真・女神転生 デビルアバター 【旧名 玉藻転生】 作:タマモナイン
「ん…眩しいな…、朝か」
俺は窓越しから降り注ぐ朝日の光に手をかざした。
目覚めると、ここはいつも見慣れている部屋である。
「ここは…俺の部屋か?くそ…頭がぼんやりして昨夜のことが思い出せない…」
そういえば喉が渇いた。取敢えず水でも飲めば、頭もすっきりして思い出すはずだと起き上る。
「……ん?」
上半身を起こした時、胸が重みを覚えた。
重いなぁと目線を落としたら、立派なおっぱいがあった。
見た瞬間、昨夜のことを思い出した。
「俺はあの時死んで…玉藻の前と合体して、この体になったのか。あ…あっははは」
最早乾いた笑いしか出なかった。落ち着け、俺…。しかも全裸だ!
しかし、目先にあるおっぱいに誘れるように掴んでしまった。むにゅうと柔らかい感触に未知なる感動を覚えてしまう…。
「これがおっぱいなのか…。この素晴らしきおっぱいに祝福を!…じゃなかった」
今の発声は彼女…タマモノマエのままだった。
取り敢えずおっぱいの感動より、服を着ることが優先である。朝から肌が寒く感じてしまう。
「10月なったというのに、この朝の寒さは裸だと余計に堪えるな…」
朝の寒さに抗いつつも、着る物を求めてべットから降りた。
「おっと!」
立ち上がった瞬間、態勢が崩れてしまう。咄嗟にベットの取ってを掴んだ。
「一体どういうことだ!?平行感覚がおかしいのか…?」
危うく倒れるところだった。
俺は身体を確認してみるが、いつもより体幹がおかしいのだ。
もしかして、立つバランスが悪いのはこの巨乳と尻尾のせいなのか…。
「まともに立つことすら許されないのか…」
慣れない玉藻の前の肉体に嘆いた。
今の姿勢は尻尾が逆立っていると、前屈み状態になる。この姿勢だとおっぱいが垂れ下がって、バランスが悪くなる。
俺は一度ベッドに戻って腰を掛け、カレンダーと時計を見る。
「今日は10月1日と日曜日か…、親父はまだ帰っていないはずだ。万が一この姿を見られたら、なんて言い訳すればいいんだ…」
ため息をしながら、なんとなく室内を見渡した。
ふっと気づくと、部屋の片隅にあるものが発見する。あるものとは桃色のスーツーケースであった。
俺は今度こそ体勢が崩れないように、ゆっくりと中腰で立ち上がる。それから一呼吸して全身の力を脱した。
すると逆立つ尻尾が垂れ下がり、うまく立つことが出来た。
「よし!これなら上手く立てるぞ。しかしあのスーツケースはなんだ?」
首を傾げながら、スーツケースのそばまで足を運んだ。
スーツケースまで近寄ると、一通の封筒がスーツケースの上に発見した。
「封筒だと?」
訝し気に封筒を手に取った。
封筒の表面には、見覚えがある文字で書かれた俺の宛名がある。
「この手紙の差し出し主は親父か?」
差出人の名を確認するべく、封筒を裏面に返すと【父、右近】と書かれていた。
差出人は親父か…、置き手紙なんか珍しい。
「となると…この手紙とスーツケースは親父が用意したものなのか?」
昨日、家を出かける前まで親父は帰っていなかった。それに部屋にも手紙とスーツケースなんかなかったしな…。
そうすると、親父は帰国したのか?
「もし帰ってきたならば、聞いた予定より早いな、外交官の仕事だからあと半年かかると思ったけど…」
俺は頭を掻きながら、手紙を開いた。
手紙に書かれている内容を見て、俺は苦虫を噛み潰す。
『【親愛なる我が息子もとい娘 勇真へ】
ただいま親愛なる勇真よ。と言っても、勇真がこの手紙を読んでいる頃には、父さんは既に居ない。
予定より早く仕事を終わらせて、家に戻ってきたら急激な展開になってびっくりしたぞ!
勇真とは直接話したかったが、急な予定が入ってまた仕事に増えるはめになった。
こんな形で語るのは、父さんを許してくれ…。
お前の身に起きたことは、直接アマテラスさまからの話を伺った。
まさか勇真が狐っ娘になってしまうとは…、父さんは嬉しくて感謝感動の雨嵐だ!
昔から息子以外に娘も欲しかった。都合良く娘になってくれた勇真を大歓迎だ!
