色の長髪。やや細身ではあるが、無駄なところなど無いように見える程鍛え上げられた肉体。
目に映ったそれを信じられず、呆然と自分であろう顔を恐る恐る撫でる。その時、またしてもとんでもないことに気付いてしまった。
「こ、この顔・・・・・・!そうだ、間違いない!『ランドル』じゃん!」
そう、何故か自分は『グラブル』の『ランドル』になっていたのだ。髪を片手で掴み、ポニーテールっぽく纏めてみるともう完璧である。どこからどう見ても、自分の推しである『ランドル』だった。そしてやはり声も変わっているようだ。何度か声を出し確認してみたが、恐らくCV羽多野渉になっている。
衝撃的すぎる事態を目の当たりにしたせいか、体から力が抜けていくような気がした。池から離れようとよろよろと立ち上がろうとして、尻餅をつくように倒れてしまう。
その体制のまま少し放心していた俺は、やがて大きく息を吐くと手で顔を覆いながら嘆くように呟いた。
「ランドルとランドル推しの皆様に申し訳なさすぎるッ・・・!」
心からの言葉だった。
・・・・・・・・・こんな時に何を言ってるんだと思われても仕方ないが、耐えられなかった。推しは滅茶苦茶好きだが、推しになりたい訳じゃない。共通点なんて性別くらいしかない俺のようなオタクが、ランドルのような滅茶苦茶カッコいいキャラになるなんて最早彼を汚しているようなもの。厄介女オタクの皆様がいたら殺されているかもしれない。オタクとはそういうものなのだ・・・多分。
「・・・・・・あ、もしかして・・・強いランドルの体になったから、あの高さから落ちてもこの程度の怪我で済んだのか・・・?その時に車に轢かれた傷も消えたとか・・・・・・いや、そもそもどうしてランドルに──」
まさか、ここは『グラブル』の世界?最近話題の異世界転生ってやつなのだろうか?
そんなことを考え出した瞬間。
「
「え──が、ぁああっ!!!?」
突如、真横から凄まじい吹雪に襲われ吹き飛ばされる。激しい痛みと冷気に震えながら声のした方を向くと、二人の男が立っていた。しかし、その二人は普通の人間ではなく。
「・・・・・・つ、角が生えてる・・・!?」
「あん?なんだお前、
その二人は、身長が2mはあるだろうか・・・普通の人間よりも巨体だった。肌は浅黒く、一人は額から二本、もう一人は一本と、本数や生え方に違いはあれど立派な角を持っていた。
(お、オーガって言ったのか?鬼・・・?待てよ、そんな奴らグラブルにいたか・・・!?)
「それに、今の吹雪みたいなのは・・・?」
「俺の
吹雪を放ったであろうオーガの片割れ・・・銀髪で二本角のオーガはそう言って笑った。アーツ・・・?人外らしい種族がいることから、ここがファンタジーな世界なのは多分間違いないと思うが・・・魔法とは違うのか?
俺が混乱していると、もう片方の・・・鉈のような大剣を持った、黒髪で一本角のオーガが周囲を見渡しながら銀髪のオーガに声を掛けた。
「・・・おい、銀髪。てっきり水浴びでもしてんのかと思ったが、何もねえぞ」
「はぁ!?嘘だろ黒髪・・・身ぐるみ剥げば小金にはなるだろうと思ってたのに・・・まさかもう先客がいたとはな」
目論見が外れたのかオーガたちは顔を見合せため息を吐く。まさか初めから全裸だとは思わないだろうし無理もない。しかし、名前じゃなく髪の色で互いを呼び合っているらしい。変な二人だ。
いや、そんなことを考えている場合じゃない。この二人には会ったばかりだが、言えることが一つだけある。
(こいつらは、絶対に悪人だ・・・!)
いきなり人を攻撃してきた上に、身ぐるみを剥ごうなどと考えていた連中が良い奴な訳がない。
もし誰かに出会えたらここがどこなのかとか色々聞こうと思っていたが、とてもそんなことを教えてくれそうな相手ではない。今いる場所のことや体の痛みを頭の片隅に追いやり、俺はどうにかして目の前の鬼たちから逃げ出そうと考えた。
「ったく、お前が妙なこと言うから付いてきたってのに・・・いたのが素っ裸の人間のオスだけってどういうこったよ?」
「うるせぇな!どうせ暇潰しなんだからいいじゃねえかよ。・・・チッ、どうにも空が光ったのが気になって、なにかあるんじゃねえかとその真下辺りを調べに来てみりゃ・・・・・・」
(今だッ・・・!)
