転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第40話となります。

ヴェルドラとの会話回です。


暴風竜ヴェルドラ

リムルの『捕食者』によって、彼の胃袋の中へ取り込まれた俺。そこで、ジュラの大森林に封じられていた邪竜、暴風竜ヴェルドラと遭遇した。

 

暴風竜の圧倒的な存在感に、俺はただその場に立ち尽くすことしか出来ず。暴風竜はそんな俺を見下ろしながらにやりと口元を歪めた。そしてゆっくりとこちらに近付いて来て──・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うへぇ・・・・・・リムルから聞いてはいたけど、あんな洞窟に三百年も一人でいたなんて、それは辛いですね」

 

「そうなのだ!もー暇で暇で・・・・・・」

 

 

 

俺と二人でお喋りを始めた。

 

・・・・・・どうしよう。滅茶苦茶フレンドリーだぞこの邪竜。いや、リムルから話を聞いてたからそこまで悪い人・・・じゃない、悪い竜じゃないだろうとは思っていたが、ここまでとは。

 

暴風竜は器用に胡座をかき悲しげな表情で三百年の愚痴をこぼしている。こうしてみると随分と人間臭い。とはいえジュラの大森林の周辺国家から恐れられている邪竜だ。余計なことを言って怒りを買わないよう注意しなければ。

 

 

 

「大変でしたね・・・・・・ところでヴェルドラ様──」

 

「待て!!!」

 

 

 

少し聞きたいことがあったのでヴェルドラ様に話し掛けたその時、ヴェルドラ様が発した大声に思わずびくりと体を震わせる。しまった、何か逆鱗に触れたか・・・・・・!?

 

 

 

「な、なな・・・・・・なんでございましょう!?」

 

「様はやめるのだ!」

 

「・・・・・・はっ?」

 

 

 

何事かと恐る恐る確認すると、ヴェルドラ様はそう言った。どういうことかと思わず間の抜けた声を漏らす俺を気にせず、ヴェルドラ様は言葉を続ける。

 

 

 

「アクトよ。お前はリムルの友達なのだろう?ならば我とも友達の筈だ!」

 

「えっ!?そう・・・・・・い、良いのですか?俺みたいなヤツがヴェルドラ様と友達だなんて」

 

 

 

そうなの!?と聞き返してしまいそうになるのを何とか抑えて俺はそう返した。その理屈はどうなんだと思ったが、余計なことを言って怒らせたくはない。そんな俺の気持ちには気付かぬままヴェルドラ様はうむ、と頷いた。

 

 

 

「構わん、この我が許す!故にもっと楽にして良いぞ!クァーーーハハハハッ!」

 

「あ、ありがとうございます・・・・・・では、いや、えっと・・・・・・それじゃあ、友達ではあるけど尊敬の念を込めるということで、ヴェルドラさんと呼んでもいいですかね?」

 

「うむ、許す!これからはそう呼ぶが良い!・・・・・・ところで、さっき何か言い掛けてなかったか?」

 

 

 

機嫌を良くしたヴェルドラ・・・さんは、俺の提案に満足気に頷いた。良かった、流石に呼び捨てにするのは気が引けるから落とし所としてさん付けにしてみたのだが、彼はそれで良いらしい。と、その時。ヴェルドラさんが首を傾げながら俺にそう訊ねてきた。

 

 

 

「あぁ、そうでした・・・・・・聞きたいこと、というか気になったことがありまして」

 

「ほう?なんだ、言ってみるが良い」

 

「ありがとうございます。えっと・・・・・・ヴェルドラさんはリムルのお陰で封印の洞窟を出られた訳ですけど、その為にここ・・・リムルの胃袋の中に入って、結局また一人になって辛くはないのかと・・・・・・」

 

 

 

続きを促してきたヴェルドラさんに俺は気になっていたことを訊ねた。リムルが『大賢者』から聞いたところによると、勇者のスキル『無限牢獄』を物理的に破壊するのは不可能。封印されているヴェルドラさんがスキルなどを使えない以上、リムル(『大賢者』)が頑張るしかないのだが、正直なところいつ封印を破れるかは分からないらしい。

 

 

 

「おぉ、心配してくれたのか!?」

 

「は、はい。一応・・・・・・俺だったら辛いなー、と思いまして・・・」

 

