転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第43話となります。

ライザ3にブレワイ続編のティアキン(略称未定)・・・来年が楽しみですね。


予想外の贈り物

「───帰ってきたな」

 

 

 

目の前に広がる湿地帯と巨大な湖を眺め、俺はそう呟く。

 

時刻はもうすぐ昼になろうという頃。俺は青娥さんの『空間転移』で彼女と一緒にここシス湖まで帰ってきていた。夜遅く・・・・・・というか明け方まで作業していたので、つい先程まで仮眠を取ってから移動してきたのだが、やはりまだ少し眠い。

 

本当はもう少し寝ていたかったし、ドワルゴンを観光したかったが・・・・・・ベスターとの一件があった為、今回は早く帰った方がいいと青娥さんから言われた為にさっさとドワルゴンから逃げてきたという訳だ。観光はまたの機会にしよう。

 

しかし、結局リムルとカイジンさんたちは帰ってこなかった。すぐに済むとは思っていなかったし、青娥さん曰く裁判を受けることになるだろうとのこと。心配だが、大丈夫だと言ってくれた青娥さんを信じよう。

 

 

 

「はぁー、相変わらずジメジメした場所ですねぇ・・・・・・湖だけなら良かったんですけど、湿地帯というのはどうも・・・・・・」

 

「はは、気持ちは分かりますけどね・・・・・・まぁ、俺は結構好きですよ、ここ。慣れたってのもあるかもだけど」

 

 

 

どこかうんざりとした様子の青娥さんに苦笑しつつ俺はそう続ける。しかし、なんだかんだ言いつつ初めて出逢った頃からほぼ毎日この場所に通ってくれる辺り、青娥さんの人の良さを伺えた。

 

 

 

「んー・・・・・・地下に比べれば解放感がある分マシですかね・・・・・・それじゃアクトくん、早速ガビルさんを探すとしましょうか」

 

「はい。えっと、確か昨日・・・・・・別れる直前にガビルは首領から仕事を与えられてたっけ」

 

 

 

なんでも畑にブレードタイガーが。こことは別の地下洞窟への入口付近にリーチリザードの群れが現れたそうで、それらの討伐隊の編成をガビルが任されたんだった。そうそう、ブレードタイガーの方にはガビル自身が出向くように首領から指示を受けていたっけ。

 

 

 

 

「今のガビルならBランクのブレードタイガーくらい簡単に倒せるだろうし、リーチリザードの方も片付いてるだろ。まずはガビルを探して──・・・・・・」

 

「アクト殿ーーーっ!」

 

「ん?」

 

 

 

ガビルを探しに、とりあえず地下の住処に向かおうとしたその時だった。遠くから俺を呼ぶ聞き慣れた声が響く。そちらへ振り返ると、予想通りの声の主・・・・・・ガビルがホバーリザードに乗ってこちらに駆けて来ていた。

 

 

 

「アクト殿!青娥殿!帰ってきたのであるな!」

 

「ガビル!ただいま!」

 

「ただいま戻りました♪」

 

 

 

すぐ近くまでやって来ると、ガビルはホバーリザードから飛び降りた。俺たちの姿を確認すると笑顔でそう迎えてくれるガビルに俺たちも笑ってそう返す。ホバーリザードもどこか嬉しそうに鳴いていた。

 

 

 

「うむ、お帰りである!しかし昨日は一体どこへ?それに爺からは、もしかするとアクト殿たちは数日程帰ってこないかもしれぬと聞いていたが・・・・・・」

 

「あー、俺としても予想外だったんだけど、滅茶苦茶早く用事が済んでな」

 

「ははは、それは何より・・・・・・んっ?アクト殿、その服は・・・・・・?」

 

「あぁ、これ。いいだろ?自分で作ってみたんだ」

 

 

 

俺の着ている服が気になったガビルに見せびらかすように俺は体を動かす。俺が現在身に付けている服は、昨日シス湖を出発した時に着ていた物とは変わっていた。

 

黒のインナーの上に派手過ぎ無い程度に金色の装飾の入った黒いジャケットを羽織り、白いズボンの膝上までがっちりとガードしたジャケットと似た配色である黒のブーツ。そして黒の手袋と、全体的に黒をベースとした衣装に身を包んでいる・・・・・・そう、見る人が見ればすぐに分かるだろうが、これはゲーム内でランドルが着ている衣装を俺が可能な限り再現したものなのだ。具体的には闇SRである『リボーンファイター』の時のそれである。

 

ブーツにはリムルから貰った魔鉱塊を、それ以外のインナー等にはいつの間にか青娥さんが用意してくれた素材を使用したのだが・・・・・・正直、滅茶苦茶自信作です。どこからどう見てもランドルで、鏡越しに自分の姿を見た時はかなり興奮した。

 

 

 

「おぉ・・・・・・確かに素晴らしいな!一体どこでこれを?」

 

「ドワルゴンまで行ってアクトくんが作ったんです。私とのデートの為に用意してくれてー♪」

 

「違うだろ」

 

 

 