どこに向かえばいいのかなんてさっぱり分からないが、今はあの鬼たちから逃げられればいい。それだけを考えて、痛みに耐えながら俺は立ち上がる。そしてその場から逃げ出そうと、鬼たちに背を向けたのだが。
「逃がすかよ!
「なっ──ぁああああああっ!?」
俺が一歩踏み出す前に、銀髪の鬼が再び冷気を放った。先程放ったものよりも強力に感じるそれに飲まれ、俺は再び吹き飛ばされ地面に倒れ付した。
「ぐ、ぅうう・・・!」
「はははははっ!馬鹿が、この俺から逃げられるとでも思ってたのか?ただの人間の癖によぉ!」
「残念だったな、素っ裸野郎。俺たちはオーガの中じゃそれなりに強いんだよ。まぁ、『若』や『爺』たちには勝てねえが」
「余計なこと言うんじゃねえ!・・・いつかあいつらもぶっ殺してやる・・・・・・だが、その前に」
やや揉めながら二人のオーガはこちらに近寄ってくる。倒れている俺の目の前まで来た銀髪は、俺を見下ろしながら悪辣な笑みを浮かべると、しゃがみ込んで俺の首を掴んだ。
「うぐっ!」
「まずはお前からだ。暇潰しに付き合ってもらうぜ?」
銀髪はそう言うとゆっくりと立ち上がり俺を持ち上げた。にやにやと笑いながら俺の首を掴む手に力を入れる。凄まじい力で首が押し潰される感覚に苦痛の声が空気と共に喉から漏れ出た。
「かっ・・・ぁ・・・!」
「くっくっ・・・面白ぇ顔するじゃねえかよ。さーて、どうやって遊ぶかな・・・?」
「おいおい、俺にも楽しませてくれよ?人間なんて『ドワルゴン』辺りにでも行かなきゃ会えねえし、ましてやこうやって痛ぶる機会なんてそうそう無いんだからな」
首を捕まれ、身動きの取れない俺を見て二人の鬼が笑う。どうやって俺を殺そうか、それしか考えてないようだった。
(くそ、首も体も滅茶苦茶痛ぇ・・・・・・なんでだよ・・・なんでこんな目に遭わなくっちゃならねぇんだよ・・・!)
心の中でそう嘆き、悔しさから拳を握りしめる。どうしてこんなに苦しまなければならないのだろうか。これはなにかの罰なのだろうか。自分は、これだけ苦しまなければならないような過ちでも犯したのだろうか。
現実逃避からか、そんなことをぼんやりと考えていた時だった。
「よーし・・・・・・そんじゃあまず腕からいくかぁ?おい黒髪。俺が押さえててやるからお前が──」
「ぐ、ぁ──あああああああああああああああッ!!!!!」
『ドゴッ!!!』
「は──?おぐっ!?」
火事場の馬鹿力とはこういうことを言うのだろう。死を間近に感じ取り半ばヤケになった俺は、銀髪が言葉を言い終える前にがむしゃらに脚を振るった。
正直どうにかなるなんて全く思っていなかったが、俺の蹴りはかなりの威力だったらしい。俺の一撃を腹に受けた銀髪はくぐもった声を上げ、地面に転がった。
「げほっ、げほっ・・・!・・・・・・や、やった・・・?」
銀髪の手から解放され、俺は地面に座り込む。咳き込みながらなんとか息を整え、倒れている銀髪を見て思わず笑みが浮かんだが。
「て・・・てめぇ・・・!なにしてやがるんだぁあああっ!!!」
窮地を脱した安堵からか、もう一人がすぐ側に残っているということが頭から抜け落ちていた。
銀髪がやられたことに腹を立てたのか、黒髪は怒号を上げ、手に持った大剣を俺目掛け振り回す。俺は黒髪の行動に反応出来ず、体から鮮血が迸った。
「ぐあぁああああああああッ!!?」
その一撃による衝撃で、俺は声を上げながら吹き飛ばされ地面に転がる。なんとか立ち上がろうとしたが、これまでの攻撃で限界が来てしまったのか、体に力が入らなかった。
「なんだよあの人間・・・!銀髪を蹴り飛ばすとは、見掛けによらずとんでもねえ力だ・・・それに、今の一撃は体を真っ二つにするつもりでやったってのに・・・」
