転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第84話となります。

いつの間にかもう夏ですねぇ・・・


滅ぼされたオーガの里

フラメアを里の族長になる定めから解放する為に動いていた筈なのに、何故かラビットマンたちを従える立場に俺がなってしまった後のこと。

 

長老と族長さんは里中のラビットマンを集め、今回起きた出来事を皆に説明した。オークジェネラルとオークたちがジュラの大森林を侵略しようとしていること。伝説の特殊個体(ユニークモンスター)である豚頭帝(オークロード)が現れたかもしれないこと。フラメアが俺の部下となり、族長となる話は暫く見送ることとなったこと。その代わり、この里で暮らす自分たちは上位魔人である俺の庇護下に置かれ、安全が保証されたこと・・・・・・等である。

 

オークたちが森を侵略しに来ると聞いた時は皆混乱したり怯えた様子だったが、俺が里を守ってくれると知るとほとんどのラビットマンたちが安堵しているようだった。どうやら俺たちがヘルモス退治に出掛けている間にフラメアとガビル、それにコビーたちが俺の強さを皆に話していたらしい。さらに伏せ耳を圧倒したことと、オークジェネラルを倒したこともあり、ラビットマンたちからの信頼を得ることが出来たようだ。

 

ちなみに。信頼を得たついでに俺はラビットマン同士・・・・・・立ち耳も伏せ耳もある程度折り合いを付けて上手くやっていくようにと伝えておいた。この一大事に身内同士で争ってるような馬鹿共の面倒は見切れない、何かあったら俺たちが助けてやるからまずは仲間同士で手を取り合い、協力し合って欲しいと。

 

戸惑う者も多かったが、流石に長老と族長さんは賢かった。互いに顔を見合せ頷くと、大勢の前で握手を交わしたのである。里のトップが俺に従う以上、他のラビットマンたちもそれに付いていくしか無い。正直、まだ少し不安なところもあるが、握手をしている長老と族長さんの表情は穏やかだった。あの様子を見るに、少なくとも上層部での無駄ないざこざはもうしないだろう。ひとまずは彼らを信じて任せてみようと思う。

 

これで少しは、フラメアの好きなこの里も良くなっていくだろうか。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・それで、これから私たちはどうすればいいんでしょう?」

 

 

 

そう言ってやや不安そうに俺を見つめるのは、晴れて自由の身となったフラメアだ。

 

里中のラビットマンたちに説明を終えた後、俺たちはこれからの方針を決める為にコビーたちの馬車を一つ借りて、その中に集まっていた。族長さんと長老たちには一旦席を外してもらっている。この場にいるのは俺とガビルにシーザー、それとフラメアの四人だけだ。と言っても、シーザーだけは全身が馬車に入り切らないので、外から首だけ突っ込んでいる状態だが。

 

 

 

「どうすれば、つっても・・・・・・青娥さんに聞いてみないことにはなぁ」

 

 

 

申し訳無く思いながら俺はフラメアに答えた。そう、この場にいるのは俺たち四人だけ。実は今、青娥さんがいないのである。

 

なんでも確かめたいことがあるとのことで、十分程前にどこかへ『空間移動』で転移してしまったのだ。行き先も言わず、と言うかこちらが訊ねる前にぱっと消えてしまい、途方に暮れた俺たちはとりあえず彼女の帰りを待っている状態なのである。

 

 

 

「全く、青娥殿の奔放さには困ったものであるな」

 

「まぁ、そう言わないでくれよガビル。あの人、確かに滅茶苦茶自由で何考えてるか分からない時もあるけど、無駄なことはしないだろ?きっと俺たちの為に何かやってくれてるんだよ」

 

「さっすがアクトくん!私のことをよく分かってくれてますね♪」

 

「おわっ!?」

 

 

 

と、ガビルとそんなやり取りをしていたら真後ろに青娥さんが立っていた。急に声を掛けられた俺は思わずびくりと体を揺らす。

 

 

 

「せ、青娥さん・・・・・・脅かさないでくださいよ」

 

「ふふふ、ごめんなさい?」

 

 

 

驚く俺の姿が面白かったのか、青娥さんはくすくす笑う。それから一言そう謝ると、俺の隣にやって来て座った。

 

 

 

「相変わらず神出鬼没であるな・・・・・・それで、どこへ行っていたのだ?」

 

