長嶺一行の帰還より1週間後 セカンド・エノ 執務室
「失礼します、総隊長殿。UR拠点のご報告に参りました」
ドバイの旅から帰還して早1週間。判明したURの拠点を調査の為、世界各国に隊員を派遣した訳だが、その結果が今日、返ってきたのだ。
「裏取れたか?」
「バッチリです。ロンドン、ベルリン、パリ、ベネチア、バルセロナ、モスクワ、ウィーン、シドニー、上海、東京、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ等々。世界各地の拠点を調べましたが、かなりの情報が手に入りましたよ」
「これで色々できるぞ」
ムージャから提供された情報は、世界各地のURの拠点が網羅されていた。どうやらかなり色々と暗躍しているらしく、違法薬物等の製造、加工、貯蔵拠点、カジノ、それから集積所に警戒部隊を配置する拠点まであった。
そこで長嶺、考え付いてしまった。現在の霞桜の既定路線は、URの殲滅と利権の乗っ取り。URの利権はその大半が違法な訳だが、霞桜が特に必要とするのは宝石や資源の採掘と売買だけだ。資源は霞桜が使うし、宝石は何かあった時の貯えになる。売買経路は最悪、怪しまれない程度に残ればいい。他の麻薬の密造と販売やら違法賭博やら人身売買やらは、ぶっちゃけ利権が取れなくても困らない。まあこういうのは末端だろうが中堅だろうが、お互いの顔と名前を知らないなんてのはザラだ。幹部も基本はメールなどで連絡する為、実際に顔を合わせる事も少ない。不労所得代わりに残せる物なら残したいが、取れないからといって作戦を切り替える程でもない。
とは言え、それでもこの辺りで彼らが巻き上げて搾り取った収入を奪っておきたいし、何より彼らに宣戦布告をしてあげる必要がある。そこで長嶺は、世界各国の拠点の内、金の集結地となる裏カジノ、その近くにある警備部隊の詰め所、それからハワイにあるURの大金庫を同時に襲う事にしたのだ。
「ご存知の通り彼らの商売で得たのも予算も含めて、金という金は全て各地にある裏カジノに集約されます。裏カジノは睨んでいた通り、支部の中でも司令部的立ち位置に当たる様です。ここを抑えれば、かなりの大打撃を与えられるかと。
ハワイの大金庫の方も調べましたが、なんだかんだ全部ひっくるめますと何十兆ドルにも渡るそうです」
「まあ、想像通りと言えば想像通りか」
これはあくまで、そこに納められている物の価値を現金換算した総資産の額である。流石に現金でとなると、何兆ドルクラスだろう。とは言えそれでも、アメリカの年間国家予算並みに匹敵する。世界各国の裏ビジネスを牛耳っているのなら、まあ可笑しくはない額だろう。
「作戦や襲撃メンバーはこれから策定予定ですが、霞桜としても類を見ない作戦でしょうね」
「世界各国で同時に襲撃するからな。だが、まさか相手も全く同じ時間に世界各国の拠点が、同じ組織によって攻撃されるとは思ってないだろ。だからこそ面白い」
「やっぱり総隊長殿は、そういう悪い顔をしてる時が1番楽しそうですね」
「俺は生まれついての狂人よ。こういう悪巧み、大好きで大好きで堪らない」
「では、その悪巧みに巻き込まれる前に戦略的撤退させて頂きます」
そう肩をすくめながら、グリムは執務室から出ていった。それと入れ替わる様に、今度はビスマルクが入ってきた。
「失礼するわよ指揮官。指揮官が依頼してきた、例の件。取り敢えずの目処が付いたわ」
「おっ!これでかなり戦略の幅が広がるな」
「レリックが工廠で説明したい事があるらしいから、歩きながら話したいのだけれど.......」
「今の俺は仕事がない!いやー、無職っていいわ」
「そうね。今のあなたに、明確な仕事という仕事は無かったわね。なら、行きましょうか?」