「ぐっ・・・・・・やってくれたな、人間風情が・・・!」
なにやら黒髪が戸惑っている間に銀髪が起き上がってきた。俺に蹴られた箇所を擦りながら、殺意の籠った視線をこちらに向ける。
「銀髪、大丈夫なのかよ?」
「これくらいなんでもねぇ!・・・・・・だが、少し舐め過ぎたな。よくよく思えば、いくら加減していたとはいえ、ただの人間が俺の
「確かにな・・・それにあいつ、俺の攻撃にも耐えやがったぜ」
「オーガの力に耐える人間・・・恐らく『冒険者』だろう。しかも、ここ・・・『ジュラの大森林』に一人で来るような奴だ。それなりに実力はあるか・・・」
二人のオーガはなにやら話しながらこちらに近付いてくる。なんとか逃げようとしたが、やはり限界なのか体は言うことを聞かない。出血も酷く、力は入らず寒気まで感じる。
そんな俺の姿を見て、オーガたちは楽しそうに笑った。
「はっはっはっ!見ろよ銀髪、あの人間のザマをよ!」
「ふん、俺たちオーガを怒らせるからこうなる。その傷じゃあ、放っておいても死にそうだが・・・・・・それでは俺の気が収まらねぇ・・・安心しろ、痛ぶるのはもう止めだ。本気の一撃でトドメを刺してやる」
その言葉と共に銀髪が手をこちらにかざす。その手には圧縮された吹雪が渦巻き、まだ少し距離があるというのにそこから発せられる冷気で体が震えた。あるいは、死への恐怖によるものなのかもしれないが。
(なんだよ・・・車に轢かれて死んで・・・・・・よく分からないまま生き返ったと思ったら、今度は化物に殺されるのかよ・・・!)
恐怖と悔しさからか涙が溢れそうになる。だが、必死に歯を食い縛りそれを堪えた。何故そうしたのかは自分でも分からない。もしかすると、自分は今ランドルだという自覚が無意識の内にそうさせたのかもしれない。仮にも推しの姿で、情けない真似は出来ないと。
(はは・・・自分でも言うのもなんだが、オタクの鏡だな・・・)
こんな時に何を考えているのかと僅かに苦笑した。恐怖は消えない。このままだときっと自分は死ぬ。だが、抵抗する力も方法も無い。
ならばせめて、ランドルを汚さない死に方をしようと、俺は恐怖に耐えながら目の前の悪鬼たちを真っ直ぐに睨み付けた。
「・・・・・・なんだよその目は。一々ムカつく野郎だぜ・・・」
「おい銀髪、さっさと殺しちまえよ!やらねぇなら俺がやっちまうぞ!」
「分かってるっつーの!・・・今、全身氷付けにしてやる。本気の──
そう叫び、銀髪のオーガが手を俺に向けた。
その手から凄まじい冷気が、俺にとっての死そのものが放たれようとしている。ここまでかと観念した──その時だった。
「待てぇーーーーーーいっ!力無き者への乱暴狼藉、見過ごす訳にはいかないのである!」
突如、辺りに声が響いた。
「え・・・・・・?」
「ッ!?何者だ!」
その声に驚き、俺だけでなく二人のオーガも声のした方へ振り向く。そちらを見ると、恐竜のような生き物に乗った、その声の主であろう何者かがこちらへ突っ込んで来ていた。声の主が跨がる生き物は中々の速さらしく、俺たちと声の主との距離は一気に近くなる。
「とぉーーーうっ!・・・・・・しゅたっ」
俺たちのすぐ側までやって来た声の主は掛け声と共に乗っていた生き物から飛び降りた。そしてこちらを見据えると、自信に満ち溢れた声と表情で高らかに名乗りを上げたのである。
「我輩の名は──ガビル!」
きゃー!ガビル様かっこいーーー!
あ、ちなみに黒髪は名付け前のクロベエに勝てるくらい。銀髪は同じく名付け前のシオンになんとか勝てるくらい(単純な腕力では負けてる)の強さです。