仗助と育朗の冒険 BackStreet (ジョジョXバオー)   作:ヨマザル

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ディオ・ブランドーとDIO その1

かつてディオ・ブランド―と言う男がいた。

彼は今から100年以上昔、19世紀末のイギリス下層階級生まれの男であった。彼は、強く数奇な運勢、高い知性と並外れた意思の力、そして漆黒の覚悟を持っていた。

 

そして、ジョナサン・ジョースターと言う男がいた。

彼はディオと同じ年代にイギリスの地方貴族(ジェントル)階級に生まれた男であった。彼は強烈な魂の爆発力、素直な心と頑強な肉体、そして黄金の精神を持っていた。

……そして、彼は『ジョジョ』と呼ばれていた。

 

対照的な性格・生い立ちを持つ二人の運命は混ざり合い、二人は互いを兄弟として育った。

そしてそれはまだ二人が数奇な運命に巻き込まれる前、寄宿舎での学生生活を送っていたときの事だ。彼らの父親のジョージ・ジョースターが、休暇中の二人をエジプトに連れて行ったことがあった。

 

二人は、そこで『奇妙な冒険』に巻き込まれた。

 

「は――ッはぁ――ッッ……ジョースター卿ありがとうございます………ジョジョッ……おッ……君が助けてくれたのか」

「……いや、君がサソリを防いでくれなかったら、僕たちは逃げられなかった……ありがとう、……ディオ」

「気合い入れろよッジョッジョォォオオオッ」

「……キミこそ……ディオッ!」

その『奇妙な冒険』の間、エジプトの地を歩き回る間に、二人は『自分が生涯において目指すべき何か』を見つけた。

1人は空を見上げて星をみて、 もう1人は地面の泥を見て ――目標を―― 見つけたのだ。

 

「これは?そうか、興味深いな……フン。だが、今の俺には手に入れるべき術もない……だが、いつかきっと、すべてを手に入れた後には……」

「太古の人々は何を思い、何を信じ、何を夢見て生きていたんだろう……ああ、それを学ぶことが出来れば、僕たちはもっと先に行けるのかな……」

 

だがその後、二人の運命は変転する。

ディオは自らのめぐらした陰謀が仇となり、養父に毒をもったカドでついに追い詰められた。だが彼はその時、義理の父親の血と石仮面の力で――人間を辞めたのだッ!

「俺は人間をやめるぞ!ジョジョーッ!! 俺は人間を超越するッ! ジョジョおまえの血でだァ―ッ!!」

 

ディオが人間を止めた後、兄弟は三度に渡って相戦い……そして互いに大西洋に沈んでいった。

 

「いくぞ!ジョジョ!そしてようこそ!我が永遠の肉体よ!」

「ディオ…君のいうようにぼくらはやはり ふたりでひとりだったのかもしれないな、奇妙な友情すら感じるよ…そして今、ふたりの運命は完全にひとつとなった…」

「ジョジョ…!?こ…こいつ……死んでいる……!」

 

     ◆◆

 

二人の物語は、1889年の大西洋で終わったはずだった。

 

だが時がたち、二人の新たな物語が始まる。

 

不死身の吸血鬼となっていたディオが、ジョジョの肉体を奪い、100年の時を超えて復活したのだ。

復活したDIOは世界を見て周り、この時代に対する知識を増やして行った。DIOにとって、100年の時を経たその世界は驚異だった。

 

永遠をいかにして生きるべきか?彼は少年時代に見つけた『目標』を今こそ手に入れるためエジプトに渡り、そこで新たな力:スタンドを得て旅だった。

 

「ふん、少年よ……このDIOと取引をしようって言うのか」

「俺はアンタが誰モノなのか知らねえ、き……興味もねぇ……だが、この《矢》を買ってほしい……あんたならこの値打ちがわかると聞いた!」

「貴様ッ! 誰に向かって話しているかわかっておるのか、馬鹿者がッ!!」

「なッ……体が動かんッ……キング・クリムゾンッ時間を吹き飛ばせッ!……馬鹿な……時…時間を吹き飛ばしたのにまだ体が動かん!」

「ヒャヒャヒャッ……貴様がどんな能力だろうが、この《ジャスティス》にかなうものかッ!DIO様以外に私の能力を破れるものなぞ おらんわッ!」

(くっ……やられるッ……こんな所で、『悪魔』と呼ばれたこの俺がッ まさか、まさかッ!)

