転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件 作:乃出一樹
先月末から今月にかけて結構仕事が忙しくなりそうでして・・・・・・もしかすると投稿が遅れるかもしれません。
首領からガビルへの想いを聞いた俺たち。話が終わり、首領の間を後にした俺と青娥さん・・・・・・それと爺さんはガビルを追って地下から地上へ向かっていた。親衛隊長は仕事があるそうで別行動である。
「厳しい人ではあるけど・・・・・・やっぱりガビルを大切にしてるんだな、首領は」
「えぇ、あの方は立派なのです。首領としても、父親としても」
歩きながら呟いた俺の言葉に、爺さんはどこか嬉しそうにそう答えた。仲間たちから信頼され好かれている・・・・・・そういうところも、ガビルと似ているな。
それから他愛ない話をしながら俺たちは歩き続け、やがて地上へ出た。辺りを見回しガビルの姿を探してみると、少し離れたところでホバーリザードを撫でる彼の姿を発見する。どうやらいつもの部下の三人組も一緒らしい。
「もう、首領ってば酷いよね!どうしてガビル様のこと認めてくれないんだろ!?」
「同感」
「全く、何考えてんだよ首領は・・・・・・ガビル様は進化してこれまで以上に強くなったってのに!」
憤慨しながら首領への文句を吐き出す三人。仲間たちから信頼され好かれている・・・・・・と思っていたが、例外はあるらしい。ガビルを特に尊敬している者たちからは少し反感を買っているようだ。
「ははは、まぁ落ち着くのだお前たち。親父殿には親父殿の考えがあるのだろう」
「けどよぉ!」
「今のガビル様なら絶対に首領より強いよ!って言うか、進化する前でも強かったって!」
「然り。アクト殿と共に励んだ修行の成果」
三人を宥めるガビルだが、それでも彼らの不満は止まらない。その様子を離れて見つめ、爺さんは髭を撫でながら呟く。
「おやおや、仕方ない方たちですねぇ・・・・・・ガビル様を慕っているのは良いことだと思いますが」
「今気付いたんですけど、ガビルさんがやたら調子に乗りやすいのってあの三人のせいなのでは?」
「・・・・・・かも、しれませんねぇ・・・」
青娥さんの問いにはっきりと答えず爺さんは苦笑した。ガビルの回りにいて目立つのは確かにあの三人だが、他のリザードマンにもガビルを慕っているからか誉めまくる連中が結構いる。ほとんどが若いリザードマンなのだが、毎日のようにあんな感じで煽てられては増長してしまっても仕方ない気もするな。
「・・・・・・でも青娥さん、見てくださいよ。ガビルの奴、あんなに褒められてるのに調子に乗り出さないぜ?」
俺からの指摘を受けた青娥さんが再びガビルの方へ視線を戻す。あちらで三人に囲まれたガビルは、彼らから称賛の言葉を沢山掛けられているが、小さく微笑むばかりでいつものお調子者と言った様子のガビルの姿は無かった。どことなく元気の無さそうな彼の姿に思わず青娥さんも口元を押さえ、「あら」と呟いた。
「確かにそうですね。あのガビルさんにしては珍しい」
「・・・・・・やっぱり、さっきの首領とのやり取りがショックだったのかな」
「恐らく・・・・・・ですが、ガビル様なら大丈夫でしょう。きっと明日にはいつもの調子に戻っている筈です」
不安そうな顔をしていたのだろうか、そんな俺を安心させるかのように爺さんはそう言って微笑む。俺よりも長くガビルのことを見てきた爺さんが言うのだ、きっと間違いないのだろう。
それでも、落ち込んでいる友達の姿を見て、俺はなにかをしてあげたいと思ったのだ。
「・・・・・・・・・よし。おーい、ガビルー!」
あることを決意した俺は、向こうにいるガビルへ呼び掛けながら近付いていく。その声で俺の存在に気付いたガビルは、手を振って俺に応えた。
