転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件 作:乃出一樹
ポケモンのDLCもそろそろですね。楽しみです。
フラメアを見付け出し、魔物たちから救出して数分後。漸く落ち着いてきたのか、フラメアはゆっくり顔を上げると涙で瞳を潤ませつつ口を開いた。
「・・・・・・・・・・・・ぐすっ・・・・・・あの・・・・・・」
「ん、落ち着いたか?・・・・・・あぁ悪い。いつまでも触ってて」
恐る恐るこちらを見たフラメアになるべく優しい声色で語り掛ける。ふと、ずっと彼女の手に触れたままだったことを思い出し、俺は謝罪し自分の手を彼女の手から離した。
「あっ、いえ・・・・・・謝らないでください。えと、お陰で安心出来た・・・といいますか・・・・・・」
「そうか。それなら良かったよ」
「アクトさーーんっ!」
フラメアにそう返した時、俺を呼ぶ声が辺りに響く。声のした方を見ると先程別れたフォスがこちらに駆け寄って来ていた。
「フォス!こっちだ!」
「お待たせしちゃってごめんなさいです!それよりフラメアさんを見付けたんです・・・・・・・・・ふぁっ!?泣いてるです!?あ、アクトさん・・・・・・!」
俺たちの元へ駆け寄ってきたフォスだったが、目元を赤くし涙目になっているフラメアを見て何事かと驚く。おろおろしながらこちらを見るフォスが何となく可笑しくて、俺は小さく笑った。
「大丈夫だ、少し怪我はしてるがそこまで酷い傷じゃない。怖い思いをしたから混乱してただけだ」
「そ、そうですか!良かったです、何かあったのかと・・・・・・」
「・・・・・・あのぅ、あなたたちは・・・・・・?」
フラメアが無事だと分かり、フォスは安心したようにほっと息を吐いた。そのフラメアだが、俺とフォスを交互にちらちら見たあと、不安そうな顔でそう訊ねてきた。
「あぁ、自己紹介がまだだったよな。俺はドラゴニュートのアクト。よろしく」
「フォスです!種族はライカンスロープです!よろしくです!」
「アクトさんに、フォスさん・・・・・・・・・その、お二人はどうしてここに?」
俺たちの名前を小さく繰り返してからフラメアはそう訊ねた。さて、どこから説明したものか・・・・・・
「私たち、カリオン様の命でこのダンジョンを調査しに来たです!」
「カリオン、様・・・・・・って、えぇええええっ!あの魔王カリオン様ですか!?」
と、俺が悩んでいる間にフォスが答えてしまった。するとカリオン様の名を聞いたフラメアは声を上げて驚く。おっと、更に怖がらせてしまっただろうか。
「多分お前の考えてるカリオン様で間違いないぜ。そんで、このダンジョン近くまで来たときにコビーたちに会ってな。お前のことを助けてくれって頼まれたんだよ」
「そっ、そうだ!あのっ、コビーさんたちは無事なんですか!?」
俺がそう告げると彼らのことを思い出したのか、フラメアは慌てた様子で俺を見る。不安そうな彼女の顔を見た俺は、少しでもその不安が和らぐようにと出来る限り優しい声色で答えた。
「大丈夫、キャラバンを襲ってた
「そうですか!良かったぁ・・・・・・」
コビーたちが無事だと分かると、フラメアは安心した様子でほっと息を吐いた。本当に彼らのことを心配しているのだろう。そんなフラメアを見ていた俺はあることを思い出し、彼女に声を掛けた。
「コビーたちから聞いたぜ。皆を助ける為に囮になったんだってな」
「えっ?あ、いえ・・・・・・私には逃げることしか出来ませんから。それに、結局アクトさんたちに助けられちゃいましたし・・・・・・」
「それでも凄いよ。誰かの為に自分を犠牲にするなんて誰にでも出来ることじゃない。フラメアは優しくて、強いんだな・・・・・・尊敬する」
「そ、そんなことないですよぉ・・・・・・えへへへ・・・♪」
心からの言葉をフラメアに伝えると、彼女は僅かに顔を赤くする。照れているのか口元を緩めていたフラメアだが、やがて顔を小さく左右に振って表情を引き締める。そしてゆっくり立ち上がると俺たちを見据え口を開いた。
「・・・・・・・・・あの、改めて自己紹介とお礼を言わせてください。私は
そう言ってフラメアはぺこりと頭を下げる。真面目で良い子なんだな、と内心思いながら、俺は気にしなくて良いとフラメアに告げた。
「・・・・・・あのぉ、アクトさん。私たちこれからどうするです?」
