最強提督物語〜大海原を駆ける戦士達〜   作:鬼武者

10 / 130
第八話鹿児島基地襲撃

ウェーク島攻略より1ヶ月後 江ノ島鎮守府 執務室

「提督ぅー?」

 

本日の秘書艦である鈴谷が声を掛けるも、気付いてないのかスルーする。

 

「提督ってば。おーい?」

 

「ん?」

 

「やっと反応した。さっきから何パソコンと睨めっこしてるの?」

 

「新しい兵器の設計中」

 

「え!?見たい見たい!」

 

「見たいならいいぞ。尤も、絶対理解できないだろうが」

 

鈴谷がデスクトップPCを覗き込むと、まるでSF作品に出てきそうな飛行機のCGモデルが映し出されていた。

 

「何これ?輸送機?」

 

「正解だ。尤も、輸送機の皮を被ったガンシップ兼戦闘機になる予定だ」

 

「てことは、霞桜の専用機?」

 

「またまた正解だ。現在の霞桜には上空支援が無いから、いっその事「輸送機にもなれて、制空戦もできて、対地支援もできる様にしたら最強じゃね?」って中学生辺りが考えそうな意見が出て来て、その結果大半の隊員が悪ノリして現在制作中って訳だ」

 

「大変だねぇ」

 

他愛もない雑談をしていると、内線が鳴る。場所は門の警備兵詰所である。

 

『提督、呉鎮守府の風間大将がお見えになっています。何でも、緊急の用事だそうで』

 

「わかった。通してくれ」

 

『了解』

 

「鈴谷、お客さんだ。お茶の用意を頼む」

 

「はーい」

 

10分ほどで、軍服姿の風間と髪の長い巫女服みたいなのを着た女性が入ってくる。しかしその表情はとても暗く、周りの空間すらも一緒に暗くなっている様である。

 

「突然来て悪いね」

 

「構いませんよ。それにしても、一体どうしたんですか?」

 

「実はだね」

 

「風間提督、私から話します」

 

髪の長い女性が風間の言葉を止める。

 

「長嶺提督、どうか私達をお救いください」

 

そう言って頭を下げる女性。正直困惑しているが経験上、何か厄介事なのは分かっている為、内容を話す様促す。

 

「頭を上げてください。一体何が有ったのですか?」

 

「私は鹿児島基地所属の戦艦、扶桑と言います。私達の提督は、何処かのマフィアかギャングを招き入れて、艦娘を奴隷として売り払おうとしているのです」

 

「僕も話を聞いた時は驚いたよ。扶桑は妹の山城と鹿児島基地から脱走して、電車を乗り継いで広島まで逃げてきたんだ。でも途中で山城は捕まり、一人どうにか切り抜けて来たんだ」

 

正直腸が煮え繰り返っているが、今は我慢して話を聞く。この抑えた怒りは、後から不埒者共に浴びせてやる事にする。

 

「そうでしたか。では扶桑の身柄は、此方で保護させて貰います」

 

「そうなるだろうね。じゃあ扶桑、後はこの長嶺提督に任せておけば大丈夫だから」

 

「風間提督、ありがとうございました」

 

深々と頭を下げる扶桑。風間は「気にしなくていいよ」と一言言うと、広島に帰っていった。

 

「さて扶桑、詳しく教えてくれるか?まずは囚われている艦娘だ」

 

「囚われているのは空母の雲竜。それから重巡の青葉と衣笠。後は軽巡の名取と駆逐艦の萩風、磯風です」

 

「わかった」

 

長嶺は受話器を取り霞桜の幹部がいる地下のデスクに電話を掛けて、大隊長達を召集する。

 

「総隊長殿、霞桜幹部、全員揃いました‼︎」

 

グリムが長嶺に敬礼しながら報告し、他の三人も同じく敬礼する。

 

「ご苦労。さて、早速本題だ。鹿児島基地の提督がどっかのマフィアだかギャングだかを引き入れ、艦娘を奴隷として売っ払おうとしてる」

 

「考えましたね.......」

 

