転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第57話となります。

フォス可愛いです。


ガビル&シーザーVSフォビオ①

カリオン様案内の元、俺たちはユーラザニアの首都である百獣都市ラウラにある闘技場にやって来ていた。戦闘民族とでも言われそうなくらい好戦的な獣人族(ライカンスロープ)たちが多く暮らすこの国には戦士たちの力を競う(娯楽でもある)為の闘技場がいくつかあるそうで、ここはその内の一つらしい。

 

到着した俺は闘技場内を見回す。かなりの大きさで観客席もあるが、人や魔物は俺たちを含めても全然いない。いつの間に呼んだのか分からないが、フォビオが身に付けているものと同じような装備をしたライカンスロープたちが十人ほどいるくらいだ。

 

 

 

「彼らは獣王戦士団と呼ばれる、カリオン様の配下の方たちですね。御覧の通り全員がライカンスロープで構成されていて、殆どがネームドだったかと」

 

「へー、そりゃ凄ぇ」

 

 

 

彼らを見つめる俺に気付いたのか、青娥さんが隣でそう説明してくれた。やはり魔王軍、当たり前だがリザードマンや牛頭族に馬頭族などとは配下たちのレベルも違う。その時、話をしている俺と青娥さんに気付き、カリオン様が近寄って来た。

 

 

 

「ここにいる奴らはほんの一部だ。急だったんで近くにいた連中だけしか呼べなくてよ・・・・・・まぁ、全員呼んだらそれはそれで喧しいってお前が文句言うだろうしな」

 

「あら、よくお分かりで♪」

 

 

 

嫌みっぽいカリオン様の言葉に、にこりと笑みを浮かべながら青娥さんは答える。そんな彼女にカリオン様は顔を背けつつ少し苛立った様子で鼻を鳴らした。

 

二人のやり取りに苦笑しつつ、俺は再び視線を獣王戦士団へ移した。よく見ると少女・・・・・・人間で言えば中学生くらいに思える背丈の子が混ざっていた。耳と尻尾の形状からするに狐のライカンスロープなのだろう。あんな可愛らしい子も所属しているのか・・・・・・もしかするととんでもなく強いのかもしれない。

 

 

 

「・・・・・・集まったのはこんなもんか。ギャラリーは少ねえが・・・・・・まぁいいだろう。おい邪仙、さっさと始めようぜ!構いませんよね?カリオン様」

 

「ん・・・・・・あぁ。好きにしろ」

 

 

 

そんなことを考えていると、フォビオが青娥さんを呼ぶ声が響いた。どうやら既に戦う準備が整っているらしい。カリオン様からの了承を得て、フォビオは口端から牙を覗かせるような不敵な笑みを浮かべた。

 

 

 

「向こうはあぁ言ってますけど・・・・・・宜しいですか?ガビルさん」

 

「うむ、問題無いのである。我輩たちの力を見せ付けてやろうぞ!」

 

「ギャウッ!」

 

 

 

確認する青娥さんにガビルは鼻息を荒くして答える。シーザーも彼に続いて同意するかのように短く声を上げた。

 

 

 

「分かりました。ではアクトくん、彼らの邪魔にならないようあちらへ移動しましょうか」

 

「そうですね。ガビル、シーザー、頑張れよ!」

 

「うむ、ありがとうアクト殿!」

 

 

 

青娥さんに促された俺は観客席に移動する前にガビルに声援を送る。それを受けたガビルは笑みを浮かべたまま力強く答えてくれた。頼もしい彼の姿に思わず自分も口端が緩むのを感じながら、俺は青娥さんに続いて観客席へ飛んで移動した。

 

 

 

「ふぁーっ!飛んだです!?」

 

 

 

俺の『飛空法』を見て驚く声が聞こえ、そちらを振り向くと狐耳の子が口をぽかんと開けてこちらを見上げていた。あの様子からするに空を飛ぶスキルかアーツを持った魔物はユーラザニアにはいないのでは・・・・・・と思ったが、離れたところにいたスフィアが空を翔るようにして観客席へ飛んで行く。成程、珍しくはあるが、飛べる奴は飛べるということか。

 

・・・・・・良く考えたら鳥のライカンスロープとかもいるんだもんな。多分あの子は翼も無いのに俺と青娥さんが空を飛べたことに驚いたのだろう。

 

 

 

「くく・・・・・・覚悟はいいか?トカゲ野郎」

 

「ふん、それはこちらの台詞である!魔王の側近だからと言って調子に乗らないことだな!」

 

「グルルルル・・・・・・!」

 

 

 

闘技場の中央付近でガビルとシーザーはフォビオと睨み合う。いや、フォビオだけは腕を組んだまま口元を緩めていた。シーザーはまだしも、今のガビルはAランクオーバーの上位魔人。そんな相手を前にしてこの余裕・・・・・・これまで俺たちが戦ってきた連中のように相手の実力を測れない馬鹿なのか、それとも・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・トカゲ野郎。そっちから攻めてきな」

