転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第62話となります。

ティアキン発売が待ち遠しいです。


アクトVSアルビス①

ガビル&シーザー対フォビオの戦いはフォビオの勝利で終わった。しかし、戦闘開始前にはあれだけこちらを見下していたフォビオが認めるだけの健闘である。敗北こそしたものの、魔王の側近との戦いでガビルも何かしら得たモノはあった筈だ。

 

そして、続いては俺の番。相手はフォビオが三獣士最強と呼ぶ程の女、アルビス。その彼女と今、俺は闘技場にて向かい合っていた。

 

 

 

「改めて・・・・・・獣王戦士団、三獣士が一人・・・『黄蛇角』のアルビスと申します。突然の話でまだ少し戸惑ってはいますけれど・・・・・・よろしくお願いします」

 

「戸惑ってるのはこっちも同じだよ。こちらこそ、よろしく頼むな」

 

 

 

気品を感じさせる動作でアルビスが軽く頭を下げる。なんだかフォビオともう一人の三獣士、スフィアとは大分タイプが違う。冷静で実力もあるということは、獣王戦士団の指揮官なども務めているのだろうか。

 

 

 

「・・・・・・しかし、驚きました。ガビルと言いましたか、彼があれ程の戦士だったとは。もしや、貴方も彼と同等の実力者なのですか?」

 

 

 

アルビスについて考えていると、その彼女が口を開いた。どうやら彼女にもガビルは認められたらしい。友達が評価され嬉しくなりつつ、俺は彼女の問いに答えた。

 

 

 

「んー・・・・・・一応、ガビルより強いぜ。これでも青娥さんに鍛えられてるからよ」

 

「ふふ、そうですか。それなら楽しめそうですね・・・・・・では、お喋りはこれくらいにして──早速始めるとしましょうか」

 

 

 

その言葉が言い終わると同時に、アルビスの身体が光に包まれる。するとアルビスの下半身が一瞬でまるで大蛇のようになった。まさかの変身に目を見開きながら、俺は漸く彼女が何の獣人なのか理解した。アルビスは蛇の獣人・・・・・・そして、恐らくこれが『獣身化』なのだろう。

 

 

 

「うぉお・・・・・・ラミアみたいだ」

 

 

 

一人呟きながら、『獣身化』したアルビスを見つめる。よく見ると頭部から黄色の角が二本生えていた。成程、これが彼女が『黄蛇角』と呼ばれる所以か。

 

そう言えば、フォビオは戦闘の前にアルビスみたいに変身はしなかったが、彼には始めから尻尾が生えていた。恐らく常に少しだけ『獣身化』しているのだろう。きっとフォビオもアルビスも完全に『獣身化』すれば、外見はそれぞれの動物そっくりになる筈だ。

 

 

 

「これが私の戦闘形態です。半人半蛇・・・・・・どこか半端な姿に見えるかもしれませんが、この状態が一番戦い易いんですよ。手も使えますしね」

 

 

 

先程と変わらぬ冷静な笑みを浮かべながら、アルビスが自身の姿を俺に見せ付けるようにしてそう告げた。言葉は柔らかいが、その表情からは確固たる自信と、僅かな狂暴性が窺える。

 

しかし、だ。三獣士最強とフォビオが言うだけあって、彼より魔素量は確かに高いが・・・・・・そこまで圧倒的な差がある訳ではない。多分、やりようによってはフォビオだって勝てると思う。

 

それなのにフォビオがあぁまで言うということは、きっと何かあるのだろう。切り札とも言えるスキルか魔法かアーツか・・・・・・ともかく、油断は出来そうに無い。

 

 

 

「それでは・・・・・・参ります──!」

 

 

 

俺が気を引き締め直した瞬間、アルビスが動き出した。蛇の下半身をくねらせ、かなりのスピードで突っ込んでくる。地を這っているとは思えない程だ。

 

 

 

「っと、まずは様子見だ」

 

 

 

俺はそう呟くと、大きくバックステップしアルビスと距離を取る。それと同時に、『闘気弾』を両手から一発、二発と放った。全力で撃った訳ではなく、牽制目的の攻撃である。

 

 

 

「あら。この程度でどうにかなると思われたのでしたら、舐められたものですね」

 

 

 

自身目掛け飛んでくる気弾を見据えたアルビスは、錫杖を振るいそれらを弾き飛ばした。全力では無いとは言えそれなりに威力はあったのだが、いとも簡単に防がれた。やはりと言うかなんと言うか、見掛けと違いパワーもかなりあるらしい。

 

 

 

