転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件   作:乃出一樹

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お待たせしました、第85話となります。

まさかグラブルと転スラがコラボするとは・・・


試験

族長さんや長老たちに今後の方針を伝えた後、青娥さんは兎人族(ラビットマン)の里をすっぽり覆うほどの巨大な結界を作り上げた。これでB+ランクのオークジェネラルだろうと里に侵入することは出来ない。しかし、これではラビットマンたちも里を自由に出入りすることが出来なくなったのではないかと思うだろう。

 

しかし、そこは流石の青娥さん。その辺りもしっかり考えていたらしい。詳しい方法は分からないが結界に細かい調整を施して、ラビットマンのみが通過出来るようにしたのだと言う。そんなことも出来るのかと俺はガビルやフラメアたちと一緒に驚いた。

 

 

 

そうして里の安全を確保した俺たちはフラメアたちに別れを告げ、ガビルの父である首領の待つシス湖へ・・・・・・帰る前に、コビーたちをドワルゴンのあるカナート山脈近くの牧草地へ送っていくことに。勿論青娥さんの魔法でだ。

 

本来の約束ではもう少し彼らの護衛として一緒に行動する筈だったが、オークロードの出現によりそちらの対応をしなくてはならなくなったので、頭を下げて護衛の話を断らせてもらった。コビーたちは元々自分たちだけで旅をしていたし、ここまで付いてきてくれただけでも十分だと、逆に申し訳無さそうにしていたけれど。

 

しかし、護衛も無しで今のジュラの大森林を歩き回るなんてコビーたちには出来ない。ただでさえこの森には様々な魔物が生息していると言うのに、オーガの里を襲ったオークたちがどこにいるか分からない状況なのだ。もしオークたちと遭遇してしまったらコビーたちは間違い無く全滅するだろう。

 

そこで、護衛を断った代わりに青娥さんから提案があったのだ。魔法で送ってあげるから、当初の予定を変更してしばらくはドワルゴンに滞在するのはどうかと。あの国なら魔物であるコビーたちも中に入れるし、多くの店があり様々な種族が集まるのでラビットマンの里よりも良い商売が間違い無く出来る。そのついでに、ジュラの大森林で起きていることを警備隊の誰かに伝えて欲しいと青娥さんは頼んだ。そこまでする義理は無いがガゼル王とは知らない仲でもないし、万が一のことを考え一応連絡くらいはしてあげようと思ったらしい。

 

警備隊がドワルゴンの上層部へその件を報告してくれれば、ガゼル王はきっと動いてくれるだろうと青娥さんは言っていた。俺はガゼル王のことをよく知らないが、青娥さん曰く素晴らしい王様らしいのできっと何かしらの対策はしてくれる筈だ。もしオークたちがジュラの大森林を北上しその先にあるドワルゴンを攻めたとしても、事前に情報があれば被害を減らすことはできるだろう。

 

 

 

青娥さんからそのように話を聞いたコビーたちは快くそれを了承。急いで準備を整えてフラメアたちに別れを告げると、ラビットマンの里から俺たちと共にドワルゴン付近へ転移。それからドワルゴンの入口が見える辺りまで見送り、そこで彼らと別れた。

 

そして俺たちは青娥さんの魔法で再び転移し、ドワルゴンからシス湖のリザードマンたちの住処へ。ガビルにとっては数日ぶりに帰ってきた我が家だったが、息吐く暇も無くすぐに首領の間へ赴き、ラビットマンの里で起きたことを首領たちに伝えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・まさか、オークロードとはな」

 

「親父殿、何か知っているのですか?」

 

 

 

これまでの事情を聞いた首領は指で顎を擦りながら呟いた。それを聞いたガビルは期待するような眼差しで訊ねるが、首領は静かに首を横に振る。

 

 

 

「いや、大した情報は無い。お前とアクト殿たちがラビットマンの長老から聞いた内容とほぼ同じだ」

 

「私もオークロードについてはあまり知りませんねぇ・・・・・・父から少し聞きかじった程度です」

 

 

 

難しそうな顔をして爺さんが髭を撫でる。首領より長生きしている爺さんでも知らないとは。まぁ、話を聞く限り滅多に誕生しないユニークモンスターらしいし仕方ないだろう。

 

 

 

「まさか、オーガの里が滅ぼされるとは・・・・・・首領、我等も早急に対策を練らなければ」

 

 

 

オーガがオークに負けた。その事実に動揺しつつも、親衛隊長はなるべく平静を保って首領にそう訴える。そういえば、俺たちがユーラザニアに出発する前日にオークたちの動向を探るべく調査隊を出す等と話していたと思ったが、それはどうなったのだろう。

 

