転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第71話となります。

なんだか最近急に冷えて来ましたね・・・・・・いや、もう10月なんで涼しくてもおかしくはないんですけども。


ダンジョン探索①

色々あって、魔物に襲われていたフラメアを助け、彼女と共にダンジョンを探索することとなった俺とフォス。正確には青娥さんもいるのだが、こちらは魔封牢越しに会話が出来るくらいなので戦力としては数えていない。それでも万が一の時は助けてくれるそうなので、こうして見ていてくれるだけでも有難いけれど。

 

 

 

さて。そんな俺たちは今、ガビルとスフィアの二人と合流する為に来た道を戻っていたのだが・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たぁあああああああああっ!」

 

「・・・・・・!?」

 

 

 

威勢の良い声と共に、短剣を構えたフォスが駆けて行く。その先に立つのは『骸骨剣士(スケルトン)』と呼ばれる、文字通りの骨の魔物だ。人骨がそのまま動き出したかのような姿をしたそいつは、自身に迫るフォス目掛け得物であるロングソードを振り下ろす。

 

だが、フォスはそれを横へ飛んで難なく回避した。そのまま壁へと走り、壁を蹴って天井へ。フォスの素早い動きに翻弄されたスケルトンは慌てて上を見上げ、再び彼女に狙いを定めようとする。

 

しかしその時にはもう遅く。天井を蹴った勢いのまま飛んで行くフォスの放った銀閃によって、スケルトンは頭部を破壊され地面に倒れた。

 

 

 

「よっと!・・・・・・ふぁっ!?アクトさん、そっちに『鮮血の猪(ブラッドボア)』が行ったです!」

 

「分かってる!」

 

 

 

敵を倒して一息吐く暇も無く、フォスがこちらに振り返って叫んだ。それに応えた俺はブラッドボアと呼ばれた魔物を見据え構える。

 

スケルトンと同時に現れた魔物であるそいつは、全体的に禍々しい雰囲気を持った巨大な猪と言った姿をしている。ブラッドボアはフォスには敵わないと悟ったのか、まるで逃げるかのように俺とフラメアがいる方向へ向かってきた。

 

 

 

「ブガァアアアアアアアッ!」

 

「ぴぃいいいいいっ!?」

 

「大丈夫だよフラメア。見てろ・・・・・・オラァッ!」

 

 

 

咆哮と共に突進してくるブラッドボアを見たフラメアは可愛らしい悲鳴を上げながら俺の背中に隠れてしまう。俺は怯える彼女にそう声を掛け宥めると、眼前に迫ったブラッドボアの顔面に前蹴りを叩き込んだ。

 

 

 

「ブギャッ!?ゴ、ォ・・・・・・ッ・・・」

 

「ふぁー!お見事です!」

 

 

 

俺に蹴り飛ばされたブラッドボアは顔面から血を吹き出しながら地面を転がっていく。やがて壁に激突したブラッドボアは短く鳴いた後、絶命した。

 

 

 

「な?大丈夫だったろ」

 

「は、はいっ!お二人とも、本当に強いんですね!」

 

 

 

周囲に魔物がいなくなったのを確認してからフラメアに声を掛ける。安心したのか笑顔を見せるフラメアにつられて、俺も口元を緩めた。

 

 

 

「あの、アクトさん。私の気のせいかもですが、何だかさっきより強い魔物ばかり出てきてませんか?それに数も多いような・・・・・・」

 

 

 

その時、スケルトンを倒したフォスがこちらに駆け寄って来た。その手にはスケルトンから手に入れた小さな魔石がしっかり握られている。あんなスカスカな体にもちゃんとあるんだな・・・・・・どこに入ってたんだろう、頭か?おっと、それは今どうでもいいな。

 

 

 

「フォスもそう思うか?俺も少し気になってたんだよ。最初は気のせいかと思ってたんだけど、多分違うよな・・・・・・」

 

 

 