 

「ほう、良いのか?一瞬で終わってしまうかもしれぬぞ?」

 

「はっはっはっ!こりゃ面白ぇジョークだ!リザードマンってのは笑いを取るのが随分上手いらしい!」

 

 

 

先手は譲るとそう挑発するフォビオにガビルは構えを取りつつ答える。そんなガビルをフォビオは馬鹿にするかのように声を上げて笑い出した。すると観客席から彼らを見ているライカンスロープたちもくすくすと小さく笑う。

 

・・・・・・正直面白くないが、ここは我慢するとしよう。それにこれだけ舐められているのはガビルのユニークスキル『御調子者(ミダスモノ)』の効果の筈だ。これで相手を油断させれば・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・あ、あのっ!」

 

「あ?」

 

 

 

ガビルを笑う声を無視しようと思った時、隣から女の子らしき声で呼び掛けられる。そちらを見ると、先程の狐耳の少女が心配そうな顔でこちらを見つめていた。

 

髪(毛色?)は赤、というよりは朱色。服装はヘソを露出したピッチリしている黒のタンクトップに、ややくすんだワインレッド色のカーゴパンツらしきズボン。それと手にはグローブを、足はヒールの無いブーツを身に付けている。今更だが、フォビオや獣王戦士団たちと同じ格好ではないようだ。

 

しかし随分と露出の多いスタイルだな・・・・・・ズボンと言ったが腰の辺りが丸見えで、正面から黒い短パンらしき履き物と太ももががっつり見えている。確か、元居た世界だとチャップスとか呼ばれる作業用のズボンだったか。動きやすさを重視しているのかもしれないが、恥ずかしくないのだろうか。

 

 

 

「えっと、お前は?」

 

「はっ、はいです!えと、獣王戦士団候補のフォスと言います!初めまして!」

 

「フォスか。俺はアクト、よろしく」

 

「はい!よろしくです!」

 

 

 

互いに自己紹介すると、フォスはぺこりと頭を下げた。候補だそうだが、フォビオや他の獣王戦士団の連中とは違って礼儀正しそうというか、優しそうな印象を受ける。

 

 

 

「はは、そんなに畏まらなくてもいいぜ。それで、何か用か?」

 

「はいです!その、フォビオ様とあのドラゴニュート・・・・・・ガビルさん?あの戦い止めた方が良いと思うです・・・・・・フォビオ様、すっごく強いんですよ!」

 

 

 

話し掛けてきた理由を訊ねると、フォスは不安そうな顔で闘技場内のガビルとフォビオをちらちら見ながら言った。嫌味などではなく、本当にガビルを心配している様子のフォスに俺は少し嬉しくなり口元を緩める。

 

 

 

「そっか、ガビルのこと心配してくれてありがとな。けど大丈夫だ、あいつも結構強いんだぜ?」

 

「そ、そうなんです?でも、いくらなんでもフォビオ様が相手じゃ・・・・・・」

 

「確かにフォビオって奴もかなり強いみたいだけどよ・・・・・・俺の友達だって負けてねぇさ」

 

 

 

俺はそう言って闘技場のガビルたちに視線を移す。するとフォスとの会話中静かにしていた青娥さんが密着しそうになるくらいこちらに顔を寄せてきて。

 

 

 

「・・・・・・・・・アクトくんって、ロリコンだったりします?」

 

「しませんが!?」

 

「ふぁっ?」

 

 

 

とんでもないことを抜かしやがった。思わず声を上げて青娥さんにツッコむ。本当にこの人はもう・・・・・・!他所まで来て変なこと言わないで欲しい。

 

 

 

「・・・・・・ふっ。ならば、お言葉に甘えるとしよう・・・シーザー」

 

「ギャウッ!」

 

 

 

そんな馬鹿なやり取りをしている間にガビルたちに動きがあった。フォビオの挑発に対し冷静にそう返したガビルはシーザーを少し下がらせる。その行動にフォビオは眉を顰めた。

 

 

 

「おい、何の真似だ?さっさとそいつと一緒に攻めてくりゃいいだろう」

 

「なに、すぐに分かるとも。我輩がこれから・・・・・・この槍で何をするかがな」

 

 

 

そう答えつつガビルはバーニングランスを構える。そして静かに一息吐くと、妖気を解放しバーニングランスに魔素を集中させ始めた。

 

 

 

「はぁあああああああああ・・・・・・!」

 

「こいつ、トカゲの癖にこれだけの妖気を・・・・・・!」

 

「食らえッ!火炎大魔嵐(ファイアストーム)!!!」

 

「な、に──!?」

 

 

 

ガビルがバーニングランスを突き出した瞬間、ゴウッ!と凄まじい勢いで槍から炎が迸る。それは一瞬でフォビオに迫り、そして彼の全身を飲み込んでいくのだった。




そりゃバーニングランスですし炎くらい出せませんとね。
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