転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件 作:乃出一樹
ドラゴンボール超の映画、公開日が決まって良かったです。
ガビルの尻尾が燃え、まるで初代ポケモンの炎御三家みたいになるという事件のあと。
俺たちは爺さんを加え、湿地帯で昼食を取っていた。修行を行うようになってから、昼はほとんど外で食べるようになっている。それと言うのも、青娥さんとガビルから食事は俺が用意して欲しいと頼まれた為にいつも俺が作っているのだが、俺の・・・というよりは、人間の作る料理はリザードマンだけでなく野生の魔物が口にする機会はそう無いらしい。当たり前と言えばそうだが。
なので、俺の作ったものを他のリザードマンに見られ、皆にも作ってくれとせがまれては大変だからと、爺さんと親衛隊長が外で食べるよう提案してくれた。ちなみに料理を作る為の食材や器具は全て青娥さんが揃えてくれている。
「ん~♪今日もアクトくんの作るご飯は美味しいですねぇ」
「全くである!最近はアクト殿の料理が一番の楽しみなくらいだ!」
簡素な木のテーブルと椅子を並べ、俺たちはそこに座っている。このテーブルと椅子は、スキルの『道具作成』を使用し俺が作ったものだ。青娥さんに言われスキルの練習として初めて作った物だが、我ながら良く出来ていると思う。生前はDIYとかしたことなかったので不安だったが、いざ作ってみると中々の物で、しかもスキルを使用し作ったお陰か、かなり頑丈に出来ている。
ちなみに今日のメニューは、青娥さんが魚を食べたいと言ったのでアクアパッツァを作ってみた。外で作っている為、あまり凝った物は作れないが・・・・・・いや、科学技術が大して発達していないこの世界ではどちらにせよ無理か。とにかく、これくらいならなんとか作れて良かった。
「いやはや、相変わらずアクトさんの料理の腕は素晴らしいですね・・・私たちの見たことの無い、そして美味な物をいくつも作ってしまうのですから。おっと、すみませんアクトさん。この料理、妹様と首領に持っていってもいいでしょうか?」
「ん、いいぞー・・・・・・しかし、便利だよな魔法って」
ガビルの隣に座っている俺はアクアパッツァを口へ運びつつ、それを調理したフライパンを見ながら呟く。調理の際の火も青娥さんが準備してくれたのだが、それは『刻印魔法』というもので代用してくれたのだ。
『刻印魔法』とは、予め発動させたい魔方陣をなにかに刻んでおくことで、魔力を持つ者がそれに触れた際に発動するように細工する術式・・・らしい。これが中々便利で、魔力がないと使用出来ないが、誰でも擬似的に魔法を扱えるのだ。
青娥さんは熱魔法の刻印魔法を俺が『道具作成』で作ったフライパンに付与した。その結果、握っているだけで思いのままに熱を放つフライパンが完成したのである。勿論、持つところまで熱くならないように調整してくれている。
そうそう。俺が作ったこのテーブルと椅子も、青娥さんが魔法で普段は持ち歩いてくれている。『空間魔法』という魔法があり、それを使うことで今いる場所とは別の場所を繋げたり、異空間を操作し大きな物も楽に収納できるとか。後者の方は、型月作品における『虚数空間』みたいな感じだろうか。
「・・・・・・そういや青娥さん、これ何の魚です?」
「さあ?適当な白身魚を用意しました~もぐもぐ」
ちらりと俺に視線を向けて、そう返すと青娥さんはあざとく効果音を口にしながら再び魚を頬張る。何の魚か分からないのか、本当に適当な魚を用意したのか・・・・・・まぁ、毒のあるものを寄越しはしないだろうからその辺は安心しよう。
そもそも、異世界なのだから全く見たことの無い魚ばかりかもしれない。とは言え、犬や猫、普通の蛇や蜥蜴(リザードマンではない)など前の世界にもいた生き物は確認できているので、ある程度は似通った一般(?)動物がこの世界にも生息しているのだろう。数日前にガビルが『牛鹿』という生き物を獲ってきてくれたのだが、その生き物も牛と鹿が存在しなければそんな名前を付けられないだろうし。ちなみに牛鹿の肉はすごく美味かった。
