転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件 作:乃出一樹
仕事が辛すぎるのでGW延長して欲しいです。
うまく事が運び、牛頭族、馬頭族の族長たちと一騎討ちを行うことになった俺とガビル。
俺は族長メズと、ガビルは族長ゴズとそれぞれ向かい合う。互いの戦いを邪魔しないよう、俺と族長メズはガビルたちと少し距離を取っている。ちなみに取り巻きの牛頭族と馬頭族は俺たちよりも離れたところから見守っていた。
「ふはははっ!覚悟は良いか?アクトとか言う人間よ」
「こっちの台詞だぜ。ほら、掛かってきな」
余裕そうに笑う族長メズへ挑発するように返す。たかが人間に舐められたのか気に触ったのか、族長メズはその表情から笑みを消し槍を構えた。
・・・・・・どうでもいいけど、段々と見掛け通りというか、ランドルのような性格になりつつあるような気がする。
「・・・・・・いいだろう、望み通りこちらから仕掛けてやる。後悔するなよッ!」
言い終わるのとほぼ同時に族長メズは駆け出した。馬の魔物というだけあってそのスピードは並のリザードマンの比ではない。族長メズは俺との距離を一気に詰めると、手にした槍を俺の体目掛け突き出した。
「っとぉ!」
「なにっ!?今の一撃を躱すとは・・・!」
その突きを横に飛んで躱した俺を見て、族長メズは目を見開いた。だが、流石に百年近く戦い続けている種族の族長。驚きつつも動きを止めることなく直ぐ様俺へ追撃を行う。
「おぉおおおおおっ!」
「速いな・・・!」
再び距離を詰められ、その速度に少し驚く。接近した族長メズは連続で突きを放ってくるが、俺はそれを全て躱していく。
「馬鹿な、攻撃が当たらんだと!?」
「悪いな、槍兵との戦いには少し慣れてんだよ!」
「ぐっ・・・・・・舐めるなぁっ!」
苛立ちを感じさせる叫びと共に族長メズが横薙ぎの一撃を放つが、俺はそれを闘気を纏った右腕で受け止める。避けられるのはまだしも、まさか人間に攻撃を受け止められるとは思いもしなかったのだろう。それを見て族長メズは驚愕し目を見開いた。
「馬鹿な!?人間如きが、馬頭族の族長たる俺の攻撃を・・・!」
再び驚愕する族長メズ。俺は受け止めた槍を振り払い相手と距離を取りながら、修行の成果を実感し口元を緩ませた。
「はは、少し腕が痺れたけど・・・これなら問題なさそうだ」
「ぐぉおおおおおおおおっ!」
「はぁああああああああっ!」
痺れた手の具合を確認していたその時。二つの叫びが聞こえた方へ振り向くと、そこにはガビルと族長ゴズが戦う姿があった。
族長ゴズは手にした斧を豪快に振り回しガビルを狙う。普通の人間から見ればかなりのサイズで、両手を使ってなんとか扱えるだろうその斧を、族長ゴズは片手で軽々と振り回している。その巨体のせいで斧が少し小さく見える程だ。イメージとしては『ダイの大冒険』のクロコダインのような感じである。
そんな族長ゴズの攻撃だが、辺りを素早く駆け回るガビルには全く当たらない。振り下ろされる斧を躱し、隙を突いたガビルの槍が族長ゴズを襲う。その攻撃はほとんど族長ゴズの盾に防がれてしまうが、守りを掻い潜り何度か命中させているようで、族長ゴズの体にはいくつか傷が出来ていた。
「ちぃっ、チョコマカと・・・!」
「ふっ。パワーは凄まじいが、スピードの方はそうでもないようだな?」
攻撃が当たらず苛立つ族長ゴズに対し、余裕そうに笑みを浮かべるガビル。しかし、顔からはかなりの汗が流れており、その様子からするに油断の出来ない戦いのようだ。族長ゴズのパワーを考えると、一撃でも攻撃が直撃すればガビルにとっては大ダメージとなる。
そもそも、族長ゴズがAランク級なのに対して、青娥さんから聞いた今のガビルのランクはB+。青娥さんの修行により魔素量が増え、一ヶ月前より強くなったガビルだが、それでも純粋な魔素量は族長ゴズに劣っている。しかし、ガビルはその差を『気操法』を巧みに扱うことでなんとか埋めているのだ。
「流石だなガビル。これならあっちも大丈夫そうだ」
「俺を前にして──余所見とはどこまでもふざけた奴だッ!」