グリムの言う通り、艦娘には戸籍は無い為、奴隷だとか誘拐しても基本足が付かない。本来なら提督が動くのだが、今回はその提督も加担している為どうとでも理由づけができ、余裕で揉み消せてしまうのである。

 

「まあ俺達の相手がクソ共なのは毎度のことだから置いておいて、明後日に鹿児島基地に乗り込む。準備としてグリムは建物のセキュリティ解除プログラムの作成を頼む。レリックはその補佐に回れ。マーリンとバルクは兵器の準備と、作戦を立ててくれ。俺は東川長官や各方面への根回しと、基地全体の情報収集をやる。

当日はレリックは狙撃、バルクは俺の直掩、マーリンは遊撃、グリムは全体の指揮と逃亡時の追跡を頼む」

 

「「「「了解!」」」」

 

「あ、あの」

 

扶桑が申し訳なさそうに手を挙げる。

 

「ん?どうした、扶桑?」

 

「山城は、妹はどうなるのですか?」

 

「こういう時の典型的なパターンとして、大体捕まってる。でもって行き着く先は鹿児島基地で、ちょうど俺達が作戦を展開する頃に向こうも到着するだろう。だから後は、普通に助け出せば良い」

 

「そうなのですか?」

 

「そうなのです。というかここに集まってる奴らは、全員こう言うことのプロ達だ。大船に乗ったつもりで、安心してくれ。では野郎共、行動開始だ‼︎」

 

「「「「了解!!」」」」

 

そんな訳で各員が行動を開始する。長嶺は執務室に戻り、早速東川に連絡する。

 

『雷蔵か。一体どうした?』

 

「二時間前、鹿児島基地所属の戦艦扶桑から告発があった。どうやら鹿児島基地司令は、どっかのマフィアだかギャングだかに艦娘を奴隷として売り飛ばすつもりらしい」

 

『いつから祖国はこんなにも腐り果てたんだか.......』

 

電話口で姿は見れないが、多分東川は頭を抱えて項垂れている事だろう。心無しか疲労を感じさせる声に変わった気がする。

 

「先祖が草葉の陰で泣いてるな。全く、よくもまあ色々考えつくよ」

 

『まあどうするかは分かりきってるが、好きにやっちゃってくれ』

 

「端からそのつもりだ。まあ久しぶりの仕事だし、ド派手に大暴れするさ」

 

『死体とかの処理もしてくれ』

 

「へいへい」

 

一応東川のお墨付きを貰い、色々準備に入る。その後、どうにか作戦が決まったので、ここで紹介しておこう。

第一段階

・長嶺とバルクが監査名目で正面から大手を振って入り、隙を見て長嶺が囚われてる艦娘と接触し、脱出の準備をさせる。並行して証拠も集める。

・バルクがその間にインフラ設備や武器庫に爆弾を仕掛けておき、敵のポインティングもしておく。役割は長嶺が監査官、バルクが運転手である。

 

第二段階

・二人が潜入している間に、第一中隊は施設内にステルス迷彩で侵入、第二中隊は付近の海域封鎖、第三中隊は陸路からの突入準備、本部中隊は主要道路の封鎖を行う。

・それとは別に、レリックと他スナイパー数名を近くの高台に置く。

 

第三段階

・確固たる証拠を掴んだのと付近に霞桜の展開が完了次第、爆弾を起爆させて混乱させる。

・混乱が軽く収まったタイミングで、侵入していた霞桜隊員と陸路からの突入によって敵を殲滅、艦娘を解放する。

 

以上、三段階の作戦で艦娘の救出と殲滅を行う。それでは、霞桜と敵の戦力を比較していこう。

 

 

霞桜

海上戦力

・水上装甲艇 10隻

・水上ボート 25隻

 

航空戦力

・C2輸送機 5機

 

陸上戦力

・機動本部車 2台

・自立可動型武装車 150台

 

歩兵

800名

 

 

鹿児島基地

海上戦力

・大型タンカー(マフィアの司令母艦)4隻

・Mk2ピバー 40隻

 

