転生したら蜥蜴人族の友人と邪仙の恋人ができた件 作:乃出一樹
今年の投稿はこれが最後になるかと思います。
青娥さんに笑顔が戻った。
まだいつもの彼女のようにとはいかないが、それでも青娥さんが優しく微笑んだことで俺の緊張も薄れ、家の中は先程までとは違う和やかな雰囲気に包まれていた。
それから少しして、落ち着いた青娥さんは再び語り始めた。シズさんと初めて出逢った五年前の日の話を。
「私は、元の世界では普通の会社員でした。そこそこの大学を出て、そこそこの会社に就職して・・・・・・まぁ、あっちの世界での私のことはどうでもいいか。ただの平社員で中途半端なオタクだったし」
「中途半端?」
「・・・・・・いいですかアクトくん。オタクの中にはね、歳を取ると体力やら時間やら熱意やらが無くなって、新しいアニメや漫画を受け入れられず最近の作品を全く知らないのに、精神だけオタクのままという悲しい存在がいるんですよ・・・」
そう言って青娥さんは遠い目をしながら乾いた笑いを浮かべた。どういうことなのか今一しっくり来ないが・・・・・・大人になってそういう趣味のものから卒業した・・・という話、では無いのか?
そんなことを考え俺が首を傾げていると、青娥さんは咳払いをして話を戻した。
「んん・・・・・・それはどうでも良いとして・・・私はアクトくんとは違って転生はしていません。転移して、こちらにやってきてから世界の声を聞いて多くのスキルを身に付けたんです」
「へぇ、そうなんで・・・・・・・・・ちょっと待って・・・?それじゃ、青娥さんは元の世界にいた時からこんなに美人でスタイルの良いリアル霍青娥だったんですか!?」
思わず声が大きくなってしまったが、俺は身を乗りだしそうになりながら青娥さんに訊ねた。もしそうだとしたら、これで普通の会社員を名乗るのは無理だろ。髪は染めても無いのに綺麗な蒼で、顔は滅茶苦茶綺麗で可愛くて、その辺のグラドルなんかとは比べ物にならないくらいのスタイルだし。
・・・・・・ということは、以前言っていた異世界人かつ転生者の知り合いは別にいるのか。
「あ、いやー・・・・・・えっと、それなんですけどね?何と言いますかぁ・・・」
しかし、何やら歯切れが悪くなったところを見るにそうでは無いらしい。話したくないことであるのなら無理に話さなくても良いと俺は告げたが、青娥さんは少し悩んだ後でこの際だからと詳しく教えてくれた。
「・・・・・・実はですね。私、こちらの世界に転移する直前に大怪我をしたんです。歩道橋を降りる時に近くでふざけていた子供たちとぶつかって、階段を転げ落ちてしまって」
多分、命に関わる程では無かったと思いますけどね、と青娥さんは付け加える。いや、青娥さん・・・全く気にした様子も無く、どこか懐かしそうに笑みすら浮かべているけど、下手すれば死んでましたよ・・・・・・
「落ちた際に骨が折れたのか両足は酷い痛みで全く立てず、頭も打ったせいで意識も朦朧で・・・・・・気が付くと、床に魔方陣が描かれた薄暗い部屋にいたんです」
五年前、歩道橋から落ちて大怪我をした青娥さんは、いつの間にか見知らぬ部屋にいたという。戸惑いながら青娥さんが部屋の中を見渡すと、目深にフードを被ったローブの集団という、見るからに怪しい連中に囲まれていたそうだ。
後になって青娥さんは知ったそうだが、その連中は当時西側諸国でそこそこ名の知れた犯罪集団だったらしい。連中は戦略増強の為に異世界人を召還したのだが、その召還魔法によって呼び出されたのが青娥さんだったのだ。