「フフフ……気に入ったぞ、小僧。エンヤ婆、構わん。この少年に金を払ってやれ」

「あっ…ありがてぇ……」

 

     ◆◆

 

DIOは自分と同じスタンド使いを生み出す『弓』と『矢』を持って世界中を回る。

イギリスを……

「フン……跡形もないな……兵どもが夢のあと……という訳か」

 

アメリカを……

「自動車か……このDIOが生まれた時代は、馬車しか走っていなかった」

「太陽アレルギーだという事を信じてくれてありがとう。いつかわたしに合いたいと思ったらこの矢に気持ちを念じて呼んでみてくれ…………心に留めておいてくれるだけでいい」

「DIOに会いたい……人はなぜ出会うのか きっと彼ならその答えを知っている」

 

そして日本を……

「垓、吉廣、貴様らの仕事は日本である「組織」に接触することだ」

「その『組織』とは?」

「正確には、元『組織』らしい。フン……その組織の研究者が、私の『体質』に興味を持っているかもしれんのだ。見過ごしてはおけないからな」

「わかりました」

「……チッ……何でただのボロッチー写真野郎と、ツルムまにゃいかんのかよ」

「その組織はアメリカでも活動しているらしい……お前たちが動き出したことは、『神父』にも伝えておいてくれ。アメリカ側の調査は『彼』に任せようと思ってるからな」

 

そしてDIOは気づく、自分のスタンドの持つ強大な力に。そして、若き自分がエジプトの地で見出しかけたもの、真に自分が目指していたもの……天国に行く方法に。

彼は天国に行く準備に取り掛かり、そのために再び漆黒の意思で、ありとあらゆる邪魔なモノを無慈悲に踏み潰していった。

 

「幸福とは、無敵の肉体や、大金を持つ事や、人の頂点に立つ事では得られないというのはわかっている。真の勝利者とは、『天国』を見た者の事だ。どんな犠牲を払っても、わたしはそこへ行く」

 

「……『君は……普通の人間にはない特別な能力を持っているそうだね……ひとつ…………それを私に見せてくれるとうれしいのだが』……ヤツを本当に恐ろしいと思ったのはその時だった ヤツが話しかけてくる言葉はなんと心が……やすらぐんだ」

 

「わたしの《ザ・ワールド》をDISCにして奪えば君は王になれる やれよ」

「そんな事は考えたこともない……君は王の中の王だ……君がどこに行きつくのか?僕はそれについて行きたい……」

 

     ◆◆

 

だが、DIOが『天国』へ行くためにおかしたその非道は、結果としてDIOの元へ自分の宿敵、ジョースターの家系を呼び寄せる事になった。

100年前の世界で生涯を終えたジョナサンは、その血を、その黄金の精神を、魂の爆発力を、彼の子孫に確かに受け継がせていたのだ。

 

「このくそったれ野郎の首から下は わしの祖父ジョナサン・ジョースターの肉体をのっとったものなのじゃあああ――あああ!!」

 

「やつらは』 この俺の存在に気付いている*****ジョナサンの一族は……排除せねば…………」

 

「DIO様、大丈夫ですか?御けがは……さあ、治療してください。私の血をお吸いになって」

「ディビーナ……君は、私にとって安らぎだ』」

「DIO様」

「君は私にとって代わりのいない人間だ……信頼しているよ。私の体はまだ少し本調子ではないんだ。だから万が一の時は頼んだよ。信じている、ディビーナよ……」

「もちろんです、DIOさま、私のすべては貴方のためにあるのですから」

 