ビスマルクに連れられ、執務室のあるセントラルタワーから技術者連中の溜まり場と化している工廠区画へ渡る渡り廊下へと向かう。今回長嶺はビスマルク、というよりW明石や艦娘の夕張、KAN-SENだとビスマルクやチカロフといった、いつもの技術メンバーに艤装の改装を依頼したのだ。
「それにしても、よくあんな手段を思いついたわね。オイゲンの艤装から反重力装置の基幹部分を取り除き、高速修復剤で取り除いた部分を修復して複製するなんて」
「だって、あんな反重力装置とかSFじゃねーか。流石に理解は無理だろ」
その艤装の改装というのが、大きく分けて2つ。足回りの陸上対応と、反重力装置の実装である。艦娘にしろKAN-SENにしろ、水上を船の様に航行できる能力を持つ。ただこれは艤装による能力であり、艦娘とKAN-SEN自体の能力ではない。あくまでも艤装を操れるというだけであり、艤装が無ければ普通に溺れる。俗に言う轟沈というのも、名前だけ聞くと人間らしくない言い回しだが、要は艤装が戦闘中に大破するなり航行中に故障して、水上に浮かぶ機能が喪失し、そのまま溺れ死ぬというだけで、夏休みに頻発する水難事故と何ら変わらない。
艦娘もKAN-SENも水上では船舶並みの速力と、人間サイズ故の高い機動性を併せ持つ最強の海上戦力なのは知っての通りだ。だが陸上では火力も防御力も戦車以上だが、その機動性は普通の人間と変わらない。しかし今後は、陸上での戦闘も増えるだろう。そこで陸上でも海上と同等の機動性を実装するべく、足回りの改造とオイゲン等の一部KAN-SENの艤装に搭載されている反重力装置を搭載させる事にしたのだ。
「にしたって、あの方法かなりズルいわよ?というか、なんであんな手段を思いついたのかしら?」
「この間の戦闘で、アイツは反重力装置部分を破壊されていた。だが高速修復剤で普通に治っただろ?なら艤装から反重力装置の基幹部分を取り除いても、高速修復剤を使えば治る。コピーしまくりだ。
それにコイツは、俺としてもちょっとした使い道があるんだ。もしかしたら、更に強くなるかもしれん」
「反重力装置は確かに魅力的だけど、一体何をするつもり?」
「あー違う違う。そっちじゃなくて、高速修復剤の方だ」
「一体何を企んでいるの?」
「さーてね。それは、出来てからのお楽しみだ」
この1週間、長嶺も暇で仕方がなかったので、少しばかり自らの強化について考えていたのだ。その中の1つが神授才の可能性である。神授才の燃料は、伝承では血液と共に身体を巡るとある。また燃料を血液に込めるのは、心臓がその役目を担うらしい。その為、真なる臓器と書いて『真臓』とか言う。
そこで長嶺は体外に心臓を取り出し血液を循環させても、神授才は発動するのかという狂気的な実験をしようと考え付いたのだ。現代では人工心臓がある為、しっかりとした環境下であれば一時的に心臓を取り出してもすぐには死なない。更に長嶺の場合は艦娘の能力により、中枢神経が破壊されていなければ腕やら内臓がなくなってようと復活する。問題はない。
「総隊長、遅い!さぁ、早く入った!入った!早く俺の作品達を早く見てくれ!!」
「分かった分かった!落ち着け!!」
技術屋モードのレリックに半ば無理矢理中に押し込められ、そのまま設計図を見せられた。いや。設計図というよりは、AR技術を用いた完成図である。
「まずこれ。名付けて、ターボリックガスチャージャー!」
「見た感じ、銃内部の機関パーツか?」
「そう!これを使えば反動吸収、威力、射程が向上する!!しかも重量据え置き!!」
「なんだそりゃ。願ったり叶ったりじゃねーか」
「この機構は簡単にいうと、発射ガスを増幅させる機構だ。この空気取り入れ口から発砲の瞬間に酸素が送り込まれ、爆発力が向上!このエネルギーを反動吸収機構、バレル内部の加速機構に回す!!機関部を1から作らないといけない上に、値段はかかるけど、霞桜なら問題ない!!」