このダンジョンに入ってからフラメアを見つけるまでは、Cランクの牙狼族(がろうぞく)巨大熊(ジャイアントベア)くらいとしか遭遇しなかった。

 

しかしフラメアを助けてからは、フラメアを襲っていたアーマーサウルスを始めに、今戦っていたスケルトンやブラッドボアのような魔物を多く見掛けるようになっていた。スケルトンはDランクと比較的弱い方だが、アーマーサウルスはB-だし、ブラッドボアに至っては更に上でオーガと同じBランクである。牙狼族(がろうぞく)などよりずっと手強い。

 

その牙狼族(がろうぞく)たちもまだ普通に出ては来るが、少なくともこのダンジョンに入ってから倒した魔物の数はもうBランクやそれに近い奴らの方が多くなったと思う。

 

 

 

『始めに弱い魔物としか遭遇しなかったのは、恐らくフラメアさんの通った道を辿ってきたからでしょうね』

 

 

 

俺とフォスが唸っていると、魔封牢に映る青娥さんがそう話し掛けてきた。ちなみに、魔封牢は今フラメアに預けている。俺の戦闘中に壊れてしまったら大変なので、非戦闘員であるフラメアが持っている方が良いと思ったのだ。

 

 

 

「どういうことですか?」

 

『フラメアさんが『危険察知』というスキルを持っていることは話しましたよね?そのスキルによって、フラメアさんは強い魔物がいるルートを避けてダンジョン内を逃げ回っていたんです』

 

「・・・・・・あっ、そっか。その私の後を追い掛けてきてくれたから、アクトさんたちも魔物とあんまり遭遇しなかったんだ」

 

 

 

青娥さんの説明を受け、そのことに気付いたフラメアが静かに呟いた。青娥さんはフラメアの出した答えを肯定するように頷くと、さらに言葉を続ける。

 

 

 

『今になってスケルトンやブラッドボア等に遭遇するようになったのは、時間が経って別のルートから移動してきたか、もしくは魔素によって発生したんでしょうね』

 

「ふぁー・・・・・・成程です。でも、こんなに色んな魔物や血の臭いがしてると、私たちの臭いを見つけるのもちょっと苦労しますね・・・・・・」

 

 

 

戦うのは好きですけど、とフォスは付け加え苦笑した。俺たちは現在、ガビルたちを追い掛ける為に来た道を戻っている。ルートは覚えていないしマッピングもしていないが、フラメアを探してここまで来た時の俺たちの臭いを辿ればガビルたちと別れたあの別れ道まで戻れる筈なので、今度もフォスの鼻を頼っている。

 

しかし、いくらフォスが戦うのが好きとは言ってもBランク級の魔物たちを何匹も相手にすれば流石に疲労する。俺もフォスもまだ余裕はあるが、せめてガビルたちと合流するまでは消耗を抑える為に戦闘はなるべく回避したいところだ。

 

 

 

「・・・・・・・・・ん?そういやその『危険察知』、発動してなくね?さっきから魔物と遭遇しまくってんだけど」

 

「あれ?た、確かに・・・・・・どうしてだろ?」

 

 

 

俺の呟きを聞いてスキルの持ち主であるフラメアもそのことに今気付いたらしい。不思議そうな顔で首を傾げるフラメアを見て、青娥さんはいつもの笑みを浮かべながら疑問に答えた。

 

 

 

『それは多分アクトくんたちと一緒にいるからですよ。アクトくんたちなら大抵の魔物はどうにか出来ますからね』

 

「す、スキルが死んでる・・・・・・」

 

 

 

青娥さんの言葉にフラメアは愕然とする。彼女には悪いが確かに青娥さんの言う通りだ。慢心している訳では無いが、油断さえしなければスケルトンやブラッドボア程度の魔物なんかに俺たちは負けたりしないだろう。

 

 

 

『アクトくんがいる状況だとAランク・・・・・・いえ、最低でも特Aランク級の魔物でも現れない限り『危険察知』は発動しないかと』

 