しかし、その連中は召還によって現れた青娥さんが大怪我をしているのを見て召還魔法は失敗したのだと思い込んだ。すると、連中は動けないでいる青娥さんを引き摺って別の部屋へ移動する。そこは青娥さんが召還された場所よりも広い部屋で、数匹の魔物が鎖に繋がれていた。青娥さんが大怪我していたのもあり、連中は青娥さんを処分しようと自分たちが使役する魔物の餌にしようとしたのである。
最初は夢でも見ているのだろうと青娥さんは思っていたそうだが、身体に走るリアルな痛みや周囲の臭いから段々とこれが現実だと理解し、それと同時に目の前にいる見たことのない生き物である魔物たちに死の恐怖を感じた。
そして、魔物たちの前に青娥さんは放り出され、魔物たちに命を貪られようとした時だった。咄嗟の抵抗として青娥さんは悲鳴を上げながら両手を振り回したのだが、それに当たった魔物が凄い音を立てて吹き飛び壁に激突したという。
その魔物が動かなくなったのを見て、青娥さんを含めその場にいた全員が驚愕し言葉を失った。青娥さんはその時点では理解出来ていなかったそうだが、実は召還された時点で青娥さんの身体能力が強化されていたのである。
困惑する青娥さんをよそに、その連中は青娥さんの力を見て処分するのではなく自分たちの道具にしようと考えた。元より召還した異世界人を戦力にしようと考えていて、その為に精神に干渉する魔法を持った・・・つまり他人を洗脳することが出来る人物を用意していたらしい。
しかしその瞬間、混乱しつつもまだ死の恐怖に怯える青娥さんの脳内に『世界の声』が響いた。死の直前の俺と同じように、青娥さんもその時脳内に浮かんだことに関するようなスキルを手に入れ、訳も分からないまま全ての敵を一掃したのだとか。
人間も魔物も蹴散らした青娥さんだが、無傷の勝利とはいかなかった。魔物の爪や牙で身体を斬り裂かれ、人間たちからも武器による攻撃や魔法を受け、かなりのダメージを受けていた。そもそも異世界に来る前から青娥さんは大怪我をしていたのだ。それもあり、身体能力が強化された青娥さんでも今度こそ動けなくなってしまう。
その時だった。突然部屋の壁が大きな音を立てて破壊される。まだ敵が残っていたのかと身構える青娥さんだったが、そこに現れたのは仮面を被った一人の女性──そう、シズさんだった。
なんでもシズさんはその日、青娥さんを召還した連中を捕まえようと数名の冒険者と共にアジトへ乗り込んでいたという。実はイングラシアのギルドの方でその連中が召還魔法を行う準備をしているという情報を掴み、それを阻止するべく動いていたそうだ。
アジトに踏み入ったシズさんは奥から戦闘の気配を感じ、何事かと思い急いでその場所へと向かった。そこにいたのは倒れた魔物たちと同じく倒れた人間たち。それと、ボロボロの青娥さん。部屋の様子を見たシズさんは、青娥さんが連中に召還された異世界人で、彼女がここにいる魔物や悪人たちを返り討ちにしたのだと察した。
突然現れた仮面の女に青娥さんは酷く怯えたそうだが、そんな青娥さんを見てシズさんは仮面を取って優しく声を掛けたという。もう大丈夫、私はあなたを助けにきたの、安心して。そんな言葉を聞き、そして微笑むシズさんを見た青娥さんは緊張の糸が途切れ、そのまま意識を失ってしまったそうだ。
その後、シズさんによって保護された青娥さんはすぐにイングラシアの病院にて運び込まれた。治療を受けた翌日、病院のベッドで目を覚ました青娥さんは見舞いに来たシズさんとイングラシアのグランドマスターの二人から、ここが異世界であり自分は昨日の連中によって召還されたこと、それと恐らく元の世界には戻れないということを告げられる。
