仗助と育朗の冒険 BackStreet (ジョジョXバオー)   作:ヨマザル

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スタンド&クリーチャー図鑑

クリーチャー名:バオー(オリジナル)
性能:破壊力 - A / スピード - B /射程距離 - C / 持続力 - E / 精密動作性 - D / 成長性 - C
能力:寄生虫バオーが橋沢育朗に寄生した姿。10年近くの間、橋沢育朗に寄生し続けた結果、バオーの能力に肉体がなじみ、驚くべきほど寄生虫バオーの能力を引き出すことができるようになっている。状況に応じた武装化現象により、様々な特殊攻撃をすることができる。
後30日程度で、寄生虫が体を食い破り地球上に拡散していく危険性を抱えている。

スタンド名:ブラック・ナイト
本体:橋沢育朗
外観:橋沢育朗本体と類似した外観を持つ、幽霊のようなスタンド
タイプ:長距離 特殊型
性能:破壊力 - 無し / スピード - C /射程距離 - A / 持続力 - C / 精密動作性 - A / 成長性 - E
能力:幽霊のスタンド。直接攻撃力は全くないが、育郎と相性のいい生物に取りつくことができる。つまり、バオーに取りつくことができれば、育郎の意思でバオーが動かせ、かつスタンドが視認できるチート能力となる。


スタンド名:ザ・サン
本体:マーチン2世
外観:小型の太陽
タイプ:遠隔自動操縦型
性能:破壊力 - B / スピード - E /射程距離 - B / 持続力 - B / 精密動作性 - E / 成長性 - E
能力:サッカーボール大の太陽型のスタンド。熱エネルギーをレーザーのように発射できる。また、オリジナルと違い周囲の温度を上げるほどのパワーは無いが、代わりにボールのように相手に投げつけることができる。

クリーチャー名:ハンター
性能:破壊力 - C / スピード - B /射程距離 - C / 持続力 - D / 精密動作性 - C / 成長性 - E
能力:DRESSの研究により人為的に作られたクリーチャー
ある程度の知能があり、「簡単な命令 を理解し、仲間内での連携も可能」かつ「強靱で屈強な肉体」を備え、「非常に攻撃的な性質」を持っている。


ヌ・ミキタカゾ・ンシ(支倉未起隆) その3

「Gi・Ga……」

 

「いやぁねぇ、もう」

億泰にやられて息絶え絶えのマーチンを、ネリビルが軽蔑したように見下ろした。

「この子、もう、使えないじゃあない……。あなたァ……かわいいマーチンちゃんを、よくも殺ってくれたわねぇ」

億泰を睨み付けるネリビルの目は、憎しみにゆがんでいた。

「でも、これであんたもおしまいね……。動けないものね」

ネリビルは義手の先を億泰に向け、弾丸を発射した。

 

バシュン!

ガオンッ!

 

「チッ」

億泰は、しゃがんだ姿勢のまま動けないッ!

しかし、ザ・ハンドの右腕が、かろうじて飛んできた弾丸を削った。

「お前なんて、片手、片足ぐらいで、丁度いいんだょお!」

 

「アハハハハ……あなた、もしかしたらマーチンちゃんを殺ったから、安心してない?甘いわねぇ……私の武器が、この義手だけだと思ってるのぉ?」

ネリビルは、懐から二つの瓶を取り出した。

 

「何だぁ、そりゃぁ?」

億泰がせせら笑った。

「哺乳瓶か?のどが渇きでもしたのかよ」

 

「フフフフ……あなた、DIO様の事を聞いた事、ある?DIO様の持つ『不死身の肉体』に、秘められたお力のことを」

ネリビルは、勿体ぶって瓶の蓋を開けた。そして、瓶中の液体を半分飲み干し、残りをマーチンの肉体に振りかけた。

続いて……別の瓶からウネウネと蠢く奇怪な生物をつまみ出し、マーチンの上に、ポトリと落とした。

奇怪な生き物は、マーチンの眉間に、潜り込んでいく……

 

「おめー……何だ、それは?」

億泰から、笑みが消えた。

 

「フフフ……これはね……DIO様のお身体の一部よ。DIO様が我が組織をお仲間に入れて下さった時に、我らに授けてくださったの。それを、大切に培養してたってぇワケ」

 

「DIOさま……だぁ?」

 

「そうよ、我らの主、DIOさまよ。今の我々はね……」

ネリビルが真っ青な顔で言った。

何を飲んだのか、手足がガタガタ震えだしている。

「……今の我々は かつての-DRESS-Destruction & Regeneration Enforcement Secret Society(破壊と再生の秘密執行機関) じゃあ無いの。…… 今の我々は、DIO REsurrection Secret Society(DIO様復活の為の秘密結社) ――DRESS――

