仗助と育朗の冒険 BackStreet (ジョジョXバオー)   作:ヨマザル

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スタンド&クリーチャ―図鑑

スタンド名:クレイジー・ダイヤモンド
本体:東方仗助
外観:人型
タイプ:近距離パワー型
性能:破壊力 - A / スピード - A /射程距離 - D / 持続力 - B / 精密動作性 - B / 成長性 - C
能力:手で触ることで、壊れた物体や生命体を元に戻す事ができる。(ただし自分の怪我等は対象外)スタンドの基本性能も超強力で、スタープラチナと比べても精密動作性はやや劣るものの、スピードとパワーはほぼ同格。瞬間的な性能ではスタープラチナを上回る事もある。


スタンド名:スケーター・ボーイ
本体:アンジェラ・チェン
外観:小さなスケボーの上に 乗った猫人形
タイプ:遠隔操作型
性能:破壊力 - D / スピード - B /射程距離 - B / 持続力 - B / 精密動作性 - B / 成長性 - D
能力:スタンドが触ったものに車輪をつける能力で、車輪を付けたものを自在に動かすことができる。スタンド自体に攻撃力はまるでないが、アンジェラ自身は修行した『波紋』の力で戦うので、高い攻撃力を持っている。


クリーチャー名:屍生人(ゾンビ)
性能:破壊力 - B / スピード - C /射程距離 - C / 持続力 - D / 精密動作性 - D / 成長性 - (無し)
能力:(石仮面をかぶって不死になった者(吸血鬼)のエキスを注入させられた者。常人をはるかに超える力と、血への渇望、不死の肉体を持つ。反面、傷が治ることはなく体は崩れていく一方。また、太陽のエネルギーや波紋により肉体が溶けてしまう。



川尻早人 その3

ダンッ!ダンッ!

SW職員も、何もしていないわけではなかった。

ハンドガンを撃ちまくり、異常者達に銃弾の雨を降らせていた。

 

だが、異常者たちは、少々の弾丸やスタンド攻撃を食らったくらいでは意に介さず、再び立ち上がり、おそってきた。

「Bugyaaaaaaaaa!」

「波紋+スケーター・ボーイ!」

一方、アンジェラはテントを引き倒し、柔らかい素材のテントを波紋で硬質化させていた。

硬質化したテントに、アンジェラのスタンド‐小さなスケボーの上に 乗った猫人形‐が触れる。

すると、テントに『四つの車輪』が出現した。

 

「皆ッ、このテントに避難して」

アンジェラは、早人をテントに避難させた。そして巧みにテントを操って、SW財団の人間をテントに収容し始めた。

「グレートォ やるじゃねーか、アンジェラよう。……とは言えグレートにヤバい状況だぜ〰〰ッ。早人を、みんなを、守り切らなくちゃなんねー」

クレイジー・ダイヤモンドの攻撃 ――注意深く手加減した―― で異常者達の突撃を抑えながら、仗助が言った。

ブシャアアアアァ……!

そのとき、アンジェラのテントに触れた異常者の1人が、悲鳴を上げながら崩れ落ちた。

異常者がテントに触れた手から、波紋傷によると思われる煙が立ちのぼる。

その手が、どんどんと溶けていく。

「やっぱり波紋が利く……仗助、こいつらはジョセフ先生が言っていた屍生人(ゾンビ)どもに違いないわ」

アンジェラが叫んだ。

「どうして」

シンディが、頭を振った。

「なぜ屍生人(ゾンビ)がいるの?石仮面はすべて破壊されたんじゃなかったの?それに、なんで私たちを……」

「シンディさんッッ」

早人は、立ちすくむシンディの手を引っ張って、テントの中にすばやく誘導した。

「しっかりして、今はそんな事言ってる場合じゃあないよ」

「ゾンビ?」

アリッサが。ぱぁっと表情を明るくした。

「みんな、頭よ。頭部に攻撃を集中させてッ!ゾンビなら、頭を吹き飛ばせば、動きを止められるはずよッッ」

 

「了解だよ、アリッサ」

さっそく、ピーターが、近づいてきたゾンビの頭を、拳銃で吹っ飛ばした。

 