異世界に来てしまったことに驚く青娥さんだが、それ以上に驚くべき出来事がその後に待っていた。突然シズさんから手鏡を手渡され、青娥さんはそれを覗き込み・・・・・・思わず悲鳴を上げた。
なんと、鏡に写っていたのは『東方project』のキャラクター、『霍青娥』だった。そう、青娥さんはたった一日で別人へと変わっていたのである。ちなみに二次創作で描かれるような抜群のスタイルだった。
この現象の原因について、青娥さんはこう語った。
こちらの世界に召還された青娥さんは危機的状況の中で『世界の声』を聞いたのだが、それによって会得したスキルの一つ、『
『
「そんなこともあるんですね・・・・・・けど、なんだって霍青娥の姿に?」
「・・・・・・・・・推しだったんです。東方の。それで、死ぬかもしれないってパニックになった時、色々・・・はい、本当に色々なことを考えてしまって・・・」
少し恥ずかしそうに、視線を逸らしながら青娥さんが答えた。彼女の反応を見て、聞かない方が良かったかな、と一人苦笑した。最も、俺も死ぬ間際にエドモンやランドルのことなど色々考えた結果このような姿になってしまったのだし、別に青娥さんを笑ったりだとか可笑しいだなんて思いはしないが。
「と、ところで・・・何で異世界人ってとんでもない身体能力だったりスキルだったりを持ってるんですかね?青娥さんやシズさんだけじゃなく、俺だってそうでしょ?」
「あー・・・・・・一応それには理由があるんですよ。正確には仮説ですけどね」
話題を変えようと俺は青娥さんに訊ねる。青娥さんは視線をこちらに戻し、そう前置きしてから説明を始めた。
青娥さんやシズさんたち『召喚者』。俺は少し特殊なケースらしいが、まるで迷い込むようにしてこちらの世界へやって来た者たち。通称『異世界人』が何故高い身体能力や強力なスキルを有していることが多いのか。それについて、イングラシアの
その前に。何故ギルドのグランドマスターも一緒に異世界について調査しているのかだが、なんとその人も俺たちと同じ異世界人なんだとか。名前はユウキ・カグラザカ。青娥さんのようにシズさんに育てられたらしい。
話を戻して。俺や青娥さんが元居た魔素の無い世界は『物質世界』。魔素のあるこちらの世界は『半物質世界』と呼ばれているらしい。
そして異世界人が物質世界から半物質世界に移動することを『界渡り』と呼ぶ。その『界渡り』の際に肉体を伴っていると、その肉体が一度滅び半物質化する。
この半物質化が具体的にどういう物かは不明らしいが、この時に大量の魔素が魂と融合し、それがスキルの獲得に繋がると考えられているそうだ。
また一部の学者曰く、この『界渡り』はある種の試練のようなものらしい。人が苦難や試練を乗り越えて仙人に至るのと同じように、強靭な意志を以て『界渡り』に耐えきった異世界人が強靭な肉体と能力を獲得するのはある意味必然なんだとか。
「へぇー・・・そんな考えがあるんですか。それじゃ、前に青娥さんが言ってた、俺と同じ異世界人の転生者の人も強いんですかね?会ってみたいなー」
「・・・・・・会わない方がいいと思いますよ」
「えっ?」
何の気なしに俺がそう言うと、青娥さんはぼそりと呟く。何故そんなことを言ったのか気になり彼女を見ると、どこか暗い表情で目を伏せていた。その人と何かあったのだろうか?
