最強提督物語〜大海原を駆ける戦士達〜   作:鬼武者

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第百八話鬼ヶ島攻略作戦

1ヶ月後 セカンド・エノ 格納庫 パーガトーリィ機内

「スピット。無線を全周波数帯にセットしろ」

 

「………セット完了!」

 

長嶺はコックピット座席に肘を置き、無線を握る。今この無線の向こうに、我が愛すべき家族達がいる。

 

「野郎共。仕事の時間だ。今回は時間が惜しいので、このまま作戦を伝達する。よく聞け。今回の目標は鬼ヶ島。深海棲艦の本拠地、と思われる場所だ。まあ実際、例の深海棲姫も居るんだ。絶対本拠地だろうよ。その本拠地だが、当然大艦隊がいるし、大量の機雷もある。更には長期間いると腐食する、謎の物質が海に流れている始末だ。この腐食は艤装が使えなくなる程の強力な物だ。正直、これまでで1番面倒な戦場となる。

これを受けて、全員の装備には姫級の深海棲艦素材でコーティングはしてある。だがそれでも、効果は完全じゃない。飛躍的な活動時間は手に入れているが、濃度によっては腐食が早まる可能性もある。状況には常に気を配って欲しい」

 

長嶺は一呼吸置き、次の話を始める。不思議な物で、無線機の向こうにいる家族たちが耳を傾けてくれているのが良くわかる。緊張しているだろうが、それでも全員が数々の修羅場を潜り抜けた猛者。今更、この程度では臆する連中ではない。ちょっとばかり世界の命運を背負う位、訳ないのだ。

 

「本戦闘に於いて、作戦は存在しない。スピード勝負だ。とにかく全員が釈迦牟尼に突撃し、ただ前へ前へと駆け抜ける。俺達が最も得意とする戦術。セオリー通りに行こう。

これは単なる侵攻や防衛ではない。この鬼ヶ島にいる深海棲姫を討つことは、我々がこの戦争に終止符を打つための第一歩となる。家族を奪われ、仲間を喪い、未来を閉ざされかけた俺たちが――いや、人類そのものが逆襲に転じる最初の一歩だ。諸君の奮闘に期待する!!

……なんて、本来なら言うんだろうな。だけど俺達はもう、そういう存在ではない。だから俺はこう言おう。奴らは俺達を舐めすぎた。このあたりで、そろそろしっかりと自らに似合うのは深海の底の底であると教えてやろう。人類の未来?人類の勝利?そんなのは軍人や英雄様に任せておけ。俺達は俺達の為に、俺達の障害を取り除くのみ。さぁ、野郎共!!眼前敵を殲滅しろ!邪魔する物はぶっ殺しぶっ壊せ!

さぁ錨を上げろ!!マガジンを刺せ!!魚雷を装填しろ!!チャージングハンドルを引け!!航空隊を青空に羽ばたかせろ!!砲を構えろ!!相手はいつもの深海棲艦だ!!いつもの様に敵を殲滅し、俺達の邪魔する全てをぶち壊してやれ!!!!!!」

 

格納庫中に雄叫びが響き渡る。反響してうるさい位の声だが、やはりこういう声がありがたい。この声だけで気分が上がり、結果として全体の戦意も上がる。そしてそれは士気となる。

 

「毎度毎度、ノセるのが上手いですなぁ総隊長」

 

「それが指揮官という仕事だもの。これくらい、幾らでも流れを作ってやるさ。ほら!煽てる暇あったら、最終チェックでもしとけ!!」

 

「へいへーい!」

 

スピットは軽く手を挙げるが、すでにその視線はコンソールの類に移っている。機体の状況をチェックしているのだ。その横では副操縦士のハリケーンが戦闘システムを立ち上げている。

 

『メインシステム、戦闘モード起動』

 

「各部チェック」

 

『FCS、リンク正常。武装、全て装填済み。ミサイルハッチをチェック。オールグリーン』

 

