転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件 作:乃出一樹
モンスターズ新作が発表されましたね。まさかピサロが主人公とは・・・・・・
「ふぁああ・・・・・・!すっごく良い眺めで、すっごく気持ち良いです!乗せてくれてありがとです、シーザー!」
「ガァアアウッ!」
狐耳をぴこぴこ揺らしながら、シーザーに乗ったフォスが楽しそうに笑顔を見せた。彼女が礼を言いながら背中を撫でると、シーザーは嬉しそうに短く鳴く。俺は二人の近くを飛びつつ、微笑ましく思えるその様子を静かに眺めていた。
ここは首都ラウラからやや離れた街道・・・・・・の上空。俺とガビルは現在、獣王戦士団候補のフォスと、それから三獣士の『白虎爪』スフィアと共にカリオン様から依頼されたダンジョン調査へ向かっていた。目的のダンジョンは街道沿いにあるらしい。
探索の準備を済ませた時にアルビスから「ダンジョン近くまで『空間移動』で送っていきましょうか?」と申し出があったが、ユーラザニアの首都以外も見てみたかったし、こうしてフォスやスフィアと話す時間も少し欲しかったので遠慮させてもらった。
とは言え、流石に目的地まで徒歩だと時間が掛かりそうだったので、俺、ガビル、スフィアの三人は空を飛び、飛行能力の無いフォスはシーザーに乗って移動することになったのである。
「しかし、翼も無しに空を飛べるとは・・・・・・いや、アクト殿たちも出来るのだ。今更であったか」
「だな。けど、スフィアのは俺たちの『飛空法』とはちょっと違う感じがするぜ」
「あぁ、俺のは『飛翔走』っつーアーツでな。お前らみたく体全体で浮き上がって飛行するんじゃなく、空を走って移動してんだよ」
気になって見ていた俺たちに、スフィアはどこか得意気に説明する。ふむ。俺たちのアーツが『ドラゴンボール』の『武空術』だとするなら、スフィアのそれは『ONE PIECE』の『月歩』だろうか。
「へぇ・・・・・・ま、それはさておき。なぁフォス、ちょっと聞きたいことがあるんだけどよ」
「ふぁっ?はい、なんです?」
「お前がどういう風に戦うのか教えてくれねえか?これから一緒に戦うことになるんだし、仲間の戦闘スタイルは知っておいた方がいいだろ?」
もし戦闘中に攻撃の射線に入ったりして、互いの邪魔をしてしまっては勝てる戦いも勝てない。今回限りの即席PTだとしても、仲間の能力についてはしっかり把握しておいた方がいい筈だ。
ちなみに、スフィアとはラウラで模擬戦をしたのである程度戦闘スタイルについては把握している。スフィアは俺やフォビオのように格闘を主体として戦う戦士で、アーツなのかスキルなのかは分からないが、その身に雷を纏うことが出来るのだ。
「成程ー・・・・・・えと、私は近接戦闘が得意です。武器はこれを使ってるです!」
そう言ってフォスは腰に付けていた短剣をこちらに見せた。隣を飛んでいたガビルはフォスに近付くと、その短剣をしげしげと眺める。
「ふむ、よく手入れされているな」
「へぇ、そういうの分かるんだなガビル」
「ははは、これでもリザードマン族の戦士長であるからな。専門は槍とはいえ、他の武器についても多少は分かるとも」
振り向いてガビルは小さく笑った。そういえばガビルは戦士長なんだよな。こうして重要なポジションを任せられているところを見るに、やはり首領もガビルのことをそれなりに認め、信頼していたのだろう。
「・・・・・・しかし、全員見事に物理アタッカーだな・・・」
この場にいる面子を見て、俺は改めてそう思った。一応ガビルはバーニングランスのお陰で魔法を使えるけれど。あと俺も闘気弾があるし、近距離戦闘しか出来ないという訳ではないか。
「で、ですね・・・・・・一応私は魔法を使えるですけど、簡単な生活魔法だけなので戦闘にはちょっと・・・・・・」
俺の独り言を聞いたフォスは苦笑して頬を掻く。
『生活魔法』とは、一般の冒険者たちに必須とされる魔法のことだ。『元素魔法』や『精霊魔法』などのように分類が確立されている訳ではなく、戦闘用ではないいくつかの魔法をそう呼称しているらしい。元素魔法に基づくものがほとんどなんだとか。
例として、瞬時に全身を清潔にする衛生管理の魔法『
「俺は一つも魔法を使えねえからそれでも凄いと思うけどな」
「ふぁっ、ありがとうですアクトさん!・・・・・・私は戦闘用の魔法は使えないし、武器はノーマル。アクトさんたちみたく『闘気』もまだうまく扱えないですが・・・・・・その分、気合いと根性でゴリ押しするです!」
「その通りだぜフォス!どんな奴だろうと思いっきりぶん殴れば倒せんだ!」
「可愛い顔して随分脳筋な発言するねお前ら」
「やはりライカンスロープであるな・・・・・・」
力強く言い放ったフォスとスフィアに俺はガビルと二人で苦笑した。少し心配ではあるが、この笑顔を見ていると何故か頼もしさも感じる。まぁ、なにかあれば皆でサポートし合えば問題ないか。