基本的に銃にしろ大砲にしろ、その威力は弾と砲身長に依存する。5.56mm弾と7.62mm弾なら後者の方が威力が上だが、5.56mm弾仕様の銃のバレルを延ばせば、初速と射程は伸びる。
だがこの機構は、言うなれば第3の選択肢とも言えるだろう。高威力、低反動、長射程の三拍子は大きい。
「それを搭載したのが、この新型銃!アサルトライフルのグリフィス、アサルトショットガンのヘビィシュート、ライトマシンガンのアイアンストーム、サブマシンガンのナイトメア、スナイパーライフルの桜舞II、対物ライフルのタイガーバスターだ!!」
「こりゃまた、かなりデザインも凝ってるな」
「カッコイイは浪漫!!」
レリックがフンスと得意そうに胸を張る。どの銃も近代感があり、かなりカッコいい。しっかり高性能かつロマン溢れつつも機能性の高そうなデザインを持ってくる辺り、流石レリックと言った所だろう。
「それから拳銃も新しくした!山蜘蛛!!」
「こいつ、土蜘蛛を元にしたのか?」
「イェース!!総隊長の愛銃はどれも素晴らしい。その中でも土蜘蛛は別格!そのダウングレード版を量産した!!」
かつての愛銃だった土蜘蛛HGは、長嶺が初めて本格的に作り上げた銃だった。URとの戦闘で破壊され今の阿修羅HGに切り替えた訳だが、それでもあの銃はは思い入れがある。今では部屋に飾るだけの土蜘蛛が、別の形で戦うのは嬉しいものだ。
「次はこれ!強化外骨格Mk2!!」
「なんか、前のよりシュッとしてるな。性能は?
「出力、防御力共に向上!大体、水上を60ノットで駆け抜ける!防御力は姫級にも耐えられる性能にした!さらに近接格闘用に、アサンシンクリードのアサシンブレードにヒントを得て、腕部に格納式のモーターブレードを搭載してある!近接格闘戦もこなせる!!」
見た所、水上走行機能は取り外し可能になっている。その分他の部分に回せるリソースが増え、整備性も上がるだろう。
「後は車両系も全部新しくした!!まだできてないのもあるけど、取り敢えずはこれ!!!!」
「コイツは.......黒鮫か!?」
「黒鮫弍型!エンジン、武装、装甲、居住性、バリエーション、その全てをアップグレード!!速度も上げた!!」
これまでの黒鮫と黒鮫弍型の比較図が表示されたが、かなり強化されているのが分かる。全体的になんか大きくなり、ついでに武装系統も増えてゴツくなっている。だがそれでも、黒鮫の面影はしっかりと残っている。正に『弍型』というのに相応しい、正統進化機体だろう。
「次は私達のを見てもらおうかしら」
「見せてくれ」
ビスマルクに連れられ、奥の艦娘、KAN-SEN専用兵器の開発室に入る。ここはその名の通り艦娘とKAN-SEN専用の兵装、つまり艤装なんかを設計開発する部屋だ。とどのつまり、技術系艦娘&KAN-SEN連中の溜まり場である。
「あっ、ビスマルクさんに提督!遅いですよ」
「ごめんなさい明石。レリックに指揮官が捕まっていたのよ」
「あー。そう言えば、レリックも新兵器を作ってたにゃんね」
よく仕事柄絡むことの多い技術組は、レリックのイカれっぷりをよく知っている。普段のレリックは知っての通り、重度のコミュ障だ。副官のバーリが声帯呼ばわりされるくらいに、壊滅的なコミュ障である。
だがこういう技術系統の話になると、一気にテンションがぶち上がってさっきの様にキャラが変わる。
他にもなんか謎の物を産み出したり、それを改造したり、かなり色々やっている。それを間近で見て来た彼女達は、最早レリックを一種の災害と考えており、これに捕まったら大体同情の目を向けられる。何せ捕まれば実験台にされそうになったり、延々と技術談義をする事になる。というか後者は知識を持ってるだけに、話していて楽しすぎてお互い時間を忘れる為であり、ぶっちゃけレリックが悪い訳ではない。