我らはDestiney Ruler Enforces us to Serve as Slave(運命の奴隷) ――DRESS―― 

……われらが闇のMaster、Messiah、Maitreya であられるDIO様を、再びこの地上に呼び戻すための組織……なのよ」

 

(??……何を言っているのかさっぱりわからね~)

だが、ネリビルが話したことの中にも、『一言』だけ、億泰に理解できる言葉があった。

その言葉を、聞き流すことはできなかった。

 

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

 

「おい……今なんて言った」

億泰が凄んだ。

「……お前、今、DIOって言いやがったのか?てめーまさか……今のは……あれかッ……』オヤジを壊し続けている』あれかッ!!」

 

「フフフ――よくできました、正解ョ」

ネリビルは、億泰にウィンクした。

挑発的に腰をくねらせ、空瓶を億泰に向かって振りたてる。

「そうよ――ここには、アナタのお父さんに『植え付けられていた』のと――いえ――アナタのお父さんを『ぶっ壊した』のと、同じものが、入っていたわよぉお!!」

 

ネリビルはもったいをつけながら、ささやく様に、一語、一語、はっきりと区切って

『NI KU NO ME (肉の芽) ♡』

と言った。

 

コ" コ" コ" コ" コ" コ" コ" コ" コ" コ"

 

「何……だ……と」

 

「フフフ……たしか、あなたのお父さん ――虹村垓さんって言ったかしら?―― は、DIO様の肉の芽が、暴走してしまったのよねぇ」

かわいそうに  と、ネリビルが付け加えた。

ネリビルの声は、いつの間にか絞り出すような、しわがれ声になっている。

 

「てめーが、親父の事を口にするんじゃねーよ」

億泰は歯を食いしばった。

ねじれた足に体重をかけないよう、ほとんど片足で立ち、ネリビルを睨みつける。

「てめーに何がわかるッ」

 

思い出す灰色の日々

……父親が日に日に言葉を、人間性を、人としての品性を失っていくのを、ただ見るしかなかった絶望の日々のキモチ

そして、不意に父親がまともな言葉を取り戻し、『これですべてが良くなる』と喜んだ時のキモチ

だが翌朝起きてみると、父親が完全な『化け物』になっていたとき、そして、一切の意思疎通が不可能になったと判った時のキモチ

その時の兄貴の顔を見たときのキモチ

……友達と一日楽しく遊んだ後に帰った我が家で、怒り狂ったアニキが、腹立ちまぎれに父親を蹴飛ばしている光景に出くわした時のキモチ

 

……その時の父のまるで人間とは思えない泣声

……父を殺すために兄が闇に堕ちた事に気づいた日の、悲しみ、悔しさ

……最後の最後で、自分をかばってくれた兄の最後の言葉

……そして、今の少し落ち着いてきた父

 

そして、幸せだった時の記憶、母と、父と、兄貴と楽しく遊んだ時の、大切な思い出。

 

(誰にも、どんな奴にもよぉ、『俺の家族』に、わかった口はきかせねぇ~~)

億泰は、ヨロヨロとビッコをひきながら、ネリビルに近づいていく。

 

「あら、気を悪くしたみたいね……。ごめんなさいネッ……でも、私も引き返せないのョ。覚悟しなさいね……」

ネリビルの声はどんどんかすれていき、そして……

「!?ギャアアア!!!!!」

突然ネリビルが、絶叫した。

 

あっけにとられている億泰たちの目の前で、ネリビルは、恥も外電もなく絶叫を上げ、手足をバタバタと暴れさせ……、地面を寝転がり、のたうちまわり……

 

不意に、絶叫が止まった。

 

そしてネリビルは、まるで『先ほどまで暴れていたことなどなかった』ように、冷静な顔で立ち上がった。

同時に、先ほど倒したはずのマーチンが、また立ち上がった。

 

「まぁーたぁーせぇーぇええーたーわぁーねぇ――」

ネリビルが、凶気の笑い声をあげた。

「すぐに済むわ。私自らあんたの血を吸ってあげるからなぁぁあ A A A!」

 

「なッ……なんだ、お前達は?」

いかれてるのか?億泰は思わず気押され、後ずさった。

 

キャハハハハハッ

 

ネリビルは、笑い声を上げながら、億泰に向かって飛び込んできた。

自分の生身の両手で、殴りつけてくるッ

 

ガボッ!!

