転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第58話となります。

フォビオも好きです。


ガビル&シーザーVSフォビオ②

「ふはははははっ!どうだ、アクト殿の造りしバーニングランスの火力は!自信があるようだから本気で撃ったが、加減してやるべきだったかな?」

 

 

 

バーニングランスから放たれた炎に飲み込まれたフォビオを見てガビルは得意そうに笑う。

 

ドワルゴンで俺が作ったあのバーニングランス。ユニーク級の武器に分類されるだけあって、強度や魔鋼で作られたという以外にもあれには特筆すべき点がある。

 

それは使用者の魔素を消費することで元素魔法、『火炎大魔嵐(ファイアストーム)』を放つことが出来るということだ。何故そんなことが可能なのかというと、青娥さんから貰った『魔晶石』のお陰である。

 

魔晶石とは、魔物から採れる魔石を精製し成分を抽出したもの。魔晶石は様々なマジックアイテムの核などに利用できることから、この世界では高値で取引されているらしい。

 

そんな魔晶石に青娥さんは『刻印魔法』によって『火炎球(ファイアボール)』よりずっと上位の炎属性魔法である『火炎大魔嵐(ファイアストーム)』を付与したそうだ。魔法について俺は基本的な知識しか知らないし、そっちは全く手を付けていないので説明を聞いてもどういう原理や理屈があるのかさっぱり理解出来ないだろうが、これだけの魔法を付与するとなると、きっとかなり高度な技なのだろう。

 

ちなみにだが、青娥さんは格闘よりも魔法やスキルを中心とした戦闘が得意らしい。キャラ的にも合っているな。

 

・・・・・・少し話が逸れたが、青娥さんが用意してくれた魔晶石と魔鋼。それらを俺の『道具作成』を使用して造り上げたのが、あのバーニングランスという訳だ。青娥さんがいなかったら、ただ外見だけ似せた魔鋼製の武器にしかならなかったから本当に感謝しかない。

 

 

 

「・・・・・・とは言え、流石に魔王の側近たるお主をこの程度で倒せるとは思っておらぬ。故に、次の一撃で決めさせてもらおう・・・!」

 

 

 

炎の中に閉じ込められたフォビオにそう語りながら、ガビルはバーニングランスを構え今度は闘気を高めていく。あの構えは『超龍槍撃(ドラゴンクラッシュ)』・・・・・・自身が持つ必殺のアーツで一気に勝負を決めるつもりなのだろう。

 

 

 

「よし、これなら・・・・・・!」

 

「・・・・・・ダメです」

 

「は?」

 

「ダメです。炎じゃ、フォビオ様は──」

 

 

 

ガビルの勝ちを俺が確信した時だった。隣にいたフォスが小さく呟いた言葉にどういうことかと俺は振り向く。そしてフォスが言葉を続けようとした瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

「お──おぉおおおおおおおおおおおおおッ!!!」

 

「なっ!?」

 

 

 

突然、獣のような咆哮と共に火炎大魔嵐(ファイアストーム)の中からフォビオが飛び出してきた。倒し切れるとは思っていなかったガビルだが、それでも大してダメージを受けた様子の無いフォビオの姿に目を見開き驚愕する。

 

 

 

「くたばれ、トカゲ野郎──!」

 

「う、おおおおっ・・・・・・!?」

 

 

 

予想外の事態、そしてアーツを放つ体勢に入っていたガビルはフォビオの接近に対応が遅れた。咄嗟にバーニングランスで迎撃しようとするもフォビオの方が僅かに早く。

 

 

 

「オラァッ!!!」

 

「ぐわぁあああああああああああああッ!!!」

 

 

 

フォビオの黒い拳が、ガビルの腹に突き刺さった。

 

 

 

・・・・・・・・・突き刺さった、のだが。

 

 

 

「あ、あぁああああああああ・・・・・・・・・あっ?」

 

「・・・・・・なっ、なんだとぉ!?」

 

「・・・・・・あれ?」

 

 

 

何故か、ガビルはノーダメージだった。攻撃したフォビオだけじゃなくガビル自身も驚いているようだったが、何かに気付いたらしいガビルはハッとした後でにやりと口元を緩めると即座に反撃に移った。

 

 

 

「でぇいっ!」

 

「ぐおっ!?」

 

 

 