「さぁ指揮官。私達の力作、見て貰うわよ」
「見せて貰おうか」
ビスマルクがチカロフと夕張に合図すると、2人は艤装を展開。パッと見はいつも通りの艤装を纏った姿なのだが、踵の部分に拍車の様に車輪が追加されている。
「拍車からインスピレーションを受けて、新たに踵部分に車輪を追加したわ。靴の下にも格納式のを搭載してあるの。艤装の機関部分に繋がっているから、陸上であっても水上と変わらない速力を出せるわ」
「操作感とかはどうなんだ?余り違うようなら、訓練とかのカリキュラムも多めに組む必要があるからな」
「そこは私から説明しますよ」
長嶺の質問に答えてくれたのは、こういう兵器の実験には欠かせない艦娘の夕張であった。技術者としての腕もあるが、夕張の才能は専らテストパイロットである。何せ凡ゆる兵器を、すぐにコツを掴んで物にしてみせる。テストパイロットとして、ここまでの人材も中々いない。
「使ってみた操作感ですが、水上を滑走するのと殆ど違いはありませんよ。ただ水上と違って陸では摩擦とかが諸に掛かりますから、そういう時は少し感覚がズレますね。こればかりは慣れてもらうしかないでしょう。
しかし直進時の挙動は陸上故の揺れがあるとは言え、基本的には水上航行と遜色ありませんから案外すぐに物にすると思いますよ。潜水艦の娘達とかは、ちょっと分かりませんけどね」
「流石に次元潜航艦よろしく、地中に潜る訳にもいかんからな」
「それするには反重力装置じゃなくて、多分次元を変えるマシンとかがいるにゃ」
流石のKAN-SENにも、次元の壁を超えていく装置は未実装だ。というかそもそも、反重力装置があっただけでも驚きである。何も現代科学では妄想や夢想の中にしか存在しない、オーバーテクノロジーというヤツなのだ。
「次は反重力装置ね。一部KAN-SENに搭載されてるのは知っての通りなんだけど、その中で最も高出力かつ安定しているのは、オイゲンの艤装に付いてる物だったわ。それを指揮官の考えた方法で大量に複製したのは知っての通りだけど、この反重力装置には思わぬ副産物があったの」
「副産物?」
「反重力装置の搭載によって、装備できる容量増えたのよ。オマケに艤装自体も反重力装置で軽くなるから、速力も上がったわ。1.5から2倍って所ね。
当初の予定通り、ジェットパックなしでの飛行も可能になったわ。尤も、そんな大立ち回りとかはできないから気を付けてね?精々、空中を水上を走るのと同じ位の速さで移動できる程度よ。それから、艦娘にスキルを付けられる可能性が出てきたのよ」
チカロフの説明に、長嶺は心の昂りが抑えるので必死だった。反重力装置のお陰で、色々と戦略の幅が広がるのだ。当初は「現状の低い高度からヘリボーンさせるのを、空挺と同レベルの高度から行える」というのと「空中での一定の機動性の確保」の2つの観点により、反重力装置の搭載を決めていた。ところが蓋を開けてみれば、まず速力アップと搭載量の増加というオマケが付いてきた。この搭載量に様々な装備を載せれば、より汎用性を上げることができる。燃料弾薬を積めば継戦能力の向上が見込めるし、機関を搭載すれば速力を上げることもできる。他にも色々、やりようはある。
そして何より嬉しいのは、スキル獲得の可能性だ。スキルというのはKAN-SENが艤装に宿している、言ってしまえば固有能力の様な物だ。オイゲンのシールドの様な物もあれば、味方にバフの様な形で艤装の能力を引き上げる物もある。このスキルというのはピンキリかつ状況を選ぶ物もあるのだが、総じて戦術を間違わなければ強力な切り札となる。
「流石に本格的なスキルは無理そうよ。でも恐らく、弾幕スキルなら発動できるかもしれないわ」
「原因は十中八九反重力装置なんだろうが、その仕組み分かるのか?」