ちなみに、現在首領の間には俺と青娥さんにガビル、首領と爺さんに親衛隊長の計六人が集まっている。シーザーは中に入れないので外で待機中だ。

 

 

 

「うむ、分かっておる。とは言え、あまりにも情報が少な過ぎる。先日、森の南部へ向かわせた調査隊が戻るまでは何も出来んな」

 

 

 

首領は目を伏せたまま親衛隊長にそう告げた。どうやらちゃんと調査はしてくれていたらしい。首領の言う通りオークたちについて何も分かってはいないが、少し安心した。

 

 

 

「調査隊の皆さんが戻るまで、あと数日は掛かるかと」

 

「しかし、それまで何もしないという訳にもいくまい。親父殿、一先ずは湖周辺の警備の強化、それと各氏族長へオーク共についての通達を部下たちにさせては如何でしょう?」

 

「・・・・・・そうだな。それらはお前と親衛隊長の二人で指揮を取れ。任せたぞ」

 

「はっ!」

 

 

 

ガビルの提案に首領は頷き、俺と青娥さん以外の四人で話が広がっていく。手持ち無沙汰になった俺はなんとなくガビルたちをそれぞれ見回して、それから隣にいる青娥さんに声を掛けた。

 

 

 

「青娥さん、俺たちはどうします?いや、俺はガビルたちに世話になってるから手伝うつもりでいるんですけど、何か良い案とか・・・・・・」

 

「あっ。アクトくん、それなんですけどね」

 

 

 

すると青娥さんは何かを思い出したかのような反応を見せた。どうしたのかと眉根を寄せる俺に向き直った青娥さんは、いつものように微笑んで──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回の一件、私は関与しませんのでアクトくんだけで頑張ってくださいね♪」

 

「はっ!?」

 

 

 

さらっとそう言い放った。その言葉に俺は驚き、思わず間の抜けた声を上げる。

 

 

 

「なぬぅ!?せ、青娥殿、それは真であるか!?」

 

「マジでーす♪」

 

 

 

そのやり取りはガビルたちにも聞こえていたらしく、四人ともこちらを振り返っていた。動揺した様子のガビルの問いに青娥さんはからからと笑いながら答える。それを聞いて絶句したガビルの代わりに今度は俺が青娥さんを問い詰めた。

 

 

 

「せ、青娥さん!どうしてそんなこと・・・・・・ガビルたちを見捨てるんですか!?」

 

「んー、そういうつもりじゃ無いんですけれど・・・・・・あのですね、アクトくん。私は今回の騒動をあなたの試験にしようと思いまして」

 

「し、試験?」

 

 

 

青娥さんの言葉の意味が理解出来ず、俺はそう繰り返して眉を顰める。そんな俺の反応が面白かったのか、青娥さんは口元に手を当てくすりと笑ってから説明を始めた。

 

 

 

「アクトくんが私の元で修行を始めてもう数ヶ月・・・・・・そろそろ修行の成果を実戦で見せて欲しいんです」

 

「修行の成果って・・・・・・ユーラザニアでの戦いで十分じゃないですか?」

 

 

 

困惑しながら青娥さんにそう返す。ユーラザニアの三獣士たちに、ダンジョンにいた腐肉竜(ドラゴンゾンビ)・・・・・・あれだけの強敵たちを倒しただけでは足りないというのか。

 

 

 

「あれは一次試験のようなものですよー♪アルビスさんたちとの戦いは模擬戦でしたし、ダンジョンの探索では何かあれば私が助けるって約束もしてたから全員の身の安全は保証されてましたし?」

 

 

 

やれやれ、とでも言いたげな表情で青娥さんは答える。確かに、そう言われればそうだけれども。ドラゴンゾンビと戦っている時はシーザーを召還する手助けもしてくれたみたいだし。

 

 

 

「もう少し難しい試験を考えてたところだったので、今回のオークロードは丁度いいかなー、って♪と言う訳でぇ、頑張ってくださいね、アクトくん♪」

 

「いや、青娥さん・・・・・!」

 

「・・・・・・待て、良いのだアクト殿」

 

 

 

俺が食い下がろうとした時、首領がそれを制した。そちらに振り返ると、首領は俺を見つめて小さく首を横に振る。

 

 

 

「首領!?しかし・・・・・・」

 

「本来、青娥殿は我等リザードマンの仲間でも、森に暮らす者でも無い。だと言うのに、これまでアクト殿のついでとは言え我が息子まで鍛えてくれた。これ以上を望むのは申し訳が無い」

 

 

 

異を唱えようとした親衛隊長に、首領は静かにそう告げて目を伏せる。首領がそう言うのであれば何も言えないのだろう、納得しきれてはいないようではあったが親衛隊長は口を閉じた。

 

