転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件 作:乃出一樹
ドラクエモンスターズの新作って今後作られないんでしょうか・・・・・・冬に発売するカミュとマヤが主人公の作品が一応モンスターズ扱いってことなのですかね。
ジュラの大森林、シス湖。
周囲を広大な湿地帯に囲まれたそこは、地下にリザードマンたちが住処としている地下大洞窟がある。その為、シス湖付近・・・・・・ジュラの大森林の中央部はほぼリザードマンたちの支配下となっていた。
人間を真似たのか、湿地帯の一部で穀物を育てたり、少し離れて森の中で畑を耕し野菜を作ったり。シス湖で魚を獲ったり、森で狩りをしたり。あとは、怪しい者や危険な魔物がいないか湿地帯周辺の警備もしている。
ここでそうやって暮らす者たちにとっては、今日もいつもと変わらない平和な一日であった。
「グルルルッ、ガァアアアアアッ!」
「おぉーっ!空を飛ぶその姿、実に雄々しいのである!シーザーよ!」
・・・・・・湿地帯の空を、一匹のドラゴンが飛んでいることを除けば。
「・・・・・・本当に、アクトさんには驚かされますねぇ」
「・・・・・・・・・ごめん」
空を眺めながら苦笑する爺さんの隣で、俺は溜め息を吐いた。俺たちの視線の先には、楽しそうに空を飛ぶシーザーを嬉しそうに見守るガビルがいる。そんな彼らをぼんやりと見つめながら、俺は昨日起きたことを思い出していた。
「どうしてこんなことになっているのだァーーーーッ!!!?」
首領の絶叫がシス湖に響く。俺は何も言えず、その声を聞いてただその場に立ち尽くしていた。元ホバーリザードのシーザーも、どこか居心地が悪そうにしている。
「すみません・・・・・・本当すみません・・・・・・!」
「親父殿!アクト殿も決して悪気があった訳では・・・・・・」
とにかく頭を下げて謝罪する俺をガビルが庇う。ちなみにガビルたちには何が起きたのか既に説明済みだ。当然皆も驚いていた。
「ま、まさかホバーリザードがドラゴンに進化するなんて・・・・・・」
「アクトさんすげー!」
驚く親衛隊長とは違って、どこか呑気な緑は目を輝かせながら褒めてくれる。ちなみに首領は絶叫の後から沈黙している。まだ現実を受け止め切れないのだろうか。本当に申し訳無い。
「確かにこれには私も驚きましたね。『
「あー、これがレッサードラゴンなんですね」
隣にいる青娥さんの言葉を聞いて俺はそう返す。何かを考えているのか、青娥さんの顔にはいつもの笑顔はない。口元に手を当て、俺とシーザーをちらりと見て「ふむ・・・」と呟いていた。
「しかし、何故このようなことが起きたのでしょう?それだけアクトさんが強大な力を持っているということでしょうか」
「・・・・・・そうとも言えますわね。これは、アクトくんのスキルと封印の洞窟の環境によって起きたんだと思います」
「俺のスキルと、環境?」
シーザーを見つめながら不思議そうに呟いた爺さんの言葉に青娥さんはそう返す。その言葉が気になった俺が訊ねると、青娥さんはこちらを見て頷き説明を始めた。
「アクトくん。さっき封印の洞窟で新しいスキルを手に入れたと言ってましたよね?」
「はい。『
シーザーに名付けをした瞬間に獲得したスキルだ。このスキルになにか問題があるのだろうか。
「今、アクトくんのそのスキルを解析してみたんですけどね。面白い権能があったんですよ」
「面白い、ですか?」
「えぇ。『魔物師者』には四つの権能があるようでして。名付けの際のデメリットを無効化する『命名者』、名付けした魔物とのみ可能な『思念伝達』、名付けした魔物をどこからでも召喚できる『魔物召喚』・・・・・・そして、最後が『才能開花』」
「才能開花、であるか?」
青娥さんの説明を聞いて俺の隣にいたガビルが首を傾げる。そんなガビルに「はい」と答え青娥さんは続ける。
「この権能は名付けした際の強化量が増えたり、名付けした対象が成長しやすくなったりするんです。そして、対象の意思やその時の環境にも依りますが、予想外の進化を遂げる場合もあるようですね」
「予想外の進化・・・・・・じゃあ、シーザーがホバーリザードからレッサードラゴンに進化したのはそのせい、ってことですか?」
「間違い無いでしょう。とは言え、どうも『才能開花』の方はアクトくんの意思でコントロール出来ないようなので、シーザー自身のせいでもある・・・・・・と言ったところでしょうか」
