転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第33話となります。

色々と大変なことが起きていますが、頑張っていきましょう。


鉱山にて

文字通りドワルゴンの中央に位置する街『セントラル』。そこから東に位置する、これまた文字通りの名をした街『イースト』。そこにあるとある鉱山の入口近くに俺はいた。

 

 

 

「来たはいいが・・・・・・どうしたもんか」

 

 

 

入口を眺めながら一人呟く。魔鉱石を採りにここへ来た訳だが、冷静に考えるとこれ窃盗なのでは?辺りを見るとそこそこ人がいるんだけど、多分炭鉱夫とかだよな・・・・・・仕事でここを掘ってるのに、部外者が立ち入って、しかも勝手に採掘作業とかしちゃいけないのでは?

 

 

 

「青娥さん、その辺り多分考えてなかったよな・・・・・・いや、考えてあぁ言ったのか・・・?構わず窃盗しろと・・・?」

 

 

 

あの人なら言いかねないのが困る。そりゃ、今の俺ならこの鉱山にいる人たち全員倒して魔鉱石を盗むのも簡単だとは思う。『魔力感知』で調べてみたが、この近くにいる人たちは全員俺より弱い・・・・・・ん?

 

 

 

「鉱石の中に、そこそこ強そうな反応があるな・・・?」

 

 

 

『魔力感知』に引っ掛かった強そうな対象は一つで、朧気ではあるが人型には見えないので魔物だと思う。エビルムカデよりは弱そうだが、ジャイアントバットよりは強いといったところか。こんな平和そうな街中にも魔物が出るのかと俺が疑問に思っていると、鉱石から数名の男たちが血相を変えて飛び出て来た。

 

 

 

「た、大変だぁ!鉱山の中に甲殻トカゲ(アーマーサウルス)が出たぞぉ!」

 

「なんだと!?アーマーサウルスってB-ランクの魔物じゃねえか!なんだってそんな強い魔物がこんなところに湧くんだよ!?」

 

「そんなこと俺が知るか!それより助けを呼んでくれ!中にまだ何人かいるんだ!怪我人も出てる!」

 

 

 

どうやら採掘中に魔物に襲われたらしい。魔鉱石は魔素が濃い場所に発生する。つまり、魔鉱石が採れる場所には魔物も発生しやすいということだが、彼らの慌てぶりからして今回の一件は異常事態のようだ。

 

 

 

「・・・・・・余所の国で起きたトラブルに首を突っ込むなって、青娥さんなら言うかもしれねえけど」

 

 

 

師匠とも呼ぶべき彼女の姿を思い浮かべ呟く。それとも、あの人なら俺のやりたいようにやらせてくれるだろうか。ならば・・・いや、そんなことは関係ない。助けたいと思ったから助けるのだ。あの時の、ガビルのように。

 

 

 

「わ、分かった!おい、早くギルドと警備隊に知らせてこい!」

 

「・・・・・・しかし、討伐隊が来るまでに取り残された連中が持つかどうか・・・」

 

「──そういうことなら、俺に任せてください」

 

 

 

指示を受け、ギルドと警備隊へ報せに駆け出す男たちの背中を見ながら、その場に残った連中が不安そうに顔を俯かせる。そこへ近付きながら俺が声を掛けると、彼らは突然現れた俺に少し驚きながら訊ねてきた。

 

 

 

「な、なに?おいアンタ。任せろって、冒険者かなんかか?」

 

「いや、そういう訳じゃないですけど、少し腕に自信はあります。こう見えて馬頭族やエビルムカデとかを倒したことだってあるんで」

 

「馬頭族にエビルムカデを!?」

 

 

 

俺の返答にその場がざわめく。冒険者には見えない男たちだが、そんな彼らが名前を知っているということはあいつらは有名な魔物なのだろうか。それともこの近くにも生息しているから知っているのか。そんなことを考えていると、頭にタオルを巻いたドワーフらしき種族の男が口を開いた。

 

 

 

「・・・・・・分かった。兄ちゃんの言葉を信じるぜ。そして、頼む」

 

「おい、いいのか!?そりゃ悪い奴には見えねえけどよ、どこの誰かも分からねえ奴に任せるなんて・・・」

 

