転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第46話となります。

転スラに登場する魔物や種族等、全て纏めた公式からの本が欲しいですね・・・・・・


シーザー

ガビルの進化祝いという名目で、彼を元気付ける為の軽いパーティーを行うことにした俺たち。そして現在、テンションが上がりまくったガビルたちを青娥さんが威圧・・・・・・いや、落ち着かせて、用意する食材について話し合っていた。

 

 

 

「やはり肉が食べたいのである」

 

「魚も欲しいですねぇ」

 

「甘い物も食べたくなるよねー」

 

「酒は当然あるよな?」

 

 

 

皆から出る意見を纏め、必要な食材をリストアップしていく。まあ肉料理と魚料理とデザートを作れば問題無さそうだ。作る量だけが問題と言えば問題ではあるけども。

 

 

 

「・・・・・・よし、必要な食材は大体決まったかな」

 

「はいはーい。それでは各自の担当を決めますねー♪」

 

 

 

皆の意見が出揃い、それらを纏め終えて俺はそう呟く。それを聞いた青娥さんは、いつもの笑みを浮かべながらそれぞれの担当を振り分け始めた。

 

 

 

「まず、ガビルさんの部下の方々は果実と野菜の調達をお願いします。住処の食料庫から持ってきても構いませんが・・・・・・首領に怒られたり他のリザードマンの方にアクトくんの料理のことがバレたりすると面倒なので、なるべくその辺から採ってきてください」

 

「はーい!」

 

 

 

青娥さんの指示を受け、緑が元気良く返事をする。ガビルを鍛えている相手だからか、単純に圧倒的な力を持つ相手に恐れているからかは分からないが、この三人も青娥さんに対しては割りと素直である。

 

 

 

「お爺さんは・・・・・・そうですね、魚を採ってきてくださいます?この辺りなら沢山いそうですし」

 

「ホッホッホ、いいですよ。釣りは好きですからねぇ。少し時間がかかるかもしれませんが」

 

「夕飯までに間に合えば大丈夫ですわ。それでガビルさんですが・・・・・・」

 

 

 

爺さんへの指示を終え、青娥さんはガビルを見る。祝う対象であるガビルも容赦無く働かせる辺り青娥さんらしい。ガビル本人も気にしてないようだし別に構わないのだが。

 

 

 

「んー・・・・・・では、飛行の練習も兼ねて一人で牛鹿でも狩ってきてもらいましょうか」

 

「飛行の練習、であるか?」

 

「はい。ドラゴニュートに進化したことで、翼を手に入れ飛行できるようになった筈です。いきなり翼だけで飛ぶのは難しいかもしれませんが・・・・・・習得し切っていないとは言え、ガビルさんも『飛空法』を習っていましたし、そちらと併用すれば問題ないでしょう」

 

「成程、了解である!では、早速行くとするかな・・・・・・皆、また後で会おうぞ!とうっ!」

 

 

 

青娥さんの言葉に頷いた後、ガビルは俺たちにそう告げると翼を広げて早速空へ飛び立った。少しふらふらとしていてやや不安定な飛び方ではあるが、あれだけ上手く飛べているのならばすぐに安定するだろう。

 

 

 

「すっげー!ガビル様、マジで飛んでるぜ!」

 

「うはー!やっぱりガビル様カッコいいーーーっ!」

 

「あら、気の早いこと・・・・・・まぁ別に良いですけど」

 

 

 

空を羽ばたくガビルの姿に皆たちは興奮を隠せないらしい。かくいう俺もそんなガビルを見上げ口元を緩めていた。その中で一人、飛んでいくガビルの背中を冷めた目付きで見つめていた青娥さんは、そう呟くといつもの笑みを浮かべて俺に振り向く。

 

 

 

「・・・・・・さて。残ったアクトくんですけど、また封印の洞窟にでも行ってもらいましょうか」

 

「封印の洞窟に?なんでまた・・・・・・」

 

 

 

予想外の場所が挙げられ、俺は不思議がりながら青娥さんを見た。あそこにはポーションの素材になる薬草や魔鉱石くらいしかないと思っていたのだが。

 

 

 

「アクトくん。実は魔物・・・・・・正確には魔獣ですけれど、その中には食べられる種族が多いんですよ」

 

「弱すぎるのであまり知られていませんが、牛鹿も一応魔獣ですしねぇ」

 

 

 

青娥さんの説明の後、付け足すように爺さんがそう続ける。牛鹿って魔獣だったのか・・・・・・ランク的にはいくつくらいなんだろう。食物連鎖の下の方にいるみたいだし、ゴブリンよりも低いのだろうか。

 

 

 

「それでですね・・・・・・アーマーサウルスを狩ってきて欲しいんですよ。こないだは見掛けませんでしたが、あの洞窟にも生息してますので」

 

「あいつ食えるの!?」

 

 

 

青娥さんがさらっと言い放った言葉に驚き、思わず俺は声を上げる。爺さんたちも知らなかったようだが、実はあの魔物は食べられるらしい。もしかして青娥さん、あいつ食べたことあるのか・・・・・・?

