転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件 作:乃出一樹
星4鯖引換券を誰に使おうか迷ってます。
「はーい、二人共お疲れ様でした~♪」
ガビルと勝利を喜び合っていた時、離れたところで戦いを見守っていたであろう青娥さんがふわふわ浮かびながらこちらにやってきた。彼女の声に気付いた俺たちは、そちらに振り返り手を上げ応える。
「あ、青娥さん」
「はっはっはっ!どうであるか青娥殿。修行によって得た我輩の力は?」
「あー、ごめんなさい。アクトくんしか見てませんでした」
「えっ」
勝利に酔いしれているガビルを一蹴する青娥さんに思わず苦笑する。一瞬で笑顔から真顔に戻ったガビルを一瞥し、話を反らすように青娥さんへ訊ねた。
「えっと・・・・・・冗談はさておき、実際のところ青娥さんから見て俺たちの戦いはどうでした?」
「んー、そうですね・・・・・・アクトくんもガビルさんも相手の実力を見極めて戦えていたかと。アクトくんにとっては物足りなかったでしょうけど、力をセーブしつつも危なげなく相手をしてました。逆にガビルさんの方は始めから全力を出してましたね。相手を侮らず、冷静に立ち回っているのも伺えました。及第点と言っていいでしょう」
戦いについて問われた青娥さんは、少し考えるような仕草をした後、俺とガビル二人の戦闘をそう評した。なんだかんだ言ってもガビルのこともしっかり見ていてくれたらしい。
「おお、中々良い評価なのではないか?」
「だな。俺としても良く動けたと思うし。スキルの練習にもなったしな」
実戦で、意識してスキルを使ったのは初めてだったがうまく行って良かった。しかし、気を付けなければならないこともある。
実は『復讐者』の『身体強化』と、『脱獄者』の『加速』には時間制限があるのだ。どちらも短い時間しか持たないので、もし族長ゴズメズたちより強い魔物が現れた時は注意しなければならない。ちなみに『復讐者』に含まれる『思考加速』は他のスキルよりは使用可能な時間は長いと思うが、感覚が少し苦手なのであまり使いたくなかったりする。
「えぇ、戦いの内容についてはどちらも文句はありませんけれど・・・・・・ガビルさんの方には少し問題が生まれましたね」
「は?問題って・・・・・・あっ」
見ると、ガビルの槍がボロボロになっていた。穂先は欠け、それ以外の部分もひび割れている。形を保っていることが不思議な程だ。これでは武器として使うことなど出来やしないだろう。
「この程度の武器ではガビルさんの力に耐えられないようですね・・・・・・『気操法』で強度を補っていなければ粉々になってますよ」
そう言ってガビルの槍を眺める青娥さん。この槍は確かドワルゴンという国で買った量産品だったか。青娥さんから以前聞いたのだが、武器や防具にもその性能によってランクが定められているらしい。
一番下のランクであり広く普及しているのが
そういえば、これは爺さんから聞いた話なのだが、リザードマンの首領が持つあの槍は
「なに、武器など壊れたらまた買えばいいだけの話である。所詮安物であるからな」
俺がそんなことを考えていると、ガビルはそう言ってなんとも無さそうに笑う。しかし、戦闘中に壊れてしまったら大変だろう。常に複数本持ち歩く訳にもいかないだろうし。
「それよりアクト殿。奴らはどうする?」
「奴ら?・・・・・・あー」
とは言え、今それについて考えたところで仕方ない。ガビルの武器についてはまた後で考えるとして・・・・・・今は、俺たちが倒した二人の族長と、その部下たちだ。
ガビルの言葉で彼らのことを思い出し振り返る。そちらを見ると自分たちの族長を守るように牛頭族や馬頭族が集まっていた。
「まさか族長がやられるなんて・・・!」
「何者なんだ、あの人間とリザードマンは!?」
どうやら全員俺とガビルの強さに驚いているらしい。まぁ無理もないだろう。Aランク級の自分たちのボスを倒す奴らなのだから。俺は一つ咳払いをしてから、ざわめく牛頭族と馬頭族の両種族へ声を掛けた。