一方、仗助は、まだデビットと二人、テントから離れたところにいた。

 

デビットは、担いでいたヨーコの遺体を、丁寧に木の上に置いた。

「すぐに迎えに来る、ここで少し我慢しててくれ……」

デビットはヨーコの亡骸にそう言うと、怒りに目を血走らせ、拳銃を引き抜いた。

「貴様らぁあああ!」

ヨーコが殺された怒りからか、デビットは顔を真っ赤にさせて拳銃を撃ちまくり始めた。

 

頭を吹っ飛ばされない限りは、拳銃があたっても、ゾンビたちはのけぞるだけだ。

すぐにまた、何事もなかったかのように立ち上がり、再び二人に近づいてくる。

仗助は、デビットの隣で、遠慮なくクレイジー・ダイヤモンドを暴れさせていた。

近づくゾンビ達を、撃退しつづける。

幸い、ゾンビ達にはスタンドが見えないらしく、近づくゾンビを一方的に攻撃することができる。

だが……

カチッ

ついに、デビットの拳銃の弾がなくなった。

 

「チッ」

デビットは舌打ちすると、ナイフを引き抜いた。

「デビットさんよぉー。無茶だぜ。ナイフ一本でゾンビの相手をするのはよぉー。ここは、俺がやるぜ」

下がってなよ。

仗助は、デビットを背中にかばった。

『ドラッッ! ドラララァッ!!』

クレイジー・ダイヤモンドが、両拳のラッシュをゾンビどもにぶちかまし続けるッ!

だが、ゾンビは次から次へと、まるで噴水から水が湧きだすように、湧いて出てくる。

徐々に、仗助も、押し寄せるゾンビたちに押され始めた。

「うぉおおッ!」

そしてついに、『スタンドからの、ゾンビのパンチを受け止めたフィードバック』に耐え切れず、仗助が膝をつく。

「血ィイイイイイ!」

膝をついた仗助に、ゾンビが、文字通り飛びかかってくるッ!

タ ー ン!!!

そのとき、仗助におそい掛かろうとしたゾンビ達が、頭部に銃弾を受けて吹っ飛んだ。

ピーターとアリッサが、テントの中からゾンビを狙撃したのだ。

「仗助クン、デビットッ、早くテントの中に」

ピーターが二人を手招きした。

「ここなら安全だ!」

「行くわよ……スケーター・ボーイ!」

アンジェラは、最後の二人、仗助とデビットがテントに入ったのを確認すると、スケーター・ボーイの能力を発動させた。

ギュルルルルルッ

テントの下部に、スタンドでできた車輪が現れた。

『波紋』の力か、それとも『車輪のスタンド』の能力か、物理現象を無視して、テントはキャンプ地の横の崖を垂直に登って行くッ!

     ◆◆

幸いなことに、スケーター・ボーイのスピードに、ゾンビはついてこられないようであった。しばらく走って、完全にゾンビたちをまいたと確信ができたところで、一行はテントを止めた。

テントを降りると、仗助はアリッサに詰め寄った。

「説明してくれ、あいつらは何もんで、どうして俺たちをおそってきたんだ。……ありゃあ『ジジイ』が言っていたゾンビだろ?なんであんなものが、この辺りにいるんだ。あんたら、何か知ってるんだろ?」

