転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第4話となります。

年末にかけて仕事やらプライベートの予定やら色々ありますので投稿が無い週があるかもしれません。お許しください。


記憶喪失(嘘)

気が付くと、辺りは闇に包まれていた。

 

ここはどこなのだろう。いや、自分は何をしていたのだったか。何も分からないまま辺りを見回していると、ぼんやりとだが正面の闇の中に誰かがいるのが見えた。

 

とりあえず自分はそちらへ歩き出す。不思議と、恐怖はなかった。

 

 

 

「あれは・・・・・・ランドル・・・?」

 

 

 

そこにいたのは、グラブルで一番好きなキャラクターのランドルだった。あの衣装と後ろ姿は間違いない。ちなみにSRである『リボーンファイター』の衣装だ。

 

ランドルは俺に気付いたのか、ゆっくりとこちらに振り返る。彼の顔が見えると思ったその時、彼の体から黒い何かが吹き出し一瞬でその姿を覆い隠す。大好きなランドルの危機かと思わず駆け出した瞬間、黒い何かがかき消え一人の男が現れた。

 

ポークパイハットというのだったか、それを被った黒衣の男。身長はランドルよりやや大きい。こちらを向いてはいるものの、その顔は伺えない。黒い何かが顔を隠すかのように、その辺りにだけ漂っているからだ。

 

しかし、俺には分かる。その出で立ちだけで。あれはFGOで一番信頼し、最も推している英霊──

 

 

 

「エド・・・!」

 

 

 

そう、岩窟王エドモン・ダンテスがそこにいた。

 

エドは何も言わず、ただ静かにこちらを見据えている・・・多分。顔が見えないから断言出来ないが・・・

 

お互い向き合った状態で少し経った時、エドはゆっくりと一歩踏み出そうとする。すると今度は彼の体から黒い何かが吹き出し、足が地に付く前にエドの体は全て黒い何かへと変化した。

 

 

 

「なんなんだ、この黒いの・・・?これがランドルとエドに化けてたってことか?」

 

 

 

そう呟きながらなんとなく黒い何かに手を伸ばす。瞬間、それらが一気にこちらへ押し寄せ俺を包んだ。一瞬驚きはしたが、不思議と恐怖は感じない。寧ろ心地よささえ感じる。

 

黒い何かを振り払うこともなく暫しそのままでいると、まるで吸い寄せられるかのように黒い何かが俺の体の中に入ってきた。

 

 

 

「うわっ!待て待て待て!さっきから一体どういう、こ・・・と──・・・」

 

 

 

突然の事態に混乱し思わず叫んだ。だが、言葉を言い終わる前に意識が遠退いていく。

 

 

 

「──────」

 

 

 

消え行く意識の中、幻覚だったのかもしれないが──優しく微笑むランドルとエドがいた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────・・・・・・ん・・・あ・・・?」

 

 

 

目を開くと、見知らぬ天井があった。

 

どうやら自分はベッドに横になっているらしい。何故こんな状況になっているのか記憶を掘り起こすが、ホバーリザードに乗ってからの記憶が無い。おそらくそのタイミングで限界を迎え気絶してしまったのだろう。

 

とりあえず、そのままの状態で辺りを見渡し確認すると、洞窟のような場所にいることがわかった。時計を見つけ時刻を確認すると七時過ぎ。だが、窓が無いので朝なのか夜なのかが分からない。

 

 

 

「・・・・・・今のは夢か・・・なんだか訳の分からねぇ夢だったな・・・ま、夢なんてそんなもんだろうけど」

 

 

 

先程まで見ていたものについてはそう割り切ることにした。それよりも気になるのはこの場所である。どう見ても人が済む場所ではない。しかしベッドや机、椅子に本棚などが置いてあることから、それなりの知性がある何かが暮らしているのだろう。

 

 

 

「一体ここは・・・・・・あれ?」

 

 

 

体を起こした時、自分の体に包帯が巻かれていることに気付いた。そういえばオーガたちにやられて・・・あと空から落ちた時に怪我をしていた。どうやら誰かが手当てをしてくれたらしい。

 

 

 

「痛みもかなり引いてる・・・」

 

 

 

オーガたちにやられた傷はまだ少し残っているが、それでも動けない程ではない。前の体だったらこれだけの傷でも寝込んでいただろうが・・・このランドルの体なら走り回ったりも出来そうだ。

 

 

 

「しかし、なんでこんなに回復してるんだ?もしかして、ファンタジーな世界だから回復魔法とかがあって、それで・・・」

 

「・・・・・・む?おぉ、目が覚めたであるか!」

 

 

 

その時、突然部屋のドアが開く。そちらを見ると、オーガたちから俺を助けてくれたリザードマンのガビルが立っていた。なにやら色々と抱えた彼は起きている俺を見て笑みを浮かべると部屋の中に入ってきた。

 

 

 

「あ・・・・・・ガビル」

 