例え勇真の姿形変わろうとも、父親として我が子を愛する気持ちは変わらない……。
真面目に話に戻るが、知った経緯は昨夜帰宅した時の出来事だ。
玄関に入ろうとした時、アマテラス様が眠っている勇真を抱いて降臨したんだ。
日本の最高神アマテラスが、我が家に来たんだぞ!これで我が家は安泰に違いないと内心歓喜に震えたくらいだぞ。
そんな興奮する父さんに対して、アマテラス様が詫び事を言うように全ての事情を聞いた。
次いでに話が終わって立ち去る前に、ぜひ一緒に記念撮影してよろしいかとお願いした。
アマテラス様の返答はOKのサインが出たので、持っていたスマホで記念撮影しちゃったよ!
この記念写真を知り合いや同僚に見せて自慢出来るぞ!
嬉しくてついはしゃいでしまったがすまない…。
父さんはお前に宿る九尾の狐の一尾及び殺生石や宿魂石の破片、玉藻の前に先祖返りしたなどの事情を知って未だに信じられない。
だがアマテラス様の口から語られたのは偽りなき事実だ…。これからはお前の人生は大変になるけど、父さんは陰ながら応援するぞ。
しかし、死んだ母さんの家系が代々九尾の狐の一尾を封印する人柱だったとは…、まるで漫画みたいな展開だ!
そんな秘密を母さんと一緒に内緒にしてたなんて、仲間外れにされて心が傷ついたぞ!
ずるいぞ、そんなに父さんを信用できないのか!……と言うだけ言わせてもらう、勇真よ。
そう言うわけだから、このスーツケースの中に女子用の着替え一式を納めておいた。
下着もしっかりと勇真のサイズに見合うように見繕ってある。一応下着は母さんが若い頃に使っていたものだから、大切に扱うだぞ!
父さんはこれから神社庁や文化庁に出向いて色々と後処理しなければならない。えっ!?外務省働きである私が何故かって?
ああ、それはだな。近所一体のGPが光臨されたアマテラス様の影響で一気に上昇したのが原因だ!
来年の正月まで帰って来れるように頑張るけど…父さんはこのまま過労死しそう。
勇真も元気に過ごすんだぞ!
追伸
因みに勇真の装備とCOMPは、木っ端微塵になって修復不可能なスクラップになっていた。
COMP内にいたウズメちゃんはアマテラス様が蘇らせて出雲に連れていくと言っていたぞ。
あと装備のほうだが、いつもの彼らに話を通しておいた。防具は隣人の彼に、COMPはあの研究所の彼らの元に取りに行くがいい。
おまけに母さんの形見である”万色悠帯”のデータを保存したUSBメモリを、このスーツケースに衣服と一緒にしまい込んである。新しいCOMPを手に入れたら、すぐにインストールしとくんだぞ。
最後に勇真の可愛い寝顔をカメラに収めていた置いたから、スマホの壁紙として永久に飾っておく!
父 右近より』
手紙を読み終えた俺は、わなわなと全身が震えた。
あの糞親父が、俺をベッドまで運んだのか!
「ぶっ殺すぞ、糞親父!俺が眠っている間、乙女の体を隅々まで調べたのか!」
今にも目覚めそうな殺意の波動を抑えつつ、思わず手紙をビリビリに引き裂いた。
ハァハァ…とんだ変態親父だ。いつも人の弱みを掴むのが得意である。
俺の父【長峰右近】は外務省の役職勤めであるが、同時に有名なデビルバスターである。この俺を殺人サバイバルキャンプで鍛えてくれた師匠でもあり、サマナーにさせた張本人である……。
俺は昔からこの言い加減な親父に振り回されて育ってきた。
そして、何よりもサバイバルキャンプが趣味である。昨年なんかマヤ遺跡の中でサバイバルキャンプを開催してくれた。遺跡に眠っていたケツァルコアトルの霊が目覚めて、大変な騒動を起こしちゃったんだよな…。
あの時はメキシコ遠征修行に来ていたとあるアメリカン女子レスラーや現地の部族まで巻き込んで大事件まで発展した。
アメリカン女子レスラーがケツァルコアトルに憑依されて、そのあと俺は上空1000メートルからのパイルドライバー喰らったんだよな…。あの時はよく生きていたよ、俺!
アステカの神に生贄を捧げる儀式が、実はパイルドライバーだったなんて口に言えない…。喰らって死んだら、親切にサマリカームがかかる技だし!
