仗助と育朗の冒険 BackStreet (ジョジョXバオー)   作:ヨマザル

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スタンド図鑑

スタンド名:ハイウェイ・スター
本体:噴上裕也
外観:紫色に分裂した複数の足跡(遠隔操作時は人型)
タイプ:遠隔自動操縦型/遠隔操作型
性能:()内は遠隔操作時の能力
破壊力 - C / スピード - B / 射程距離 - A(B)/ 持続力 - A / 精密動作性 - E(C)/ 成長性 - C
能力:基本は人型スタンドだが、自動追跡時には足跡型に分裂して獲物を追う。遠隔自動操縦型ではあるが、本体である噴上がスタンドに指示を出すこともできる。また、狙った獲物を時速60Kmで追いかけ、養分を奪うことができる。しかし、本体の力は人間並みで弱い。(噴上本体より力が弱いと思われる)

スタンド名:????
本体:橋沢育朗
外観:橋沢育朗本体と類似した外観を持つ、幽霊のようなスタンド
タイプ:長距離 特殊型
性能:破壊力 - 無し / スピード - C /射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - D
能力:幽霊のスタンド。詳細は不明


噴上裕也 その2

噴上が目を覚ますと、二人の白人中年男性が顔を覗き込んでいた。

 

「おお、よかったぜ。中々目を覚まさないから少し心配したんだぜェ」

 

陽気に話しかけてきたホル・ホースと名乗る男を警戒しながら、噴上はそっと周囲の様子を観察した。

ここは、山中に打ち捨てられた別荘か何かのようであった。

広い部屋に、豪華な造りの家具たちが据え付けらえていた。誰も使わなくなってから時間がたっているようで、部屋中が埃っぽく薄汚れている。

 

もともと噴上が探していた幽霊:育朗は、三人から少し離れた場所に漂っており、窓から外の様子を眺めていた。

 

「おい、どういう事だ。オッサンたち、何者だ?」

噴上が尋ねると、ホル・ホースが答えた。

 

「小僧、教えてやるよ。簡単に言うと、俺たちは日本政府とアメリカ政府から極秘の依頼を受けて仕事をしているのさ。凄腕のエージェントってわけだ。カッコいいだろォ?邪魔すんなよ」

ホル・ホースは、胸をはった。

「さっぱりわからねぇ。オッサン達、何をしてるんだよ」

 

「しかたねーな。もう少し説明してやる――お前はスタンド使いらしいから、特別サービスだぜ。俺たちが日米の政府から受けた依頼を『ちょっとだけ』話してやろう」

 

ボッ

 

ホル・ホースが、煙草に火をつけた。

「いいか……8年前に壊滅したある闇の政府系組織の本拠地がこのあたりにあったのよ」

 

育朗が、ドレス とつぶやく。

 

ホル・ホースは我が意を得たり、と悦に入った様子でうなずいた。

「そうだ、その組織は、ドレスってふざけた名前で呼ばれていたらしいな。俺たちの仕事は、その組織が過去に作った危険な生物兵器の回収さ」

 

「なんだってェ〰〰」

噴上は疑わしげに言った。このホル・ホースと名乗る軽薄そうな男は、信用ならない。

「それ、ほんとの話かよ。なんかウソクセーぞ」

 

噴上が鼻で笑うと、ホル・ホースの顔が一瞬険しくなった。

 

「本当の話だ……俺たちは、たしかに日米両政府の情報を受けてこの辺りの地を捜索している者だ」

先ほどから不機嫌そうに黙り込んでいた男が、口をはさんだ。

髪を逆立てた、なかなか洒落っ気のある(俺には劣るがね と噴上は思っている)男だ。年齢は、ホル・ホースと同じくらいか?