黒鮫弍型の武装がグリグリ動き、バルカン砲は銃身が回転し動作をチェックしていく。他の機体でも同じ様にチェックがなされているが、それを尻目に航空隊が一足先に離陸していく。

 

「コントロール、こちらメビウス1。戦闘機隊、離陸準備完了。これより地上に上がる」

 

『コントロール了解』

 

島の中でも一際大きな廃墟ビルから管制塔がせり出し、それに合わせて航空機用の滑走路が誘導灯と共に上がって来て数十秒で立派な滑走路が出現する。

更にその周囲には対空用のRAM、127mm速射砲、76mm速射砲、エリコン35mm機関砲、ファランクス20mmバルカン砲といった火器の類も現れ上空を警戒する。

 

「航空機発進。滑走路展開」

 

「ラジャー。滑走路、展開する。誘導灯展開」

 

「風向き、風速共に問題無し。離陸に支障は認められず」

 

「エレベーターハッチ解放。離陸準備よし」

 

一方地下からは地上へと繋がる超大型エレベーターが、戦闘機達を1分足らずで地上まで上げる。地上に到着しハッチが開くと、そこには滑走路と抜けるような青空が広がっていた。

 

「コントロールタワー。こちらメビウス1。全機、地上に上がった。離陸許可を求む」

 

『離陸を許可する。グッドラック』

 

「メビウス1ラジャー。Cleared for take off」

 

メビウス中隊を先頭に他のグレイア、フォーミュラー、カメーロ、レジェンドの各飛行隊も離陸。更に別のビルは、天井が開きマスドライバーの様なレールが現れる。

 

「電磁カタパルト展開。レール固定」

 

「ヴァルキリー、出撃」

 

そのビルからは随伴のMQ58改ハイパーヴァルキリーが飛び出し、他の航空機との並走を目指す。このビルには電磁加速式の専用カタパルト、というか最早離陸用のレールガンの様な施設であり、これで一気に加速させて最大速力で空に上がれるのだ。

 

『総隊長殿。戦闘機隊、全機離陸しました』

 

「では俺達も行こう。全機発進!!」

 

「オーライ総隊長!パーガトーリィより全機!!総隊長のお達しだ!行くぞ!!!!」

 

『コントロールタワーよりパーガトーリィ。離陸を許可する!総隊長!我らに勝利を!!』

 

「任せておけ。留守を頼む!」

 

『了解!』

 

パーガトーリィを先頭に、他の機体も続々と続く。専用機であるパーガトーリィの側面には、各大隊のパーソナルカラーである青、ダークグリーン、オレンジ、赤、紫、グレーが入っていた。しかし現在、短期間で立て続けに二個大隊増えている。

その為、このラインの色も追加され、現在は上から順にガンメタル(第六大隊)、紫(第四大隊)、オレンジ(第二大隊)、青(本部大隊)、金色(長嶺のパーソナルカラー)、ダークグリーン(第一大隊)、赤(第三大隊)、グレー(第五大隊)、水色(第七大隊)の九色がラインカラーに使われている。

 

『エレベーター起動中。注意してください。エレベーター起動中。注意してください。エレベーター起動中。注意……』

 

「エンジン正常作動。燃焼率安定。各部スラスター、オールグリーン」

 

「スクラムジェットエンジン、チェック完了。問題なし」

 

パーガトーリィの他、30機が幾つかあるエレベーターに乗り込み、そのまま地上まで上がる。滑走路にエレファントウォークの様に並び、次々に離陸していく。黒鮫弍型の正式名称にある通り、全機がVTOL機。滑走路の後ろにいる機体は垂直離陸で上がっていくし、滑走していく機体も早く離陸できるようにスラスターで加速しつつ、エンジンを斜めに傾けてのSTOLで離陸していく。

勿論、垂直離着陸用の離陸口からは隔壁のみを解放して、本来ならエレベーターで上がるところを、まるで宇宙船が飛びたっていくように廃墟ビルに偽装した離陸口を上がっていく。

 

「高度1万で編隊を組む。行くぞ!!」

 