「そんなぁ・・・・・・あ、いや危険な状況にならないのは良いことですけど・・・・・・うぅ~、ごめんなさいアクトさん、フォスさん。私、何の役にも立てなくて・・・・・・」

 

 

 

フラメアはそう謝ると耳を垂らしてしょんぼりと俯いてしまう。落ち込んでいる様子のフラメアには申し訳無いが、フォスのようにころころと変わる彼女の表情を見ていると、魔物だらけで危険なダンジョン内だと言うのに少し和む。

 

ちなみに特Aランクは『災厄級(カラミティ)』とも呼ばれ、上位魔人や上位精霊に上位悪魔、下位龍族(レッサードラゴン)の上位種である『上位龍族(アークドラゴン)』などがここに分類されるそうだ。俺やガビル、アルビスたちもこのランクである。

 

そう言えば、あのケーニッヒとかいう奴も上位魔人を自称していたが、多分あいつは下の方・・・というかギリギリ特Aランクと言ったところだろう。そもそも本当に上位魔人なのかすら怪しいが。

 

とりあえず、このランク帯の魔物には出て来て欲しくは無いな。フラメアの活躍する機会は無くなるけれど。

 

 

 

「そう気にすること無いけどな。元々戦闘員じゃないんだし、それに十分助かってるよ」

 

「そうです!フラメアさんのおかげで魔石とか沢山の荷物が持てるです!」

 

「ありがとうございます・・・・・・!まぁ、このバッグを作ったのは青娥様ですけどね」

 

 

 

フラメアはそう呟きながら腰に下げたバッグを撫でた。彼女が持っているそのバッグだが、実は青娥さんが以前プレゼントしたものらしい。今フラメアが言ったように青娥さんが手作りしたマジックアイテムで、見た目と違ってかなりの量を中に収納できる。しかも重さも常に一定なんだとか。なんでも希少な素材に空間魔法を使って作成したそうだが・・・・・・本当に何でも出来るんだな、青娥さんって。

 

 

 

『さくっと造った物なのでそこまで優れている訳ではありませんけどね。バッグの口より大きい物だと入れられませんし。少しくらいなら無理矢理押し込めば入ると思いますけど』

 

「いやいや、十分凄いアイテムですよ青娥様。冒険者だけじゃなく、多くの人が喉から手が出るほど欲しがると思います」

 

 

 

なんてことは無さげに呟く青娥さんの言葉を苦笑しながらフラメアは否定する。確かにこれを量産して販売すれば相当売れるだろうな。必要な素材と手間によってはとんでもない値段になるかもしれないけど。

 

 

 

『ふふ、ありがとうございます。そういう仕事をするつもりはありませんけどね。あくまで趣味の範囲ですよ』

 

「趣味でこれって、本当にとんでもないよな青娥さん・・・・・・あー、フラメア。とにかく俺たちより弱いことを気にすることはないからな?」

 

 

 

俺は小さくそう呟いてから逸れていた話を戻した。確かにこの世界においては戦う力があるに越したことはないだろうが、人間にも魔物にも向き不向きはある。そして戦うのが嫌いで、他にやりたいことがある人もいる・・・・・・いや、そういった人たちがほとんどの筈だ。

 

それを無視して、お前は弱いのだから強くなる為に鍛えろ、だなんて俺は言いたくない。だから俺やフォスたちみたいに、強くなりたい奴だけ鍛えればいいのだ。

 

 

 

「そう、ですね・・・・・・ありがとうございますアクトさん。その、すみません。励ましてもらっちゃって」

 

「気にすんなって。さて・・・・・・こんな息が詰まるところ、さっさと脱け出す為にもガビルたちと──!?」

 

 

 

少しでもフラメアの気を解そうと、そう言って俺は笑い掛けた。しかし、その笑顔は一瞬で消え去ることとなる。

 

 

 

ダンジョンそのものが、激しく鳴動したことによって。




今回は少し短めです。
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