 

 

 

「アクトくんの実力なら問題はありません。現にドワルゴンでも倒してるんでしょう?一匹だけで十分ですのでお願いしますね」

 

「まぁ・・・・・・食えるんなら別に良いか。分かりました」

 

「ありがとうございます。私はお酒とその他諸々を調達してきますので」

 

「えっ、青娥さんは一緒に来てくれないんですか?」

 

 

 

てっきり青娥さんは一緒に来てくれると思っていたけど・・・・・・と、その時。俺のその言葉を聞いた瞬間に、青娥さんはにやりと意地悪な笑みを浮かべながら顔を近付けてきた。

 

 

 

「え~?私に一緒に来て欲しいんですぅ?もぉ~、アクトくんてば寂しがり屋さんですねぇ~♪」

 

「はっ!?いっ、いやいや!そうじゃなく!青娥さんがいないと行きと帰りが大変でしょうがよ!」

 

 

 

くすくすと笑う青娥さんに慌てながら俺はそう反論する。しかし、俺の言っていることは間違ってはいないのだ。ここから封印の洞窟までは結構距離がある。全力で飛んで、さらに『脱獄者』の『加速』を使えば割りと早く着くだろうが、そこから洞窟に潜ることを考えると夕飯には流石に間に合いそうにない。

 

 

 

「ふふふ、大丈夫ですよアクトくん。洞窟までは送っていきますし、こちらの用が済んだら迎えに行きますので」

 

「あー・・・・・・それなら、まぁ安心ですけど」

 

 

 

だが、そこは青娥さん。しっかり移動についても考えてくれていたようだ。彼女の言葉を聞いて俺が安心していると、爺さんが笑みを浮かべて声を掛けてきた。

 

 

 

「ホッホッホッ・・・・・・お二人は本当に仲が良いのですねぇ。ところで・・・・・・アクトさんにお願いがあるのですが」

 

「お願い・・・・・・俺に?」

 

「えぇ・・・・・・アクトさんが良ければですが、この子を一緒に連れて行ってあげてくれませんか?」

 

 

 

そう言った爺さんがちらりと後ろを見る。そちらに視線をやると、どこか悲しげな顔をしたガビルのホバーリザードの姿があった。

 

 

 

「あら。ガビルさんのホバーリザードですね」

 

「この子はガビル様に大変懐いておられるのですが、このように今回は置いていかれてしまい・・・・・・それと、最近はガビル様との時間が減っているようで落ち込んでいるようなのです」

 

 

 

そう言いながら爺さんはホバーリザードの頭を撫でる。そう言えば青娥さんとの修行中は基本俺とガビルだけで、あとはたまに爺さん辺りが様子を見に来るくらいだった。青娥さんの魔法やら俺たちの闘気が飛び交う場に、ホバーリザードを連れて来ると危ないとでも考えてのことだろう。

 

それでも毎日、一日中修行漬けという訳では無かったが、以前と比べてガビルとの時間が減ったのは間違いない。ガビルを修行に誘ったのは俺なので、落ち込むホバーリザードの姿を見て少し申し訳無くなった。

 

 

 

「・・・・・・こないだ行った感じだと、封印の洞窟は俺一人でもなんとかなりそうだったしな・・・・・・分かった、今日は俺がこいつの面倒見るよ」

 

「そうですか!ホッホッホッ、そう言って頂けると助かりますよ」

 

「気にしなくていいよ、ガビルとの時間が減ったのは俺のせいでもあるし。それじゃ、俺で良ければ一緒に行くか?ホバーリザード」

 

「キュイッ!」

 

 

 

俺に呼ばれたホバーリザードは嬉しそうに駆け寄って来た。可愛らしいその姿に思わず口元が緩み、爺さんのように俺もホバーリザードの頭を撫でる。罪滅ぼしという訳ではないが、俺なんかと一緒でも喜んでくれるのなら幸いだ。

 