航空戦力

・Mi24ハインドA 8機

 

陸上戦力

・装甲車(マフィアお手製の世紀末みたいな見た目)20台

 

歩兵戦力

・傭兵 300人

・武装マフィア 2000人

 

 

まあ大戦争待ったなしの戦力である。因みに調査の結果、肩入れしているマフィアは、アフリカを本部に世界中に根を張る世界最大級の麻薬組織、Unstoppable Revolution(止まりなき革命)通称「UR」である。麻薬組織とは名ばかりで、麻薬関連よりも人身売買やらテロに参加している。独自の軍隊や海賊等、様々な犯罪組織があったらする為、テロリスト認定されていたりする。

 

 

 

扶桑からの告発より2日後 03:00霞桜専用出撃ドック

「総隊長殿、時間です」

 

グリムがマイクを差し出して、長嶺がそれを受け取り電源を入れる。

 

『総隊長より、霞桜全隊員に告ぐ。久しぶりの大暴れだ、存分に楽しめ!!』

 

この訓示に合わせて船艇が出撃する。さらに時を同じくして、車両を積載したC2も離陸し船艇は鹿児島基地近海を、C2は海上自衛隊の鹿屋航空基地を目指す。長嶺とバルクは朝一の一般機で鹿児島空港へと向かい、霞桜の鎌は刻一刻と鹿児島基地に忍び寄っていた。

 

 

「それじゃ兵長、基地まで頼む」

 

「かしこまりました、閣下」

 

さっきの作戦説明時でも書いた様に、今回の役割にあった口調に切り替える。長嶺は顔以外変えていないが、バルクはいつもの筋肉モリモリマッチョマンから何処にでもいそうな普通の男になっている。

乗っている車も普通のクラウン、かと思いきや最大12.7mmの銃弾にも耐えられる装甲板が付き、車内にRPG7やらバルクの私物であるM2とM134が隠されていたりと、こちらは普通からかけ離れた装備である。

鹿児島空港から車に揺られる事、約2時間。鹿児島基地に到着し番兵(に偽装した傭兵)に止められる。

 

「止まれ!」

 

警備兵2人の内、一人が20式を車の前で構え、もう一人がMP5を構えながら近付く。

 

「ここは軍の敷地内だ、直ぐに引き返せ」

 

バルクは一応、兵長階級の為、現在話しかけられている一等兵曹には言い返せない。その為、大将である長嶺がパワーウィンドウを開けて呼びつける。

 

「一等兵曹、門を開けたまえ」

 

「だから此処は軍の敷地、関係者だったのか。許可証は?」

 

「これだ」

 

許可証と一緒に身分証も差し出す。そして最強の言葉も一緒に使う。

 

「今回参上したのは、連合艦隊司令である東川長官の要請に基づく監査だ。通したまえ」

 

断りきれない事態に、MP5を持った番兵が20式の方に目で訴えると、断る様に合図する。

 

「大将殿、申し訳ありませんが基地司令は多忙の為、つご」

 

「尚、これは特一級任務である為、対象者である基地司令には拒否権は認められていない。早急に知らせたまえ」

 

「わ、分かりました」

 

なんとか車は中に入り、司令部庁舎前で止まる。

 

「初めましてですね、長嶺閣下。当鹿児島基地司令の酒虫豚子でーす♡」

 

 

酒虫 豚子(さかむし ぶたこ)

年齢 47歳

階級 海軍大佐

役職 鹿児島基地司令

自称「新・大日本帝国海軍の歌って踊れるスーパーアイドル天才軍師提督」らしい。但し歌は音痴でダンスは千鳥足、最早生まれたての赤子の方が上手であり、艦隊指揮能力も高くなく、妖精さんが見える事だけで提督になれた女。しかも容姿は上から脂でテカッたショートヘアに、そばかすやシミは当たり前、なんならイボだらけで口は歯周病で臭い。鼻は潰れ、口はタラコで出っ歯。身体は100キロ越えのデブであり、見事なまでに肉が「ボンボンボン」と出ている。足もぶっとく、ケバブの削ぎ落とす前の肉みたいに太い。尚、性格は安定のクソである。因みに東川と酒虫の一方的な勘違い、という名の妄想で「東川と婚約した」と言って周り祝儀を貰おうとする騒動があった。