そこまで言って青娥さんはシーザーの顔を見上げた。なんとなく彼女につられ、俺もそちらに視線をやるとシーザーがこちらに気付く。どこか嬉しそうに鳴いたシーザーを見て僅かに口元が緩んだ。
「シーザーの意思は分かりませんが・・・・・・青娥さん。あなたは先程、アクトさんのスキルと封印の洞窟の環境によってこの進化が起きたと言いましたね?」
その時、それまで静かに話を聞いていた爺さんが口を開きそう青娥さんに訊ねる。爺さんからの疑問を受けた青娥さんは、そちらに向き直るとその疑問に答え始めた。
「はい。とは言っても、憶測でしかありませんが・・・・・・封印の洞窟には暴風竜ヴェルドラが封じられていたのは御存知ですよね?そしてかの邪竜から漏れ出た魔素が溢れていたことも」
爺さんが頷く。封印の洞窟にはヴェルドラさんから漏れ出た魔素によって強力な魔物が多く発生しており危険だと、以前彼自身が言っていた。爺さんは当然、ガビルたちも知っているだろう。
「恐らくですが、シーザーはアクトくんが獲得した『魔物師者』の『才能開花』によって、邪竜から漏れ出て洞窟内に充満していた魔素を取り込んだのでしょう。それによって、通常では有り得ないレッサードラゴンへの進化を可能にしたのだと思います」
竜種たるヴェルドラさんの魔素と俺のスキルが合わさって今回の事件が起きたということか。そう言えばリムルの『胃袋』でのヴェルドラさんとの会話で、竜の因子がばら撒かれたことで魔素溜まりからレッサードラゴンが生まれるようになったと聞いた。もしかするとヴェルドラさんからも竜の因子が・・・・・・もしくはそれに近い力が魔素と共に溢れていたのかもしれない。
「成程・・・・・・憶測とのことですが、青娥さんの考えならば可能性は高いでしょうね。暴風竜の魔素、ですか・・・・・・そしてアクトさんの『魔物師者』・・・・・・」
「・・・・・・あの、お爺様。今はそれよりも、このレッサードラゴン・・・・・・いえ、シーザーをどうするか考えた方が・・・・・・」
顎に手を当て、何かを考える素振りをしながら爺さんはシーザーを見つめる。そんな爺さんに親衛隊長が小声でそう問い掛けた。
「そうですね。リザードマンがCランクなのに対してレッサードラゴンはB+ランク・・・・・・ここにいる方たちは問題ないとしても、他のリザードマンたちは不安になるかもしれませんね」
親衛隊長の不安そうな声を聞いて青娥さんがそう呟く。確かに青娥さんの言う通りだ。自分たちよりも強い魔物が住処にいたら彼等も不安に思う筈。ガビルに関しては人望もあったし外見がそこまで変わらなかったので大丈夫だったのだろう。
しかしシーザーはレッサードラゴンだ。ホバーリザードとは外見も強さもまるで違う。元々ここにいたホバーリザードだったとは言え、ガビルのように言葉を交わせる訳でもないこいつと他の連中が仲良くなれるか怪しい。仲間だった筈のホバーリザードたちからも拒絶されてしまうのではないか。
・・・・・・ガビルとシーザーの為を思っての名付けだったが、余計なことをしてしまった。最早どれだけ後悔したって、どうしようもないけれど。
「悪いガビル・・・・・・俺のせいでまたお前に迷惑かけちまって・・・・・・」
「なにを言うか、アクト殿が謝ることはないぞ!シーザーへの名付けは我輩とこいつを思ってのこと・・・・・・そもそも、我輩がシーザーのことを蔑ろにしたことが原因である!」
堪らず俯き謝罪する俺をガビルはそう励ましてくれた。顔を上げた俺を見てガビルは優しく微笑みながら頷くと、未だ呆けている首領へ向き直った。
「故に、全ての責任は我輩が取る!親父殿、シーザーは我輩が必ず面倒を見ます!他の者たちに迷惑など掛けませぬ!だから、これまで通りシーザーをここに置いてやってくれませぬか・・・・・・親父殿!」
「・・・・・・・・・はっ!?」
首領の状態に気付かぬまま、ガビルは彼の目の前まで近付くとそう訴えながら跪く。と、首領は目をぱちくりさせ辺りを見回し始めた。どうやら今のガビルの声で漸く正気に戻ったらしい。
話について来ていなかった首領だが、すぐに話の流れを理解したらしく、一つ咳払いをしてから口を開いた。
「・・・・・・う、うむ・・・まぁ良かろう。お前がそこまで言うのであれば。ただし、今の言葉通りそいつの手綱はしっかりと握っておけ。それが出来るのならば、このレッサードラゴンを我等の仲間として扱おう」