 

 

突然現れた青娥さんに目を丸くしていたガビルだが、すぐに表情を引き締め直しそう訊ねた。俺も気になっていたことなのでその答えを聞こうと青娥さんに視線を向け、眉を顰める。何故なら、一瞬前まで俺に見せていた笑顔が消えていたからだ。

 

 

 

「えぇ・・・・・・少し、オーガの里まで行ってきまして」

 

「なぬ!?」

 

 

 

予想外の返答だったのだろう、それを聞いたガビルが再び目を丸くした。ガビルのその反応も無理は無い。フラメアとシーザーも似たような反応をしていたし、俺も声までは出さなかったが少し驚いている。

 

 

 

「オーガの里って、どうして急にそんなとこに・・・・・・」

 

「実は、アクトくんとシーザーがオークたちと戦った場所って、オーガの里に結構近いんですよ」

 

 

 

青娥さんは空間魔法でどこからか地図を取り出すと、「ここです」と言いながら一点を指差した。

 

・・・・・・成程。徒歩ですぐに行ける距離では無いとは思うが、地図で見ると確かに近い。

 

 

 

「もしかするとあちらにもオークたちがやって来ていたのではないかと思い、少しお話を伺いに行ったんです」

 

「お話を、って・・・・・・オーガの里に知り合いでもいらっしゃるんですか?」

 

「えぇ、一応」

 

 

 

フラメアの言葉に青娥さんは短く答える。青娥さんにはオーガの知り合いもいるのか。本当に顔が広い人だ。

 

 

 

「・・・・・・けれど、その方に会うことは出来ませんでした」

 

「ん?留守だったんですか?」

 

「そうじゃないんです・・・・・・・・・滅んでいたんですよ、オーガの里が」

 

「・・・・・・は?」

 

 

 

再び青娥さんから予想外な言葉を告げられた。しかし、それによってもたらされた衝撃は先程の比では無く、思わず間の抜けた声がこぼれる。

 

ふと、一人の友人の顔が脳裏に浮かんだ。額から一本の角を生やした、青い髪の友人の顔が。

 

どういうことなのか、詳しく聞こうと俺は口を開こうとする。だがそれよりも早く、フラメアががたりと立ち上がって青娥さんを見据え声を上げた。

 

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください青娥様!オーガの里が滅んだって・・・・・・まさか、オーガたちが全滅したってことですか!?」

 

「はい。そして、その犯人はオークたちで間違いないかと」

 

「そ、そんな・・・・・・有り得ない!オーガの里の人口は約三百と聞きます!中には幼い子や年老いた人もいるでしょうし、全員が戦える訳じゃないでしょうけど!それでもっ、あのオーガたちの里がオークに落とされたなんて・・・・・・!」

 

 

 

信じられないといった顔でフラメアが捲し立てる。確かに、有り得ない話だ。

 

俺が倒したオークジェネラルたちのランクは、恐らくだが並みのオーガ以上。さらに『混沌喰(カオスイーター)』というスキル、もしくはアーツをそれぞれが所持していた。オーガを上回る強力な魔物であることは間違いない。それはフラメアだって理解しているだろう。

 

だが、いくらなんでもあの二体と部下のオーク二十体程度で、三百はいるというオーガたちを倒せるとはとても思えなかった。

 

 

 

「・・・・・・フラメアさんの言う通りです。オーガより一段階ランクが高い魔物が二体いるからと言って、それらがたかだか二十体程度のオークと共に攻め込んでもオーガの里は落とせません。ですが・・・・・・アクトくんが出会った数以上の、圧倒的な数によって押し潰されたとしたら?」

 

 

 

しかし青娥さんは至って冷静にそう返した。青娥さんにじっと見つめられ、逆にフラメアが狼狽えてしまう。言葉を詰まらせたフラメアの代わりに、今度は俺が青娥さんに訊ねた。

 

 

 

「圧倒的な数って、どのくらいですか?」

 

「約三千です」

 

「さ、さんっ・・・・・・!?」

 

 

 

さらりととんでもない数を青娥さんは口にした。それを聞いたフラメアは驚愕しているが、ガビルは「ほう」、と呟くだけで大して驚いてはいない。そう言えばシス湖にはリザードマンが一万近くいるんだったな。それに比べたら特に驚くような数でも無いのだろう。

 

 

 