 

 

(なんかキツイの出てきたな)

「初めましてだ。酒虫君、早速だが来た目的を話そうか。ここの艦娘が脱走したと通報があったのだが、何か知らないか?」

 

「脱走者、ですか.......」

 

「あ、勘違いしないで貰いたい。仮に脱走者が出たとしても、君に処罰が降ることはない。悪いのは艦娘の分際で脱走した者であり、そういう奴は奴隷なり弾除けなりに活用するのが一番だ」

 

「いますよ。先程、捕まえて牢獄に閉じ込めた所です」

 

「ほう。ならソイツと面会させて貰おう。色々、お楽しみもある事だしなぁ」

 

得意の演技で、完璧に性欲ゴリラを演じる。勿論これは本心ではなく、相手の考え方や価値観に合わせる事で警戒感を持たせない為の手段である。その結果、直ぐに用意して貰えて小部屋に通される。

 

(監視カメラは無いが、隠しカメラが2台あるな)

 

「こちらでお待ちください」

 

警備兵が案内を終えて出ていき、部屋から遠ざかるのを確認したのと同時にバースト通信の電源を入れる。

 

(グリム、内部に潜入した。今から山城と接触するから、適当なタイミングで映像を流してくれ)

 

『了解しました』

 

グリムに連絡したり、他の隊員達の状況把握の為に連絡していると山城が酒虫に連れられて入ってくる。

 

「閣下、連れてきました」

 

「結構、下がれ」

 

「はい」

 

こちらも完全に居なくなったのと、山城にセクハラしてるダミー映像が流れ続けているのを確認してから行動に移る。

 

「君が扶桑型の二番艦、山城で間違いないな?」

 

「.......」

 

「シカトされると、こっから先が進まないんだ。せめてうなづくなりしてくれ」

 

そう言うと少しだけうなづく。

 

「OKだ山城。まずは良く頑張ったな。安心しろ、俺は味方だ。俺は君の姉貴からの告発で派遣された、連合艦隊司令直轄の秘密部隊の隊長だ。現在君の姉はこちらの保護下にあるし、君や他の仲間も助け出してやる」

 

「助かるの?」

 

「その為に此処にいる。既に部隊は展開済みだから、君から他の艦娘達の居場所を聞ければ、後はソウジをして艦娘救って逃げるのみだ」

 

「皆んなは、この建物の地下に囚われています。入り口は多分、執務室です」

 

「了解した。それじゃ、これを着てくれ」

 

そう言ってバッグを机に置き、その中からウェットスーツの様なボディスーツを取り出す。

 

「これは?」

 

「ステルス迷彩と言って、簡単に言えばドラえもんの透明マントみたいな物だ。今着てるのは下着含め全部脱いで、これを着てくれ。着替え終わったら声をかけてくれ」

 

「な//////!!」

 

「恥ずいのは分かるが、これが最善策なんだ。だから、な?」

 

「絶対後ろは見ないでくださいよ!」

 

「見ないから。ほら、早く早く」

 

渋々着替える山城。数分後、体のライン丸分かり、言ってしまえばどこぞの対魔忍アサギみたいな格好となる。

 

「よし。んじゃ起動するぞ」

 

長嶺がスイッチを入れると、完全に姿が消える。

 

「何も変わってませんけど?」

 

「ホレ」

 

そう言って鏡を向ける。そこには山城どころか、人間の影も形も無かったのである。

 

「消えてる.......」

 

「でもスイッチを切れば」

 

「み、見えますね」

 

改めて見せられる自分の姿に、恥ずかしさがより込み上げてくる。顔に出してないつもりらしいが、しっかり出てる。

 

「面白いだろ?ルートを説明するぞ。このまま基地の外まで出て、道なりに真っ直ぐ行け。そしたらスポーツカーが沢山止まってるから、そこにとっておきの目印を用意してある」

 

「とっておきの目印?」

 

「一発で味方と分かる、一番分かりやすい目印さ」

 

「分かりました」

 

「それじゃ、気をつけてな」

 

そう言って、扉を開けて山城を逃がす。長嶺はそれを見送ると、自分もステルス迷彩を起動させて執務室に向かう。

 

 

(さてさて、お宝はどこかな?)