そして、再びエジプトの地で、DIOとジョナサン、二人の運命は再び交わる。

 

「人間は誰でも不安や恐怖を克服して安心を得るために生きる……お前は優れたスタンド使いだ……殺すのは惜しい……私に永遠に使えないか?永遠の安心感を与えてやろう」

「初めて会うのに、ずっと昔から知っている男……そうわしはずっと知っていた……懐かしい相手ではない。…………わしらジョースターの血はこいつといつか会う事を知っていた」

「これで…………ジョースターの血統もようやく途切れてしまう と言うわけだな わが運命に現れた宿敵どもよ さらばだ」

 

     ◆◆

 

そしてDIOは《ジョースターの血統と引き継がれる黄金の精神》にまたしても敗れた。破れた彼は、これまでの人生で他人から奪ったものをすべて返し、塵となった。

 

「じじいは……決して逆上するなと言った…しかし……それは………無理ってもんだッ!こんなことを見せられて、頭に来ねえヤツはいねえッ!」

「クックックッ 最終ラウンドだ! いくぞッ!*****!WRYYYYYYYYYY――――――ッ」

「てめーの敗因はたったひとつだぜ…DIO… たったひとつの単純な答えだ… 『てめーはおれを怒らせた』」

 

だが、DIOは本当にこの世から消滅したのだろうか?

 

「ああぁDIO様……ええ、分かっております。今がその……万が一の時なのですね」

     ◆◆◆◆◆

 

 

1999年11月10日  明け方 [A山近郊の廃墟]:

 

無事に廃墟に潜入したスミレは、恐る恐る目の前のドア――があった跡――をくぐった。ドアは、先ほど、突然スミレの目の前で吹っ飛んでいた。

 

ドアの跡をくぐり、建物の中に入ると、そこには全身ボロボロのポルナレフと、同じく左肩から血を流している仗助とが、対峙していた。

アンジェラが、部屋の隅につっぷしていた。

仗助の隣には、二人の男が立っている。

二人の男の内1人は、むさ苦しい口ひげを蓄えた小柄で小太りのインド人だ。その男からは恐怖を感じなかった。 

だが、もう1人の派手な格好をした若い男、その男からは、圧倒的な恐怖の匂いが発散されていた。

 

コ” コ” コ” コ” コ” コ” コ” コ” コ” コ”

 

「これは、これは……君を探していたよ」

派手な格好の男が、スミレを見てにっこり笑った。

「予知の少女よ、やっと会えたね」

 

声を聴いて、スミレはその男が誰だか理解した。

この男はエルネストだ。

あの時、東方仗助に邪悪な『何か』を植え付けた男だ。

 

「仗助が、肉の芽に……」

アンジェラが言った。

「逃げて……スミレ。逃げて、億泰君と噴上を連れてきて……」

 

「!? わかったわ」

スミレは我に返り、部屋から飛び出そうと振り返った。

 

だがそのスミレの手を、エルネストが捕まえた。

 

┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨

 

「そうはさせないよ。それに、私は君の能力が欲しいんだ。スミレ、君の能力を私に役立ててくれないかい?」

後悔はさせない。代わりに永遠の安心をやろう。

 

「なに……貴方……誰なの?」

 

「君が探し求めている『彼』にも、『安心』をやろう」

スミレの問いに答えず、エルネストは話し続けた。

この男の声を聴いていると、すうっと『この男の言う通りにしたい』と言う欲求が沸き起こってくるのは、どうしてなのか……

 

「なに、『君たちが恐れていること』が何か、私は知ってるよ……君たちが不安を感じるのも無理はない。今迄辛かったろう…わかるよ。かつての私も、君達と同じような苦しみを感じていたからね。だが、だからこそ、私なら君たちを救える」 