先程とは真逆に、自分の攻撃が通じなかったことに動揺していたフォビオは反応が遅れてしまい、ガビルが横薙ぎに振るったバーニングランスの直撃を受けた。しかしギリギリで腕によるガードが間に合っている辺り流石という他ない。

 

ガビルの攻撃によって吹き飛ばされるも、フォビオはすぐに体勢を立て直す。再び睨み合う形となり、フォビオは苛立った様子で口を開いた。

 

 

 

「・・・・・・テメェ、今何をした。何故俺の攻撃が効かなかった・・・!」

 

「ふっふっふっ、さてな。運が良かったのだろうよ」

 

 

 

ガビルの返答を聞いて俺もようやく気付いた。成程、フォビオの攻撃を無効化したのは『御調子者』の権能、『運命変更』か。あの瞬間の攻撃を『不幸』と定義して無効化したのだろう。自分でもコントロール出来ない力だからガビルも驚いていたようだが。

 

 

 

「あら、ツイてますねーガビルさん」

 

「本当、良かったですよ・・・・・・それより、なんで『火炎大魔嵐(ファイアストーム)』が効かなかったんだ?」

 

「えと、フォビオ様は『炎熱耐性』を持ってるです。完全に防げる訳じゃないですけど、フォビオ様とガビルさんの実力差もあるですし、それに・・・・・・ほら」

 

 

 

俺の疑問に隣のフォスが答えてくれた。さらに何かを言いたげな彼女の視線の先を追う。そこには防ぎ切れなかった炎によって身体にダメージを負ったフォビオがいたのだが、よく見るとゆっくりとではあるがその傷が回復し始めていた。

 

 

 

「まさか、『自己再生』・・・・・・?あいつも持ってんのかよ」

 

「『炎熱耐性』と『自己再生』。その二つによってフォビオ様に炎の攻撃はあんまり意味が無いです」

 

 

 

耐性と回復系のスキルか・・・・・・それに合わせてガビルを上回る魔素量・・・・・・魔王の側近は伊達ではないということか。しかし、そのスキルと耐性はガビルだって所持している。向こうの手札がまだ不明ではあるが、ガビルだってまだまだやれる筈だ。

 

 

 

「ユニーク級の武器に頼り切っている馬鹿かと思ったが・・・・・・少しはやるじゃねえか」

 

「我輩もお主を少々甘く見ていたようだ。まさか『火炎大魔嵐(ファイアストーム)』の直撃を受けてその程度のダメージとは・・・・・・しかもたった今我輩が槍で与えた傷が回復し始めている・・・『自己再生』も持っているらしいな」

 

 

 

一連の攻防を互いに評価し合い、不敵に笑うガビルとフォビオ。それを俺と同じく観客席から見ていた獣王戦士団の連中がざわめき出していた。侮っていたガビルがフォビオに傷を負わせたこと、そして見ただけでは分からないだろうが『運命変更』によってフォビオの攻撃を無効化したことに驚いているのだろう。スキルによるものだと知っていなければ、普通に受けきったように見えなくもない。俺の隣にいるフォスもその瞬間を見た時「ふぁっ!?」などと声を上げていたしな。

 

 

 

「・・・・・・ところでフォビオ殿。我輩ばかり見ていて良いのであるか?」

 

「はっ、心配すんな。とっくに気付いてるからよぉ!」

 

 

 

睨み合っていた二人にそこで動きがあった。ガビルの言葉に荒い口調で返しつつフォビオは身体の向きを変える。見ると、彼の向いた方向からシーザーが低空飛行で真っ直ぐに突っ込んで来ていたのだ。先程ガビルが『火炎大魔嵐(ファイアストーム)』を撃つ直前にシーザーを下がらせていたが、その際に作戦を立てていたのだろうか。フォビオが炎に飲まれている間にシーザーは距離を取り、隙を突いて攻撃しようとしていた。

 

 

 

「グルルァアアアアアアアッ!!!」

 

「レッサードラゴン風情が・・・・・・『黒豹牙』のフォビオをどうにか出来ると思うなよ!」

 

 

 

咆哮と共に自身目掛け突撃してくるシーザーを見据えたフォビオは、そう吠えながら眼前に迫ったシーザーの顔面に右手を突き出す。激突するシーザーとフォビオ。その衝撃にざざざ、とフォビオは地面を足で削るように押される形となる。

 

だが、それはほんの一瞬で。シーザーの突進はフォビオの片手であっさりと受け止められてしまう。しかし、それもガビルは計算済みだったのか、既に動き出しフォビオに攻撃を仕掛けようとしていた。