「・・・・・・まぁそれはそれとして、だ。なぁフォス。魔法ってやっぱり覚えるの大変か?」
「えと、私はちょっと苦戦したですが・・・・・・」
そこまで言ってフォスはむむむと唸る。魔法が専門ではないようなのでどう説明したら良いか悩んでいるらしい。どうしたものかと難しい顔で考えていたフォスだったが、やがて少し自信無さげに口を開いた。
「んー・・・・・・生活魔法しか使えない私が言うのもなんですけど、やっぱり個人で得手不得手がありますから一概にそうとは言い切れないです。けど、大切なのは諦めずに努力することと、イメージすること・・・・・・だと思うです」
「イメージ・・・・・・確か青娥さんもそんなこと言ってたな」
以前、修行の合間に青娥さんから教えてもらったことがある。魔素を介してイメージを具現化する技、それが魔法だと。
『そうですね、なんらかの効果を生じさせるイメージを具現化したものが魔法・・・・・・と言えば分かりやすいでしょうか。例えば、『燃えろ』とか『冷えろ』等のイメージをエネルギーとして放つと、付属的効果として炎や氷が発生する・・・・・・と言った感じです♪』
そのように青娥さんは教えてくれた。まぁ魔法について軽く説明してもらっただけで、俺はまだ魔法を一つも教わってはいないけど。
「あと、具現化したイメージが主体となっているので魔法は物理現象にはなりません。なので『悪魔』や『精霊』のような精神生命体にも効果的だそうですよ」
「うむ、爺もそのように言っていたのである。幼き頃、魔法について学ぼうとした時だったか・・・・・・結局身に付かなかったけど」
最後にぼそりと付け加えたガビルの言葉は聞かなかったことにして、俺は魔法について考える。話を聞くだけなら簡単そうに思えるが、実際にはそう上手くいかないのだろう。しかし折角ファンタジーの世界に来たのだから魔法の一つや二つは使ってみたいな。
しかし『悪魔』と『精霊』ね・・・・・・そんな奴らともいつか戦う時が来たりするのだろうか。
「・・・・・・ところでアクトよぉ。その魔道具は一体なんなんだ?」
「んっ?あぁ、これか」
スフィアの声で我に返り、俺は彼女の視線の先・・・・・・自分の腰に下げられている小さな檻のような物に軽く触れた。
これはラウラから出発する直前にカリオン様から渡された物だ。なんでも青娥さんがどこかへ行く前にこれを俺に渡すようカリオン様に頼んだとのこと。これが一体どんなアイテムなのかは全く教えて貰えなかったらしく、とりあえず俺に携帯させるように伝えて欲しいとだけ言われたそうだ。
・・・・・・後で必ず青娥さんを注意しよう。あまりカリオン様を都合良く使わないようにって。滅茶苦茶苛立った様子だったからな、あの時・・・・・・連れの俺たちに文句の一つも言わないでいてくれたカリオン様には頭が上がらない。いや本当に。
ちなみにこの檻だが、デザインは『FGO』の『エレシュキガル』が持っているあの小さな檻にそっくりだ。Buster攻撃の際に取り出しているアレではなく、Extraアタックの際に地面から突き出てくるあの檻である。確か冥界にもあったような気がする。
しかし、それと全く同じという訳ではなく、サイズは手の平に乗る程度にまで小さくなっていたり、檻の内部に綺麗な水晶玉が入っていたりと異なる箇所もある。
「青娥殿がアクト殿に渡した物である以上、悪い物ではないと思うが・・・・・・どこか不気味というか不吉なデザインであるな・・・・・・檻かぁ・・・」
「カンテラかもですよ?」
不安そうに檻を見つめるガビルにフォスはどこか呑気な声でそう告げる。確かにそう見えなくもないか。まぁこれに関しては気にしない方向で行こう。いや、戦闘中に壊さないようにだけ気を付けておくか。
「・・・・・・ところでスフィア殿。例のダンジョンまではまだ時間が掛かるのであろうか?」
「いや、これくらいのスピードで行けば多分あと三十分も掛からないと思うぜ」
青娥さんのアイテムから話は変わり、ガビルが思い出したようにスフィアへそう訊ねた。もう少し二人とも話していたかったし、丁度良い時間かもしれない。
「そんなもんか。無理して急ぐことも無いし、無駄な消耗もしたくないからこのまま行こうぜ」
「俺は早く暴れてぇんだけどな・・・・・・まぁいいや。そんじゃ、ダンジョンに着くまでお前らのこと聞かせろよ。あの邪仙からどんな修行を受けたのかとか、色々さ」
「あ、私も知りたいです!」
「はっはっはっ、良かろう!ではまず我輩とアクト殿の運命的な出逢いから──・・・・・・」
スフィアの質問にフォスが食い付いた。俺たちのことに興味津々なフォスに気分を良くしたのか、ガビルは大きく笑ってからここ一ヶ月のことを語り出す。俺は少し気恥ずかしくなりつつも、皆と共にガビルの話を聞きながらユーラザニアの空を飛んで行くのだった。
フォスの使える生活魔法って何があるんでしょうかね。