 

 

少し嬉しそうにこちらへ身を乗り出してくるヴェルドラさんに苦笑しつつ答える。俺のこの答えは嘘ではない。寧ろここは封印の洞窟よりも寂しいのではないか。あそこ以上にここは殺風景だし。

 

 

 

「フッフッフッ、心配は要らんぞアクトよ。ここはあのような場所と違い素晴らしい娯楽がある・・・・・・これを見よ!」

 

 

 

小さく笑ったヴェルドラさんはのそりと体を動かす。すると彼の背後の空間の一部から光が射しているのが見えた。

 

 

 

「これは・・・・・・?」

 

「どうやらこの空間の穴のようなモノは、リムルの視界とリンクしているようでな。そら、お前も見てみるが良い」

 

 

 

俺は頷くとヴェルドラさんの隣に移動しその穴を見る。どういう仕掛けになっているのかは分からないが、確かに外の様子が見映っていた。どうやらいつの間にか店に着いていたらしく、リムルは綺麗なお姉ちゃんたちに囲まれ楽しくやっているようだ。

 

 

 

「なにが仕方なくだよ、滅茶苦茶はしゃいでるじゃねえかスケベ親父め・・・・・・ん?あの女の人たち、耳が少し長い・・・?」

 

 

 

一人のキャバ嬢の膝の上に乗せられ、さらに他数人に囲まれデレデレしているリムルを見ながら苦笑していると、そのキャバ嬢たち全員普通の人間よりも耳が長いことに気付く。確かドワルゴンに入る前にも外の入口で見掛けた気がする。人間ではないのだろうか、俺がそう疑問に思っていると隣のヴェルドラさんが口を開いた。

 

 

 

耳長族(エルフ)だな。人間と比べて長寿で、魔法を得意とする種族だ。ちなみにドワーフやエルフのように人間と友好的で、かつ近しい種族を亜人(デミヒューマン)とも呼ぶぞ。エルフの多くは『魔導王朝サリオン』で暮らしているが、このように他の国で自由に生きている者も少なくはない」

 

「魔導王朝サリオンか・・・・・・」

 

 

 

また聞いたことのない名前が出てきた。エルフが多く暮らしているということは、エルフが治める国なのだろうか。こちらにもいつか足を運んでみたい。

 

 

 

「・・・・・・と、このようにリムルの観た景色を共有出来るのだ。だから以前と違ってとても楽しい!そして、リムルの記憶の中にある『聖典』も読むことができるからな!」

 

「せ、聖典・・・・・・?」

 

「これだ!」

 

 

 

そう言ってヴェルドラさんが俺に差し出したのは一冊の本。手にとって開いてみると、その内容に俺は驚愕した。

 

・・・・・・・・・いや、聖典って漫画じゃん。しかもドラゴンボールじゃん。なんでリムルの中にこんなのがあるんだよ。

 

 

 

「どういう理屈か分からぬが、こうして手にとって読めたのでな。しかし異世界の文化は素晴らしいなアクトよ!ページを捲る手が止まらぬわ!クァーーハハハハハッ!」

 

「よ、喜んでくれたようでなにより・・・・・・」

 

 

 

ドラゴンボールを読みながら楽しげに笑うヴェルドラさんを見て苦笑しつつ俺はそう言った。どうやら俺の心配は杞憂だったらしい。とりあえず、楽しくやっているようで良かった。後でリムルにも教えてやろう。

 

 

 

「ところで、他に何か聞きたいことはないか?我が知り得る限りのことは何でも教えてやるが」

 

 

 

そう言いながらヴェルドラさんは俺の顔を覗き込む。さっきは一人でも平気、みたいなことを言っていたが、やはり誰かと一緒というのは嬉しいのだろう。どこかソワソワしているし。

 

 

 

「あー、それじゃあ・・・・・・竜種について教えて貰っていいですか?さっき世界に四体しかいないってヴェルドラさん言ってましたけど、他にもドラゴンの魔物っていますよね」

 

 

 

ヴェルドラさんの厚意に甘え、俺はもう一つ気になっていたことについて訊ねることにした。それは竜種・・・ドラゴンについて。以前青娥さんと爺さんから魔物について軽く教えてもらったことがあるのだが、その教えてもらった中に下位龍族(レッサードラゴン)という種族がいたのだ。なのでドラゴンが世界に四体しかいないと言うのはおかしいと思うのだが・・・・・・