 

「挨拶が遅れて、失礼した……俺の名は、ジャン・ピエール・ポルナレフ。ジョセフ・ジョースターさんと空条承太郎の友人だ。君は噴上裕也クンだったな。さっきは失礼した、すまなかったな」

ポルナレフは、噴上に頭を下げた。

「君のバイクは近くに止めてある。もう少し頭がすっきりしたら、どこにでも行きたいところに行けばいい。そして、今日起こったことは忘れ、育朗クンのことは我々に任せてくれないか」

 

「オイオイ、何言ってんだよッ」

噴上は、半笑いで首を振った。

「そりゃあ、ジョースターさんと承太郎さんの友達? が言うことならよぉ……確かにアンタのいう事は、『本当』かもしれないなぁ〰〰。でもな、俺はまだ納得してないぜ。そうだろ?だって証拠がないぜ。口で言われただけで、オッサン達があの二人の『ダチ』だって、どうすれば俺にわかる?そもそも、危険な生物兵器の回収をやってるっつ――オッサンたちが、どうして俺と、この幽霊野郎とのいざこざに首を突っ込まなければならねぇ?」

 

「……それはな…」

 

説明しかけたホル・ホースを制して、育朗が、ふわっと噴上の目の前に浮かび上がった。

『それはね……』 

育朗が悲しげに言った。

『僕の肉体がその危険な生物兵器だからさ……僕はこの世にいちゃいけない存在なんだ……』

 

「育朗クン、そんなこと言うなよ」

ポルナレフが、幽霊をたしなめた。

「きっと何か手があるはずさ。希望を捨てちゃいかん」

 

『希望も何も、僕に残された時間はもうあまりないんです』 育朗が言った。

『僕は……消えるしかない。それは納得しています。でも、残されたわずかな時間で、やらなければならない事があるんです』

 

(どういうことだよ)

噴上は、今後どう動けばいいのか悩み、腕を組んだ。

胡散臭い2人組のオッサン達と、自分を殺してくれと頼む幽霊。普通に考えたら、そんな奇妙な奴らからとっとと逃げ出すべきだ。

だが心のどこかに、逃げ出すことを引き留める何かがあった。

(この育朗って幽霊とポルナレフと名乗る男は、どこかしか信用できるところがあるぜ。だがやっぱり俺とは『無関係』だぜ……自分と関係ねェ〰〰ことなんだから、このまま黙って帰るベキか……)

 

だが、本当にそれで『納得』出来るのか?

 

考えがまとまらないまま、噴上は育朗に話しかけた。

「育朗よぉ〰〰お前、ずいぶんな事情があるんだろうな。その、生物兵器って所はまるでピンとこないがよぉ、お前が……やらなきゃいけない事ってなんだ?」

 

『僕には会わなくてはならない人がいるんだ。まだ僕に時間があるうちに、せめて一目、そのひとに会いたいんだ』

 

「……そいつは女か、それとも親か、親友か誰かか」

 

『親は死んだよ……昔の親友には、もう会えない。会わなきゃいけないのは、僕と同じ組織に捕まっていた女の子だよ。彼女が今も無事である事を確認して、ひと言お礼を言いたいんだ……。彼女は、僕と別れた時にはまだ幼かった。今は君と同じくらいの年のはずさ……』

 

「ふぅん」

噴上はうなずいた。理由はスケか、そういう事ならわかる。

「女(スケ)かよ……なら俺も力を貸してやるぜ。俺のスタンドは、遠距離型で追跡に向いてるからなぁ」

 

育朗は、何かを口にしかけたが、すぐそれを飲み込んで、噴上の腕を取った。

『噴上クン……ありがとう。何といえばいいか』

 

「気にするな。自分の好きでやるんだからよぉ。だが育朗、あと一つだ、あとひとつ教えてくれ」

 

コ" コ" コ" コ" コ" コ" コ" コ" コ" コ"

 

「育朗よぉ〰〰。お前、なんでさっきから『死ななきゃいけない』 とか、『時間がない』とか、言っているんだ?」

 

『それは……』

育朗が、言いよどんだ。

 

「……代わりに答えよう。実は、育朗君の体は、危険な生物に寄生されている。その『生物』が、育朗を危険な生物兵器に作り替えた張本人ってわけだ」

ポルナレフが言った。

 

「?……へぇ……それで、それがどう関係するって言うんだ?」

 

「そうだな。説明しよう。『寄生虫バオー』が危険なその理由を……」

 

     ◆◆

 

