転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

36 / 127
お待たせしました、第36話となります。

お盆明けくらいまで色々と忙しくなりそうで辛いです。折角買ったライブアライブもまだクリアしてませんし。


鍛冶師の元へ

「はぁ~・・・・・・流石はドワーフの国。ゴブリンの村に比べて随分文明的だ・・・」

 

 

 

俺の頭の上で、リムルはドワルゴンの街中を見回しながらどこか興奮した様子で呟く。俺とリムル、それとカイドウさんの三人は警備隊の詰所を後にしセントラルを歩いていた。リムルの願いで腕の良い鍛冶師の元へカイドウさんに案内され向かっているところである。青娥さんが戻ってくるまで暇だし、魔鉱石も手に入らないし、ガルムさんたちは仕事。つまり暇になった俺も興味本位で同行している。

 

 

 

「ゴブリンの村を見たことないから何とも言えないけど、やっぱ凄いよな、ここ」

 

「あぁ!なんていうか、本当にファンタジーな世界に来たんだなーって感じする!」

 

 

 

俺と同じような感想を口にしたリムルに内心頷きながら微笑む。多少動かしたくらいでリムルは落ちたりしないだろうが、念の為にあまり頭を動かさないようにしている。

 

 

 

「・・・・・・それにしても、アクトも転生者だったとはなー。おまけに魔物とは・・・」

 

 

 

ドワルゴンの異世界感溢れる街並に興奮していたリムルだが、ふと思い出したかのようにそうこぼす。俺としても、リムルが自分と同じ転生者だと知った時は驚いたものだ。

 

先程、留置場にて同じ境遇の者同士の出逢いにテンションが上がった俺たちは、この世界に来てからの互いの状況を簡単に話し合った。別に俺たちが転生者だと知られても問題は無いかもしれないが、念の為カイドウさんには席を外してもらって。

 

なんでもリムルは前世で、職場の後輩を庇って通り魔に刺されたせいで死んでしまったそうだ。しかし、俺の時と同じように、薄れ行く意識の中で不思議な声・・・・・・世界の声が聞こえ、次に目を覚ましたらスライムになっていたらしい。いや、スライムだから目はないのだが。

 

俺と同じように、最期の瞬間に様々なことを考えていたら世界の声がそれに応え、多くの耐性と二つのスキルをくれたそうだ。スキルの名は『大賢者』と『補食者』。

 

どちらも複数の権能が組み込まれたユニークスキルらしいが、『大賢者』は解析に特化したスキルで、なんとリムルの質問に答えてくれるらしい。システム的な話し方しか出来ないそうだが、この世界のことを沢山知っていて、転生したばかりでこの世界について何も知らないリムルを支えているそうだ。

 

『補食者』は対象を体内に取り込み、それを解析できるという。また、取り込んだ対象のスキルを獲得したり、取り込み解析した対象と同じ姿にもなれるんだとか。入国の際に狼に変身したのはこのスキルの力なのだろう。それと、小さなスライムの体からは想像も付かないほど、かなりの量を体内に収用し保存できるそうだ。

 

ちなみに、留置場での会話中に俺が魔物・・・ドラゴニュートだと『大賢者』によって解析されている。その時リムルは、『見た目完全に人間じゃん・・・しかもイケメンじゃん・・・』と羨ましそうにしていた。ありがとう。

 

 

 

「『大賢者』に『補食者』か・・・・・・話を聞く限りかなり強力なユニークスキルだな。一体なに考えてたらそんなスキル貰えるんだ?」

 

「えっ!?あー、それは・・・その・・・・・・ゆ・・・夢、かな・・・?」

 

「は?」

 

 

 

スキルを手に入れた時の状況について訊ねたら、訳の分からないことを言ってリムルは話を逸らしていたっけ。なんとなく言いたくなさそうだと感じたので、それについてはもう聞かないことにした。

 

さて、話を戻そう。転生してからのリムルだが、しばらくは転生した場所の広い洞窟の中を彷徨っていたという。そこでリムルは巨体なドラゴン──なんと、『暴風竜ヴェルドラ』と出逢ったそうだ。リムルが目覚めた場所は俺と青娥さんも足を運んだ、あの封印の洞窟だったのである。なんでもリムルは封印の洞窟に充満する、ヴェルドラから漏れ出た高密度の魔素溜まりから生まれたらしい。俺と同じユニークモンスターだそうだ。