「・・・・・・ふふ、何でもありません。それで、話の続きですけれど」
「えっ?あ、あー・・・・・・青娥さんとシズさんが出逢った頃の話ですよね」
そんなことを考えていると、顔を上げた青娥さんが小さく笑い話を再開しようとしていた。俺は意識をそちらに戻し彼女の言葉を待つ。
「イングラシアの病院を退院した後、私はシズさんとグランドマスター・・・ユウキさんの二人と今後について話し合いました。こちらの世界からあちらの世界に戻る方法は現在無い。なので、この世界で私がどうやって生きていくのかを」
当時、帰還することが出来ないと知った青娥さんは一時はショックを受けたという。だが、すぐに立ち直り異世界にやってきたこと、それと自分が凄まじい力を手に入れたことに興奮したそうだ。
ちなみに、元の世界へ移動する方法は今もまだ不明らしい。
「私もオタクの端くれですからね。こんな剣と魔法のファンタジーな世界に来たら少しはテンションも上がるというものです。しかも、転移した際に強力な力を手に入れましたし」
おまけにこんなに美人になりましたしね、と冗談っぽく青娥さんは笑った。つられて俺も頬を綻ばせたが、青娥さんがおっぱいもこんなに大きく!などと抜かして両手で揺らし始めたのを見て慌てて注意した。本当にやめて欲しい。こっちは健全な男子高校生なのだ。
「さて・・・・・・私は、シズさんとユウキさんにこの世界で生きていくと伝えました。手に入れたこの力を使って楽しく・・・勿論、悪事等は働かずに生きると。それを伝えたところ、シズさんが私の世話役を引き受けてくれたんです」
懐かしそうに、そしてどこか嬉しそうに、青娥さんは目を細める。
シズさんは、自分とユウキも日本からやってきた異世界人だと青娥さんに話した。自分たちも同じ境遇なのだと伝えることで、他にも仲間がいるのだと青娥さんを安心させたかったのだろう。
「最初の半年ほどは手に入れた自分の力やスキルの解析、それからシズさんやギルドの人たちにこちらの世界について教わる日々でした。私がこちらに来た頃にはもうシズさんは一線を退いていて、冒険者たちの先生のようなことをしてまして。あの人からは本当に沢山のことを教わったんです」
楽しそうに、まるで幼い少女のように青娥さんは語る。
最初の半年はこの世界やスキル等の基本的なことを学び、それからは本格的な修行をシズさんにつけてもらったそうだ。簡単な魔法を学び、気闘法を身に付け・・・・・・シズさんの元で青娥さんはどんどん力をつけていった。俺もそうだったが、青娥さんも異世界に来て興奮していたらしく、毎日の修行は大変ではあったが苦ではなかったという。元の世界で退屈な日常を送っていた反動もあったのかもしれない、とも青娥さんは言っていた。
そうして、シズさんと出逢ってから一年程経った頃、青娥さんはシズさんに連れられ初めてフューズさんと顔を合わせる。フューズさんからも聞いていたが、この時点で青娥さんはシズさんの実力を上回っており、フューズさんをとても驚かせたという。最も、シズさんには数十年以上の経験がある為、実際に戦うとそう簡単には勝てなかったと青娥さんは付け加えた。
青娥さんと出逢う数年前にはもうシズさんは一線から退いていたとのことだが、青娥さんの修行や面倒を見ている内に一緒に行動することが多くなり、クエストにもよく同行していたらしい。そのお陰か体力や闘気量は無理でも、戦いの勘と剣の腕だけは全盛期に近付いていたそうだ。
そんな日々を送る内、いつしか青娥さんとシズさんは周囲からコンビの冒険者として認識されるようになったという。
「ブルムンドを訪れて以降、私はより修行やクエストに熱を入れていきました。スキルをより理解して、強力な魔法を覚えて、闘気のコントロールをより完璧にして・・・・・・」
「それも、シズさんと二人で?」
「ふふ・・・・・・えぇ。私たちはほぼ毎日一緒にいました。まぁ、私がシズさんに引っ付いていたんですけどね」
青娥さんは小さく苦笑し頷いた。青娥さんがそんなに誰かにベタベタするのはあまり想像出来ないが・・・・・・それは女同士だからというのもあったのかもしれない。
