転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第59話となります。

戦闘描写、難しいですね・・・


ガビル&シーザーVSフォビオ③

シーザーが倒れ、ガビルは単身でフォビオに挑む。魔素量ではフォビオに劣っているガビルだが、それでも彼は必死に食らい付いていた。

 

パワーもスピードもフォビオの方が上だが、ガビルはそれを巧みな槍捌きと体術でなんとかいなしていく。フォビオの猛攻を必死に耐え、隙を見つけてはガビルがバーニングランスを振るう。先程はあんなことを言っていたが、予想以上のガビルの動きにフォビオは自身のアーツ『豹牙爆炎掌(ひょうがばくえんしょう)』を繰り出せずにいる。素の戦闘力はともかく、戦闘の技術においてはガビルが勝っているようだ。これも青娥さんとの修行の成果だろう。

 

 

 

「ぐっ・・・・・・!この野郎、しぶとい・・・・・・!」

 

「ふははははっ!それはお主も同じであろう!」

 

 

 

そう、隙を突いて攻撃しているとは言ってもフォビオも相当の実力者。大きなダメージを与える程の隙など中々見せず、小さい裂傷や『火炎大魔嵐(ファイアストーム)』によるダメージでは、与えたところで彼の『自己再生』によってたちまち回復されてしまう。

 

そして、ガビルとて無傷でフォビオ程の戦士を相手に出来る訳など無く。これまでに何発もフォビオの拳や蹴りを喰らっている。『物理攻撃耐性』と『自己再生』のスキルのお陰で大した傷にはなっていないが、少しずつ、僅かにガビルが押され始めているように見えた。

 

 

 

「ふぁー・・・・・・ガビルさん凄いです。フォビオ様と互角です・・・!」

 

「フォビオの奴、結構苦戦してるじゃねえか!あんなに余裕ぶっこいてたのによ!」

 

「それだけあのドラゴニュートが強いということでしょう。それにスフィア。笑ってますけど貴女では彼の相手は厳しかったと思いますよ?フォビオと違って貴女は『炎熱耐性』を持ってませんし、『火炎大魔嵐(ファイアストーム)』を撃たれたら厳しいのでは?」

 

 

 

俺の隣でフォスが唖然としている中で、少し離れたところでスフィアとアルビスの会話が耳に届いた。フォビオを笑うスフィアをアルビスがそう言って諌めると、スフィアは表情をむっとさせ反論する。

 

 

 

「俺は『自己再生』だけで十分だっつーの!つーかそもそも当たらねえし!」

 

「どうだか・・・・・・あのガビルという方、何故か実力を読み違えてしまいましたが、相当な戦士のようですからね。フォビオがあそこまで苦戦するのであれば、貴女にとっても簡単に勝てる相手ではないでしょう」

 

「チッ、それなら今度は俺があいつと戦うぜ。そんで速攻でぶっ倒してやらぁ!」

 

 

 

スフィアはそう意気込み、自身の右拳を左の掌にばしっと打ち込んだ。どうやらガビルの次の対戦相手が決まってしまったらしい。俺はガビルに同情しつつ、意識を戦いに戻した。

 

 

 

「青娥さん。これ、どっちが勝つと思います?」

 

「んー、そうですねぇ・・・・・・今のところはフォビオさんでしょうか。地力の差でガビルさんを少し押してますし。とは言ってもガビルさんは技術やスキルである程度カバーしてますから、ほぼ互角に戦えていますけれど」

 

「フォビオが有利、だけどほぼ互角か・・・・・・」

 

「耐性と『自己再生』スキルによって膠着状態・・・・・・流れを変える・・・いえ、勝つ為にはどちらも自身のアーツが決め手になるとは考えている筈ですが・・・・・・さて」

 

 

 

頬に手を当て、考えるような仕草をしつつ青娥さんは呟く。俺は彼女の言葉を黙って聞きながら、フォビオという戦士を心のどこかで侮っていたことを恥じていた。カリオン様があれだけ恐れる青娥さんの元で修行していた俺とガビルなら、魔王の配下相手だろうときっと勝てるだなんて根拠も無く余裕ぶっていた。

 

しかし、いざ戦ってみればシーザーは瞬殺され、ガビルもかなりの苦戦を強いられている。ガビルが弱い訳ではない。フォビオが強すぎるのだ。正直、俺ならフォビオを問題なく倒せるとは思う。しかし、もし俺が戦うあのアルビスという女がフォビオよりも強かったら・・・・・・そう思うと不安に・・・・・・もなるが、それと同じくらい楽しみに思っている自分がいることに内心苦笑した。これでは彼らライカンスロープたちを戦闘民族だなんて言えないな。

 

俺がそんなことを一人考えていた時、ガビルたちの戦いに動きがあった。

 

フォビオの放った蹴りをガビルがバーニングランスを使ってギリギリのところで防ぐ。直ぐ様反撃しようとするガビルから距離を取ったフォビオは、乱れた呼吸を整えつつ真っ直ぐにガビルを見据えた。

 

 

 

「・・・・・・トカゲ野郎。いや、ガビルと言ったか。大した野郎だぜ、三獣士の一人であるこの俺を相手にここまでやるとはな」

 

「ようやく名を覚えてくれたようであるな。ふっふっふっ、お主こそ凄まじい戦士だ。本来であれば・・・・・・一月程前にアクト殿たちと出逢っていなければ、我輩など足元にも及ばなかったであろう」

 

 

 