「仗助君、信じて。あのゾンビがどうしてここにいるのか、私たちも皆目検討もつかないの」

アリッサは、両手を上げた。

「奴らは、俺たちが調べていた、あの不思議な『土地』と関連があるんだろ?あんたらが何も知らないなんて、思えねーなぁああ〰〰」

仗助が怒鳴った。気の弱い人間ならば、その目で睨まれただけで腰が抜けそうなほど、恐ろしい表情をしている。

「仗助さん、でも、ヨーコさんが……彼らの仲間がやられてるんだよ。僕にはSW財団の人たちが、ゾンビのことを知ってたとは思えないよ」

早人は、仗助の見せる怒りを気にすることなく、冷静に指摘した。アリッサに詰め寄る仗助をなんとか引き離そうと、仗助の袖を引っ張る。

早人の方へ振り向いた仗助は、先ほどアリッサに向けた怒りの表情から一転した、穏やかで人のよさそうな表情を見せた。

「……言われてみればそうだけどよぉ――早人ォ、お前はずいぶん落ち着いているな。安心したぜ」

「吉良を倒した仗助さんの能力を、信じてるだけだよ」

「ハハハ……ありがとよ」

仗助は『まかせとけ』と言わんばかりに早人とハイタッチすると、アリッサに詰め寄るのを止め、負傷者の手当てを始めた。

その間も、アンジェラはテントに波紋を流し続けていた。

一方、SWの職員たちは皆うろたえていた。アリッサとピーターは唇を噛み、互いに顔を見合わせている。シンディは、うつろな表情で『ヨーコ……』とつぶやきつづけていた。

1人ディビットは、備え付けの衛星電話に取り組み、なんとかSW財団の本部と交信を行おうと悪戦苦闘していた。接触の悪かった配線を締め直し、慎重に周波数を合わせ……

「よし、本部に連絡がとれたぞ」

「ホントッ」

アリッサがデビットから衛星電話をひったくった。アリッサは電話口に向かって、何やら早口でまくしたて……そして、回線が再び止まった。

「どうしたの?」

 

「……電池切れだ」デビットは渋い声で言った。

一行は顔を見合わせた。電池切れでは、たとえ『クレイジー・ダイヤモンド』の能力でも直せないからだ。

「まあいいわ、明日の朝には増援部隊が来るそうよ……武器の補給も、追加の戦闘部隊も来ると思うわ」アリッサが言った。

「ヨシ……そしたら反撃開始だ。ヨーコの仇を撃ってやる」 

デビットは、怒りに満ちた口調で言った。

「ヤツラを許さねぇ」

「じゃあ、それまで何とかして生き延びないとね。……仗助君、アンジェラさん、あなた達が私たちの切り札よ。あなた達には、元気でいてもらわないといけないわ。……少し休んでいて」

気を取り直し、アリッサがSW財団の職員たちに指示を出した。

「しばらくは我々の中から見張りを立てます。……デビット・キング、 シンディ・レノックス アナタたちが最初の見張りよ。そのあとは私とピーター・ジェンキンズが、見張りに立つわ」

「まって、私も見張りに立つわよ。ゾンビどもに対抗するなら、私の波紋が必要よ」

言い募るアンジェラを、アリッサが抑えた。

「安心して、ゾンビに対して、我々でだけで対抗しようなんて思ってないわ。ゾンビが来たらすぐにあなた達に頼る。約束するわ。……それに、このテントの周囲には、落とし穴やらトラップのたぐい、赤外線センサーと鳴子を何重にも仕掛ける。ゾンビどもがやってくれば、すぐわかるはず。私たちの見張りは、ただの保険よ」

「そういう事だ。今の俺たちの仕事は、いざと言う時に備えて、少しでも休んで置くことだぜ」

仗助はそう言うと、目を閉じた。

「アリッサさん、僕にも何かできることはありませんか」

早人が尋ねた。

「早人クン、ありがとう。でも君はまだ小学生でしょ。ここは大人に任せて頂戴」 

アリッサがクスッと笑って、早人の頭を撫でようとした。

早人はその手をはらい、こんな時に大人も子供もないでしょう、と言った。

「早人クン、わかって頂戴。子供には危険すぎるのよ」

「ええ、危険なのはわかってます。でも、それはあなたたちも一緒じゃあないですか。あんな馬鹿力のゾンビを相手にしたら、大人だろうが、子供だろうが 同じです。結局歯が立ちませんよ」

「早人クン……お願い、言う事を聞いて」

それでも私たちは大人なの、大人に子供を守らせて とアリッサが言った。

「でも……」

早人はうつむき、唇をかんだ。

 

「いや、早人にも何かやらせてやってくれよ。そいつに根性があって、肝っ玉の据わった性格してんのは、俺が保証するぜぇ〰〰」

眠ろうとしていた仗助が、薄目を開けて言った。

「ナリこそちいせーがよぉ、早人は、役に立つ男だぜー」

「わかったわ、じゃあ……食料係に任命するわ。……さっそく、そこのバックを開いて皆の簡単な食事の準備をして頂戴。量には限りがあるから、後のことを考えて配給の量は注意してね」