「やがて、私とシズさんは西側諸国で知らぬ者はいないと言うほど名が売れました。英雄と呼ばれたシズさんが隣にいたというのもあるんでしょうけれど。それからは各地で引っ張りだこです。シズさんと二人で西側諸国中を回って、人々を苦しめる魔物を倒して、悪の組織を壊滅させて・・・・・・・・・そう。そして、あの日・・・」
そこまで言ったところで、青娥さんは表情を曇らせ俯いた。恐らくフューズさんの言っていた三年前の事件を思い出しているのだろう。自身とシズさんが引き離されることとなった、仙人・・・邪仙へと進化してしまった日のことを。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・その、青娥さん。話したくないのなら無理しなくても良いんですよ。一応、その辺りの事情もフューズさんから少し聞いてますし」
「・・・・・・いえ、大丈夫です。心配要りませんよ」
顔を上げた青娥さんは首を降って、それから眉を下げつつ微笑んだ。その様子が少し気にはなったが、俺は一先ず口を閉ざした。
「・・・・・・厳しい修行と多くの戦いを乗り越え、様々な魔法やスキルにアーツを獲得し、魔素量を大きく増やした私は仙人ではなく魔物・・・『
そう言えば、原作の『霍青娥』は人間から妖怪になったという設定のキャラクターだったっけ。そこまで似てしまったとは。
「魔物になり、『邪仙』と呼ばれるようになって、イングラシアでの私の名声は地に落ちて・・・・・・とまではいきませんが、周囲からの視線は明らかに変わりました。私の隣にいる、シズさんも」
この辺りは大体フューズさんから聞いた通りだな。俺はただ静かに頷いて続きを待つ。
「誰に何を言われようと、何をされようと、私は構わなかった。やられたらやり返すだけですし、嫌われる心当たりも無い訳じゃない。けれど・・・・・・シズさんが私の巻き添えになるのは我慢出来なかった」
静かに話す青娥さんだが、机の上に置かれた拳には力が入っていた。それをちらりと見た俺は、何も言わず青娥さんに視線を戻す。
「さっき話した『界渡り』・・・・・・それの影響で異世界人は常人より多くの魔素を持つ。さらに特殊なスキルを獲得した影響もあってのことだから青娥は何もやましいことはしていない。例えその身体が魔物になったとしても、青娥には人類と敵対する意思なんて無い・・・・・・そんな言葉と共にシズさんとユウキさんが私が無害であることを西方聖教会など各所に訴えてくれたんですが・・・・・・」
「青娥さんは、イングラシアに居られなくなった・・・」
「二人のお陰で、一先ず騒ぎは落ち着いたんです。けれど、一度広まり浸透した噂は簡単には人々の中から消えなかった。人の噂も七十五日・・・なんて言いますけど、私のせいでシズさんが後ろ指を指されるのは耐えられなかった・・・・・・!」
目を伏せ、絞り出すように青娥さんはそう言った。その声からは悲しみと怒りが滲み出ている。
「・・・・・・そんな時、ユウキさんから持ち掛けられたんです。ほとぼりが冷めるまでイングラシアを出たらどうかって」
小さく息を吐き、落ち着いた口調で青娥さんは続ける。
グランドマスターであるユウキさんの提案に、青娥さんは頷いたそうだ。勿論、青娥さんだってシズさんと離れたくなんか無かった。しかし、自分のせいでシズさんが西方聖教会と揉めて、そして傷付くくらいなら・・・と、そう思った青娥さんはブルムンドへ引っ越したのだ。諸々の手続き等はユウキさんにやってもらい、シズさんには内緒で。
「ブルムンドに引っ越してからシズさんに怒られちゃいましたよ。まぁ、喧嘩別れって訳じゃないし、その後も月一くらいで会ってたんですけどね。最近は顔を合わせてませんでしたけれど」
「そう、だったんですか・・・」
「えぇ・・・・・・それにしても。あれからもう、三年になるんですね・・・・・・懐かしい」
ふ、と口元を緩め、青娥さんは窓の外に目を向けた。彼女の視線の先には、無数の星たちが煌めく夜空がある。
それを見上げる青娥さんの儚げで綺麗な横顔を、俺はただ静かに見つめていた。
それでは少し早いですが、皆様良いお年を。