「しかし青娥殿。どうやってオーク共の数を割り出したのだ?話を聞こうにもオーガ共は全滅したのだろう?」

 

「えぇ、オークに食べられたのか死体すら無くなっていました。けれど、残っていたものもありましたよ」

 

「・・・・・・あ、もしかして」

 

「ふふ、アクトくんは気付いたみたいですね」

 

 

 

小さく呟いた俺を見て、青娥さんは僅かに口元を緩めた。ほんの少しではあるが、笑顔に戻った青娥さんに安堵する。そんな俺の隣で首を傾げているガビルへ青娥さんは向き直り、説明を始めた。

 

 

 

「先程、長老様たちにオークたちのことを話した際にも言いましたが、私は人間や魔物の魂に干渉することが出来るスキルを持っていまして」

 

「おぉ、そう言えばそんなことを言っていたな」

 

「分かった!オーガかオークの魂を見つけたんですね?」

 

 

 

声を上げたフラメアに青娥さんは頷く。確か、魂は時間が経つとどこかへ飛んで行ったり壊れてしまうらしいが、運良く残っていたらしい。

 

 

 

「里の中心地辺り・・・・・・特に戦闘による被害が大きい場所でオーガたちの長らしき者の魂を回収できました。肉体を失って時間が経っていたのでしょう。既に崩壊が始まっており、あまり情報を読み取ることは出来ませんでしたが」

 

 

 

そう言った後、青娥さんはオーガの長の魂から手に入れた情報を俺たちに教えてくれた。

 

まず、オーガの里を襲ったオークの数は長の記憶からするに約三千。どうやら長は『魔力感知』を持っていて、それを使用して敵の数を把握したのだろうとのこと。

 

その三千体の中には並みのオーガを上回る個体が複数いたようだが、それらは間違いなくオークジェネラルだろう。

 

役に立ちそうな情報はそれくらいしか無かったようだが、長の魂にはオークたちへの憎しみと、仲間たちを守り切れず里を滅ぼされた後悔。そしてそれを上回る『裏切り者』と呼ぶ者への怒り。それと、直前で里から逃がした自身の子供たちの無事を祈る思いが残されていたという。

 

 

 

「三千のオーク・・・・・・その中に、オークジェネラルが複数か」

 

「アクトくんが倒したオークたちは、オーガの里を襲った部隊のほんの一部に過ぎなかったということです」

 

「そ、そんな・・・・・・でも、それだけの数のオークが行動していたら嫌でも目立ちます。それなのに、これまでそういった話がどこにも無かったなんて変じゃないですか?」

 

 

 

三千という数を聞いて恐くなったのか、フラメアは白い耳を前に垂らして表情を曇らせていた。そんな彼女の言葉に俺は静かに頷いて同意する。確かに、それだけのオークたちがこの森で暴れているのならどこかで噂くらいは耳にしても良い筈だ。

 

 

 

「・・・・・・オーガたちも、黙って滅ぼされたりなんかしません。

襲い来る敵に対し必死に抵抗したでしょうし、それによって勝者であるオークたちもある程度の被害は出たのでしょうが・・・」

 

「それじゃ、俺が倒したあのオークたちはその生き残りってことですか?」

 

「正確には、生き残りの内のさらに一部だと思います。魂に残されていた断片的な記憶からするに、オーガたちはほぼ一方的に敗れたようですし。まず間違い無く、相手の半分も倒せてはいないでしょうね」

 

 

 

俺の言葉に首を横に振ってから青娥さんはそう続けた。青娥さんの予想が正しければ、まだまだ大勢のオークが残っている訳か。

 

 

 

「生き残ったオークたちはオーガの里を滅ぼした後、いくつかの部隊に別れてジュラの大森林で行動しているのでしょう。もしくは、アクトくんたちが出会った連中だけ偵察隊として森に残り、それ以外のオークたちは全員オークロードの元に戻っているのかもしれませんが」

 

「成程・・・・・・少数で動いてるからあまり目立ってないのか。ジュラの大森林は広いしな」

 

 

 

あるいは。オークたちと出会ってしまった者は全て連中に喰い殺されてしまう為に、奴等の情報が広まっていないのかもしれない。

 

 

 

「・・・・・・けど、オークたちは何故オーガの里を襲ったんでしょうか?この森の覇者と呼ばれる種族だから、侵略するに当たって先に排除したかったんですかね?」

 