ガビルの戦いを眺めていると、それに激昂した族長メズが叫びながらこちらに飛び掛かる。そのまま上段から振り上げた槍を俺目掛け叩き付けるように振り下ろすが、俺は後ろに飛んでそれを回避した。
「あー、悪い悪い。友達が心配でな」
「黙れッ!もう許さんぞ・・・・・・調子に乗っていられるのもここまでだ!我が必殺のアーツでトドメを刺してやる!」
余裕そうに笑う俺が気に入らないのか族長メズは怒りを剥き出しにし叫ぶ。そしてそう宣言すると、俺を真っ直ぐ見据えたまま腰を低く構えた。
「おぉっ!出るぞ、族長のアーツが!」
「これであの人間も終わりだぜ!」
離れたところで戦いを見守る馬頭族たちが族長メズの構えを見て沸き立つ。どんなアーツなのか気になり、彼らの言葉に耳を傾けていた俺を見て族長メズは不敵に笑った。
「くっくっくっ・・・覚悟するがいい人間。この技をマトモに受ければ貴様など間違いなく死ぬ!牛頭族にすら大ダメージを与えられる程の威力を持ったアーツなのだからな!」
「へぇ、随分自信があるみたいだな。いいぜ、当ててみろよ・・・・・・当てられるモンならな」
「ッ・・・!後悔するなよォオオッ!!!」
血管が切れそうな程に激怒し声を荒らげる族長メズ。その咆哮と共に全身からオーラが溢れ、それが右腕と槍に集中していく。そして力が極限まで高まった瞬間、族長メズから必殺の一撃──『連撃』が放たれた。
「食らえ──馬超連槍ーーーッ!!!」
先程までのものより威力が・・・いや、速度まで上がった刺突攻撃が連続で撃ち出される。どうやら言うだけのことはあったらしいと内心で相手を褒めながら、俺は自身に宿ったスキルを発動した。
「
その言葉と共に俺の知覚速度と肉体のスピードが跳ね上がる。スキル『復讐者』の『思考加速』、それと『脱獄者』の『加速』をそれぞれ同時に使用したのだ。それにより俺は族長メズが繰り出す攻撃を全て見切り、そして避けきった。
族長メズのアーツを避けきり、俺は大きく後方へ飛び退く。自慢の技を全て躱された族長メズは信じられないと言った表情で俺を見つめていた。
「ば、馬鹿な・・・・・・俺の最大の技を・・・!?」
「そんなアーツを持ってるとはな・・・少し驚いたぜ。そんじゃ、今度はこっちの番だ!」
そう宣言した俺は手の平に闘気を集中させる。するとすぐに闘気で形成された、人間の頭程のサイズの玉が出来上がった。
「オラァッ!」
そしてそれを族長メズ目掛け撃ち出した。俺が作り出した闘気の玉はかなりの速度で飛んで行くが、それを見た族長メズはにやりと笑う。
「・・・・・・くくく、成程。魔力を圧縮させ、それを放つ技か。ここで撃ったということはお前のとっておきなのだろう・・・だが!」
闘気を魔力と勘違いしつつも、俺の技に大体の見当を付ける族長メズ。そしてそこまで言い終えると、目の前まで迫った闘気の玉をひらりと躱した。
「ふははははっ!馬鹿め、あんな単調な技が当たるものか!」
俺を嘲笑いながら族長メズが真っ直ぐ突っ込んで来る。見ると、先程のように右腕にオーラを集中させていた。またあのアーツを撃ってくるつもりなのだろう。
「今度こそ我がアーツを喰らわせてやる!そうだ、避けられたのなら当たるまで何度でも撃てばいいだけのこと!覚悟ォッ!」
「・・・・・・あぁ、そうだな。お前の言う通りだよ。だから──」
『ドッ!』
「──はっ?」
俺だけを見据え走っていた族長メズが、その音と共に突然後ろに倒れる。何が起きたか理解出来ていないらしく、ぽかんとした表情で間の抜けた声を上げた。ただ、何かが後ろから脚にぶつかったことは分かったのだろう。後ろ向きに倒れながら族長メズは顔を動かし、自分を転倒させたその正体を見て目を見開いた。
「馬鹿な!?あれは・・・・・・奴の放った玉!?」
「正解!お前の言う通り、避けられたのなら当たるまで何度でもやればいいだけだよな!」
そう、族長メズを転倒させたのは俺が放った闘気の玉だった。しかし、それは俺がまた新たに放ったものではない。ついさっき、族長メズが躱したそれである。
族長メズが躱した筈の闘気の玉が、何故奴に命中したのか・・・・・・答えは簡単。それは俺が軌道を『操作』し、後ろから奴の脚を狙ったからだ。
「ただの闘気弾じゃない。俺の意思で自由自在に動き回る闘気の玉・・・・・・その名も『操気弾』だ!」