 

それは、ただの生身の攻撃のはずであった。

 

だが、スタンドで防御したにもかかわらず、億泰はネリビルのパンチ力に押され、後方に押し込まれた。

「ぐぅっ……やっかいなことになったぜぇ」

 

「ぎぃやああぁ!」

そこに、マーチンの背中から、野球ボール大の火の玉が飛び出して、再び億泰をおそった。

 

「あぶね~」

とっさにザ・ハンドが、火の玉をかき消す。

 

「隙ありッ!もらった!!」

ネリビルが、億泰に殴りかかるッ!

 

億泰は体勢が崩れている。避けられそうもない。

その時……

 

タ ー ン!!!

 

弾かれたように、ネリビルの体が後方に吹き飛んだ。

 

スミレが木の上から、猟銃でマーチンと、それからネリビルを狙撃したのだ。

「億泰君ッ!」

スミレが叫んだ。

「大丈夫?」

 

「スミレ先輩……いや、助かった……ゼ……?」

 

スミレの撃った銃は、確かにどちらも命中していた。

しかし、猟銃に撃たれたマーチンも、ネリビルも、どちらも額から血を流しながらも平然としている。

 

コ" コ" コ" コ" コ" コ" コ" コ" コ" コ"

 

「……あなた……人間ですか?本当に、地球上の生き物ですか?」

未起隆がつぶやいた。

 

「アハハハハァ!」

ネリビルは、人間とは思えないほどの高さまで跳躍した。木の上にいたスミレを、軽々と抱え上げた。

 

「!?放せッ、このクソババア!大ぶすッ!……へちゃむくれの、腐った饅頭ヤロウッ!」

 

「やっぱりあんた、いい根性しているわね」

ネリビルは、暴れるスミレを簡単に抑え込んだ。

 

「させないッ!」

未起隆が、ネリビルに掴みかかった。

 

「フフフ、無駄よ。ばぁーい……ハンサムボーイ」

ネリビルは、抵抗しようとする未起隆を蹴り飛ばして、義手に仕込んだ弾丸を撃ち込んだ。

 

危ないッ!

未起隆は、とっさに紙飛行機に変身して弾丸をよけた。

しかし、もう一発ッ

二発ッ

ついに、ネリビルの放った銃弾が紙飛行機の翼を打ち抜いた。

翼を赤く染めた紙飛行機は、ふらふらと少しだけ飛んで ―― 地上に墜ちた。

 

「キャアアアア!」

ネリビルに捕まったスミレが、悲鳴を上げた。

「ミキタカゾ!大丈夫?」

 

「スミレさん、すみません……億泰さん、スミレさんを守りきれませんでした」

地面に落ちた紙飛行機が、未起隆の姿に戻った。

未起隆は、右手を抑えてうずくまっている。

その右手には、弾丸が貫通した跡が丸く開き、手を真っ赤に染めていた。

 

「プーダァァァー!!!」

スミレの懐に隠れていたインピンが、ネリビルにおそい掛かった。

後足から棘を伸ばし、ネリビルを刺そうとするッ!

 

パシッ

 

「……邪魔よ」

ネリビルは、人差し指でインピンをはたき飛ばした。

 

インピンがはたき飛ばされた先には、未起隆がいた。

互いに強く体を打ち付けたインピンと未起隆は、ふらっと倒れこんで……動かなくなった――

 

「あのリス、カントリーグラマーの命令を無視したわ……不思議な生き物ねぇ……まあいいわ……」

あとで捕まえて、ゆっくり解剖するわ……とネリビルが笑った。

 

「……このくされ脳筋ババアー……わかったわッ、私はどうなってもいいから、ミキタカゾと億泰君を見逃しなさいよ」

スミレが懇願した。

 

「諦めて、大人しくするのねッ」

ようやくいい子になったのかしら?

ネリビルが、ペロリとスミレのうなじを舐めた。

 

「いいゃ、スミレ先輩、勝負はまだだぜぇ~~」

満身創痍の億泰が、強がった。

「だから、まだ泣くのは早いぜぇ~」

 

「あら……可愛らしい強がりね」

あんまり可愛いいから、せめて痛くないように優しく血を吸って上げる。

ネリビルがウインクした。

 

「ぬかせ、この野郎!」

億泰は、突っ込んで来たネリビルを、ザ・ハンドで迎え撃とうとした。

 

しかし、ザ・ハンド が近づいてくるより早く、ネリビルはスミレを背負ったまま再び飛んだ。

そして、マーチンの背中に飛び乗った。

 

「くそっ。先輩を盾にしてやがる」

これじゃ攻撃できね~~ 億泰が歯噛みして悔しがった。

(だが、どうしてもコイツはゆるさねぇ~~)

 