「さて、そこまでは私にも。オーガたちを滅ぼさなくてはならない何らかの理由が連中にはあったのかもしれませんが、長の魂からはそれらしきことは何も分かりませんでした」

 

 

 

フラメアの疑問に青娥さんはそう返し、お手上げだとでも言うようなジェスチャーをする。二人がそんなやり取りをする中で、俺は以前出会った青髪のオーガの忠告を思い出していた。そして、その意味を漸く理解した。

 

 

 

「『オーク共の動向には気を付けておけ』・・・・・・そういうことだったのか」

 

 

 

きっと、あの時点で既に青髪はオークたちに襲われ、そしてオーガの里は滅ぼされていたのだろう。彼は確かまだ仲間たちがいると言っていた。青髪、もしくはその仲間たちの中に長の子供たちがいるのかもしれない。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・そして、『裏切り者』という言葉。青髪は『オーク共の動向には気を付けておけ』という言葉の後、『オーク以外にもだ』、と付け加えていた。つまり、それは──

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ふん、天罰であろう。愚かな種族には似合いの末路だ」

 

 

 

俺が記憶を掘り起こしている時だった。普段の優しいガビルからは予想もつかない程の冷たい言葉が吐き出された。それに驚きながら、俺はガビルに声を掛ける。

 

 

 

「ガビル、それはいくらなんでも言い過ぎじゃないか・・・・・・?」

 

「・・・・・・アクト殿は優しすぎるのである。奴等は、アクト殿を殺そうとしたのだぞ?」

 

 

 

発現を諫めようとした俺にゆっくりと向き直り、まるで諭すかのようにガビルはそう告げた。確かにそれは事実だ。それどころかあの時は、最悪の場合ガビルの命だって危なかった。

 

 

 

「けど・・・・・・子供たちとか、良い奴だっていたかもしれないだろ?」

 

「・・・・・・・・・それは」

 

「はいはーい!アクトくん、今はオークたちの件とラビットマンたちをどうするかに集中しましょう?」

 

 

 

ガビルが何か言おうとした時、青娥さんは手を叩いて俺たちの会話を中断させた。ちらりと横を見ると不穏な空気を感じていたのか、フラメアがおろおろと不安そうな顔でこちらを見ている。

 

・・・・・・青娥さんの言う通りだ。

 

 

 

「・・・・・・ごめんガビル。お前は心配してくれてただけのに」

 

「いや、アクト殿が謝ることはないぞ。厳しい言葉を掛けてしまったかもしれぬが、我輩はアクト殿のその優しさを好ましく思っているからな!」

 

 

 

わはは、とガビルが笑う。良かった、どうやら怒ってはいないらしい。

 

 

 

「そ、それで・・・・・・私たちはどうすれば良いんでしょうか、青娥様」

 

 

 

俺が安堵しているとフラメアが話を戻す。そう言えば今後の動きを考えているところだった。フラメアに訊ねられた青娥さんはふむ、と呟くと顎に指を当て考え込むような仕草をする。

 

 

 

「そうですねぇ・・・・・・とりあえず、この里には私が簡単な結界を張ります。簡単と言っても、B+ランクのオークジェネラル程度なら絶対に通しませんので御安心くださいな♪」

 

 

 

オークロードに関しては分かりませんけどね、と最後に付け加えて青娥さんはくすりと笑った。結界・・・・・・青娥さんと初めて会った時や修行中にも何度か見せてもらったが、この里全部を守れるほど巨大なものも張れるのか。何でも出来るなこの人。

 

 

 

「あと、フラメアさんには私と連絡が取れるこちらを渡しておきます。万が一の事態が起きた際に使ってくださいね」

 

 

 

俺が感心していると、青娥さんはどこからか水晶玉を取り出してフラメアに手渡した。多分、あれを使うと魔封牢のように相手と連絡が取れるのだろう。

 

 

 

しかし、それをフラメアに渡すということは・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・・・・皆さんとは、ここでお別れですね」

 

 

 

やはり、そういうことになるのだろう。俺と同じくそれを察したフラメアは俯きながらそうこぼした。

 

 

 

「流石にこれ以上フラメアさんを連れて行動するのは危険ですからね。申し訳ありませんけれど」

 