「流石にこれで倒せるなんて思っちゃいねぇさ」

 

「ふふ、ですよね。一安心・・・・・・ですっ!」

 

 

 

にこりと笑みを浮かべつつ、ざざざ、とアルビスは高速でこちらに向かってきた。俺はさっきと同じように後退しながら気弾を撃ち込んで行くが、それらは全てアルビスの錫杖に弾かれてしまう。

 

 

 

「じゃあ、これならどうだ?」

 

「っ・・・・・・はぁっ!」

 

 

 

今度はこれまでの気弾よりも威力の高いものを放ったが、アルビスは声と共に片手で錫杖を振るい、これも弾き飛ばした。しかし先程と違い一瞬のタメがある。感覚的にはAランク級の魔物にダメージを与えられるくらいの威力だが、このくらいになると簡単に防げはしないようだ。

 

 

 

「・・・・・・先程から遠距離から攻撃してきてますけど、見掛けに依らず臆病なんですね?」

 

「こっちは丸腰なんだ、勘弁してくれよ」

 

 

 

アルビスの挑発を笑って流す。まぁ丸腰と言っても身に付けているブーツ等は魔鋼で出来ているので十分武器と言えるのだが。

 

 

 

「・・・・・・てな訳で、このままやらせてもらおうか」

 

 

 

俺は気弾を撃つのを一旦止めると『飛空法』で低空飛行を始め、アルビスとの距離を離しつつ闘気を高め始めた。こちらの方がバックステップで移動するより体勢が安定する上に速いのである。アルビスはすぐにこちらの様子に気付き、俺が何かする前に止めようと距離を詰めようとするが、それより先に俺の準備が完了した。

 

 

 

「行くぜ──!はぁああああああああああああああッ!!!」

 

「・・・・・・っ!?」

 

 

 

闘気を溜め終えた俺は声を上げながら両手から連続で気弾を放ち始めた。ついさっき弾いた気弾と同程度の威力を持つそれらが何発も撃たれたことに、冷静なアルビスも僅かではあるが驚いた様子を見せる。

 

ちなみに。この連続で闘気弾を撃つアーツだが、見た目はまんま『ドラゴンボール』の登場人物である『ベジータ』が得意とするあの技である。よくグミ撃ちなどとネタにされるアレだ。原作やアニメだとあまり良いイメージが無いかもしれないが、俺は結構好きなのである。ベジータ自体が好きというのもあるかもしれないが。

 

 

 

「単純ですが、厄介な攻撃ですね・・・・・・!」

 

 

 

連続で放たれる気弾を前にし、今度は簡単には捌けないと判断したアルビスは錫杖を両手で持ち直した。そして妖気を解放すると錫杖を振り回し俺の気弾を弾いていく。

 

 

 

「ぐっ!?あぁっ・・・・・・!」

 

 

 

しかしアルビスは徐々に弾幕に対応し切れなくなり、遂に気弾が一発命中する。それを皮切りに錫杖による守りが追い付かなくなり、気弾がアルビスへどんどん命中し始めた。アルビス本人や近くの地面に直撃した気弾が爆発し、彼女の周囲は煙に覆われていく。

 

 

 

「はは、これなら──」

 

「──舐めるなッ!」

 

「あだっ!?」

 

 

 

流れを掴んだと感じ、思わず口元を緩めたその時だった。突然後方からアルビスの鋭い声が響き、それとほぼ同時に背中を強打される。何事かと混乱しながら振り向くと、そこには錫杖を構えたアルビスが立っていた。今の背中への一撃は錫杖によるものだろう。

 

 

 

「つ~っ・・・・・・!お前、いつの間に・・・・・・」

 

 

 

痛みに顔を歪ませながらつい訊ねる。アルビスは間違いなくほんの一瞬前まで俺の連続闘気弾を受けていた筈だ。その証拠に彼女の身体には気弾の直撃と爆発によってできたであろう傷がいくつかある。少なくともさっきの光景が幻などではないことは確かだ。となると、アルビスは気弾が撃ち込まれるあの地点から俺の背後まで一瞬で移動したことになるが・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・まさか、『空間移動』?」

 

「あら、よく分かりましたね。その通り、私は『制圧者(アッスルモノ)』というユニークスキルを持っておりまして・・・・・・このスキルにより空間転移を行ったり、逆に敵の空間転移を封じることが出来るのです」

 

 

 

アルビスは僅かに微笑みながらそう答えた。対象が自身ではなく相手という違いはあるが、空間操作に干渉することが可能という点では俺の『脱獄者』に含まれている権能の一つ、『空間制御』と似ているな。