「よせよ、そんな話を信じられるかよ」

噴上が、顎をいじった。

 

『本当の話だよ』 育朗が言った。

『だから僕は、『後90日以内に、死ななくちゃいけない』んだ。……僕の事はいいんだ。……ずっと前から覚悟はできている。でもその前に、せめて彼女に、 スミレ に一目会いたいんだ』

 

――――――――――――――――――

 

 

『育朗のスケを探すこと』には、協力する。しかし、女を捜索する前に、まずは育朗の本体を探さなければならなかった。

 

ポルナレフのつかんでいる情報によると、育朗の本体は、この地を縦横無尽に走っている地下水脈のどこかに眠っていると言うことだった。

噴上は、ポルナレフの指示にしたがってハイウェイ・スターを鍾乳洞にもぐり込ませた。そして、育朗の本体を探し続けた。

探索を初めてから5日目、夕方になっていた。

 

「何か見つけたぜぇ!」

噴上は喜び勇んで、自身のスタンドが、地下水脈に浮かぶ『何か』を感知した事を告げた。

「ハイウェイ・スターが、『地下水脈の中に漂っている弱い生命反応』を見つけたぜ。ちょうど、人と同じくらいの大きさがありそうだ。ありゃ、育朗の本体だ……と思う」

 

『本当ですか……噴上君、ありがとう』

育朗が噴上の手に、自分の手を重ねた。

『なんて礼を言っていいか、わからない』

 

「育朗、気にスンナ。俺がやりたくてやった事なんだからなぁ〰〰」

噴上は、精いっぱい格好をつけて肩を竦めた。

とは言え、安堵のあまり膝が落ちそうになっていた。それほどまでに『育朗』の捜索に入れ込んでいたのだ。

自分と、自分のスケ(彼女)達に置き換えて考えてみれば、『育朗』の願いがどれだけ真摯で、かつ深刻なものであるか、わかっているツモリであった。

 

「今、相棒のスタンドが報告してきた『育朗クンの体が眠っていると言う鍾乳洞』は、ここから10Kmほど離れた場所に入り口があるぜ」

ホル・ ホースが、地図を見ながら言った。

 

「そうか、それなら人が入れるところまで、俺のスタンドが引っ張ってきてやるぜ」

 

「よし。では明日の朝、育朗クンの本体を回収に行こう。噴上クン、育朗クンの体は、水から出さないように気を付けてくれよ」

ポルナレフが顔をほころばせた。

「今日はお祝いだな。それから育朗クン」

 

『はい?』

 

「君に会えるのを楽しみにしているよ」

 

     ◆◆

 

メギャン!

 

その晩、そろそろ寝ようかと言う頃。

窓際で見張りにたっていたホル・ホースが、急にスタンドを出した。

ホル・ホースのスタンドによって、ホル・ホース本体の両腕、胴体、顔に覆いかぶさるように、メカニカルなプロテクターのようなものが現れ、右腕には大型の拳銃が出現していた。

 

「何だ? 俺のスタンドを見せたのは、初めてだったか?俺のスタンドはハジキだ。……エンペラーって呼んでくれや」

ホル・ホースは、自分のスタンドを見ている噴上と育朗にウィンクをした。そして、まるでおまけのように、この家を囲んでる奴らがいるぜ…… と付け加えた。

 

「!?なんだってェ――ッ!」

噴上は冷や汗をかきながらも、ハイウェイ・スターを建物の外、屋根の上に出現させた。

噴上の脳裏に、スタンドの見た景色が浮かんだ。精神を集中させ、ハイウェイ・スターに屋根の上から下をのぞかせる。すると、三人の男達が、廃屋の周りに立っているのが見えた。

 

噴上は、自分がスタンド越しに見たものを、ポルナレフに伝えた。

ポルナレフはうなずき、噴上に 危険だからスタンドを引っ込めるように と言った。そして、育朗に向きなおった。

「育朗クン、君は隠れてろ。襲撃者が『どの組織のモノ』か予想はついている。奴らに、君の姿を見せたくない」

 

『……わかりました』

育朗は、素直にうなずいた。

 

ズゥウギャン!!ギャルッ!ギャルッ!