さらっととんでもない嘘を吐く青娥さんに思わずツッコんだ。何てことを平然と言うんだこの人は。ガビルが信じてしまったらどうする。

 

 

 

「と、ところでガビルは何やってたんだ?」

 

「ん?あぁ、見回りであるよ。ブレードタイガーとリーチリザードたちは倒したが、他にも危険な魔物が周囲にいるかもしれぬと話が出てな。なので以前より行っていた見回りを強化し、さらに広い範囲を警戒することになったのだ」

 

「おや、それにガビルさんが?」

 

「いや、我輩はたまたまであるよ。今日はアクト殿と青娥殿が不在故、暇だったのでな。シス湖付近の見回りに参加していたのである」

 

 

 

話を変えるために何をしていたのかガビルに訊ねると、彼はそう答えた。爺さんはここ最近の魔物の活性化は暴風竜が原因かもしれないと言っていたが・・・・・・その暴風竜、ヴェルドラさんに会ってきたなんて言ったらどんな反応をするだろうか。

 

それはさておき、討伐の方は問題なく終わったらしい。その表情からするに、特に大きな被害や犠牲は出ていないようだ。良かった良かった。

 

 

 

「しかし、成程・・・・・・昨日はどうしたのかと思っていたが、ドワルゴンへ行っていたとは。もしや、ドワーフ辺りから服の作り方を教わってきたのであるか?」

 

「あー・・・・・・確かにそうなんだが・・・・・・実は、教えてもらったのは服の作り方だけじゃないんだ」

 

「と言うと?」

 

 

 

俺の返事に要領を得られなかったようで、ガビルは腕を組みながら首を傾げる。その彼の姿に少し口元を緩めつつ、俺は隣に立つ青娥さんに視線を向けた。

 

 

 

「俺の服はついででさ、本当はこっちが目的だったんだ・・・・・・青娥さん」

 

「はいはーい♪えっと、確かここに・・・・・・・・・ありました♪」

 

 

 

青娥さんは返事をすると空間に手をかざした。すると空間に穴が空き、青娥さんはそこに手を突っ込んでなにかを探し始める。なにをしているのかと訝しげにガビルが見つめる中、やがて青娥さんは目当ての物を見つけ出し、それを引っ張り出すと俺に手渡した。

 

 

 

「これを作るためにドワルゴンに行ったんだ。まさか一日で完成するとは思わなかったけど・・・・・・オマケに俺の服まで作ってな」

 

 

 

そう呟きながら、俺は青娥さんから手渡されたそれをガビルに見せつけるようにして持つ。するとガビルは俺が手にしたそれ見て目を見開き驚いた。

 

 

 

「こ、これは・・・・・・!?」

 

「名付けて爆熱魔槍(バーニングランス)。魔鋼塊と、青娥さんから貰ったとある素材で作った槍だ。青娥さんが言うには特質級らしい」

 

 

 

バーニングランス。これこそ、俺がガビルの為に作り上げた武器である。燃え上がる炎のような赤い穂先の左右には刃が付いており、まるで三又にも見える魔槍だ。こちらも見る人が見れば分かるだろうが、このバーニングランスは『冒険王ビィト』という作品に登場する才牙という武器を再現したものである。個人的に槍で一番最初に思い浮かぶのがこれだったのだ。『ビィト』も大好きだったなぁ・・・・・・

 

ちなみに青娥さんから貰ったとある素材については・・・・・・まぁ、試し切りの時にでも説明するか。

 

 

 

「特質級・・・・・・!?アクト殿が作ったのであるか・・・・・・?」

 

「あぁ。ガビルに使って欲しくてさ」

 

「こ、これを我輩に!?」

 

 

 

バーニングランスが特質級だと知り驚いていたガビルだが、続く俺の言葉を聞いて更に驚く。特質級と言えばガビルの父親が持つあの槍と同じランクだから無理もないだろう。青娥さんから聞いたところ、並みの冒険者ではまず手にすることが出来ないらしいし。

 

 

 

「本当は、お前がどんな感じの槍を使いたいかとか聞くべきだったんだろうけど・・・・・・遠慮されそうだったからさ。あと、驚かせたかったってのもあるけど」

 

 

 

そこまで言うと、俺は黙ったままのガビルの反応を窺う。見ると、どうやらガビルは驚愕したまま硬直しているようで、申し訳無いが俺は少し笑ってしまった。

 

 

 

「そういう訳だからさ、受け取ってくれると嬉しい」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

彼の顔を真っ直ぐ見据え、俺はそう告げながら槍を差し出す。ガビルはまだ少し困惑しているのか、俺の顔とバーニングランスを何度か交互に見ていたが、やがてゆっくりとバーニングランスに手を伸ばした。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・あー・・・その、どうだガビル?初めてにしては割りとうまく出来たと思うんだけど」

 

「・・・・・・あぁ。これは、困るな」

 

 

 

手に取ったバーニングランスを静かに眺めるガビルの姿を見て、俺はどこか落ち付かず感想を促す。するとガビルは瞳を閉じ、顔を伏せてそうこぼした。

 

 

 