「それについては、私が答えるわよ。って言っても、正直殆ど謎よ。あくまで仮説だけれど、反重力装置っていう艤装のコアの様な存在を移植したから、でしょうね」
弾幕スキルとは文字通り、弾幕を展開するスキルだ。艤装のリミッターを一時的に解除し、任意の方向に30秒程度の濃密な弾幕を展開する。リミッターを解除する為、通常よりも発射レートが格段に上がり航空機は勿論、艦船に対しても有効なスキルである。欲を言えば固有スキルが欲しい所だが、流石に欲張りだろう。
「量産にはどの位かかる?」
「量産は簡単よ。この工廠にある工場設備、かなりの物だから1ヶ月もあれば改修できるわ。訓練にもう1ヶ月位かしらね?」
「大体2ヶ月か。では直ちに製造と改修に入ってくれ。なぁ、所でキューブはあるか?」
「キューブって、あのキューブ?あるにはあるけど.......」
「ちょっと貰って行くぞ」
「?えぇ、良いわよ」
ビスマルクからキューブを1個貰い、長嶺はそのまま廃墟島とセカンド・エノの中間層にある空中超戦艦『鴉天狗』の極秘ドックに向かう。普段は立ち入り禁止だが、長嶺は別だ。これは言うなれば長嶺の身体の一部。どこの世界に、自らの身体を動かすのに許可を求める者がいるだろうか。
長嶺はドックのタラップから艦内に入り、そのまま艦橋まで上がる。当然だが人は誰1人として乗っておらず、俗に言う妖精さんも何処かに隠れているのか姿が見えない。普通なら恐怖を覚えるだろうが、長嶺からすれば身体の一部。怖いどころか、安心感を覚える程だ。
「なぁ、『鴉天狗』よ。お前は、ここで終わりなのか?お前は最初、単なる海を駆ける戦艦だった。だがお前は空の覇者となり、この前は遂に恐らく世界を滅ぼせるだけの力を手に入れた。だが本当に、お前はそれで終わりなのか?俺にはまだまだ、進化の余地が残っている様に思えてならない」
次の瞬間、これまで暗かった鴉天狗の艦内に灯りが灯った。それだけではない。エンジンに火が入り、モニターの明かりも付く。そして大きな船笛がドック内を木霊した。
この『鴉天狗』は長嶺の身体の一部でありながら、それ自体が意思を持った存在でもある。言葉こそ交わさないが、その考えや意思は分かるのだ。
「そうか。お前はやはり、まだあるんだな。ならばこれを、受け取るがいい。艦娘とKAN-SENの能力、それを合わせようではないか」
長嶺がキューブを掲げると、そのまま砂粒の様にバラバラになる形でキューブ消えた。だがその瞬間、長嶺の脳内にKAN-SENが使うスキルが浮かんできた。
スキル1 絶対支配者
敵対的な凡ゆる存在は鴉天狗を発見した場合、回避、火力、命中が45%低下する。指揮下の艦娘、KAN-SENは回避、火力、命中が60%増加する。
スキル2 煉獄の祝福
指揮下の艦娘、KAN-SENの耐久力、運が55%増加する。また指揮下の艦娘、KAN-SENがダメージを受けた場合、90%の確率で対象者の受けたダメージが半減し、周囲に15秒間シールドが展開される。
スキル3 最狂にして最強
①300秒間、耐久力、運、回避、火力、雷装、対潜、対空、航空、装填、命中が80%上昇し、耐久が5秒につき15%回復する。②スキルの効果が切れると、再度自動的に発動する。
②上記スキルが解除されると30秒間火力、雷装、対潜、対空、装填、命中が150%上昇する。
スキル4 弾幕乱舞
一時的に武装のリミッターを解除し、高レートで120秒間射撃可能になる。発動後、自身の命中、装填、航空が20%上昇する。
EXスキル1 殲滅あるのみ
①600秒間、敵の回避、火力、雷装、対潜、対空、航空、装填、命中が80%低下し、自身の耐久力、運、回避、火力、雷装、対潜、対空、航空、装填、命中が150%上昇し、耐久が6秒につき30%回復する。③スキルの効果が切れると、再度自動的に発動する。