・・・・・・・・・うん、まぁ・・・要は『ドラゴンボール』の登場人物、ヤムチャの必殺技を真似したのである。闘気というものがあるのだから、ドラゴンボールの技を使えたりしないかなー、とか思って練習してたら偶然完成したのだ。
「オーガよりもずっと強かったけどよ──少し、相手を舐め過ぎたな!」
地面に背中から倒れる族長メズへそう言い放つ。それと同時に再び『操気弾』を操作し、俺は『操気弾』を空から族長メズ目掛け発射した。
「う、ぉおお──────ッ!?」
『ドォオオオオオオンッ!!!』
体勢を立て直そうとしていた族長メズだが間に合わず、『操気弾』をモロに喰らう。瞬間、俺は『操気弾』を炸裂させ、族長メズは声を上げながら爆発に飲み込まれた。
「あ、ぁあああっ!?族長ぉーーーっ!」
「・・・・・・心配すんな、殺しちゃいねぇよ」
悲鳴を上げる馬頭族にそう告げる。確かに派手に爆発したが、威力は少し抑えてある。かなりのダメージは負った筈だが、族長メズの強さから考えて死んではいない筈だ。
その予測通り、爆発による煙が晴れたそこには、傷だらけになりつつもしっかりと息をする族長メズの姿があった。
「ぐ、ぁ・・・・・・っ!」
「ほらな、言っただろ?」
取り巻きの馬頭族たちは俺の言葉を聞く前に、倒れた族長メズの元へ集まっていく。おそらく手当てをするのだろうが、あの傷ではもう戦えないだろう。この勝負、俺の勝ちだ。
その時、ガビルと族長ゴズの戦いもいよいよ決着の時を迎えようとしていた。
「がぁああああああっ!いくら名付きと言えど、たかがリザードマン如きにここまで手こずるとは・・・・・・こうなれば!」
種族のランクで見れば格下であるリザードマンに苦戦していることが許せないのか、族長ゴズは怒りをあらわにし吠える。すると何か思い付いたのか、奴は手に持った斧をガビル目掛け力一杯投擲した。
「馬鹿め、自ら武器を捨てるとは!」
自分の方へ飛んでくる斧を見たガビルは、その場で大きく跳躍した。愚かな行為だと族長ゴズを笑ったガビルだが、攻撃を躱された筈の族長ゴズもにやりと笑う。
「がははははっ!馬鹿は貴様だリザードマン!まんまと引っ掛かったな!」
そう言って笑いながら族長ゴズは勢い良く駆け出した。何をするつもりなのか不思議に思っていると、族長ゴズの角に魔力が集まり始める。すると角が倍以上に伸び、バチバチと音を鳴らしながら帯電し始めたのだ。
「これが俺の
成程。わざと斧を投げて、それをガビルが回避することまで奴の作戦通りだったという訳か。確かにガビルはまだ空中だし、族長ゴズのスピードからするに、着地して回避行動に移れるかは怪しい。一見するとガビルが窮地に陥ったように思えるが、当のガビルは至って平静だった。
「・・・・・・見事な策である。こうなれば、我輩も見せる他あるまいよ。我が必殺のアーツをな!」
そこまで言う程の作戦なのかどうかは疑問だが、族長ゴズを一言褒めたガビルはそう言い放つ。そして右腕にぐっと力を込めると、手にした槍に闘気を伝わせ溜め始めた。
「くたばれッ!
「はぁあああああああっ!
そして族長ゴズが間近に迫ったその時。ガビルは闘気によって形成された、龍のようなエネルギー波を放った。まるで龍が咆哮しているかのような音を立てるそのアーツは、ここ一ヶ月間の青娥さんとの修行で編み出したものだ。闘気を槍に込めてそれを撃ち出すという非常にシンプルな技だが、故に使いやすく強力なのである。
「ぬ、ぉ・・・おおおお・・・・・・!」
正面からぶつかり合うガビルの
「ぐわぁああああああああああああッ!?」
「族長ぉーーーーッ!」
「しゅたっ・・・・・・勝負アリ、であるな」
地面に着地し吹き飛ばされた族長ゴズを見るガビル。その様子を見て自身の勝利を確信している彼に俺は近付きながら声を掛けた。
「おーい、ガビルー」
「おぉ、アクト殿か!どうやらそちらも無事に済んだようだな」
「まぁな。お互い無事で何よりだよ・・・・・・お疲れ」
「うむ!大勝利である!」
そう言って互いに笑い合う俺とガビル。
こうして修行後の初実戦は、俺たち二人の勝利で幕を閉じたのだった。
ガビルのアーツの見た目は、イナズマイレブンの染岡さんの必殺技の色違いみたいな感じです。