転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第56話となります。

寒い日が続きますね。私は先週少し体調を崩してました。皆さんも風邪などを引かぬようお気をつけて。


三獣士

「ちょっと青娥さん!?いきなり何言ってやがるんです!?」

 

「聞いてない!我輩何も聞いてないのである!」

 

「ギャウーギャッ!」

 

 

 

突然告げられた青娥さんからの無茶振りに俺たちは当然猛抗議である。カリオン様の前ということも忘れ、俺とガビル、おまけにシーザーで青娥さんに詰め寄る。

 

 

 

「うふふふ、ごめんなさーい♪伝えておくの忘れてました♪」

 

 

 

しかしその青娥さんは俺たちなどの抗議の声など全く意に介さず、けらけら笑いながらそのようなことを抜かし舌ペロする始末。この人絶対俺とガビルが苦しむ姿を見て楽しんでるじゃん・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・・・・なんなんです?あの方たち」

 

「よく分からねえけど、見てると面白い奴らだな」

 

「ふん・・・・・・カリオン様の前でふざけやがって、雑魚共が・・・」

 

 

 

と、俺たちのやり取りを眺めながら三獣士の三人は呟く。ちなみに順にアルビス、スフィア、フォビオだ。どうやらフォビオは俺たちが気に入らないらしい。先程から発言を聞いている限り、カリオン様への忠誠心が高いのだろう。プライドが高そうなので、俺たちを見下しているというのもあるかもしれないが。

 

 

 

「・・・・・・なんか揉めてるようだが、どうすんだ?」

 

「あっ、少々お待ちくださいませー♪」

 

 

 

腕を組みながら呆れた顔で訊ねるカリオン様に青娥さんは振り向くことなくそう返す。先程から随分と無礼な態度を取っているが、今はそれどころではない。

 

 

 

「勘弁してくださいよ青娥さん!なんで魔王の支配地まで来て戦わなきゃならないんですか!」

 

「だからこそですよぉ。カリオン様の配下ならかなりの実力者であることは間違いありません。実戦形式の修行として最適です。それに獣人族(ライカンスロープ)が中心となっているこの国に受け入れてもらう為には、自分たちの力を示すことが一番ですし」

 

「いや、受け入れてもらうって別にここに住む訳じゃ無いでしょうが」

 

「今後どうなるか分からないじゃないですか。それに私の連れということで、彼らから見て今の二人に不信感があるのは事実・・・・・・とりあえずこの国にいる間、余計なトラブルを回避する為にも一戦どうでしょう?ゆっくり観光だってしたいですよね?」

 

 

 

俺の訴えに青娥さんは涼しい顔でそう返した。そういうものなのか・・・・・・確かにユーラザニアをゆっくり見て回りたいし・・・・・・いや待て、自分で言ってたけど不信感持たれてるのは青娥さんのせいだし、こんな流れになってるのも青娥さんのせいでは?

 

 

 

「し、しかしであるな。そうは言っても・・・・・・」

 

 

 

理解は出来ても納得は出来ない。そんな顔でガビルが食い下がる。いくら修行の一環とは言っても、魔王の配下を相手にするのは腰が引けるようだ。誰彼構わず強気に出たりしなくなった辺り、少しずつガビルも成長している。そんな彼を見て俺が少し嬉しくなった・・・・・・その時だった。

 

 

 

「おい邪仙!何企んでんのかは知らねえが、やるってんなら相手になるぜ!」

 

「そうだな、丁度暇してたところだ」

 

 

 

フォビオがアルビスより一歩前に出てそう言い放った。右拳を左の手の平にばしっと打ち付け、正しく獣のような獰猛な笑みを浮かべている。よく見るとスフィアも似たような表情でこちらを見つめていた。今にも飛び掛かって来そうな威圧感を感じる。アルビスだけは静かに静観しているが。

 

 

 

「マズイのであるアクト殿・・・・・・相手はもうやる気満々のようだぞ・・・・・・!」

 

「み、みたいだな・・・・・・ちょっと青娥さん、止めてくださいよ!」

 

「嫌でーす♪魔王はなんとかすると言いましたけど、その部下たちについては何も言ってませんし?」

 

「青娥さーーーん!!?」

 

 

 

くすくす笑いながら青娥さんは俺の頼みを却下した。この人、最初からこうなることを分かってやがったな・・・・・・!