その時。こちらを見上げながらフォスは小さく首を傾げた。どうする、とはきっとフラメアのことだろう。
「そうだよな・・・・・・フラメアを一緒に連れてく訳にもいかねえし一旦外に出たいけど、ガビルたちと分かれたままってのもなぁ」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・ん?」
とりあえずガビルに『思念伝達』で連絡を取ろうとした時だった。ふとフラメアからの視線を感じ、彼女へ振り返る。見ると、何故か彼女は俺の腰辺りをじっと見詰めていた。
「どうかしたか?フラメア」
「ふぇっ!?あ、いえっ!すみません、その・・・・・・アクトさんが腰に下げている物が気になってしまって、つい・・・・・・」
どうやらフラメアは青娥さんから預かったこの謎のアイテムが気になっていたらしい。手に持ったままでは邪魔になるので、とりあえず腰に下げておいたのだ。
「これか。これは俺の師匠・・・・・・みたいな人から渡されたものなんだ。どういうアイテムなのかは分からないけどよ」
「そうですか、お師匠様に・・・・・・へぇ・・・!」
フラメアはしゃがむと興味深そうにそのアイテムに顔を近付ける。こういう物が好きなのだろうか?それならばと、俺は腰からそれを取り外しフラメアに手渡した。
「ほら、見たいんだろ?」
「わっ、いいんですか!ありがとうございます!・・・・・・凄い。ほとんどが魔鋼で出来てる・・・・・・中に入ってるのは、加工された魔晶石かぁ。それと全体的に『刻印魔法』が付与されてる・・・どんな効果なのかは分からないけど」
「・・・・・・フラメア。お前、見ただけで分かるのか・・・?」
アイテムを眺めながら呟くフラメアに俺は目を見開く。これが魔鋼で出来てるなんて全く気付かなかった。中の珠もただの水晶だと思ってたし。ちら、と隣にいるフォスの様子を伺うと、彼女も目を丸くしていた。やっぱり見ただけじゃ普通分からないよな・・・・・・
「あっ、はい!私、戦う力は全然無いんですけど、その代わりに審美眼と解析に特化した『
にこりと笑みを浮かべながらフラメアは答えた。成程、ユニークスキルの力だと言うなら納得だ。
・・・・・・そういえば、フラメアは誰に名付けしてもらったのだろう?名付けは簡単に、というか気軽に出来る行為では無い。もしかすると誰か力のある上位魔人の配下なのだろうか。
「・・・・・・・・・あのぅ、アクトさん。ちょっとお聞きしたいんですけど・・・」
「ん?」
と、そんなことを考えている時だった。フラメアからそう声を掛けられ、俺は疑問を一旦頭の隅に追いやり彼女へ向き直る。
「もしかしてこのアイテム・・・・・・『邪仙』の青娥様がお作りになった物では?」
「は?」
すると、思いもよらない展開になった。まさかフラメアの口から青娥さんの名前が出るとは・・・・・・『邪仙』という異名まで知っているらしい。結構有名なんだなあの人。
というか青娥さんの手作りだと?カリオン様はそんなこと言ってなかったぞ。彼女のユニークスキルはそんなことまで分かるのだろうか。
「フラメア、どうして──」
そう思ったんだ?俺がそう訊ねようとした瞬間。
『あら!フラメアさんじゃないですか♪』
「おわーーーーーーッ!!!!?」
突然青娥さんの声が響いた。予想外の出来事に俺は思わず声を上げてしまう。め、滅茶苦茶驚いた・・・・・・先程のフラメアの言葉とは比べ物にならないくらい。
「せっ、せせ・・・・・・・・・青娥様!?」
「ふぁーっ!?どこにいるです!?」
フラメアとフォスもかなり驚いたらしく、慌てた様子で辺りを見回す。しかしどこにも青娥さんの姿は無い。
『もう、そっちじゃありませんわ。こっちですよー』
「こっち、って・・・・・・」
まさかと思いつつ、俺はフラメアの手の上にあるあのアイテムに視線を向ける。小さな檻のようなそれの内部にある水晶・・・・・・いや、魔晶石だったか。それになんと青娥さんの姿が映っていた。
『ふふ、御機嫌ようアクトくん♪』
「ご・・・・・・御機嫌ようじゃないですよ、もう・・・・・・」
魔晶石の中の青娥さんがいつもの様子でにこにこ笑っているのを見て、俺はやや呆れながらも口元を緩めた。ドワルゴンでもそうだったが、なんだかんだでこの人の笑顔を見ると安心してしまう程には、俺はこの人を好ましく思っているのだろう。
「ふぁー、驚いたです・・・・・・青娥様、これって通信用のアイテムだったです?」