 

 

 

「シーザーの攻撃など受け止めるだろうとは読んでいたのである!こうまで簡単にとは思わなかったがな!」

 

「はっ!こっちも、この隙に攻撃してくるだろうことなんざお見通し、だッ!」

 

「ギャウッ!?」

 

 

 

バーニングランスを構えて自身に迫るガビルに対し、フォビオはそう叫びながらシーザーを掴む手に力を込める。するとフォビオは片手でシーザーを持ち上げ、まるで自分の武器であるかのように軽々と振り回し始めた。

 

 

 

「グルゥウウウウッ!?」

 

「ぬぉおおっ!?シーザー・・・・・・くっ!」

 

 

 

驚愕しているような悲鳴を上げてシーザーはぶんぶんと振り回される。ガビルはそれに直撃しそうになるが、翼と『飛空法』を駆使し何とか空中へ飛び上がりそれを回避した。だが、そんなガビルを見上げ、フォビオがにやりと口元を歪めた。

 

 

 

「離れてくれてありがとよ!ふんっ!」

 

「ギィッ!?」

 

 

 

ガビルが自分から距離を取ったことを確認するや、フォビオは即座にシーザーを地面に叩き付けた。その威力に地面がひび割れシーザーが苦悶の声を上げる。しかし、それでフォビオの攻撃は終わらなかった。

 

 

 

「今度はこっちの番だぜ・・・・・・はぁああああっ!」

 

「っ!?な、なにかマズイのである!シーザーッ!」

 

 

 

フォビオはそう呟くと気合いと共に右手に妖気を込め始める。瞬時にそれを止めるべきだとガビルは判断し今度は身体を急降下させるが、それは間に合わなかった。

 

 

 

豹牙爆炎掌(ひょうがばくえんしょう)──ッ!!!」

 

「ゴギャァアアアアアアアアアッ!!!?」

 

 

 

妖気から変質した爆炎を纏ったフォビオの右手がシーザーの身体に撃ち込まれる。その瞬間、ゴウッと凄まじい炎と衝撃が巻き起こり、空中からシーザーに近寄って来ていたガビルはその勢いによって弾かれるように少し押し返された。

 

 

 

「うぉおおおおっ・・・・・・!シーザーッ!?」

 

「・・・・・・・・・加減はしたが、それにしてもダメージが少ない。成程、こっちも何らかの耐性持ちだったらしいが・・・ここまでだな」

 

「グッ・・・・・・グルル・・・・!」

 

 

 

シーザーの安否を確認する為にガビルが空中から翼をはためかせ風を起こす。炎と黒煙が晴れると、そこには地面に倒れ苦し気に呻くシーザーを見下ろすフォビオが立っていた。

 

 

 

「シーザー・・・・・・!」

 

「大丈夫ですよアクトくん。レッサードラゴンになったシーザーなら、あのくらいのダメージでは死にません。まだ戦いの途中ですし、もしもの場合は私が行きますから・・・・・・ね?」

 

「・・・・・・そうですね。すみません青娥さん」

 

 

 

思わず観客席から身を乗り出し掛けた俺の肩に青娥さんが手を置いてそれを諌める。不安な俺を落ち着かせるかのように優しく微笑んだ青娥さんを見て、俺は深呼吸してから強張っていた表情を緩めた。

 

 

 

「くく・・・・・・これでサシの勝負だぜ。今度はテメェに喰らわせてやるよ、俺の『豹牙爆炎掌』をな・・・!」

 

「それは、光栄であるな・・・・・・!」

 

 

 

シーザーの側に降り立ったガビルへ向け、フォビオは獰猛な笑みを浮かべそう告げた。奴の妖気と殺気を間近で受けてガビルは冷や汗を浮かべる。

 

だが、それでもガビルは決して気後れすることなく強気な姿勢を崩さなかった。にやりと笑いながらシーザーの状態を確認すると、ガビルは僅かに安堵しシーザーから離れる。そしてバーニングランスを構え、再びフォビオへと向かって行くのだった。




フォビオが『炎熱耐性』を持っているかは作品内で明かされてなかった筈ですが、仮にも炎のアーツを扱うのでそれくらいは持ってるだろうなと判断しました。もしどこかでその辺りが詳しく判明していたら申し訳ありません・・・・・・
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