 

引き出しや本棚を探しまくる。すると執務机の引き出しが二重底になってるのを見つけ、中を確認する。すると出るわ出るわ不正の数々。具体的には資金の横流しに使ったルートや合計額の明細、URとの奴隷契約書や保証書等である。

書類やファイルをページ毎に写真に収め、パソコンからもデータを抜き取り、痕跡は一切残さずに部屋を後にしようとするが、ここで酒虫が男を連れて入ってくる。

 

「Ms.酒虫、艦娘達は今どうしてる?」

 

2mを超える巨漢に、刺青と顔に大きな傷。さらにはグラサンにスキンヘッドと完全に悪者という出立ちの男が、イメージ通りの野太く低い声で話す。

 

「今は地下に幽閉してますわ。運び出すのは一時間後でしたわね?」

 

「そうだ」

 

「ならコレを渡しておきますわ」

 

そう言うと酒虫が、何かのリモコンを懐から出して男に渡す。

 

「コレは?」

 

「艦娘を操る首輪のコントローラーですわ。艦娘は人間より遥かに強い存在ですから、念には念を入れての保険ですわ。これが有れば、どんな命令であっても心は拒否しても身体は拒否できません。つまり「自決しなさい」と命じれば、身体が勝手に自らの命を絶ちますの」

 

「ほう、それは嬉しい限りだ。ドン・ダップにもよく言っておこう」

 

「感謝しますわ」

 

「では奴隷達の様子を見させて貰おう」

 

そう言うと酒虫が別のリモコンを取り出して操作する。すると本棚が横にずれて、隠しエレベーターが現れる。

 

「こちらにお乗りください」

 

5人程度は乗れそうなので、すかさず長嶺も入り込み奴隷の元に案内して貰う。

 

「ここですわ」

 

そこには独房に分けて入れられた艦娘達の姿があった。

 

「ほう、これは中々」

 

「考えたモンだな。戸籍が無い艦娘は居なくなっても問題になりにくいし、轟沈したとでも報告すれば証拠は何も残らない。しかも見た目は美女、強さは折り紙付きと来ればテロ組織からしてみれば、喉から手が出る程欲しい。恐れ入ったぜ。でもな、よく覚えておけ。生憎と日本って国はクズを養う程、懐は深くはないんだ」

 

「何者だ!」

 

スキンヘッドの男が金色のデザートイーグルを構える。

 

「アンタなら分かるよな、雌豚」

 

「長嶺閣下!?」

 

「お前も噂位は聞いた事あるだろ?世界最強の特殊部隊にして、世界で唯一、深海棲艦を倒せる歩兵軍団。海上機動歩兵軍団「霞桜」の名を」

 

「ま、まさか!?」

 

「俺こそが霞桜総隊長、長嶺雷蔵様だ!さてさて、こんな反逆行為をしてくれたクズには其れ相応の仕打ちが無いとな?」

 

そう言うと刀を抜き、一気にスキンヘッドの男まで詰め寄る。

 

「速い!?」

 

「セイッ!!!!」

 

刀が男の前を水平に通過する。一瞬の間を置いて、男の首が宙を舞う。

 

ドサッ

 

首が床に落ちたと同時に、首のあった所から鮮血が噴水の如く吹き出し、床を真っ赤に染める。

 

「ヒィィィィィィ!!!!」

 

「さあ、お友達が呼んでるぜ?」

 

今度は胸を一付きして、刀を抜く。すると酒虫は力なく倒れ、一面に赤い地の池が出来上がる。

 