「うむ、ガビルである!人間よ、怪我の具合はどうであるか?」

 

「あぁ、随分楽になったよ。これ・・・手当てしてくれたみたいだけど、お前が?」

 

「確かに我輩も少し手伝ったが・・・・・・ほとんどは我らリザードマンの医療班の仕事である。礼なら彼らに言うべきであろうな」

 

 

 

そう言いながらガビルは近くにあった椅子を器用に尻尾で掴む。それを俺が寝ているベッドの近くへ置き、荷物を膝の上に抱えたまま椅子に腰掛けた。

 

 

 

 

「・・・・・・そうだな、確かにその人たちにも礼は言わなくちゃならない。けど、まずは・・・」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

俺の呟きに首を傾げるガビル。そんなガビルを見て僅かに口元を緩めた後、俺はベッドの上でガビルに向き直った。

 

 

 

「・・・・・・お前にだ。ありがとう、ガビル。お前に心からの敬意と感謝を。助ける必要なんて無い、見ず知らずの俺に手を差し伸べてくれて・・・本当にありがとう」

 

 

 

目の前にいる命の恩人を真っ直ぐ見据え、そう告げた。こんな陳腐な言葉しか返せないのが心苦しいが、それでもこれが今俺に出来る最大級の感謝の表れである。ガビルは俺の言葉を聞くとやや顔を赤らめ慌てたように手を振りだした。

 

 

 

「ん、む・・・!?い、いや・・・・・・いやいやいやいや!そう畏まらずとも!我輩は次期リザードマンの首領として当然のことをしたまで!」

 

「他者の上に立つ者だからって、危険を顧みず誰かを助けられる奴はそういないと思うぜ。きっと、お前だから助けることが出来たんだよ」

 

「そ、そう?そうであるか?・・・・・・ま、まぁ?確かに森の覇者たるオーガを・・・しかも二人を相手にし、人間を連れ生還できるリザードマンなど我輩くらいかもしれぬな!わははははっ!」

 

 

 

照れながらも腰に手を当て笑い出すガビル。成程、どうやらこいつは少しお調子者っぽいところがあるらしい。個人的には好ましい性格だが。

 

 

 

「しかし・・・・・・どうせ助からないなどとあのオーガたちは抜かしていたが、お主はこうして生きている。医療班の者が適切な処置をしたお陰でもあるが・・・彼らが言うには、お主の回復力は普通の人間にしては高いとのこと。もしや冒険者であるか?どこから来たのである?」

 

「え?あー・・・」

 

「おっと、それ以前にお主の名を聞いていなかったな!我輩としたことが・・・・・・という訳で、まずはお主の名から教えて欲しいのだが」

 

「・・・・・・・・・あー・・・」

 

 

 

そう言ってにこりと笑うガビル。対する俺は苦笑いを浮かべ、なんと返事をしたものかと悩んでいた。

 

だって悩むだろう。名前はともかく、どこから来たのかは言えない。『車に轢かれて死んだらランドルに生まれ変わって異世界に来てました』、なんて言える訳がない。誰が信じるというのか。

 

もしかすると、ファンタジーのような世界だから異世界という概念もあるのかもしれないが・・・・・・そうでなかった場合のリスクがデカすぎる。「ふざけているのか」と追い出されでもしたら堪ったものではない。とは言っても、ガビルはそんなことしないとは思うが。出会ったばかりなのに何故そう思えるのかと問われたら、答えられないけれど。

 

だが、追い出されないにしても、頭のおかしい奴だと思われて距離を取られては困る。今の自分には情報が足りない。元の世界に帰るにしろ、この世界で生きていくにしろ、とにかくこの世界のことをある程度は把握しなくてはならないのだから。その為に、ガビルとはなるべく良好な関係を築きたい。

 

無理に笑顔を浮かべ、その裏で必死に頭を回転させこの場を乗り切る方法を考える。そして長考の末に答えを見つけ、俺は軽く深呼吸してから改めてガビルを見据えた。

 

 

 

「あー・・・・・・ガビル?そのことなんだけどさ・・・」

 

「うん?どうかしたのであるか?」

 

 

 

 

結構悩んでいたような気がするが、特にガビルは怪しんでいないらしい。心の中で安心した後、俺は考え抜いた末に得た答えを口にした。

 

 

 

 

 

「実は俺───記憶がないんだ・・・!」

 

 

 

そう、その答えとは『記憶喪失したフリ』である。

 

・・・・・・いや、決してふざけている訳ではない。自分は至って真剣である。必死に考え抜いてこの答えに行き着いたのだ・・・・・・他に何も案が思い付かなかったというのもあるが。

 

とにかく、何も覚えていないのなら答えようもないし何とかなる・・・筈・・・・・・と、思ったのだが・・・

 

 

 

(流石に無理があったか・・・!?)