気まずい空気が流れ、場が沈黙した時だった。やがて目を開いた首領がガビルに視線を向け、僅かに口端をつり上げた。

 

 

 

「・・・・・・それに、豚共の相手など我等だけで十分よ。なぁ?息子よ」

 

「っ!そ、その通りであります親父殿!奴等に我等リザードマンの力を思い知らせてやりましょうぞ!」

 

 

 

首領から声を掛けられたガビルは力強く頷く。父親である首領から頼りにされていると思ったのか、その声は弾んでいるように思える。そんなガビルを眺めていると、彼がこちらに振り向いて近付いてきた。

 

 

 

「アクト殿、親父殿の言うように豚共など我等リザードマンだけで十分である!あるのだが・・・・・・それでも、アクト殿が隣にいてくれると心強い。なので、その・・・・・・青娥殿の助けはないが、我輩と共に戦ってはくれぬか?」

 

 

 

俺の目の前に立ち、どこか遠慮がちにガビルはそう訊ねてきた。同時に、彼はこちらに右手に差し出す。その手を見た後、俺はガビルを真っ直ぐ見つめて先程の言葉に応えた。

 

 

 

「勿論だよガビル。俺も手を貸す・・・・・・協力する。友達だろ?」

 

「おぉ、おぉ・・・・・・!ありがとうアクト殿!感謝するのである!」

 

 

 

差し出されたガビルの右手を取ると、ガビルは瞳を潤ませながら俺の手を両手で握り返した。そして嬉しそうにぶんぶんと上下に振るその様子が微笑ましくて、俺は小さく笑う。

 

 

 

「済まぬなアクト殿、儂からも礼を言わせてくれ」

 

「いえ、俺もリザードマンの皆には恩がありますから。それに、礼を言うのはまだ早いですよ首領」

 

「ふっ、そうだな・・・・・・」

 

 

 

首領は口元を緩めた。その穏やかな雰囲気につられてか、親衛隊長と爺さんも表情を和らげる。場の空気が少し良くなり俺もほっとした。

 

 

 

「ホッホッホッ・・・・・・アクトさんが共に戦ってくれるのであれば心強いですねぇ」

 

「はい。それではアクト殿、調査隊が戻るまで暫しお待ちください。彼らの報告を受けてから改めて対策を練りますので」

 

「でしたら、少しだけアクトくんを借りていきますね♪」

 

「えっ?」

 

 

 

俺が親衛隊長からそう指示を受けた時、青娥さんがそう言って割り込んできた。ガビルと手を繋いでいた俺だが、その手を離して青娥さんの方へ顔を向ける。

 

 

 

「い、いや青娥さん?俺、これからガビルたちと一緒にオークたちと戦うんですけど?」

 

「えぇ、分かってますよ。けれど、それはもう少し先のお話でしょう?親衛隊長さんの言うように、まずは調査隊の方たちが戻ってこないと話にならないみたいですし」

 

 

 

困惑している俺に青娥さんはそう答える。それはそうだが、出掛けた先での用事が長引いたりして、もしオークたちとの戦いに間に合わなかったらどうするんだ。

 

 

 

「ふふ、御心配無く。ユーラザニアの時ほど時間は掛かりませんわ。それに私の『空間移動』で行き来するので何かあってもすぐに帰れますよ♪」

 

 

 

すると俺の考えていることを見破ったのか、青娥さんはそう告げてくすりと笑った。それなら・・・・・・大丈夫かな?

 

 

 

「あー・・・・・・いいかな?ガビル」

 

「う、うーむ・・・・・・正直不安ではあるが・・・・・・戦いの時までにちゃんとアクト殿をこちらに送ってくれるのであれば・・・・・・」

 

 

 

渋々といった様子であったが、ガビルは納得してくれた。まぁ、断ったところで青娥さんはごねると言うか、どうせ聞かないだろうし結局は頷くしか無いのだけれど。

 

 

 

「ありがとうございますガビルさん♪さて。それじゃあ行きましょうか、アクトくん」

 

「もう行くんだ・・・・・・で、行き先は?」

 

 

 

相変わらず行動が早いなと、俺は苦笑しながらこちらに差し出された青娥さんの手に触れる。行き先を問われた青娥さんは俺の手を優しく握り、そして答えた。

 

 

 

 

 

 

 

「私の暮らす国──ブルムンドです♪」

 

「ブルムンドって、何で──・・・」

 

 

 

そう言い終えない内に青娥さんはスキルを発動させ、俺の瞳に映る景色が揺らぐ。そうして俺はガビルたちに声を掛けていくことすら出来ず、首領の間から一瞬で消えたのだった。




ガビルはきっとコラボキャラの中にいないんだろうなぁ・・・
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