「わかりました」

早人は真剣に備品を開き、はりきって食事の支度を始めた。

     ◆◆

 

翌日、まだ空が白み始める前に、仗助たちはまたゾンビの襲撃を受けていた。

 

「Ugryyyyyyy!」

「血ィィィィイイイッ!」

『ドララッ!』

仗助のクレイジー・ダイヤモンドが、ゾンビを吹っ飛ばす。

「Gzyuaaa!」

最後のゾンビは、アンジェラに襲いかかった。

その攻撃を、アンジェラはとんぼ返りを切ってかわした。

そのとんぼ返りをきる動きのまま、跳ね上がった足に波紋を込め、ゾンビに蹴りを浴びせるッ。

「オーバードライブッ!(波紋疾走)」

 

バッシュゥウウウゥゥゥ――――ンッ

 

「ガガガガァ……」

アンジェラの波紋を顎に受け、ゾンビは一瞬で頭部を吹っ飛ばされた。

波紋は体中を流れていく。ゾンビの体は、ビクビク残った両手と体を震わせながら白煙を上げて蒸発していった。

「これで終りッスか〰〰? いや、今回は割とあっけないっすねー」

ゾンビの奴らも工夫がないっすね。仗助は、スタンドをひっこめながら言った。

「アリッサ隊長のえげつねー作戦と、アンジェラの波紋がゾンビにはまったってのがおおきいっすけどね」

「仗助のスタンドのおかげよ」

アンジェラが言った。

「仗助が背後を守っていてくれたから、私が攻撃に専念できたんだもの」

 

「とにかく、誰にも被害が無くてよかったッス」

仗助が、ホッとため息をついた。

今回の襲撃は、アリッサを中心にして万全の態勢を敷いて迎撃した。

ゾンビたちは、仗助たちに近づく前に、地雷で足を吹っ飛ばされたり、落とし穴に落ちたり、ネットにからめ捕られり、テントの周りに張り巡らされていたトラップに、そのほとんどを引っかけさせることができた。

そこを、待ち構えていたデビットとピーター、アリッサが銃撃を食らわし、半数以上をいっきに殲滅させたのであった。

だから、今回は仗助も、アンジェラも、ごく数体の銃撃を生き残った少数のゾンビを相手にするだけで済み、余裕をもって戦うことが出来ていた。

 

だから、あっけなかった。

しかし、もし何の準備もしていなければ、昨夜同様大変な惨事となっていたに違いなかった。それほど、ゾンビたちのスピード、パワー、そして痛みを知ることなく向かって行く姿勢は、脅威であった。

 

そして、ゾンビのほうは今日の失敗からまなび、次の襲撃では何か対抗策を繰り出してくるに、違いなかった。

次の襲撃も、今回のように簡単にさばけるとは限らなかった。

「でも、本当に。なんでゾンビが現れたんだろうね……ゾンビは1938年にジョセフ師匠とシュトロハイム隊が最後の一体を倒して以来、出現してなかったハズよ……わからないわ……まさか石仮面が、杜王町で見つかったってわけじゃあないでしょうに………」

アンジェラが、首をひねった。

「ジジイがゾンビと戦った?」

何の話だ?そりゃあ

仗助が首をかしげると、知らないの?とアンジェラが呆れたように言った。

「ああ、知らないんだ」

「知りたい?」

「……どうっスかね……ムシロ機会があれば、本人から聞きたいっすかねェ〰〰」

仗助は、頭をかいた。

仗助とアンジェラが話を続けていると、アリッサとシンディが現れた。二人は、何やら焦った様子で首を振りながら、仗助たちに向かって走ってくる。

「おお、えぐい作戦を立てた指揮官さまが、ご登場だぜ」

仗助はアンジェラとの話を止め、二人が来るのを待った。

 

正直言ってジョセフ・ジョースター……仗助の『生物学上の』父親の昔話は、聞きたくもあり、聞きたくはなかった。だから二人がやってくるのは、話を打ち切る良いきっかけであった。