 

 

 

言ったそばから不安になってきた。もし自分がガビルの立場だったらどうだろう、こんな話を信じられるだろうか。異世界から来た、と言うよりはマシだろうが・・・

 

と、嘘がバレるのではないかと内心震えていた俺だったが。

 

 

 

 

 

 

「なん・・・だと・・・!?そ、それはもしや記憶喪失というヤツであるか・・・?」

 

「え?あ、あぁ・・・多分・・・」

 

「では自分がどこから来たのか分からないのであるか!」

 

「そ、そうなんだよ!気が付いたらあの池の近くにいてさ・・・!」

 

「ま、まさか・・・自分の名前までも・・・!?」

 

「忘れてる、みたいだな・・・!」

 

「なっ・・・なんということだ・・・!」

 

 

俺の嘘に完全に騙され、顔に手をやり嘆くガビル。まるで自分のことのように悲しんでいるその姿を見て、滅茶苦茶罪悪感が芽生えた。この男、優しいというか素直というか・・・いつか悪い奴に騙されてとんでもないことをしてしまいそうな不安がある。

 

ちなみに名前は偽名を使うことも考えたが、名前だけ覚えているのも不自然かと思いこういう形となった。

 

 

 

「なんと・・・なんという不運・・・!オーガたちに襲われ、身ぐるみを剥がされ、更に自身の記憶全てを失うなど・・・!神はいないのであるか・・・!」

 

 

 

遂にガビルの目から一筋の涙が零れる。・・・・・・まさかここまで・・・というか、こんなにアッサリ信じてくれるとは。あと俺が全裸なのは相変わらずオーガたちのせいだと思っているようだが・・・まぁ、そこはどうでもいいだろう。

 

俺は悲しみに暮れるガビルに苦笑しつつ、体を彼に近付ける。そして彼の膝に手を置いて、騙していることを内心詫びながら口を開いた。

 

 

 

「確かにそう見るとかなり不幸だけどさ・・・・・・でも、お前と出逢えたことは俺にとって間違いなく幸運だったよ、ガビル」

 

「お、お主・・・!」

 

 

 

我ながらクサイ台詞だと思うが・・・・・・しかし、これは紛れもない本心だ。あの時、ガビルがいなければ自分は間違いなく殺されていただろう。

 

それに・・・こんな状況ではあるが、ほんの少しだけ俺はワクワクしているのだ。

 

やはりゲームやマンガなどで異世界に触れてきたからだろうか。怖い思いもしたし不安の方が大きいものの、それでも夢見た世界に今自分が立っていると思うと興奮を隠せない。勿論それは、頼れる知り合い・・・もといガビルがいてくれることが前提になるが。

 

 

 

「・・・・・・よし、決めたのである!お主は我輩が面倒を見よう!」

 

「えっ・・・いいのか!?」

 

「勿論である!困っている者に手を差し伸べるのは当然!それになにより・・・お主のような素晴らしい心の持ち主を見捨てられぬ!」

 

 

 

勢いよく立ち上がりガビルはそう宣言した。自分に任せろと言わんばかりに胸を叩く姿に少し苦笑しながら、俺はガビルに手を差し出した。

 

 

 

「ありがとう、ガビル。この恩は決して忘れない。今はなにも返せないし、出来ないけど・・・」

 

「気にすることはないぞ。今は体を休め、記憶を取り戻すことだけを考えれば良いのである」

 

 

 

その言葉と共に俺たちは握手を交わす。ガビルの手は人間とは違う感触をしていたけれど、それでも俺たちと同じ、優しい熱を帯びていた。

 

と、その温度に安心したせいか。次の瞬間、俺の腹が大きな声で主張し始めた。

 

 

 

「あ・・・・・・」

 

「ははは、食欲があるのは良いことである!朝からこの時間まで眠りっぱなしであったからな、夕飯時だし腹が減っているだろうと・・・」

 

 

 

恥ずかしがる俺を見て、ガビルは持ってきた荷物を漁る。そして中から林檎など見たことのあるものからそうではない果実を沢山取り出しこちらへ差し出した。それとオマケでガビルの言葉で今の時間帯を把握できた。

 

 

 

「この通り、いくつか用意したのである。ささ、遠慮せず食べるが良い。最も、人間の口に合うかは分からぬが・・・」

 

「おお・・・ありがとなガビル!流石に全部は食べきれないけど・・・有り難く頂くよ」

 

「それと、こっちは服である。我輩のお古や仲間たちが持っているものの中からお主が着れそうなものを見繕ってきた。食事が済んだら着替え、首領の元へ行こう。流石に裸のまま、出歩かせる訳にはいかぬからな」

 

 

 

そう言ってにこりとガビルは微笑む。俺はガビルの優しさに再び感謝しながら、手に持った林檎に食らいつくのだった。




この作品ではガビルをかなり強化していくつもりです。具体的にはベニマルと互角以上には持っていきたいと思っています。タグのアンチヘイトはその辺りのことを考えて付けました。


それはそうと来年公開のドラゴンボール超の映画、とても楽しみです。
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