目の前に立つガビルを強敵と認め、慢心を捨てたようだ。ガビルの名を呼んだフォビオの表情は先程までとまるで違っている。正しく、強敵と相対する戦士のそれのように思える。

 

 

 

「その言いぶりからすると、お前が強くなったのはここ最近なのか?」

 

「うむ。アクト殿に名付けしてもらったというのもあるが、彼と共に青娥殿の修行を受けてな・・・・・・少し、いや、とんでもなくキツイ日々であったが、お陰でここまで強くなれた。二人には感謝しているとも」

 

「邪仙か・・・・・・恐らく、奴がカリオン様を倒したというのも強ち出鱈目じゃないんだろう。それと、もう一人のアクトとかいう奴も間違いなくお前と同じ、上位魔人の実力者・・・・・・」

 

 

 

フォビオは目を閉じるとそう呟き出す。何かを考えているように見えたが、すぐに目を開くと鋭い目付きでガビルを見据えた。

 

 

 

「認めよう、ガビル。お前たちは我等、三獣士に匹敵する戦士だと。そのお前に俺は、俺に打てる全ての手を使い・・・・・・必ず勝つ!」

 

「なにっ・・・・・・!?」

 

 

 

フォビオはそう叫ぶと同時に、なんとガビルに背を向けて彼とは反対側に走り出した。ガビルだけじゃなく、観客席にいる俺たちほとんどの連中がフォビオの行動に驚く。先程まであれだけ荒々しく振る舞っていたフォビオがあんな行動をするとは思いもしなかったのだろう。

 

恐らくだが、距離を取ることで『豹牙爆炎掌(ひょうがばくえんしょう)』を撃つ為に必要な妖気を溜める時間を稼ぐつもりなのだろう。自身の、全力のアーツをガビルに喰らわせる為に。

 

 

 

「ッ、させぬぞ!」

 

 

 

一瞬呆気に取られたガビルだが、フォビオの意図を理解すると同時に駆け出した。彼の背中を追いながら自身もアーツを放つ為にバーニングランスへ闘気を集中させていく。

 

その時、俺は違和感を覚えた。ガビルから距離を取ろうとするフォビオだが、なんだか先程よりもスピードが落ちているように思える。妖気を溜めながらだから遅いのか、それともガビルとの戦闘で予想以上に消耗していたのか。フォビオとガビルの距離が徐々に縮まっていき、やがてガビルが追い付きそうになった瞬間、俺はフォビオのにやりとした表情を見てその違和感の答えを知った。

 

 

 

「──掛かったな!」

 

「ぬぉっ!?」

 

 

 

そう言うと同時にフォビオはばっと振り返った。彼の右手には妖気が溜められている。どうやらガビルを誘い、自分に接近したところで不意を突きアーツを叩き込む作戦だったらしい。だが、その程度の策ではガビルを捉えることなど出来ない。ガビルはいくらか驚いていたようだが、すぐにその場で動きを止めると笑みを浮かべた。

 

 

 

「くっ、ふははっ!残念であるなフォビオ殿!いくらなんでもそう簡単にはいかぬよ!」

 

「あぁ分かってる。これで仕留められるなんざ思っちゃいねえさ」

 

「む、どういう・・・・・・」

 

「はぁっ!!!」

 

 

 

静かに返したフォビオを見てガビルは眉を顰める。するとフォビオはガビルの言葉を遮るようにその右手を振るった。ガビル目掛けて──ではなく、足元へ。

 

 

 

「うぉおおおおっ!?」

 

 

 

ガビルが気付いた時には既に遅く、フォビオの『豹牙爆炎掌(ひょうがばくえんしょう)』が地面に炸裂した。直撃こそしなかったものの、その威力によってガビルは後ろに転がるように体制を崩す。

 

さらに、ガビルの周囲はフォビオの一撃によって生じた爆炎と巻き上げられた土煙に覆われてしまった。フォビオもその中に紛れ、観客席にいる俺たちからも二人の状況が掴めない。

 

 

 

「くっ・・・・・・しまった、これでは視界が・・・・・・!?」

 

「おぉおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」

 

「ッ・・・・・・でぇえええええいっ!!!」

 

 

 

二人の姿が炎と土煙の中に消えてから数秒も経たずにフォビオの咆哮が響いた。そしてそれに反応したかのようにガビルの声が続く。

 

 

 

「ふぁー・・・一体あの中で何が起きてるです!?」

 

「これじゃ何も分からねぇよな・・・・・・」

 

「でしたら見えるようにしちゃいましょう♪」

 

 

 

俺とフォスがやきもきしていたところ、青娥さんが笑みを浮かべながら指を煙へ向ける。何をするのかと不思議に思った瞬間、闘技場内にぶわっと風が巻き起こった。恐らく魔法かスキルを使ったのだろう。

 

 

 

そして炎と煙が晴れたそこには、バーニングランスを真っ直ぐ突き出したガビルと、それに右手を貫かれたフォビオの姿があった。

 

 

 

「フォビオ様の手が・・・・・・!」

 

「ははっ、流石だぜガビル!」

 

 

 

あわあわしているフォスには悪いが、俺はフォビオの目眩ましに対応し反撃までしたガビルを見て小さくガッツポーズをした。最後の手段もこうして防がれ右手を潰された以上、この戦いはガビルの勝ちだろう。

 

 

 

・・・・・・しかし、その考えは甘かったのだと俺はすぐに思い知ることとなった。




フォビオたちの更に詳しいステータスも公式で出して欲しいですね・・・
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