「ねぇ、様子が変じゃあない」

アンジェラが眉をひそめた。

アンジェラの言うとおり、アリッサとシンディの二人は動揺し、すっかりあわてているようだ。二人は息を切らしながら、仗助とアンジェラの前まで駆けてきた。

「……まずいわ……」

アリッサが仗助の手をつかんだ。

「……お願い。デビットを探して………さっきから、デビットの姿が見あたらないの……ゾンビの襲撃の後で、彼を見た人がいないのよ」

「!?ちょっと待ってよ……」

アンジェラは、仗助の手をつかんでいるアリッサの手をさりげなくはずし、代わりに自分が仗助の二の腕を掴んだ。

「例のゾンビの襲撃のとき、デビットは私たちの後ろでズッとサポートにまわっていてくれたはずよ。危険なことなんて、無かったはず」

「……早人君が、デビットが森の奥に入っていくのを見たって」

シンディが言った。

「!?何だって、それで早人は? なんでデビットさんが、1人でそんなあぶねー事をしたんだ」

仗助は、シンディにつっかかった。

「デビットがどうしてそんな事したのか、わからないわ。それから、早人クンは無事よ」

あわてる仗助を落ち着かせるようと、シンディは仗助の手を掴んだ。

「……グレート、俺が探しに行くぜ」

少し落ち着いた仗助が、答えた。

「アンジェラ、お前は残って、このテントを守っておいてくれ」

「……仕方ないわね。でも、気を付けるのよ」

アンジェラは、少し不満げにうなずいた。

 

「私も行きます」

シンディが銃を取り出し、言った。

「止めたって無駄ですよ」

――――――――――――――――――

その夜、ゾンビが襲撃してきた場で、デビットは5体のゾンビを倒していた。

作戦通り、罠にはまったゾンビに銃撃を浴びせたのだ。

罠にはまらず、生き残ったゾンビは、仗助とアンジェラがあっと言う間に倒してくれた。 アリッサの立てた作戦は見事にはまり、今回はあっけなすぎるほど簡単に、ゾンビの襲撃を撃退することができた。

その時、仗助とアンジェラが生き残ったゾンビを倒すのを見守っていたとき、デビットはあるものを見つけた。それは、一体のゾンビが森の中に逃げていくの姿であった。

「!?まさか……」

ちらりと見えたそのゾンビをほっておけなかった。デビットは、ゾンビが逃げるのを追って、森の中へと入って行った。

作戦では、SW財団はスタンド使いのアンジェラと仗助を支援するのが役割だった。単独行動は危険だ。

それは良く分かっていた。だが、デビットには、そのゾンビをどうしても無視できなかったのだ。

 

森は暗く、裸眼ではほとんど何も見えなかった。

デビットは、ヘッドライトをつけた。ライトで森の中を照らしながら、探索をすすめていく。やがて、ライトが探していたものを照らしだした。

それが『何』か、目にしたものを理解したデビットは、思わず悪態を吐いた。嫌な予感が、当たってしまったのだ。

そこにいたのは、ヨーコだった。

 

正確には、『元』ヨーコの、ゾンビであった。

 

「あら……デビットさんッ」

『元』ヨーコであったゾンビは、体をもじもじと震わせた。その体は、血で真っ赤に染まっている。

「元気そうね……良かったわ……正直、貴方が無事だったのか、心配していたのよ」

 

「ヨーコ……」

その話す言葉、口調は、ヨーコそのままだ。一瞬、デビットの心に希望がともる。

もしからしたら、ゾンビになり立てのときなら、まだ助けられるのかもしれない。

少なくとも、こうして会話ができるのであれば……

「みんなのところに戻ろう。大丈夫だ。みんな、キミを見たら喜ぶぞ」

 

「そうかしら……」

ヨーコは、恥ずかしそうにクスッと笑った。

 

その笑みだ。そのちょっとシャイな笑みに、デビットは惹かれていたのだ。

 

「そうね、デビットが助けてくれるのなら、みんなのところに戻れるかも……」

 

「ああ、助ける。助けるとも」

 

「そう、嬉しいわ。じゃあ……ねぇ……ちょっと、その血を吸わせてぇぇ♡」

そういって、ヨーコはにやっと笑った。

地味でおとなしいヨーコが見せる表情とは信じられないほどに、挑発的な笑みであった。

 