 

 

「それでは、その子も封印の洞窟へ連れて行くということで・・・・・・準備も済んだようですし、そろそろ移動しましょうかアクトくん」

 

「そうですね。お願いします、青娥さん」

 

 

 

青娥さんに声を掛けられた俺はホバーリザードに触れたまま、空いている方の手で青娥さんがこちらに差し出した手を握る。そして俺たちは一瞬の内に、昨日ぶりの封印の洞窟へ転移したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───乗せてくれてありがとな、ホバーリザード」

 

「クルルッ」

 

 

 

ホバーリザードに跨がって洞窟の中を行く俺は、乗せてくれているそいつの首を撫でながらそう告げる。俺の言葉が通じているのかは不明だが、ホバーリザードは機嫌の良さそうな声で短く鳴いた。

 

封印の洞窟に到着した俺とホバーリザードは、青娥さんと別れて洞窟に潜った。別れる前に青娥さんから、大体一時間くらい経ったら迎えに行くと告げられて。

 

青娥さんなら魔素を探ることで俺の居場所はすぐ分かるだろうが、念の為にドワルゴンで渡されたあのガマ口を再び預かっている。俺とガマ口の両方を探知出来るのであれば、青娥さんも俺たちを簡単に見つけられる筈だ。

 

 

 

「しかし・・・・・・どうしたもんか」

 

「キュッ?」

 

「んー?ガビルとお前のことだよ」

 

 

 

アーマーサウルスのことはそっちのけで、俺はそのことを考えていた。ガビルが修行に専念する程、ホバーリザードは彼と過ごす時間が無くなっていく。今日のことで、首領に認められる為にガビルはより修行に熱を入れる筈だ。そうなると益々ホバーリザードとの時間が無くなるかもしれない。

 

 

 

「ちゃんと休憩も、休みの日もあるんだけどな・・・・・・」

 

 

 

肉体と精神の両方を考えて、青娥さんはしっかりとそういった時間を取ってくれている。それに青娥さんの気分で突然修行が無くなる日もある。そういう日はガビルも仲間たちと寛いだり、ホバーリザードと森の見回りを兼ねて散歩をするなどして過ごしていた。

 

しかし、ヴェルドラさんがいなくなったことで最近のジュラの大森林は荒れている。昨日のように魔物たちがシス湖周辺で暴れれば、それの対処にガビルは追われる筈だ。リーチリザードやジャイアントバット程度ならば、ホバーリザードを守りながらでもガビルは間違いなく勝てる。いや、他のリザードマンたちでもなんとかなるだろうが、ブレードタイガー辺りの魔物が相手だと厳しい。もしも牛頭族や馬頭族、嵐蛇くらい強い魔物が現れたらガビルが戦うしかないだろう。その時、きっとガビルはホバーリザードを置いていく。今のガビルならなんとかなりそうな気もするが、それだけの相手との戦いにホバーリザードを連れて行くのは危険だ。はっきり言って、足手纏いにしかならない。

 

そして修行だ。シス湖にいるならまだいいが、いつかの牛頭族と馬頭族たちとの戦いのように遠出して修行をすることもまたある筈だ。修行の内容にもよるが、危険な相手との実戦を行う場合はホバーリザードは連れて行けないだろう。

 

 

 

「お前がもう少し強ければ、せめて自分の身は自分で・・・・・・とまでは無理でも、なんとか逃げ切れるくらいの力があればなぁ・・・・・・・・・・・・あ?」

 

 

 

そこまで言って、俺はあることに気付いてしまった。俺の間の抜けた声が気になったのか、ホバーリザードは足を止め顔をこちらに向ける。

 

 

 

「キュッ?」

 

「ん・・・・・・あー、いやな。この問題を解決できるかもしれない方法が思い浮かんだんだよ。要は、お前が今より強くなればいいんだ」

 

 

 

そう、至って単純なことだったのだ。危険な修行の場や戦いの足手纏いになるというのなら、強くなればいい。

 

 

「勝手にこんなことしたらガビルに怒られるかもしれねえけど・・・・・・名付けだ」

 

 

 

そう呟きつつ、俺はホバーリザードから降りた。

 

俺の思い付いた案とは、名付けによってホバーリザードを強化することである。ガビル程強くはならないだろうが、リーチリザードくらいには強化出来ると思う。そのくらい強くなれば、ガビルだってこいつを足手纏いとは思わない筈だ。

 