エルネストは手を伸ばした。

「君達に永遠の幸せを約束しよう……君達にはその権利がある。ちょっと、私に協力してくれるだけで、その権利が手に入る」

 

その男の微笑みに、スミレは何故か胸が締めつけられた。男がこちらを見るたび、頭がくらくらとしてくる……

 

コ” コ” コ” コ” コ” コ” コ” コ” コ” コ”

 

「頼む、手荒なことはさせないでくれ、マドモアゼル」

エルネストは、少しぼうっとしているスミレの腕を『優しく』とった。

 

「ハッ……離してクソオヤジッ!やり方が汚いのよッ。だいたい何んだって言うの――?わ…ワタシに何をシロって…イ、ウノ……?」

スミレの抗議は、エルネストに見つめられているうちに、なぜか勢いを失い、尻つぼみになった。

 

「スマナイが君の能力をくれないか……実は、ある男に君のその素晴らしい《能力》を渡す約束をしてしまっていてね」

 

「な…何ですってぇ……?」

 

「私にも良く理解できないが、彼が言うには、『絶頂に居続けるため』に、君の力が必要なのだそうだ……」

エルネストは、優しい口調で言った。

「確かに、君の『力』は素晴らしい……」

 

「あ、ああぁ……」

 

「だが、私には、君のその力は、彼には『過ぎたる力』だと思うんだがね……自分の器を超える力を手に入れたとき、その力はいとも簡単に、かの人にとってのエピタフ(墓標)となる……そう思っているんだがね」

だが、契約は契約。ビジネスはビジネスだからね……と、エルネストは優しそうな口調でつづけた。そして次の瞬間、スミレの額をギリギリと締め上げた。

エルネストは、そのほっそりとした姿からは想像もつかないほどの膂力で、スミレの体を左手一本で高く、差し上げた。

「まだ、DISCが出来きってはいないようだが、無理やり取らせてもらうぞッ」

 

「クッ …… あ、ああああ!!」

宙づりにされたスミレが、悲鳴を上げた。

 

と、エルネストがスミレをつかんでいた手を放し、ぱっと飛びのいた。

 

パシュッ!

 

エルネストが飛びのいた直後、その空間をシルバーチャリオッツが切り裂いた。

ポルナレフは、満身創痍の体から力を振り絞り、エルネストに相対した。

「貴様ッ!その薄汚い手をスミレから離しやがれッ」

 

「ポルナレフ、またしても邪魔するかッ!」

エルネストが、スタンドを出した。

「だが無駄無駄無駄ッ!跡形なく消し去ってくれようッ!」

その時

 

「ちょっと待つッスよー、エルネスト」

と、東方仗助が、天井から飛び降りてきた。

「ポルナレフのオッサンは、俺が仕留めるっす……アンタは引っ込んでてくれ」

 

「何だと……」

エルネストが仗助を睨みつけた。だが仗助も一歩も引かず、逆にエルネストを睨み返した。

 

コ” コ” コ” コ” コ” コ” コ” コ” コ” コ”

 

「わかった……お前に任せよう」

フッと、エルネストが笑った。まるで風船から空気を抜くかのように緊張を解き、スタンドをひっこめた。

「だが……わかってるな、仗助」

 

「……ああ」

仗助が自らのスタンド:クレイジー・ダイヤモンドを出現させた。

「『天国』へみんなを連れていくために、俺が何をしなければならないか、よォ―――く理解してるッすよ」

 

「……やってみろ、一対一だろうが、二対一だろうが、それとも三対一だろうが、同じことよ!」

ポルナレフは、エルネストと仗助に、スタンドのレイピアとニホントウを、それぞれ突きつけた。

「かかってコィッ!」

 

「グレートッ。行くっすよォーッ。ポルナレフさん」

仗助が、凄惨な、だがどことなく悲しげな笑みを見せた。

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