ヨーコ……デビットにとって、いつもおとなしく少し自信が無さげな、はかなげなヨーコは ほっておけない、保護欲をかきたてる存在だった。

それが今、妖艶な笑みを浮かべながら、デビットの血を吸おうとしている。

「馬鹿な」

デビットは、ヨーコに向かって小銃を向けた。

「ヨーコ頼むよ、落ち着いてくれ……大丈夫だ SW財団の技術があればちゃんともとに戻れるさ」

(そうだ、まだ希望はあるんだ。いつだって希望だけはある……)

「デビットさん……あなたは無口で怖そうに見えたけど、いつも私を気遣ってくれたわよね」

感謝していたわよ、ヨーコはペロリ……と自分の下で唇を舐めた。

その唇の下から、牙がのぞく……

「今もだ。いまもキミを大切に思っている。だから、落ち着いてくれ、俺たちと一緒に行こう……助けてやる……」

「デビット……誤解されやすいけど、あなたは本当に優しい人……だから……だから偉大なるDIO様の懐にいられる『絶対の安心感』を教えてあげぇるうぅぅぅぅわぁぁぁぁぁぁ!」

 

ヨーコが、おそいかかってきた。

 

――――――――――――――――――

 

「……遅かったか」

仗助がシンディを連れて、その場に到着した時には、既にデビットは打ち倒されていた。

そして、血を吸われてすっかり干からびていた。

デビットの血を夢中に吸っていたゾンビが、二人に向き直った……それは、ヨーコだった。

「ははは……誰かと思えば、人気者のシンディちゃんじゃなぁい」

ゾンビと化したヨーコが、口元の血をぬぐいながら言った。

その血は……デビットの血だ。

「ねぇ……あたしの愛しのデビットがすっかりカラカラになっちゃったのぉ。でも、シンディちゃんが血をくれたら、元に戻るかもぉぉ」

ヨーコは、クスクス笑いながら言った。

「……ヨーコ あんた……」

「グレートォ……」

「血ィぃぃッッ!」

その時、カラカラのミイラとなったデビットが、叫び声を上げながら起き上った。

「喉が渇いて仕方ねぇぜぇ……。シンディィィィ、お前のあったかい血を、おれにくうれえぇぇぇ!」

寡黙だったデビィットとは思えないほど、テンションの高い話し方だ……

「ヨーコ……デビット……なんてこと」

シンディが、顔を覆って泣き出した。

「ウワッハハハッ!そのやわらかくて甘そうな血をもらうぞッ!」

 

『ドラララァアア!』

シンディにおそいかかろうとしたデビットを、仗助が吹き飛ばした。

 

吹き飛ばされたデビットに、仗助は歩み寄った。地に伏すデビットの背中に向けて、仗助は優しく話しかける。

「……デビットさんよぉ。目を覚ましてくれよ……あんた、早人に釣りを教えてくれただろ」

「ジョースケェエエエ……血だぁああああああ!血袋だぁああああ!!」

立ち上がったデビットが、吠えた。その眼には知性のかけらもなかった。

「……だめか……やっぱり、もうこうなっちまったら『直せねえ』のかよ」

狂ったように叫ぶデビットの頭を、仗助は痛ましい顔で破壊した。

 

デビットが倒れ、残るゾンビはヨーコだけとなった。

「ヨーコさん、もう止めてくれ」

仗助が泣きそうな顔で言った。

「こんなことしちゃダメだ」

「仗助クン……わたしの体を直してくれて有難うね」

ヨーコが言った。

「私達ゾンビは、自分で傷を直せないから、食べられちゃった、わたしの足と手と内臓を直してくれて助かったの……嬉しかったわ……こ……れ…で、アンタの血をすすれるからなぁあああ!」

ヨーコ……だったものが絶叫した。

 

「ヨーコさん……あんたも、すっかり化け物に変わっちまったんだな。もう、俺に出来るのは、あんたの息の根を止める事だけっスか……」

仗助は顔をゆがめた。クレイジー・ダイヤモンドを出現させ、ユックリとヨーコへ近づいて行く。

「……ヨーコさん……あんたに杜王町を案内するの、ほんとに楽しみにしてたんすよ……俺は……」

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