②上記のスキル発動中、周囲に弾幕を展開し敵を自動で攻撃する。命中した敵に対し50%の確率で回避が20%低下する。
③上記2つのスキルが解除されると10秒間、10秒間火力、雷装、対潜、対空、装填、命中が300%上昇する。
EXスキル2 国堕としの再臨
神授才の発動に消費するエネルギーが50%カットされ、威力が30%上昇する。10%の確率で、更に威力が70%上昇する。
EXスキル3 堕ちた英雄の背中
①900秒間、敵対的な凡ゆる存在は鴉天狗を発見した場合、回避、火力、雷装、対潜、対空、航空、装填、命中が80%低下し、任意のタイミングで動きを止められる。
②1020秒間、指揮下の艦娘、KAN-SENは回避、火力、雷装、対潜、対空、航空、装填、命中が100%増加する。
③上記スキルの発動中、指揮下の艦娘、KAN-SENにはあらゆる攻撃を防ぐ盾12枚が周囲を浮遊し、耐久力が毎秒5%回復する。
EXスキル4 真・弾幕乱舞
一時的に武装のリミッターを解除し、高レートで400秒間射撃可能になる。発動後、自身と指揮下の艦娘、KAN-SENの命中、装填、航空が60%上昇する。
「成る程。どうやら通常が『鴉天狗』であり、EXスキルとかいうのは『鴉焔天狗』専用のスキルということか。それにしても、なんともまあ.......」
明らかにチートである。例えばバフスキル。これは通常、ユニオンならユニオン、重桜なら重桜にのみ発動する場合が多い。だが長嶺の場合は恐らく、フリーダムフリートの全員が対象だろう。100歩譲って範囲の広さは良しとしても、そのバフの%がおかしい。恐らくこれを、特にEXスキルを戦場で使えば、まあまず負ける事は無いだろう。相手の動きを止められる上に大幅なデバフを掛けられて、こっちは単純に2倍のステータスで戦えるとか、チート以外の何物でもない。
「このスキルの有用性は、今後色々試してみるとしようか。取り敢えず今は、例の手術をやってみるとするかな」
長嶺はドックから出ると、そのままセントラルタワー内の病院区画に向かった。既にここには、心臓を取り出すための設備が備わっている。無論、医者も含めてだ。
「総隊長。本当によろしいので?」
「あぁ。取り敢えず、10個は取り出してくれ。君達の腕に期待する」
「んな事言われても、流石に怖いっすよ?まあ、やるだけやりますけど」
一応霞桜に所属する医者達は、基本的に全員がマッドサイエンティストか闇医者だった者が多い。そんな彼らでも、こんな心臓を量産するために心臓を摘出するなんて、いくらなんでも流石に経験がない。全員少し恐怖を抱いているのが現状だ。
だがそれでも、この実験には価値がある。もしかすれば、隼人・レグネヴァのオロチ擬きを叩く時に使えるかもしれない。それに心臓を貫かれた状態での復活は何度か経験があるので、摘出後の回復も問題はない。摘出された心臓がどうなるかは謎だが、取り敢えず死ぬことは無いだろう。
「はーい。という訳でよろしく」
「そんな嬉々として全身麻酔を受ける人間は初めてですよ.......」
さも当然かの様に全身麻酔のマスクを口に押し当て、そのまま堂々と横になる長嶺に医者達も困惑であった。どんなに成功率が高い手術でも、基本的に患者は怖がるものだ。だが目の前の男はそんなのお構いなしに、安らかに目を閉じたいる。はっきり言って、異常でしかない。
「それではこれより、長嶺雷蔵の心臓摘出手術を開始する。メス」
数時間後、長嶺は麻酔から覚醒。しっかり現世に戻ってきた。結果としては、心臓の摘出には成功した。無論、複製にも。今は特殊なケースにて保存され、ドクドクと脈打っている。
この結果を知った長嶺は、まるでその結果が分かっていたかの様に「ここからが大変だ」と次の事を考える始末で、医者達を大いに困惑させたらしい。