「はい、大丈夫です。自分の弱さはよく分かってますから・・・・・・アクトさん、青娥様、ガビルさん、シーザー。短い間でしたけど、お世話になりました!」

 

 

 

顔を上げたフラメアは笑顔だった。けれど、それが作り物であることは俺にも理解できた。オークロードの脅威が迫っているからその恐怖を誤魔化す為に、というだけでは無いのだろう。

 

 

 

「・・・・・・アクトさんたちと一緒に冒険出来て、本当に楽しかったです」

 

 

 

───別れたくない。その気持ちを、必死に隠しているんだ。

 

 

 

「・・・・・・フラメア。俺は、お前のことを凄く優しくて強い奴だと思ってる」

 

「ふぇ?」

 

 

 

突然そんなことを言われたフラメアは困惑しながら俺を見た。そういう反応にもなるよな、と俺は一人苦笑して、さらに言葉を続ける。

 

 

 

「この里に来て、伏せ耳たちと会って分かったんだ。フラメア、お前なら・・・・・・あいつらなんていつでも倒せただろ?」

 

「っ・・・・・・・・・はい」

 

 

 

視線を少し逸らして、フラメアは小さく頷いた。実は『魔力感知』でフラメアを含む里のラビットマンたちを調べたのだが、族長や俺と戦った伏せ耳よりもフラメアの魔素量の方が多かったのである。フラメアはネームドなので当然ではあるのだが。

 

勿論、魔素量差だけで勝敗が決する訳では無いが・・・・・・少なくともフラメアの場合、一対一で戦うのであれば里の誰が相手でも負けることはないだろうと俺は思っている。

 

 

 

「気に食わない奴は、自分の邪魔をする奴は力尽くで黙らせればいい。魔物であるなら別におかしなことじゃない。けど、それをお前はしなかった。青娥さんにもさせなかった・・・・・・どうして?」

 

「だって、そんなこと・・・・・・出来ませんよ。たとえ同族同士で対立してるとしても、それでも・・・・・・同じ里で暮らす仲間なんですから」

 

 

 

なるべく優しい声色で訊ねると、フラメアはどこか恥ずかしそうにして、躊躇いながらもそう答えた。彼女から予想していた通りの答えを聞いて俺は口元を緩める。そして、今度は俺の気持ちを伝えるために口を開いた。

 

 

 

「俺も、フラメアとまた会いたい。また皆と冒険したいよ。その為に、フラメアが安心して冒険できるようにオークロードを倒す。優しいフラメアが大切に思う仲間たちが暮らすこの里を、守る為にも」

 

「アクト、さんっ・・・・・・はい・・・はいっ!私、信じてます。アクトさんたちがオークロードを倒してくれることを!」

 

 

 

涙を浮かべて、けれど先程の作り物のそれでは無い笑顔を見せて、フラメアは俺の手を取り握った。その手から伝わる熱を感じながら、彼女の瞳を真っ直ぐ見つめて俺は頷く。

 

 

 

「うむ、安心するが良いフラメア殿。我輩たちが必ずや、悪しき豚共を成敗してくれようぞ!」

 

「グルルァウッ!」

 

「ガビルさん、シーザーも・・・・・・本当にありがとうございます・・・・・・皆さんと友達になれて、本当に良かった・・・・・・!」

 

 

 

ガビルたちからも頼もしい言葉を掛けられ、フラメアは嬉しそうに頭を下げた。

 

・・・・・・一方通行ではなく、フラメアからも友達だと思われている。それがとても嬉しくて、俺は小さく笑った。

 

 

 

「ふふふ・・・・・・それでは、長老様たちの元へ行きましょうか。彼らにも今後の方針を伝えておかないとですし」

 

 

 

俺たちのやり取りを見守っていた青娥さんは優しく微笑んでそう告げた。それから立ち上がった彼女に続いて俺たちも馬車から降りていく。

 

 

 

「フラメア。俺も、お前と友達になれて良かったよ」

 

「えへへ・・・・・・嬉しいです♪」

 

 

 

指で涙を拭いつつ、フラメアは微笑んだ。普段の明るさを感じさせる声に安心した俺は、ガビルと顔を見合せ互いに頷く。

 

 

 

オークロード。俺はまだ見ぬ敵へ静かに闘志を燃やし、そして大切な友達の笑顔を守ろうと心に誓うのだった。




フラメアはここで一時離脱となります。
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