「バアーイ。アナタのお父さんの事、今度ゆっくり教えてあげるね……でも、今回は時間がないってわけ。残念だけど、またねぇ〰〰 次はたっぷり血を吸ってあげる。うふっ♡」

ネリビルが勝ち誇り、マーチンを大きくジャンプさせた。

 

「ふんッ!甘いぜ!!」

だが、飛び去ろうとするネリビルに向かって、億泰は、ザ・ハンドの右手を振り下ろした。

「逃がすかよッ!」

 

シュルルルル

 

すると突然、ネリビルの手の中から、スミレが忽然と消た。

ネリビルが振り返ると、億泰が、ぐったりとしたスミレを抱えていた。

 

「何ですってぇ」

……このエロガキ、とっとと女の子から手を放しなさい。

ネリビルが怒鳴った。

 

「……空振りったって、空間を削っているんだぜ~~俺が削った先にあるものは、何でも吸い寄せられるのよ」

先輩は返してもらったぜぇ と、億泰が言った。

 

「何てこと……これで、あんたを殺さないわけには、行かなくなったじゃあないのよォッ!」

 

「俺こそ、遠慮なくあんたを削ってやるぜぇ」

 

「がぁぁきぃぃいいいい!!その甘くて温かい血をすすってやるわ!」

 

「おお、こいやッ!」

億泰は片足立ちで、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、ネリビルに向かって行った。

……ところが……

 

ドゴォンッッッ!!

 

億泰とネリビルが交錯する直前、突然二人の足元が『爆発』した。

 

億泰も、未起隆も、爆風をまともにくらって、吹っとんだ。

二人の視界は爆煙にふさがれ、吹き飛んだ衝撃で後頭部を打ち――意識を失った――

 

     ◆◆

 

億泰の目が覚め、辺りの様子をうかがうと、そこには敵の気配がなかった。

「……どうなってやがる」

爆風で、あたりはサンマを焼いたように真っ白にぼやけていた。

ほこりが収まり、ようやく周囲の様子がわかるようになったとき、億泰と未起隆は、スミレがさらわれたのを知った。

――――――――――――――――――

 

1999年11月5日 [M県K市、A山山麓]:

 

爆破された洞窟をやっとのことで抜け出して、噴上たちが地上に出ると、そこには二人の若者が倒れていた。

二人とも、噴上が知っている男達だ。

「お前、億泰じゃねーか。それに未起隆……なんでお前達がこんな所にいるんだ?」

噴上は、驚きの声を上げた。

「おい、ひでぇ怪我じゃねーか……どうした、誰かにやられたのか?」

 

「!?…………」

 

ポルナレフに助け起こされた二人は、意識朦朧とした状態だった。噴上が誰かも、すぐにはわからない様子だった。

 

「彼らは、知り合いかい?」

ポルナレフが尋ねた。

 

「……ああ、こいつは 虹村億泰、 もう1人は 支倉未起隆、二人とも東方仗助のダチだよ」

 

「その名前は、ブリーフィングの時に聞いたぜ、どちらも杜王町に住む『スタンド使い』だな?」

ホル・ホースは、噴上に確かめた。

 

「その二人が、どうしてここに居るんだ……しかしひどい怪我だぜ」

ポルナレフは、倒れている二人に簡単な止血をした。意識不明でぐったりとしていた二人は、ポルナレフの治療で、だいぶ容態が回復したようだった。

 

「ニーダ……」

未起隆の懐から、インピンが顔を出して鳴き声を上げた。

 

「ノッツォ……」

育朗が、インピンを見て硬直した。

「まさか、信じられない……君に再び出会えるなんて……」

 

育郎は、目を潤ませてインピンに向かって手を伸ばし……あることに気が付き、ハッと息をのんだ。

「君が一緒にいるってことは、スミレも一緒にいるはずだ……ノッツオ、スミレはどこにいるんだい?」

 

「育朗よォ……悪いが、この近くにあんたのスケはいないぜ」

噴上が言った。

「今は、あんたのスケの匂いはしねぇよ。ここにいるのは、こいつらだけだ」

 

「しかし……この子が理由無しにスミレから遠くに離れるなんて、ありえないんだ」

育朗は、近寄ってきたインピンの頭を撫でた。

「一体、何が起こったのだろう」

 

「……うう……!? だ、誰かと思えば、噴上さんじゃあないですか、どうしてアナタがここにいるのですか?」

ようやく頭が少しはっきりしてきた未起隆が、顔をゆがめ、頭を振り振り、尋ねた。

 

「未起隆ぁ、それはこっちのセリフだぜ。お前ら、何でこんな所にいるんだ?何でそんなに怪我してる」

 