『一応それも機能の一つではありますけど・・・・・・本来の用途は別ですね』
「本来の用途、ってのは?」
『んー・・・・・・それについてはまた今度♪』
見事なスマイルではぐらかされてしまった。今度本当に教えて貰えるのか疑わしいが・・・・・・とりあえず今は置いておこう。
『それよりも。私としてはフラメアさんがアクトくんたちと一緒にいることの方が驚きですよ』
「はっ、はい!アクトさんたちには危ないところを助けてもらって・・・・・・!」
「あー・・・・・・それじゃ、ここまでの経緯を簡単に説明しますね」
通信とは言え突然現れた青娥さんにいまだ困惑しているフラメアを見て、俺はとりあえずこの状況に至るまで何があったか説明することにした。スフィア、フォスと共にダンジョンの調査へ来たこと。途中でコビーと出逢い、そして彼に頼まれてフラメアを助けに来たことを。
『・・・・・・成程、成程。そんなことがあったんですね。全く、アクトくんは本当にお人好しなんですから』
「ははは、すみません・・・・・・師匠である人が優しいから、それが移ったのかも」
話を聞き終えた青娥さんはどこか呆れたように笑う。そんな青娥さんに俺は苦笑しつつそう返すと、彼女は一瞬目を丸くしたあと普段以上に意地の悪そうな笑みを浮かべた。
『あら生意気。これは後でお仕置きが必要かなー?』
「えっ」
『・・・・・・やーん♪冗談ですよぉ♪ところで、久しぶりですねフラメアさん。またお一人で旅ですか?』
「は、はい!今回は途中からコビーさんたちのキャラバンとご一緒させてもらいましたけど・・・・・・」
思わず表情を引きつらせた俺を見た青娥さんはけらけら笑ってフラメアにそう問い掛けた。冗談・・・・・・なのか?いや、でも今の間はなに?ダンジョンから戻った後が凄く怖い。
・・・・・・・・・えっと、それはさておき。そう言えば青娥さんはフラメアのことを知っていた。二人は知り合いなのだろうか。
「あの、青娥さん。青娥さんはフラメアと知り合いなんですか?というかもしかして、フラメアに名付けしたのって・・・・・・」
『いえいえ、それは違いますよ。フラメアさんに名付けしたのは・・・・・・そうですね、とある高貴な方、とだけ言っておきましょうか』
ひらひらと手を振り青娥さんは否定した。高貴な方か・・・・・・一体どんな人なのだろう。貴族?魔物に貴族だとかそういう身分ってあるんだろうか?
・・・・・・・・・もしかして魔王?いや、まさかな。
「青娥様とは一年程前にブルムンドで出逢ったんです。私、色んなところを旅するのが好きで・・・・・・その時にとても良くしてくださって」
「ふぁっ。もしかしてその時にこのアイテムを見せてもらったです?」
「はい!いや、えっと・・・・・・正確に言うとその時はまだ作りかけでしたけどね。だからすぐ思い出せませんでした」
フォスの問いにフラメアはそう答えた。本当に青娥さんが作った物だったのか、これ。俺のように『道具作成』のようなスキルを持っているのか、それとも自力で作り上げたのか。どちらにせよ凄いことだと思う。
『『魔封牢』と言いまして。中々の自信作なんですよー♪』
「『魔封牢』・・・・・・」
どこか自慢気に青娥さんは微笑む。やはりカンテラではなく檻・・・・・・牢だったか。しかし、何を封じるんだろう。後でちゃんと説明してくれると良いのだが。
『・・・・・・・・・あっ、そうだ。ねぇアクトくん。どうして私がカリオン様に、ここへあなたたちを向かわせるように言ったんだと思います?』
「え?そりゃあ、修行の為でしょ?」
『流石、よく分かってますね♪あとはまぁ、ダンジョンをなんとかすることでカリオン様に少しでも恩を売っておきたかったというのもありますが』
「えぇ・・・・・・」
魔王相手になんてこと考えてやがるんだこの人は。フォスとフラメアも信じられないって顔してるぞ・・・・・・
しかし次の瞬間、青娥さんはさらに信じられないことを俺たちに言い放ったのだった。
『それじゃ、追加の修行として──フラメアさんもPTに加えてそのダンジョンを攻略してくださいます?』
「・・・・・・・・・はぁッ!!!?」
そう言えば少し前に新しく始まったスピンオフの『美食伝』を軽く読んだのですが、シス湖って牡蠣が取れるんですね・・・・・・あそこって汽水域なのか・・・?それとも魔素の影響とか・・・?