 

 

 

「安心してくださいな二人とも。流石に殺されそうになったら止めますので。あくまで模擬戦ですわ♪」

 

「出来れば戦い自体を止めて欲しいんですけど・・・・・・」

 

 

 

もう何を言ったところで無駄なんだろうな・・・・・・内心そう思いながらちらりとガビルを見ると、彼もどこか諦めたような、あと悲しげな表情で俺に向かって頷いた。どうやらガビルも同じ考えらしい。俺は苦笑しつつ溜め息を吐いた。

 

・・・・・・まぁ、実は少し俺も気にはなっている。魔王の配下がどれだけの実力者なのか。そいつらを相手に俺はどこまで戦えるのか・・・・・・こっちに来てから随分と好戦的になったもんだな、俺も。

 

 

 

「おい青娥、話は纏まったか?」

 

「えぇ。大丈夫ですよね、アクトくん?ガビルさん?」

 

「あー、はい。なぁガビル、悪いんだけど俺、正直あいつらとちょっと戦ってみたくてさ・・・・・・もしもの時は青娥さんがなんとかしてくれるって言うし、それなら俺はいいかなって思うんだけど・・・・・・」

 

「アクト殿・・・・・・・・・うむ、アクト殿がそう言うのであれば仕方がないな。アクト殿だけを危険に晒す訳にはいかぬ・・・・・・よし、やってやろうではないか!」

 

 

 

再びのカリオン様からの問いに、今度は振り返って青娥さんは答えた。俺が遠慮がちにそう口にすると、それを聞いたガビルは覚悟を決めたらしく一度呼吸を整えてから力強く宣言した。

 

 

 

「そうかい。お前ら、悪いがこいつらの相手をしてやれ。手加減は要らん」

 

「はっ!・・・・・・くくく、三獣士に戦いを挑むとは身の程知らずの馬鹿共が。さーて、誰からブッ飛ばされたいんだ?」

 

「あっ、それなんですけれど。戦う組み合わせはこちらで決めさせて頂きますね」

 

 

 

カリオン様から指示を受けたフォビオは返事をすると、余裕そうな笑みを浮かべながら俺たちをじろじろと眺める。そんな彼の言葉に青娥さんは片手を軽く上げそう告げた。

 

 

 

「はぁ?なんだとテメェ・・・・・・」

 

「待てフォビオ!・・・・・・分かった、お前の好きにしろ」

 

「カリオン様!?」

 

 

 

青娥さんに勝手に決められるのが不満なのか、フォビオは彼女を鋭く睨み付ける。しかしそれをカリオン様に止められ、彼は訴えるようにカリオン様を見た。

 

 

 

「別にいいだろフォビオ、お前らなら誰が相手でも勝てる筈だ。ハンデだと思ってそれくらい許してやれ」

 

「わ、分かりました。カリオン様がそう仰るなら・・・・・・邪仙、カリオン様の優しさに感謝するんだな」

 

「えぇ、勿論♪」

 

 

 

渋々と言った様子でフォビオは頷き、青娥さんを再び睨む。フォビオからの鋭い視線を涼しい顔でやりすごしながら、青娥さんは戦う組み合わせを決め始めた。

 

 

 

「んー、それじゃあ・・・・・・誇り高き三獣士のフォビオさんはガビルさんと戦ってもらいましょうか」

 

「我輩が奴・・・・・・フォビオ殿と?」

 

「はぁ?そこのトカゲ野郎が相手かよ・・・・・・邪仙、テメェが掛かって来たっていいんだぜ」

 

「フォビオ!」

 

 

 

対戦相手をガビルに指定されたフォビオはつまらなそうに吐き捨てると、青娥さんを挑発する。どうやらフォビオは青娥さんがカリオン様を倒したという話を信じていないらしく、言動から見て取れるように舐めていた。彼が『魔力感知』を会得しているかどうか分からないが、青娥さんも今は妖気を抑えているし、もし『魔力感知』があったとしても実力を計るのは難しいのかもしれない。しかしアルビスは青娥さんの実力を理解しているのか、声を荒らげてフォビオを諌めた。