「んなこたぁ分かってる!分かってるが・・・・・・それでも、俺たちはこの兄ちゃんにすがるしかねぇ・・・!仲間を助けられるかもしれねぇんならな!」

 

 

 

ドワーフの言葉に同僚らしき一人の男が異を唱える。まぁ当然だろう。普通は身元も明らかでない者に任せるようなことではない。そもそも俺が本当のことを言っている確証はないのだ。ただ謝礼金目当てに名乗り出ただけで、その結果二次被害というか、ミイラ取りがミイラに・・・なんてことも十分あり得る話である。しかし、共に働く仲間たちが大切なのか、俺を信じると言ったドワーフは俺に一歩近付くと頭を下げた。

 

 

 

「・・・・・・この通りだ。どうか、あいつらを助けてやってくれ・・・!」

 

「・・・・・・はい、きっと助けます。だから顔を上げてください」

 

 

 

安心させようと、なるべく穏やかな声色で俺は告げる。その言葉を聞きばっと顔を上げたドワーフの顔には光が戻っているように見えた。それを見て俺は小さく微笑むと件の鉱山の入口に視線やった。

 

 

 

「あの中ですよね?」

 

「あぁ!アーマーサウルスに襲われたのは比較的浅い階層だったからすぐに着くと思う・・・気を付けろよ!」

 

「はい。皆さんは念の為、ギルドとか討伐隊・・・?が来るまで安全な場所に避難を・・・・・・それじゃ、行ってきます!」

 

 

 

そう言い終えると同時に俺は駆け出した。後方から俺の速度に驚く声がいくつか聞こえたが、気にすることなく鉱山へ突入する。鉱山の中は封印の洞窟と違い明かりが付いていて割りと歩きやすかった。まぁ多くの人がここで作業しているんだし、作業しやすいように整備されてて当然か。

 

 

 

「アーマーサウルスは・・・・・・こっちか」

 

 

 

別れ道があったが、『魔力感知』を使えば進むべき道は分かる。俺はアーマーサウルスから発せられる魔素の反応を頼りに鉱山内を突き進む。そして鉱山に入り数分程進んだ時、前方に蠢く巨体が視界に入った。

 

 

 

「グルルル・・・・・・!」

 

「あいつか・・・!」

 

 

 

俺の足音に気付いたのか、それとも俺の持つ魔素に気付いたのか、理由は分からないがアーマーサウルスらしき魔物がこちらに振り向く。そいつは身体のほとんどが鎧のような甲殻で覆われ、額には角が生やした姿をしていた。あと何故か首に触手のようなモノが二本生えている。その触手を除けば、外見は角の生えたトカゲといったところか。人間よりかなりデカイけど。

 

 

 

「逃げ遅れた人ってのは、あの人らのことだよな」

 

 

 

周囲を見渡すと数人の男たちがいた。種族は人間とドワーフで、自分の足で立っている者もいるが何人かは倒れている。地面には彼らのものと思われる血痕も見られた。俺は全員生きていることを祈りつつ、アーマーサウルスと向かい合う。

 

 

 

「よう、クソトカゲ。今度は俺が相手だ」

 

「お、おいあんた!こんなところでなにを・・・・・・早く逃げるんだ!」

 

 

 

俺の存在に気付いた一人のドワーフが慌てた様子で声を上げる。見ると、そのドワーフは身体のあちこちに傷を作り頭から血まで流していた。立っているのも辛そうに見えるほどの怪我をしているというのに見知らぬ俺を心配してくれるなんて、根っからの善人なのだろう。

 

 

 

「俺なら大丈夫です。それより、皆さんを助けに来ました!もう少しだけそこで待っててください!」

 

「助けにって、あんたが!?馬鹿なことを言うな!アーマーサウルス相手に一人でなにが出来るってんだ!」

 

 

 

信じられないといった表情で怒鳴るようにドワーフはそう返す。やはり普通はこのような反応になるのだろう。このランドルの身体は結構良い体してると思うんだが、ドワーフや炭鉱夫のおっさんたちと比べると細身に見えるし。『魔力感知』があれば俺なら大丈夫だって分かってもらえるんだが。まぁ、そんなことより目の前の敵だ。