 

 

 

「驚いたな・・・・・・『空間移動』を持ってる奴なんて青娥さん以外で初めて見たぜ」

 

 

 

正確には、封印の洞窟でそれらしきことをした何者かを確認してはいるのだが。

 

 

 

「驚いたのはこちらも同じですよ。まさか私の『天蛇眼(ヘビノメ)』が一切通用しないとは・・・・・・」

 

「『天蛇眼』?」

 

「毒、麻痺、石化・・・・・・様々な状態異常を敵に付与するエクストラスキルです。連続で闘気弾を撃ち込まれたあの時から発動しているのですが・・・・・・」

 

 

 

不思議そうにこちらを見つめるアルビスに思わず苦笑した。こいつそんなことあの時にやってたのかよ。毒と麻痺だけでも普通はヤバいが、石化なんて食らったら即死では?

 

 

 

「あー・・・・・・悪いけど、俺に状態異常系のスキルは効かねえよ。『状態異常無効』の耐性があるんでな」

 

「まぁ、『状態異常耐性』を上回るレジスト系スキルをお持ちとは。流石は邪仙に目を掛けられているだけのことはありますね」

 

 

 

それを聞いたアルビスは、わざとらしく口元に手をやり驚く素振りを見せた。その様子から大して動揺していないというか、まだ余裕があるように感じる。

 

 

 

「どうも・・・・・・で、ここからどうするんだ?とっておきの一つを潰された訳だが、空間転移の方で攻め続けたり?」

 

「いえ、そうもいかないのですよ。空間転移は意外とコントロールが難しくて・・・・・・それに魔素の消耗もそれなりにありまして、貴方程の戦士を相手にして多用は出来ません。正直、さっきの転移は自分でも驚くくらい上手く行ったのですよ?」

 

 

 

困ったように眉を下げつつも、笑みを崩さずにアルビスは語る。魔王の側近である彼女程の実力者でも空間転移は難しいらしい。ならば、そんな空間転移系のスキルや魔法を簡単に扱う青娥さんはやはりとんでもない人だ。改めて尊敬してしまう。

 

 

 

「成程・・・・・・それじゃどうするんだ?ハッキリ言って、このままじゃお前に勝ち目は無ぇぞ」

 

「でしょうね。こちらのスキルは通じない・・・そして悔しいことに、私の魔素量は貴方にかなり劣っている・・・・・・」

 

 

 

アルビスはそう答えると静かに目を伏せる。すると彼女は手にしていた錫杖を手放した。まさか降参するのだろうか。そう思い少し拍子抜けしたその時。

 

 

 

 

 

 

「──今の、この姿のままでは」

 

「・・・・・・・・・なに?」

 

 

 

ぽつりと、アルビスはそう零した。どういうことかと俺が眉を顰めたその時、なんとアルビスが手放した錫杖がふわりと彼女の正面に浮かび上がった。

 

 

 

「この錫杖は、本来武器では無いのです。これは・・・・・・『角』なんですよ」

 

「お前、何を──!?」

 

 

 

アルビスが持っていた錫杖が、まるで吸い込まれるように彼女の身体へと入っていく。錫杖が完全にアルビスの中へ消えた瞬間、アルビスの身体から凄まじい雷が迸った。目も眩む程の閃光に俺は咄嗟に腕で顔を覆うようにして守りながら、アルビスの様子を窺う。

 

 

 

そして俺は気付いた。アルビスの魔素量が先程よりも遥かに増加していることに。

 

何が起きているのか理解出来ず、俺はただ目の前で激しく鳴り響く雷を眺めることしか出来ない。やがて雷と閃光が収まったそこにいた者の姿を見て、俺は目を見開いた。

 

 

 

「──お待たせしました。これが私の本当の姿・・・・・・そして、これからお見せするのが、私の本当の力です」

 

 

 

そこに立っていたアルビスは、先程までの姿では無かった。身に纏っていた筈の着物が消え、代わりに黄金の鱗が鎧のように胸を覆い、首からは派手な黄金の装飾品を掛けている。そして額からさらに一本、黄金の角が生えていた。アルビスの言葉が本当であるならば、あれは先程まで手にしていた錫杖なのだろう。

 

激しい雷は収まったものの、変身の余韻か、はたまた抑えきれない程の力なのか、全身にバチバチと電気が迸っている。圧倒的な存在感を放ちながら君臨する彼女のその姿は最早蛇などではなく、竜のようだった。




アルビスって雷で攻撃してますけど、あれってスキルなんですかね?それともアーツ?
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