 

最初はリムルもヴェルドラが怖かったそうだが、話してみると中々良い奴で、すぐに友達になったのだとか。結構コミュ力高いんだな、リムルって。そして友達になったリムルはヴェルドラを封印の洞窟から出す為に封印を解くことを決めたという。

 

・・・・・・軽く言ってるが、滅茶苦茶ヤバいことなのは間違いない。しかし、リムルが大丈夫と判断したのだから大丈夫なのだろう・・・多分。

 

さて、ヴェルドラにかけられた封印だが。なんでも三百年前に『勇者』のユニークスキル『無限牢獄』というスキルによって封印の洞窟に縛られていたらしい。暴風竜を封じられるというだけあり、『無限牢獄』は非常に強力なスキルであり物理的破壊は不可能だとか。

 

どうすれば良いか『大賢者』を頼ったリムルは『無限牢獄』の内と外から解析すれば『無限牢獄』を破れる可能性があると分かり、ヴェルドラを『補食者』で体内に取り込むことを彼に伝える。その案を聞いたヴェルドラは面白そうだと笑い、快く頷いたそうだ。

 

そしてリムルがヴェルドラを体内に取り込む前に、二人は互いに名を贈り合ったのだ。リムルからはヴェルドラへ同格の証として共通の名(名字みたいなモンだと思う、とリムルは言っていた)である『テンペスト』を。そしてヴェルドラからは『リムル』の名を授かったという。

 

しかし、ヴェルドラから名付けをされた際にリムルは特に強くなったりはしなかったそうだ。恐らくだが、相互に名付けをし、互いを対等としたことで進化しなかったのではないか、と『大賢者』が言っていたという。

 

そうして、リムルはヴェルドラを体内に取り込んで封印の洞窟を後にした。洞窟内で嵐蛇やアーマーサウルスなどの魔物、そして草やら石やらを『補食者』で取り込みながら・・・・・・そう、あそこから魔鉱石が無くなっていたのはリムルのせいだったのである。後で一つだけでも譲ってもらえないか頼んでみるか・・・

 

それからリムルは封印の洞窟から外に出て、ゴブタたちゴブリンと出逢った。彼らは『牙狼族』という魔物の群れに襲われており、リムルは牙狼族のボスを倒すことで争いに終止符を打つ。そして残った牙狼族たちを仲間にし、彼らとゴブリンたち二つの種族を纏めているのだとか。

 

そして、身を寄せているゴブリンの村を良くする為にここドワルゴンまでやってきたそうだ。なんでもゴブリンたちの村は環境が悪く、家はボロボロだしまともな武器と衣服もないらしい。なのでそれら諸々をなんとかしてくれる人を探しにここへ来たのである。

 

しかし・・・・・・結果的にだが、カイドウさんにこの話を聞かれなくて良かった。転生者云々は別に知られても問題なかったかもしれないが、現在各国を騒がせている暴風竜消失の原因がリムルにあると知れたら面倒なことになる可能性もあったし。

 

そんなこんなで予想以上に会話が盛り上がり、一時間近くカイドウさんを除け者にする形になってしまい少し申し訳無かった。しかし同じ境遇の仲間に出逢えたのだから仕方ないだろう。

 

・・・・・・正直、青娥さんも同じ異世界人かつ転生者だと思っているのだが、本人が否定してるので俺にとってはリムルが実質初めて出逢った同じ境遇の者なのだ。

 

ともかく、お陰でリムルとはすっかり意気投合し友達となった。だが、リムルの話にばかり時間を取られてしまったので俺が転生してからのことはあまり話せなかったな。カイドウさんには鍛冶師の元へ案内してもらう約束だけじゃなく、警備隊本来の仕事もあるので適当なとこで話を切り上げたし。とりあえず俺の前世についてと、リザードマンの友達ができたこと、それと魔人の師匠の元で修行していることだけは伝えたけど。

 

ちなみに前世でのリムルの歳は37歳らしい。かなり年上だと判明し慌てて敬語を使ったら、「今は同い年みたいなもんだし、そう固くならなくていいぞ」とリムルは笑っていた。リムルがそう言うならと、今は俺も大分フランクに接している。