「わ・・・・・・悪いガビル!気に入らなかったか?どこか変なとこでも・・・・・・!?」

 

「いや、そうではないぞ。これはな・・・・・・嬉しすぎて困るのだ」

 

 

 

慌てた様子の俺に苦笑しながらガビルはそう答えた。どうやら怒っている訳では無いらしいが、どういうことか分からないので俺は彼の言葉の続きを待った。

 

 

 

「あの日・・・・・・ゲルミュッド様より授かったこの名前以上に嬉しい物など無いと、我輩は思っていた。しかし今、我輩はあの時以上に嬉しいと感じているのである。大切な友であるアクト殿からこれを贈られてな・・・・・・なので、少しあの方に対して申し訳無く思ってしまったのだよ」

 

「そ・・・・・・そっか、良かった・・・・・・てっきり変な物贈ったせいで怒らせちまったのかと・・・・・・」

 

「はは、誤解させてしまって済まぬアクト殿。そして・・・・・・本当にありがとう」

 

 

 

ほっと息を吐く俺にガビルはまず謝罪し、そしてその後に笑顔で礼を言ってくれた。最初は自分の作った物なんかでガビルに喜んで貰えるかどうか不安だったが、どうやら杞憂だったらしい。

 

それから少しの間の後。自分の言葉が恥ずかしくなったのか、頭を掻きながらガビルはこちらから視線を反らし口を開いた。

 

 

 

「・・・・・・しかし、ゲルミュッド様には申し訳無いが、アクト殿とは名前を贈り合いたかったものだ。そうすればこちらも貰ってばかりではないし、より深い仲になれたであろうに」

 

「いやー、もしそんなことをしてたらアクトくんはここまで強くならなかったでしょうしねぇ・・・・・・そう考えると、さっさと名付けしてくれたゲルミュッド様には感謝しなくては♪」

 

「青娥さーん?」

 

 

 

揶揄う青娥さんをジト目で見つめてやると彼女は「やーん♪」などとおどけた様子でからからと笑った。割りと酷いことを言われていると思うのだが、もう青娥さんの嫌味には慣れてしまったのか、ガビルは平気な顔をしている。

 

 

 

「ははは、全く青娥殿には困ったものである・・・・・・ところで、もしアクトが名付けを行うとしたら、我輩にはどんな名を与えてくれるのであろうな?」

 

「えっ?んー・・・・・・俺が名前を付けるとしたらか」

 

 

 

ガビルの問いに俺は腕を組んで唸る。名前、名前か・・・・・・外見から何か特徴を見つけて・・・・・・って、犬猫じゃないんだからそんな風に決めるのはマズイか。それなら・・・・・・リザードマン・・・リザード・・・・・・リザードン?・・・・・・いやこれも駄目だろ。

 

 

 

「・・・・・・あー、考えてはみたけど・・・・・・やっぱガビルにはガビル以外の名前は似合わない気がするわ。つー訳で、俺もガビルって名付けさせてもらうってことで」

 

「はははっ!成程、では・・・・・・ガビルの名、確かに頂戴致しました!・・・・・・・・・なーんて──」

 

 

 

わざとらしい身振りでガビルが畏まり、それを見て俺が笑う・・・・・・まさにその瞬間だった。

 

 

 

 

 

『シュゴォオッ!』

 

 

 

「はっ?」

 

「あっ?」

 

「えっ?」

 

 

 

突然ガビルの体が光り出し、俺たち三人は間の抜けた声を漏らした。それと同時に俺は大きな脱力感に襲われた。立っていられない程ではないが、流石に足元がふらついてしまう。それを見た青娥さんは心配してくれたのか、少し慌てた様子で俺の腕を掴んだ。

 

 

 

「ちょっ、大丈夫ですかアクトくん!?」

 

「は、はい・・・・・・けど、一体何が・・・・・・」

 

「う、うぉおおおおおっ!?」

 

 

 

光を放つガビルは混乱しているのか声を上げ続けている。その時、俺はあることに気付いた。この現象・・・・・・俺が青娥さんに名付けして貰った時にそっくりなのだと。

 

やがて、力の奔流と眩しい光が止んだそこにいたのは、俺たちの良く知った姿のガビルではなかった。

 

体の鱗は緑から紫へと変わり、頭部に生えていた角はより大きく鋭く伸びている。そして何より目を引くのが──翼だ。リザードマンには無い、まるでドラゴンの翼のような物が背中に現れていたのである。

 

 

 

「わ、我輩・・・・・・どうなったのである?ねぇ、アクト殿?青娥殿?」

 

「・・・・・・・・・あの、青娥さん?これって、もしかして・・・・・・」

 

「そう、ですねぇ・・・・・・これは、もしかしなくても・・・・・・」

 

 

 

不安そうに訊ねてくるガビルに対して何も答えずに、俺と青娥さんは顔を見合せ引きつった笑みを浮かべる。そして、二人でこう叫んだのだった。

 

 

 

『進化してるーーーッ!!?』




という訳で、バーニングランスだけでなく、アクトくんから名前まで貰ってしまったガビルでした。
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