 

 

 

「なにが出来る、か・・・・・・とりあえず、皆さんを助けられますよ。頼まれたし──なッ!」

 

 

 

『ゴッ!』

 

 

 

「グギャッ!?」

 

 

 

言い終わるのとほぼ同時に俺は大きく飛び上がる。そしてアーマーサウルスの脳天に踵落としをお見舞いした。頭上からの一撃に悲鳴を上げながらアーマーサウルスはその場に倒れる。その時、俺はあることに気付いた。

 

 

 

「・・・・・・ん?なんか、思ってたより柔らかいな・・・?」

 

 

 

攻撃のあと、空中に浮いたまま俺は呟く。フルパワーでやった訳じゃないし、奴の体を覆う頑丈そうな甲殻のせいでそこまで大きなダメージは入らないだろうと思っていたのだが、今の一撃でアーマーサウルスはかなり参っているように見える。あの甲殻は飾りなのか?なんて考えていると、さっきのドワーフが信じられないといった表情でこちらを見上げていた。

 

 

 

「う、嘘だろ・・・『身体装甲』のスキルを持つ、あのアーマーサウルスをただの蹴りであんな・・・」

 

「・・・・・・スキル?」

 

 

 

ドワーフの言葉で俺は理解した。アーマーサウルスのあの甲殻は自前ではなくスキルによって作り出されていたものだったのだ。だから俺のスキル『復讐者』に含まれる権能『突破』によって奴の甲殻を無視し大きなダメージを与えられたのだろう。これなら簡単に倒せそうだ。

 

 

 

「グル・・・・・・グガァアアアアアアッ!」

 

「いかん、まだやられちゃいなかったんだ!逃げろぉーーっ!」

 

 

 

予想外の一撃を受け怒ったのか、起き上がったアーマーサウルスは唸り声を上げながら地面を蹴った。空中の俺を噛み砕こうとしているのか、大口を開けて飛び上がるそいつを見てドワーフが叫ぶ。しかし俺は慌てることなく、こちらに迫るアーマーサウルスを見て口端を歪めた。

 

 

 

「行くぜ・・・・・・復讐者ッ!」

 

 

 

スキル名を宣言した俺は『飛空法』によって空中を飛び回り、噛み付きとどうして生えてるのかよく分からない触手を躱す。そして奴の頭の下に潜り込むと、『復讐者』の持つ権能『身体強化』を発動し、闘気を込めた脚でアーマーサウルスの顎目掛け全力の蹴りを放った。

 

 

 

『ゴシャッ!』

 

 

「ギュッ」

 

「えっ」

 

 

 

すると、なにかが砕ける音を立ててアーマーサウルスの口から血が吹き出す。おそらく、顔やら首やらの骨が今の一撃で滅茶苦茶になったのだろう。アーマーサウルスは短く悲鳴を上げるとひっくり変えるように倒れてそのまま動かなくなった。俺はゆっくりと地面に降り、目の前で起きた事態に少し呆然としていた。

 

 

 

「・・・・・・滅茶苦茶呆気なかったな・・・」

 

 

 

ほんの少し前まで元気に動き回っていたアーマーサウルスだったモノを見つめ呟く。だが、呆然としていたのは俺だけではない。さっきのドワーフに、倒れてはいたがしっかり意識のあった数名がこちらを見てぽかんとしていた。なんとなく彼らの視線とその場の空気が気まずく感じ、俺は咳払いをすると無理矢理笑顔を作って彼らに声を掛けた。

 

 

 

「あー・・・・・・・・・と、とりあえずもう安心です!早く外に出ましょう!」

 

「・・・・・・お、おぉ・・・!やった!助かったぞーーーっ!」

 

 

 

俺の声に笑顔を取り戻したドワーフが両手を突き上げ叫ぶ。彼の叫びに釣られるように他の人たちも同じように声を上げ、自分たちの無事を喜んだ。

 

そんな彼らの姿に安堵から俺は息を吐くと、動けない人に肩を貸そうとドワーフたちの元へ歩き出したのだった。




確か転スラ日記だと、アーマーサウルス食べられてましたね。
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