「魚はさておき・・・・・・今日までよく頑張りましたねアクトくん・・・ついでにガビルさんも。二人とも『気操法』はほぼ完璧。アクトくんは『闘気弾』というアーツも完成しました。あぁ、それとあの技もありましたね」
「うむ!アクト殿だけではなく、我輩も必殺のアーツを生み出せたからな!これも、アクト殿と青娥殿のおかげである」
「青娥さんのお陰ってのは間違いないけど、俺は何もしてねーさ。お前の努力の結果だよ、ガビル」
素直にそう褒めると、ガビルは照れ隠しなのか頭を掻きながら短く笑った。実際、ガビルはこの一ヶ月本当に頑張っていた。模擬戦では今のところ俺の全勝だが、以前と比べると間違いなく強くなっている。爺さんの言っていたように、首領よりも強い・・・リザードマン最強の男となったのだ。
「アクトくーん?あまりガビルさんを褒めないでくださいね、調子に乗りますから」
「うぐっ・・・・・・あ、あれから気を付けているぞ!」
「ふーん?だといいんですけれど・・・・・・それはさておき、アクトくんの次の修行はどうしましょうか。このまま『金剛法』や『瞬動法』の習得に向けて・・・」
反論するガビルを一瞥した後、青娥さんは考え込む仕草を見せる。俺の修行のメニューを考えているらしい。
・・・・・・俺とガビルの成長の為に色々と予定も立てているのだろう。しかし、俺はここで少し我儘を言ってみることにした。
「あー・・・・・・すみません青娥さん。実はお願いがあって」
「お願い、ですか?・・・・・・えっちな奴?」
「えっちな奴ではない・・・!」
ハッとした表情で自分の肩を抱いた青娥さんに思わずツッコんだ。いやいや、世話になってる人にそんなこと言う訳ないだろう・・・!
と、思っていると青娥さんはくすくすと笑い出す。どうやら冗談だったらしく、一言謝るとどういうことなのか俺に訊ねた。
「ふふふ・・・・・・ごめんなさい、冗談ですよ。それで、お願いとは何でしょう?」
ほんの数秒前とは変わり、笑顔ではあるが青娥さんは真剣に俺の話を聞こうとしてくれている。正直、そんな大した話というか、お願いでは無いのだが・・・・・・折角ファンタジーな異世界に来たのだから、やりたいことがある。青娥さんの真剣な眼差しと自身の羞恥心に耐えながら、俺はお願いの内容を伝えた。
「その・・・・・・なんつーか、少し恥ずかしいんですけど・・・・・・空を、飛んでみたいんです。青娥さんみたいに」
「・・・・・・・・・私みたいに?」
俺のその言葉に、向かいに座っていた青娥さんは顔をぽかんとさせる。しかしすぐに悪戯な笑みを浮かべると、青娥さんはふわりと浮き上がりこちらに身を乗り出して俺を撫で始めた。
「はっ!?ちょ・・・・・・なん、何ですか!」
「ふふっ・・・・・・あははははっ!なんでもないでーす♪・・・・・・えぇ、いいですよ。他の修行も平行しますが、今日の午後から『飛空法』の会得に向けても頑張りましょうね」
頭を撫でていた手を振り払われた青娥さんは俺の周りをゆっくり飛行しながら優しく微笑む。何故撫でられたのか、何故笑顔なのかは分からないが、とりあえず空を飛ぶ為の修行を付けてくれそうなので良しとしよう。
相変わらず自由でどこか掴み所の無い青娥さんの姿に少し苦笑しながら、俺は『青娥さんのようにこの空を飛ぶ』という、新たな目標を立てるのだった。
「・・・・・・ところでアクト殿、残ったアクアパッツァのスープは飲んでしまって良いのであるか?」
「んー、そうだな。パスタがあれば、そこに入れて〆に出来るんだけど・・・・・・」
「大変ですアクトくん。こんなところに偶然パスタの麺が・・・!」
「・・・・・・空間魔法とは便利ですねぇ・・・」
一ヶ月の間に青娥さんからの好感度をじわじわ稼いでいたアクトくん。
それとガビルのアーツですが、オリジナルのものも習得させていきます。まだボルテクススピアありませんので。