今思えば、禄でもない思い出いや悪夢だった。あの殺人サバイバルキャンプに強制参加させられたせいで、危うく学校の出席単位がやばかったし…。
「今年はまともに学校生活を送りたいわ!おまけに【万色悠帯】なんて懐かしい名を出しやがって…」
また厄介なソフトの名前がでたものだ。
”万色悠帯”は死んだお袋が開発した試作段階の医療用アプリである。
悪魔召喚プログラムと連動してれば、精神系の攻撃を防いでくれる機能があった。
元々は俺が幼いころから、狐憑きや幽霊が乗り移りやすい霊媒体質だった。その都度俺が狐憑き事件の騒ぎを起こすから、お袋が防止対策として試作段階の”万色悠帯”をスマホにインストールしたものをお守りとして渡してくれた。
あれを肌身に離さず持っていた頃、狐憑きなどに悩まされることはなかった。
「あの頃は【万色悠帯】のおかげで平穏に過ごせたけど、どうして今頃あれが必要なんだ?」
”万色悠帯”はある日を境に必要なくなったのだ…。
その理由が曖昧で思い出せなく、幼少時代の記憶が欠落していた。
それに”万色悠帯”をインストールすると、COMPのメモリがほとんど空きが無くなる。COMP内の仲魔のストックが1体までしか登録できなるという欠点だ。
さらに悪魔合体出来る悪魔を確保できないし、仲魔を地道にレベルアップさせて強くさせるしかない。
「そういえばアマノウズメは出雲に連れていかれたのか…。戻るまで仲魔を一から集めるしかない!はぁ、気を取り直して服でも着るか」
気持ちを入れ替えて、スーツケースを開いた。
スーツケースの中には女性物の衣服及び下着が入っている。まず最初にやることは、この下着を身に着けることであった。
下着を確かめるように手に取って見る。
「三角ブラと黒い紐Tバック…?これがお袋のお古だとぉぉぉ!」
親父の奴なんていうものを用意してくれんじゃ、ごらぁー!
それもお袋が若いころに身に着けていた下着だと……。
「親父の奴、お袋の下着を大切にしていたのか。この衣服は一体どこで調達したんだよ?!」
そんな両親から生まれた自分に頭が痛いながらも、ドキドキしながら黒い紐Tバックを手に取った。
両手で黒い紐Tバックを広げてみると、程よい絹の香りと大人の色気に興奮してしまう。
男だった俺が女性の下着を着るのも、恥ずかしいながら抵抗感がある。
「郷に入ってら郷に従えと言うしな…。ここは腹を括るか、南無三!」
意を決して、黒い紐Tバックを履いた。
不思議なことに、不安定だった尻尾に支えが出来て安定する。さらに履き心地に不快感がなく、何とも言えない安心感が感じた。
「悪くはない。試してみるか…」
壁にあるフィルムミラーの前で、右足を頭まで上げてI字バランスをとってしまった。
鏡の中にいる俺が、巨乳をぶるんと揺らしている。
「やべぇ…胸は揺れるし体が柔らかい。悪魔人になると肉体のスペックが高くなるのか?」
鏡に映る自分の姿に心を奪われてしまった。昨夜のタマモノマエに会った時と同じだ。
それが《女神:タモノマエ》と一つになり、先祖返りとして【悪魔人:タモノマエ】に戻る。何とも言えない不思議な話だ。
「いくら仮面ライダーに殺されたからって、蘇るためにウルトラマンになると思ったら美少女戦士になる展開か。仮にTVに放映したら視聴者のクレームとブーイングの嵐で打ち切り決定だろうな!」
そう言い切ると、I字バランスを解除してベットにダイブした。
そして、ゴロンと大の字になる。
「こうして寝ると安心感がある…。パンクしそうな頭の中身を静かにさせてくれる…」
俺はゆっくりと心を落ち着かせて、今日の段取りを決めていく。
1、服を着る
2、あの人の家に毎回のように飯を食べに行く。
3、あの人に今後の相談と装備の入手
4、まだ決めていない
と、思い浮かぶのはここまでだ。出来る範囲に限度はある。
「やれることだけ決めたら、さっさとブラをつけるか!」
ベットから再び起き上がって、スーツケースから黒い三角ブラを取り出した。
サイズがぴったりならいいが、正直カップブラの方がまだ胸の負担がかなり軽減するものだ。
男だった俺が下着の知識を知っているのは不思議である。あの人のおかげだった…。