「グリム、ハッキングで牢獄のロックを開けてくれ」

 

『了解しました』

 

そんな訳でハッキングして貰い、扉を開ける。唯、様子を見ると全員眠らされていたので、回収を後回しにして作戦を継続させる。

 

「バルク、デカイ花火を上げろ」

 

『了解ですぜ総長!!』

 

「ポチッとな」

 

 

ドカーーーーーン

 

 

武器庫が大爆発した事で、兵士達が混乱する。

 

「おい爆発したぞ!!」

「敵襲か!?」

「消火しろ!!」

「メディック!メディーック!」

 

混乱は続くが指揮官クラスの指示が飛び始め、取り敢えずは収まり始める。しかしこのタイミングで、さらにトラップが発動する。

 

「さーて、始めるか!!」

 

「おいお前!何をしている!?」

 

トランクをあさくっているバルクに、兵士が怒鳴る。しかし出てきたのは、やばい代物だった。

 

「「何をしているんですか?」だろ?」

 

ギュィィン

 

「は?」

 

何と手には専用武器のハウンドがあり、銃身が回転し発射寸前だったのである。

 

ブォォォォォォォォォォォ!!!!

 

毎分4000発の7.62mm弾を前に、死ぬ事や痛みを認識する前に肉塊となる。反応が間に合い遮蔽物に隠れたとしても、その遮蔽物も数秒で蜂の巣となり、遮蔽物として機能しなくなる。その後ろに居たものは、勿論仲間の後を追う事になる。

 

「一体何なんだ、何が起きているんだ!?」

 

「襲撃」

 

「え?」

 

ギャィィィィィィン

 

今度は後ろから4つのチェーンソーが兵士をぶった斬る。勿論血だらけになって、周りに色々撒き散らしながら絶命する。

 

「ば、化け物.......」

 

兵士をぶった斬ったのは神鳴の面を付け、背中に無数の手を生やした化け物、もとい第二中隊中隊長のレリックである。背中の手はレリックが作ったマニュピレータであり、自分の手も合わせて合計12本生えている。なんとこのマニュピレータは、一本で10tの重さを持ち上げたり折ったりできる上、様々な武器を装備させられるのである。

チェーンソーだろうが、機関砲だろうが、スティンガーだろうが何でもである。つまり、これ一つで火力プラットフォームになれちゃう優れものである。

 

「全員、掛かれ」

 

一斉に隊員達がステルス迷彩を解除し、姿を表す。どんどん状況が変わっていく状態について行けず、頭が混乱していく哀れな兵士、いやマフィア達。しかも対深海棲艦専用弾を装填している為、攻撃力がべらぼうに強い。その威力は実口径の10倍、つまり12.7mmのM2重機関銃なら、威力は127mm砲と同レベルとなる。歩兵達は5.56mmとか7.62mmだから、それぞれ55.6mm弾と76.2mm弾と同レベルの威力となる。しかも貫通力も艤装を破壊する程度には強いので、遮蔽物に身を隠そうが車に隠れようが意味がない。その悉くを文字通り粉砕する。

 

「装甲車だ!!装甲車を出せ!!!!」

 

そう言ってガレージから改造装甲車を出す。

 

「ヒャッハー!汚物は消毒だぁぁぁ!!」

 

なんかどっかで聞いた事あるセリフを吐きながら、火炎放射しながら突っ込んでくる装甲車。だか所詮は、マフィアやギャング同士の抗争を想定している為、精々12.7mm程度しか防げない代物。艦載砲と同レベルの攻撃を受けて、防げる訳ない。

 

「危ねぇだろうが!!」

 

一般隊員に撃たれて、呆気なく爆発する。

 

「ワォォォォォォン!!!!」

 

更には巨大化した犬神と八咫烏も登場し、現場はカオスな空間となる。ここで猛威を振るうのが、犬神の能力である。犬神は妖怪である為、普通に取り憑く事も出来る。その取り憑きが厄介であり、人を意のままに操れる。つまりは

 

「撃て撃て!!」

 