本当はガビルに相談した方がいいに決まってる。だが、このことを言えばガビル自身がホバーリザードに名付けをするだろう。それによってガビルの弱体化が起きれば、首領への道がさらに遠退くかもしれないので出来れば避けたい。それなら、万が一のことを考えて俺が名付けをした方がいい。ガビルに名付けした時は弱体化しなかったし。

 

 

 

「お前の気持ちを考えれば、ガビルも分かってくれるかもな・・・・・・それで、お前は俺に名付けされても大丈夫か?」

 

「キュイッ!キュイッ!」

 

 

 

ホバーリザードに向き合い俺はそう訊ねた。どうやら喜んでいるようなので問題無いだろう。俺はホバーリザードの頭を撫でると、心の中でガビルに謝りながらホバーリザードに付ける名前を考え始めた。

 

 

 

「んー、そうだな・・・・・・ホバお、リザお・・・・・・違うな。リザードン・・・も駄目だ・・・・・・ヨッシー!・・・・・・は、まんますぎるしちょっと響きが可愛過ぎるか」

 

 

 

いざ名前を付けようとするとこれが中々難しい。色々と口に出してみるがどれもしっくり来ないのだ。

 

それからしばらく俺はその場でウロウロしたり唸りながら頭を悩ませていた。だが、やがて一つの名前が思い浮かぶと俺は再びホバーリザードに向き直った。

 

 

 

「──よし、決めたぜ。ホバーリザード、お前の名前は・・・・・・『シーザー』だ」

 

「クルル・・・・・・?」

 

 

 

漸く考え付いたその名は、某波紋戦士から取った名・・・・・・という訳ではない。同じ名前だが、これは『ドラクエⅤ』で仲間になる『グレイトドラゴン』のデフォルトネームの方だ。

 

ホバーリザードは竜族ではないが、『ドラクエ』で言えばドラゴン系に分類されるだろうし、『グレイトドラゴン』のように強くなって欲しいと願いを込めてこの名前を付けることにしたのである。

 

 

 

「まぁ、流石にあれくらい強くなるのは無理だろうけどさ・・・・・・とにかく、この名前でいいか?」

 

「クル・・・・・・キュッ、キュイィッ!」

 

 

 

苦笑しつつそう問い掛けると、ホバーリザードは声を上げてこちらにすり寄って来た。どうやらこの名前を喜んでくれているらしい。そして名付けを受け入れてくれたようで、俺の体から魔素が消費された感覚が起こる。この感覚には慣れそうに無いなと思いながら、俺は別のことも考えていた。

 

 

 

「・・・・・・魔物に名前を付けてると・・・・・・ドラクエのモンスターズシリーズを思い出すな──」

 

 

 

少しばかり懐かしくなりながら、そう呟いた瞬間だった。

 

 

 

《ユニークスキル『魔物師者(モンスターマスター)』を獲得・・・・・・成功しました》

 

「はっ?」

 

 

 

魔素が消費されるのと同時に脳内に声が響いた。これまで何度か聞いた世界の声に少し驚いていると、目の前でそれを遥かに上回る驚くべき出来事が起きていた。

 

 

 

「クル、クッ・・・・・・グ──グォオオオオオオッ!!!」

 

「ホバッ・・・・・・じゃない、シーザー!?」

 

 

 

ホバーリザード・・・・・・いや、シーザーの全身が目映い光に包まれたかと思うと、突然その体が大きくなり始めたのだ。何が起きているのか理解出来ずに俺はただその場で狼狽えることしか出来ない。しかし、この光景には見覚えがあった。確か、ガビルに偶然名付けしてしまった時もこんな感じになっていたような気がする。

 

なんだか妙に嫌な予感がしつつも俺はシーザーを見守る。やがて光が治まったそこにいた存在を見て、俺は呆然とした。

 

 

 

「・・・・・・・・・嘘だぁ・・・・・・」

 

「グルル・・・・・・?」

 

 

 

ホバーリザードよりも大きな体。そして立派な翼と爪を持った目の前のドラゴン──シーザーは小さく唸りながらこちらを見下ろしている。そう、シーザーなのだ。姿形はまるで違うが、俺には分かる。そう確信できてしまった。

 

シーザー自身も何が起きたのか理解出来ていないらしい。どこか不安そうにこちらを見つめている。ドラゴンへ進化して混乱しているシーザーのそんな顔を見上げながら、俺は引きつった笑みを浮かべることしか出来なかった。




レッサードラゴンの資料が全然見つからないので、もし全然違うようでしたら御指摘頂けると幸いです・・・・・・
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