「それはですね……」

 

ここにいる理由を話し始めようとした未起隆を、同じく目を覚ました億泰が遮った。

「ふ……ふ………噴上よォ~~。お前、いいところに来たぜェ~~。ちょっと……俺たちを手伝え」

 

「ハぁ?なんだってぇ?」

噴上は目を丸くした。前から勝手な奴だとは思っていたが、ここまでとは。

 

「猿の化けものと 馬鹿力のおばさんに……スミレ先輩をさらわれちまった。俺たちは、奴らからスミレ先輩を助けださねぇとならねぇ……だから噴上、ちょっと肩を貸せよォ」

億泰は、全身の痛みに耐えながら、歯を食いしばって立ち上がろうとした。

 

噴上は、頭を抱えた。

億泰の話は、すっかり要領を得なかった。だが、何を言っているか理解できなくとも、億泰が必死なのはわかる。どうやら、適当にあしらってはいけないことらしい。

「チッ……お前、何言ってるのかさっぱりわからねーよ。もっと頭の中を整理してから話しやがれ」

ホラ、肩を貸しな。

噴上は億泰の前にしゃがみ込んだ。

 

億泰は、噴上の肩を借りて立ち上がった。

「悪いなぁ……礼代わりに、今の生意気なセリフは聞かなかったことにしてやるよぉ~」

 

「お前ょお……俺の方が年上なんだぜ」

噴上はチッと舌を鳴らした。年長者に話しかける時はもっと丁寧に話しやがれ。

 

そんなの知ったことか。億泰がうそぶいた。

 

思わず口論を始めかけた二人に、育朗が声をかけた。

「ちょっと待ってくれないか、億泰君たちに、質問があるんだ……君は今さっき、『スミレがさらわれた』って言わなかったかい?」

育朗が、億泰の肩をつかんだ。

「頼む……教えてくれ……君達は……スミレと一緒にいたの?それで、彼女は今、どこに……」

 

億泰は、眉をしかめて育朗を睨みつけた。突然話しかけてきた、『いかにも女の子からモテそうな』爽やかイケメンに、隠しきれない敵意をにじませている。

「ああ、いっしょにいたぜぇ……それで、テメーは誰だぁ?」

 

失礼した と、 育朗は自分の名を名乗り、改めて二人にスミレの居場所を問いただした。

 

未起隆と億泰は、育朗の迫力に押され、自分たちが杜王町でスミレに出会ってから、先ほどネリビルに誘拐されるまでの顛末を、すべて話して聞かせた。

「……っと言うわけよォ~……動物を操るオバサンが、スミレ先輩をさらっていきやがった」

億泰が、ぶすっと言った。

 

億泰が話し終えると、未起隆が英語に翻訳して、ポルナレフとホル・ホースに説明した。

 

「何てことだ」

育朗が、頭を抱えた。

「スミレが、僕を探して……なんとしても助けないと」

 

「アナタ、スミレ先輩の知り合いなのですか」

何か言いたそうな億泰を遮り、未起隆が育朗に向かって尋ねた。

 

「僕は、彼女の……幼馴染みたいなものさ……」

助けに行かないと。

育朗は真剣な目つきで、周囲を探索し、スミレが連れ去られたと思わしき痕跡を追って、森の中に入ろうとした。

 

「育朗クン、ちょっと待て」

ポルナレフが、育朗の肩をつかみ、制止した。

「気持ちはわかるが、まずは彼らの傷の手当てをしないとならん。……二人ともひどい傷だ」

 

「そうでした……二人ともゴメン」

ハッと気が付いた育朗は、億泰と未起隆に頭を下げた。

「怪我をしている君たちを気遣わず、スミレのことばかり聞きたがるなんて……僕は最低の行動をしてしまった」

許してほしい。と、育朗は頭を下げた。

 

「おっおぅ……気にすんなよォ~~」

素直に謝られると、何時までも邪険な態度をとるわけにもいかない。億泰は、よしてくれ……と手を振った。

 

と、ポルナレフとホル・ホースの顔色が、変わった。何かが近づいてくる気配に、気が付いたのだ。

「……おい、ポルナレフ」

「わかってるぜ」

二人はほぼ同時に警戒態勢を取った。億泰達、高校生を中心にはさんで、背中合わせでそれぞれのスタンドを、出現させた。

 

「なんだァ~おっさん達?」

 

「!?また、追っ手ですか」

インピンを肩に乗せた育朗が、身構えた。

 

「そうだ、追手だぜ。……そろそろ来やがるぜ……油断すんなよォ」

ホル・ホースが、帽子を目深にかぶりなおしながら言った。

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