 

突然、銃声が響いた。

驚いて、噴上は銃声がした方向を振り返った。

 

そこにはホル・ホースがいた。無造作に窓を開けて、エンペラーの弾を発射している。

「チッ……視界が悪い。狙いがつけられねーぜ」

ホル・ホースは、銃を撃ち続けながら愚痴をこぼした。

 

噴上には、その様子が『冷静すぎる』ように思えた。

理解しがたいことだ。『拳銃の引き金を人間に向かって引いている』にもかかわらず、ホル・ホースからは銃を撃ち、人を殺す躊躇や、葛藤が、みじんも感じられないのだ。

 

(こいつ、やっぱりヤベー奴だぜ)

噴上は、無意識のうちに顎を触っていた。

(い……いきなり撃つか、普通よぉ〰〰)

 

噴上は外の様子を偵察しようと、もう一度、ハイウェイ・スターを建物の外に出現させた。再び、スタンドが視ているビジョンが、噴上の脳裏に浮かぶ。

そのビジョンによると、外は暗く、陸と空の境目は黒い塊にしか見えなかった。星明りに照らされて、ぼんやりと人影が見える……三人だ。

(コロシなんてまっぴらだぜ。俺のハイウェイ・スターで無力化してやりゃあ……)

 

すぐ横で銃声が鳴り響いているせいだろうか?

噴上は柄にもなく、目の前でコロシを行わせないために、自分が敵に襲い掛かることを決めた。だが、噴上がハイウェイ・スターを突っ込ませようとした、まさにその時だ。

 

バシュッン!

 

突然、襲撃してきた三人のうち、1人の体が『はじけ』た。

はじけた体は黄色のスライムに変化し、エンペラーの弾丸が着弾する前に弾を包み込む。

 

「おいおい、かんべんしてくれよ――」

ホル・ホースが、顔をゆがめた。

 

バシュッ、バシュッ

 

ホル・ホースは、何発も弾丸を男に打ち込む。だが、そのすべてが、『着弾するはるか前』に、黄色のスライムに飲み込まれていく……

 

はじけた男の体の奥からは、小柄な女性が姿を現した。

「これは、皇帝……キャハハハッ!素敵ね、ホル・ホースが、生きてたのね」

ハイウェイ・スターの耳に、女の笑い声が聞こえた。

 

「馬鹿な、ありゃあ……イエロー・テンパランスじゃねぇか」

ホル・ホースがさらに顔をしかめ、加えていた煙草をプッと吐き出した。

 

「お前、あの野郎を知ってるのか?」

噴上が尋ねると、ホル・ホースは首を振った。

 

「いいや、『あの女』はしらねぇ。(ラバーソウルの野郎が性転換手術でもしていたのでもない限りな) だが、『あのスタンド』は知ってるぜ……ありゃあ、イエロー・テンパランスって名前のスタンドだ。スライムでどんな衝撃も吸収してしまう厄介な奴だ……お前たち、あのスタンドに近づくなよ。スライムに食われちまうぜぇ」

 

イエローテンパランスには、承太郎でさえ苦戦したんだ。ポルナレフがそう付け加えた。

 

噴上は、顔色を変えた。

「じょっ……承太郎さんを……とんでもねぇ能力じゃねぇか……じ、じゃあよォ〰〰後の二人もどんなオッソロシ――能力を持ってるんだよ?」

 

「知るかッ!」

ホル・ホースは背中から、拳銃をつかんでいる『スタンドの腕』だけを伸ばした。背後に向かって、やみくもにエンペラーを撃ち続ける。

 

ズギャンッ!ギャンッ!ズギャンッ!!

 

と、後を追ってきた男のうち、『最も奇妙な格好をした長身男』が、何かを投げた。

 

キラリ と投げられたものが、光った。

 

「おい、何かやばい。撃ち落とせ!おっさん!!」

噴上がどなった。

 

「ガキめ、お前も少しは仕事しやがれッ!」

ホル・ホースが、『男が投げてきた何か』を撃ち落とす。

――すると、それは爆発した。

 

ドガァアアアアアンッ!

 

爆風が吹き荒れる。

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