 

 

 

「ふむ、そのことか・・・・・・良いかアクトよ。そもそも我等『竜種』とは厳密にはドラゴンではない。精神生命体・・・精霊というものだ」

 

「せ、精霊?」

 

「そうだ。故に生殖能力は無く、単体で消滅と再生を繰り返す不滅の存在・・・・・・世界最強にして最上位の種族なのだ!」

 

 

 

胸を張ってヴェルドラさんはそう言い放った。最強で最上位・・・・・・封印されても尚各国に危険視されていた辺り本当なのだろう。魔王よりも上の存在だなんて流石ドラゴン・・・・・・あ、精霊か。

 

 

 

「さて、アクト。恐らくお前がこんなことを聞いたのは他のドラゴン系の魔物について知っているからだろう」

 

「あ、そうです。前に下位龍族(レッサードラゴン)という魔物がいると聞いたことがあって」

 

「やはりな・・・・・・それを含む他のドラゴン系の魔物は竜族と呼ばれ、姿こそ似ているが、我が兄にして最強の竜種たる星王竜ヴェルダナーヴァの劣化した因子を持って生まれた魔物に過ぎぬのだよ。我等と違い肉体を持つ物質生命体だしな」

 

 

 

物質生命体か・・・・・・さっきは精神生命体という言葉が出ていたっけ。これらについてももう少し知っておきたいが、今はヴェルドラさんの解説を大人しく聞いておこう。

 

 

 

「より詳しく説明すると、我が兄が生み出した精霊竜(エレメンタルドラゴン)が死んで竜の因子がばら撒かれたことで、魔素溜まりから下位龍族(レッサードラゴン)が生まれるようになったのだがな」

 

「成程・・・・・・」

 

「ちなみに竜の因子が強く出ると上位龍族(アークドラゴン)に成長する。他にも亜種のようなものとして天空竜(スカイドラゴン)水撃竜(ウォータードラゴン)・・・・・・あぁ、飛空龍族(ワイバーン)なんかもいるぞ」

 

 

 

ヴェルドラさんはさらにそう補足してくれた。流石は竜種。実際は精霊とはいえドラゴンについてかなり詳しい。もしかすると青娥さんもこのことを知っているのかもしれないが。

 

 

 

「まぁ、竜種と竜族についてはこんなところか。理解したか?アクトよ」

 

「はい。ありがとうございます、ヴェルドラさん。何も知らない異世界人の俺にも分かりやすく説明してくれて。しかし、ヴェルドラさんはとても博識なんですね」

 

 

 

俺は礼を言ったあとで彼にそう告げる。これはお世辞でもなんでもなく素直な気持ちだ。人と魔物両方から恐れられていると聞いていたのでてっきりただの乱暴者かと思っていたが、こうして話してみるととても知性的である。

 

 

 

「む、む?そうか?我、凄い?」

 

「え?あー、それはまぁ・・・・・・強くて賢いドラゴンだなんて、ズルいくらいですよ」

 

「そうかそうか!強くて賢いか!まぁ当然ではあるがな・・・・・・クァーーーハッハッハッハッ!!!」

 

 

 

褒められて気分を良くしたのかヴェルドラさんは声高らかに笑い出した。このドラゴン、結構単純というか・・・・・・チョロいのかもしれない。怒られるだろうから絶対言わないけど。

 

 

 

「フッフッフッ・・・・・・今日は実に気分が良い!アクトよ、他に何か疑問に思っていることはないか?この我がなんでも答えてやろう!」

 

「ん、んー・・・・・・?そうですね、じゃあ──」

 

 

 

まだ話足りないのか、楽し気にヴェルドラさんが言う。この世界についてまだまだ知らないことだらけの俺にとっては願ってもない機会だ。時間とヴェルドラさんが許す限り、多くのことを訊ねよう。

 

・・・・・・・・・そんなことを考えていたその時、ある来訪者によって胃袋の外・・・店内の空気が一変した。

 

 

 

『──いいんですか、カイジン殿?こんな所でのんびりしてて』

 

『ベスター・・・!?』

 

「・・・・・・あ?」




竜種や竜族について間違っていたらすみません・・・・・・
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