「おぉ、アクト殿!それに青娥殿に爺まで!」
「あっ、アクトさんたちこんにちわー!」
ガビルの言葉の後で緑がにこやかに笑いながら手を振ってくる。モスも片手を上げ、忍者は俺と目が合うと無言で頷いた。この三人ともこの一ヶ月で大分仲良くなれたと思う。
「悪いなガビル。ちょっと首領と話しててさ」
「構わぬよ。ところで・・・・・・親父殿はなんと?」
「あー・・・・・・それは、なんつーか・・・」
「未熟者の息子を宜しく頼むと仰っていましたわ♪」
返答に困った俺がなんと答えようか悩んでいると、代わりに青娥さんがそう答えてくれた。あながち間違っている訳でもないし、とりあえずその理由で話を進めよう。
「む・・・・・・そうであるか・・・やはり我輩は・・・」
「そ、それよりもガビル!お祝いしようぜ!」
「えっ?お、お祝い?なんの?」
うまく誤魔化せたのはいいが、再び落ち込みそうになったガビルを見て慌てて俺はそう提案する。突然そんなことを言われたガビルは青娥さんの言葉を忘れて困惑した。
「ガビルの進化祝いだよ。青娥さんが言うには、ドラゴニュートになってAランクの壁を越えたんだろ?つまりあのオーガや牛頭族と馬頭族を越える、この森の強者になった訳だ。そう思ったら友達として祝ってあげたくなってさ」
「お祝い!?それってアクトさんが美味しい料理作ってくれるの!?」
「あぁ。腕によりを掛けて作るからさ、美味いモンでも食いながら皆でガビルを祝おうぜ」
期待に目を光らせる緑を見て、俺は小さく微笑みつつそう告げた。隣にいるモスは声を上げて喜んでおり、忍者は無言のままだが涎を垂らしている。どうやら俺はこの一ヶ月で三人の餌付けに成功したらしい。
それはさておき。首領の本当の想いを知ればガビルは間違いなく元気を取り戻すだろうが、流石に話す訳にもいかない。なので、美味しい料理を食べてもらってガビルに元気を出して貰おうと俺は思ったのだ。
「ホッホッホ・・・・・・それは良いですねぇ。私は賛成ですよ」
「勿論俺たちも賛成ー!アクトさんの料理を食べられて、ガビル様も祝えるなんて一石二鳥だもんね!」
「然り!」
「んー、アクトくんがそう言うんなら私も構いませんわ」
俺の意図を読み取ったのか、爺さんと青娥さんも話に乗ってくれた。先程の反応から緑たちも勿論乗り気。そしてガビルはと言うと、皆が自分の為に(青娥さんはどうでも良さそうであるが)祝ってくれると聞いて徐々に表情を明るくさせていた。
「み、皆・・・・・・我輩の為に、我輩の為にありがとぉーう!」
「おっ、元気になってきたなガビル様!」
「それでこそ我等がガビル様!」
「ガービール!ガービール!」
喜びのあまり、拳を天に突き上げガビルが叫ぶ。彼のその姿を見て部下三人は嬉しそうに様々な反応を見せた。
「全く、単純なこと」
「はは・・・・・・まぁ、そこはガビルの良いところでもあるんで」
「クルル・・・・・・」
「あっ?」
はしゃぐガビルたちの姿を見て青娥さんは呆れたようにそう呟く。苦笑しつつ俺がガビルのフォローを入れていると、何かに服の裾を引っ張られた。
「ホバーリザード・・・・・・ガビルが元気になってお前も嬉しいのか?」
「キュイッ!」
「はははっ、そっか。お前もガビルが大好きなんだな」
その何かとは、何時の間にか俺の傍に移動していたホバーリザードだった。俺がそう訊ねるとホバーリザードは嬉しそうに鳴いてみせる。人懐っこいそいつの姿に、俺は口元を緩めながら頭を撫でた。
そう・・・・・・この時の俺は、ホバーリザードの身にあんなことが起こるなんて、全く予想していなかったのだ。
表情豊かなところもガビルの良いところですよね。好き。