あの人とは、〈毒島冴子〉と言う俺より1歳年上の女性である。俺が通う高校の剣道部の主将をしている先輩だ。
俺は昨年、金髪の幼女を連れた黒いスーツのおっさんが引き起こしたゾンビ事件に巻き込まれてしまった。その事件で彼女と知り合って、一緒に行動してたら彼女は覚醒してしまった。
事件はクズノハのサマナーによって解決した。でも毒島先輩は悪魔に興味を持ってしまって、俺に質問とか執拗に迫ってくる毎日だ。
俺はついに観念して白状した。その結果、こっちら側の世界を踏み入れた先輩を相棒として選んだ。
そして、先輩はデビルバスターとして着々と強くなっていく。
「あの人の強さは着々と成長しているな…」
俺の場合、古流武術・格闘忍術をベースをした遠近戦に対応できるような戦いを好む。
先輩は剣戟戦を得意とし、日本刀と動きやすい軽量級の防具を好む。
俺は先輩が装備を買う時、いつも強制的に付き合わされてたものである。
「思い出すと、試着室で毎回毒島ファッションショーを観させられていたんだよな…。あの人は俺を男とし意識してないのか?目の前で平然と着替えしなくていいんじゃないのか…」
思春期である俺にとって見るのが辛いが、おかげで先輩の口から下着の種類などの話をよく聞かされた。
ふっと思えば毒島先輩の防具って、ハイレグアーマーとか露出が多い装備を好んでいた。
「下手したら、俺も毒島先輩と同じような防具を装備するのかなぁ?」
複雑な思いを抱きながら、いつの間に三角ブラを身に着けていた。いつも毒島先輩の着替えを見ていたから、下着のつけ方まで無意識に覚えてしまったかもしれない。
そうそう、ブラの着心地だが思ったより窮屈なものだ。お袋のお下がり品と言えども贅沢は言ってられない。
多少乳頭部が擦れて乳首がヒリヒリするが、後でおっぱいに合う下着を買えば良いだけだ。
あぁ…今の心境を考えると、男だった俺の人生が散らされていくんだな。これからは女子力満開の青春を謳歌していくことになるのかぁ。
「今まで女の子の事情なんか知らなかった……。中身が男である俺として、女性の下着を着るのは抵抗感はあるけど…」
この下着を着る前は好奇心に駆られて興奮していたが、いざ着てしまうと複雑な気分になってしまう。
考えてみれば毒島先輩の着替えや裸の女悪魔共の姿に見慣れたせいなのか、興奮や好奇心がどんどんと冷めていく。
「…さて次は服か。さっさと着るとしよう」
次は服一式を取り出すと、乳暖簾のタンクトップとホットパンツ、サングラス、猫耳型フード付き膝まであるコートであった。この組み合わせはラフで動きやすいが、親父らしい選び方だ。
ともかく気にしないで、テキパキと全てを着てから数分後…。
「かなり露出を意識をした服装だな…。胸がポロリしそうな感じだし、へそが丸出しだ」
そう言いながら、俺は既に壁のフィルムミラーの前に立っていた。フィルムミラーに映る自分の姿を見て、恥ずかしながらガッツリ見てしまう。
セクシーな柳腰と見える細く括れたウェスト、柔らかな曲線に描いてある大きなバスト、程よい肉付きの太腿にかけて描きだしていく靱やかなライン。
観慣れないと思いつつ、鏡に映る自分を改めてまじまじと観察する。
「どうも自分の体というのが実感来ない…」
納得いかない戯言を抜かしつつ、同時に美しい肢体に惚れ惚れと魅入ってしまう。やべぇ、先に女体の熱が冷め切ったはずなのに体が熱く反応している。
心臓がバクバク言わせながらも、好奇心に突き動かされて恐る恐るパンツの中身を見てみるが…。
「さすがにエロ漫画の展開みたく、股が濡れているわけでもない…」
期待にそぐわない結果に何だか物足りなさを感じた。足りなさついでに、試しに乳首を思い切り引っ張ってみるが痛い。
なんだか膨らんでいた好奇心が一気に冷めてしまった。
「何やっているんだ、俺…」
やっている行動に虚しく感じた。
その時、ぐぅとお腹の虫が鳴ってしまう。
「そういえば、昨日の夜から何も食っていなかった…」
空腹になったら、身体検査はここまでだ。
今は空腹を満たすことが最優先である。
「目立たないように家を出るしかないか…。すぐ隣だからいいか」
そう呟くとため息を吐きつつ、自分の部屋を出た…。