 

そうそう、リムルが俺の頭の上に乗っているのは俺の提案によるものだ。スライムの体は小さいし移動が大変そうだと思ったのもあるが、スピンオフの『モンスターズ』シリーズも大好きな俺としては、どうしてもスライムを頭か肩に乗せてみたかったのである。

 

 

 

「しっかし、まだ高校生だってのに事故で死ぬだなんて・・・・・・辛いな」

 

「あー・・・そりゃ、あの時は滅茶苦茶痛かったし、迷惑かけっぱなしだった両親に恩返しも出来なくて申し訳ない気持ちもあったけど・・・・・割りと今の生活も悪くないんだ。前世と違って体が健康でさ、どこにでも行けるのが凄く嬉しいんだよ」

 

 

 

しかも、魔物や魔法が存在するファンタジーな世界だからな。どうしてもワクワクしてくるし、もっと色んな場所を見てみたいと思うのも仕方ないだろう。それはリムルだって同じ筈だ。

 

 

 

「そっか。良かった・・・・・・って言っていいのかはアレだけど・・・二度目の人生は自由に楽しめるといいな!」

 

「今は魔物だけどな。けど、ありがとうリムル」

 

 

 

自分からすればまだまだ子供である俺をリムルは気遣ってくれる。彼が実は三十路過ぎのオッサンだなんて頭の片隅に追いやり可愛いスライムの体を撫でていると、前を歩いていたカイドウさんがこちらを振り返った。

 

 

 

「おーい!こっちだ。迷子になんなよ?」

 

「っと・・・はい、すみません」

 

 

 

前を歩くカイドウさんとの距離が空いていることに気付き、やや足を早める。一時間近くほったらかしにされても全く怒っていない辺り、彼の優しさが窺える。

 

ちなみにリムルの連れであるゴブリン・・・ゴブタはあの留置場に置いてきぼりである。連れて行かなくていいのかとリムルに聞いたのだが、「寝てるしいいだろ」とのことだった。

 

 

 

「ところで、リムルも災難だったな。盗賊紛いの冒険者に襲われるなんてよ」

 

「本当だよ!相手が大したことなかったから良かったものの、ゴブタだけだったらどうなってたか・・・」

 

 

 

頭の上で体を揺らしながらリムルは怒る。糸で拘束し牢屋に放置してはいるが、やはり仲間というだけありゴブタを大切にはしているようだ。

 

 

 

「基本的に人間と魔物は敵対してるらしいし、仕方ないのかもしれねぇけど・・・・・・やっぱりスライムの姿だと余計なトラブルに巻き込まれやすいのかもな」

 

「んー、確かに。今度から大切な時は嘗められない姿になって・・・・・・おっ!?すげぇ・・・あの装飾、細工が細けぇ!ん?何だあの剣!?うっすら光ってる・・・魔力か?」

 

 

 

色々と話しながら移動している途中で、通り掛かったある店の商品を見てリムルが驚いた様子で呟く。彼が見つめる視線の先にはきらびやかな髪飾りやピアスなどの装飾品の他、淡い光を放つ剣が壁に飾られていた。それらに目を奪われているリムルと俺を見て、どこか自慢気にカイドウさんは言った。

 

 

 

「あぁ、それそれ。それを作った奴だよ、これから会う鍛冶師ってのは」

 

「ほう・・・!」

 

 

 

それを聞きリムルは期待に目を輝かせ・・・ているように見える。目がないからなんとも言えないが、どこか興奮したような声だったので多分間違ってはないだろう。

 

 

 

「へぇ・・・武器とかには詳しくねぇけど、どれも凄そうだな・・・・・・良かったなリムル。お眼鏡に叶いそうな人に会えそうじゃねえか」

 

「あぁ!会うのが楽しみだ!」

 

「そう言ってもらえると嬉しいぜ。よし、そんじゃさっさと行くとするか!」

 

 

 

俺の頭の上で体も声も弾ませるリムル。彼のそんな楽しげな様子に俺は口元を緩ませながら、再び歩き出したカイドウさんに付いて行くのだった。




原作ではリムルは留置場で一夜を明かしてますが、こちらではアクトくんがいることで改変が起きたということで。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。