「あー・・・・・・牛頭族に馬頭族、落ち着いて聞いてくれ。俺たちはこれ以上お前たちに危害を加えるつもりはない」
「な、なんだと?」
「俺たちは・・・・・・お前らが度々起こす抗争に困ってる奴らに頼まれて、それを止めにきただけだ。こっちの言うことを素直に聞いてくれるんならもう何もしねえよ」
ただ修行の為に倒しにきただけでーす!・・・・・・とは、やはり言えず。始めに言った通りの理由で誤魔化すことにした。俺のその言葉を聞いた牛頭族と馬頭族たちは仲間同士で顔を見合せる。
「ふ・・・ふざけるな!族長がやられたというのに、このまま黙って引き下がってたまるか!」
「族長がいなくとも、貴様らなんぞ俺たちだけで・・・!」
しかし彼らはどちらも俺の言葉を素直に聞き入れてくれなかった。自分たちの族長の仇討ちのつもりか、全員が武器を構えこちらへにじり寄って来る。一触即発、仕方ないかと俺とガビルが身構えたその時だった。
「待て!」
「ぞ、族長・・・!?」
その声に牛頭族と馬頭族たちが足を止め振り返る。そちらを見ると、倒れていた族長ゴズが体を起こしていた。続いて族長メズも起き上がり、両者は俺たちを見据えた。
「・・・・・・人間。いや、アクトと言ったか。つまり、お前たちは我等に争うなと?」
俺と戦った族長メズが静かにそう訊ねて来た。意外と冷静な彼に安心しつつ俺はその問いに答える。
「そうだ・・・・・・つっても急にこんなこと言われても難しいかもしれねえし・・・戦ってもいいけどもう少し周りを見てやれ」
「周りを・・・?」
「あぁ。なるべく他の種族がいないような場所でやってくれ。どうしても場所が無かったら、近くにいる種族に予め説明してから始めろよ」
無理に抑え付けても聞かないだろうしな・・・・・・それなら多少は大目に見た方がいいだろう。というか、百年近くも戦い続けてきた種族が「はい、そうですか」と了承してくれるとも思わない。力強くでなら言うことを聞いてくれるかもしれないが・・・流石にそれは罪悪感が半端ないのでやめておく。そもそもこっちの都合で喧嘩売った訳だし。
「族長!こんな奴らの言うことを聞く必要は・・・」
「黙っていろ!・・・・・・直に相手をした俺には分かる。あの二人には、たとえ我等全てが一丸になったとしても勝てはしない」
「ふん、珍しく意見が合ったな馬頭族よ。あのリザードマン一人だけならどうにかなるだろうが・・・」
俺たちに敵わないということ、もしくは族長メズと同じ意見だったのが気に食わないのか、鼻を鳴らし族長ゴズが吐き捨てるように呟いた。確かに二人の族長が手を組めばガビルには勝てると思う。そんなことはさせないが。
「うむ、ひとまずはこれで一段落といったところか?」
「えぇ、ここまでやれば牛頭族と馬頭族たちもしばらく大人しくなるでしょう。そして、これにて本日の課題終了ですわ♪」
にこりと微笑んで青娥さんがそう返す。そのままワープポータルの元へ戻り初めた青娥さんの後を追い掛けようとした俺は、ふと立ち止まり族長ゴズメズたちへ振り返った。
「じゃあな、ゴズとメズ。仲良くやれよー」
「一対一の決闘であれば、我輩たちは逃げも隠れもせぬ!腕を磨き、今度はそちらから挑んで来るが良い!」
俺はそう言って軽く手を振り、ガビルは自信満々にそう宣言した。そして今度こそ俺たちはその場を後にしシス湖へと帰還したのだが・・・・・・
「・・・・・・聞いたか馬頭族。俺たちに仲良くしろだとさ・・・どこまでもふざけた連中よ・・・」
「全くだな牛頭族・・・・・・だが、このままでは奴らに勝つことなど出来ん。そこでだ牛頭族、一つ提案がある」
「奇遇だな馬頭族・・・・・・こちらからも提案だ」
今日この日以降、ジュラの大森林で牛頭族と馬頭族の抗争が減り、何故か両種族が共に訓練する姿を見かけることになるのだが・・・・・・俺がそれを知るのはしばらく先なのだった。
ゴズメズも原作より強くなる予定です。多分、きっと。