「わかっている」

 

「おい、こっちじゃない!?あっちを」

ドカカカカ

 

こんな風に敵を操って、別の敵を殺させるというのも出来る。何なら手榴弾とか爆弾とかを付けて、人間爆弾として敵陣に突っ込ませたりもできたらと、精神的にも色々キツい能力である。

他にも氷を操って、敵をカチンコチンにしたり、デカイ氷柱で敵を串刺しにしたりと可愛い見た目と裏腹にエゲツない攻撃をする。八咫烏はその巨体でマフィアを掴んで、高空から落とすと言うのをひたすら繰り返している。

 

「えぇーい、こうなったらヘリとアレを出せ!!」

 

ヘリコプターは分かっていた為、他の隊員達も離陸前に叩く。勿論飛ぶ事もなく、精々ちょっと浮き上がるもテイルローターが吹っ飛んで、そのまんま墜落するくらいである。所が予想にもしない、マフィアが持つはずのない物が出てくる。

 

キュラキュラキュラキュラキュラキュラ

 

「ゲッ!?」

「おいおいマジか」

「物持ちよすぎだろ!!」

 

何とM48パットン戦車が出てきたのである。確かにベトナム戦争時代に使われていて、今じゃ的になるか博物館で余生を過ごす他ないとは言えど、勿論戦車なんて代物は、普通のマフィアが持てる筈もない。だが世界最大のマフィアだけあって、持っちゃってたのである。しかもマフィア側は「戦車を出せば勝てる」と思っていたが、そうは問屋が下ろさない。

 

「目標敵戦車砲口、エイム」

 

「スー、ハー」

 

「ファイア」

 

ズドォン

キン

 

「何だ?」

 

 

ドカーーーーン

 

 

マフィアが驚くも無理はない。今やった事は、普通なら出来るはずもない芸当だからである。今マーリンがやった事、それは砲身に装填された瞬間を狙って、弾丸を砲弾に当てて起爆させるという人間離れした技である。因みに同様の方法でシモ・ヘイヘはソ連の戦車を破壊したとかしなかったとか。

 

「ファーストショット、ヒット。デストロイタンク、ナイスキル」

 

「ふぅ」

 

「「「「「「マーリンさん恐いっす」」」」」」

 

味方にも恐怖を植え付け、敵には恐怖を植え付けるついでに戦意を失わせるマーリンであった。因みにその頃、ボートや偽装タンカーはと言うと絶賛逃亡中であった。逃げられる筈もないのに。

 

 

「クソッ!!あんのスキンヘッド野郎とは連絡取れねーし、あのデブババアとも連絡がつかない。おまけに謎の部隊から襲撃を受けて、軍団は壊滅寸前。この失態どうするんだ!!!!」

 

そう言って喚くデブなおっさん。側近達がどうにか宥めようとするが、それを部下のマフィアが遮る。

 

「お頭ヤベェです!!さっきの部隊と同じ装備の奴らが待ち構えています!!しかも奴ら、艦娘みたいに水面に立ってやがる!!!」

 

「何だと!?えぇーい、ボートを前に出せ!殲滅しろ!!!!」

 

「Yeah!!」

 

Mk2ピバーを前に出し、迎撃を図るマフィア。勿論たかが普通のボート程度では、対深海棲艦専用弾の攻撃は防げない。というか至近弾ですら、ほぼ確実にひっくり返って沈没する。そんな訳で大した反撃もできずに、呆気なく全滅する。

 

「ボート隊全滅!!」

 

「何なんだ、あの部隊は一体、何なんだ!?!?」

 

その答えを知る前に、水上装甲艇の機関砲によって偽装タンカーは乗っているマフィアを巻き込んで、新たな海の墓標と化し一連の鹿児島基地襲撃はマフィア壊滅、囚われの艦娘全員の保護という大きな戦果を上げて幕を閉じた。

因みに囚われの艦娘達は検査の為、横須賀海軍工廠に送られたが、検査の結果で特段問題なければ江ノ島鎮守府所属となる事が決まった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。