「本当であるか!?親父殿、感謝します!」
表情を明るくさせたガビルは勢い良く頭を下げた。二人のやり取りを見ていたシーザーと緑たち三人組が声を上げて喜ぶ。笑顔で静かに頷く爺さんの隣で親衛隊長は溜め息を吐いていた。だが、その表情はどこか安心しているように見えた。
「・・・・・・良かった、一先ずなんとかなったぁ・・・」
「ふふ・・・・・・良かったですね、アクトくん♪」
安堵から息を吐いた俺を見て青娥さんがにこりと微笑む。彼女の優しい笑顔に少しどぎまぎしながら、俺は苦笑して答えた。
「シーザー、済まぬが我輩は首領に相応しい男へなるべく修行を続けねばならん・・・・・・だが、お前との時間は必ず作る!それに、これだけ強く・・・・・・更に空を飛べるようになったのであれば、危険な所へも一緒に行けるのである!これからはお前も、我輩やアクト殿と共に戦おうぞー!」
「ギャウッ!グルォオオオオッ!」
首領からシーザーのことを許して貰えたガビルは、喜びながらそう意気込んでバーニングランスを空へ突き上げる。シーザーはガビルに応えるかのように、嬉しそうな声で咆哮してみせた。
「・・・・・・・・・ふっ」
そんなガビルの様子を少し離れたところから見守る首領が僅かに微笑んだのを、俺と青娥さんは確かに見ていた。
・・・・・・・・・と、そのようなことが昨日あったのである。
その後。親衛隊長や青娥さんの懸念通り、やはりシーザーは他のリザードマンやホバーリザードたちからは恐れられた。しかし、ガビルの必死な訴えでリザードマンたちからはなんとか受け入れて貰えた。ホバーリザードたちからは距離を置かれていたが、こちらはガビルと協力してなんとかシーザーとの仲を取り持って行こうと思う。
「グルルルッ!」
「わははははっ!どうしたシーザーよ、そんなにじゃれてきて・・・・・・もしや我輩に乗れと言うのか?」
そんなことを考えていると、いつの間にかシーザーが地上へ降りてきていた。シーザーは嬉しそうに鳴きながらガビルにすり寄っている。
「ホッホッホッ。シーザーがレッサードラゴンになったのは驚きましたが・・・・・・あのように嬉しそうなガビル様の姿を見られたことを思えば、きっとこれで良かったのでしょうねぇ」
俺の隣に立つ爺さんがガビルたちを見つめそう呟く。トラブルを起こした俺は何も言えないが、そうであれば良いと心の中で頷いた。
「よしよし、分かったのである!ならばお前の背に我輩を乗せて、このシス湖の空を翔るのだ!」
「ギャウッ!」
シーザーを撫でていたガビルだが、そう言うと同時にシーザーの背に跨がる。それを確認したシーザーは短く鳴くと力強く翼を羽ばたかせ、一気に空へ舞い上がった。
「おぉおおおっ!これは何とも良い心地だ!アクト殿、爺!お主たちも後でシーザーに乗せて貰うと良いぞーっ!」
空を舞うシーザーの背からガビルがこちらに手を振りながらそう叫ぶ。その声を受けた俺と爺さんは一度顔を見合わせた後、くすりと微笑んでからガビルに手を振り返した。
・・・・・・シーザーはきっと、これを望んでいたのだろう。
楽しそうにガビルを背中に乗せて飛ぶシーザーの姿を眺めながら、俺はそう思った。
ステータス
名前:アクト
種族:
称号:なし
魔法:なし
ユニークスキル:『
エクストラスキル:『魔力感知』
耐性:状態異常無効、精神攻撃耐性
ユニークスキル『
突破:耐性やスキルによりこちらの攻撃を無効、または妨害する効果を無視する。
思考加速:知覚速度を大幅に引き上げる。
身体強化:肉体を強化し、攻撃力や防御力を上げる。
ユニークスキル『
空間制御:自身に対する空間系能力を制御する。
脱獄:自身の行動を邪魔する効果を無効化する。
加速:速度を増加する。
道具作成:道具や武器を作成できる。モノによっては完成までの手順や時間を短縮可能。
ユニークスキル『
命名者:名付けの際に消費した魔素が必ず回復する。
思念伝達:自分が名付けをした魔物とのみ心で会話が出来る。相手が遠く離れていても可能。
魔物召喚:自分が名付けした魔物を召喚する。自分と召喚したい対象が遠く離れていても可能。
才能開花:名付けをした際の強化量が増えたり、成長しやすくなったりする。また、予想外の進化が起こることも。ただし、本人の意思や環境にも左右される。