 

 

 

「なんだよアルビス。お前だってカリオン様に舐めた態度取ってやがるあのクソ女が気に入らねえだろ?」

 

「そ、それはそうですが・・・・・・!」

 

「ふふふ、ガビルさんとアクトくんの二人に貴方たちが勝てたなら、お相手致しますよ。さて、そのアクトくんの相手は・・・・・・アルビスさんにお願いしましょうか」

 

 

 

フォビオの言葉にアルビスだけでなく俺とガビル、そしてカリオン様も内心焦るが、当の本人は全く気にしていないようだ。最もそれは表面上だけで、腹の底では煮えくり返っているのかもしれないが。それはさておき、俺の相手はアルビスというあの女か。そちらを見ると、丁度彼女と視線が合う。

 

 

 

「アクト・・・・・・と言いましたか。お手柔らかに」

 

「あぁ、よろしくな。アルビス・・・さん」

 

「そう畏まらずとも構いませんよ?」

 

 

 

薄く笑みを浮かべてアルビスは軽く頭を下げた。こちらもそれに応じて挨拶していると、彼女の後ろでスフィアがつまらなそうな顔で声を上げる。

 

 

 

「なんだよ、俺だけ出番無しかよー!」

 

「んー、そうですわね。スフィアさんはまた次の機会ということで・・・・・・それとも、このシーザーとでも戦います?」

 

「ギャウッ!?」

 

「あー?冗談言うな。レッサードラゴンなんざ相手になるかよ」

 

 

 

少し考えたあと、青娥さんはスフィアにそう提案する。その内容にシーザーは信じられないといった顔で驚くが、スフィアがそれを拒否したことで安心したのかシーザーはほっと一息吐いた。

 

 

 

「・・・・・・そうだ。おい邪仙、もう一つハンデをやるぜ。俺と戦うトカゲだが、そのレッサードラゴンも連れてきて構わん。纏めて叩き潰してやる」

 

「あら、良いんです?」

 

「あぁ。最も、それでも俺の相手にはならねぇだろうがな」

 

「な、なんだとぉ!?」

 

 

 

余裕そうな表情でフォビオは青娥さんにそう告げた。舐められていると感じたガビルは怒りを露にしフォビオを睨むが、奴はそんなガビルの姿を鼻で笑う。

 

 

 

「なんだよ?悔しかったら実力で見返してみせな、トカゲ野郎」

 

「ぐぬぬぬ・・・・・・!よぉし、後で吠え面かいても知らぬからな!やってやろうぞシーザー!」

 

「グルルァアアアアッ!」

 

 

 

ガビルとシーザーは互いに見つめ合い気合を入れる。一人で魔王配下と戦うのは不安だったのだろうが、ガビルと一緒なら問題ないらしい。なにより主であるガビルを馬鹿にされたことが許せないのだろう。

 

そんなやりとりを黙って眺めていたカリオン様だったが、そこで一つ頷くとこの場にいる全員を見回しながら声を上げた。

 

 

 

「・・・・・・よし、相手は決まったな?それじゃ、場所を変えるぞ」

 

「えー?ここで始めても良くないですぅ?」

 

「良い訳あるか!壊れるだろうが俺様の城!?」

 

 

 

面倒臭そうな顔で口を尖らせる青娥さんにカリオン様がキレる。もしかして割りと仲は良いのかもしれない。俺は二人の姿を見て苦笑しながらそう思った。

 

 

 

「はぁ・・・・・・お前の相手してると疲れるぜ・・・・・・もういい、戦える場所まで移動するぞ。付いてこい」

 

「ふふふ、分かりましたー♪では、私たちも行きましょうか。アクトくん?」

 

「そうですね・・・・・・よし、行くか・・・!」

 

 

 

カリオン様は溜め息を吐くと、そう言ってどこかへ歩き出した。フォビオたち三人も静かにカリオン様に続く。俺は青娥さんにそう促されたると、一人気合を入れ直してから彼らに付いて行くのだった。




次回、ガビル(+シーザー)VSフォビオ
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