パーガトーリィを先頭に、精鋭を乗せた黒き鮫の群れは空を征く。一目で軍用機とわかる見た目でありながら、国籍証の類いは存在しない国籍不明機(アンノウン)。しかも基本的にカラーリングが黒で、逆に大隊長が乗る黒鮫弐型は、各大隊のパーソナルカラー一色というアグレッサー塗装という、かなり異様な編隊だ。

 

「それで、指揮官?さっき作戦は無いとか言ってたけど、本当はあるんでしょ?」

 

「今回ばかりは無い!マジで無い!」

 

「いや、そんな堂々と言うものじゃないでしょ……」

 

胸を張ってそう言い退ける長嶺に、オイゲンは軽くこめかみを抑えながら項垂れる。パーガトーリィに乗っている他の各陣営の代表達も、うんうんと頷いてる。普通に考えて、この手の大規模侵攻に於いては作戦というのが存在する。それがあって初めて、軍隊を運用できるのだ。

 

「真面目な話、今回の相手は作戦を緻密に立てすぎたら、確実にこっちが対応に追われて被害がデカくなる。だったら寧ろ、最初から作戦という作戦を立てずに、枯れ切ったセオリーにセオリーを折り重ねた戦術を使うまで。それを持って最短距離で鬼ヶ島を潰す」

 

「でも提督。確か少し前に、例の比企ヶ谷さんを呼ぶとか言ってませんでした?」

 

「いや、それはだな………」

 

 

1週間前 セカンド・エノ 執務室

『もしもし』

 

「おハロー比企ヶ谷」

 

『……………』

 

「あれ?もしもーし?もしもーーし!!」

 

ガチャリという音が聞こえた以上、多分切られてる。もう一度リダイヤルすると、今度は切られる事なく話ができる事となった。

 

『で、裏切り者のテロリストが何の用なんだ?』

 

「裏切り者って、一応上官よ俺?」

 

『だとしても、お前は裏切り者のテロリストだろ?俺を巻き込まないで欲しい。寧ろ縁を切りたいまである』

 

「まあまあまあまあ!そう言わないで、ね?ね?ほらー、君にいい出世の種をあげるから」

 

『俺の夢は専業主夫だ。今も変わってないからな?』

 

そう言えばそうである。この比企ヶ谷という男、過去のトラウマやら黒歴史があったとはいえど苦手な理系を捨て文系のみ受験勉強をする、専業主夫を志望する、バイトは嫌なことがあればバックれるという、かなりの捻くれ者。出世なんて代物、ノーというタイプの男だった。

 

「でしょうね。うん。お前、そう簡単に変わんないもんね」

 

『だからその話は———』

 

「葉山を黙らせられる」

『ッ!』

 

捻くれ者?出世が嫌い?なら、出世せざるを得ない理由を作ればいい。受けざるを得ない理由を作ればいい。そういうのは、長嶺の得意分野だ。しかも、この反応は効果ありだろう。

 

「親父から話は聞いてる。冷遇されてるんだろ?」

 

『———お前には関係ない』

 

「そうも言えん。お前は、お前達は一応、今も俺の部下だ。それにお前には、ある程度動ける様にして貰わないと、今後困る」

 

『……………』

 

電話口の向こうで項垂れてるのが、よく分かる。比企ヶ谷は迷っているが、まだ「やりたくない」が7だろう。だがまだ本題には入ってない。引き込める。

 

「本題に入ろうか。アフリカの花火、そっちでも見えてるか?」

 

『アフリカの花火って………まさかURとかいう組織の?』

 

「ドーモ=犯人Death」

 

『うわぁ………』

 

URの本拠地、Ville Pimordialeの崩壊は世界中でニュースとなっている。表向きには内部抗争だとか、一部組織のクーデターという事で報道がなされている。当然、裏では内部抗争やクーデターではなく、明らかな外部勢力による電撃的奇襲の末に殲滅されている事はわかっているし、霞桜や長嶺雷蔵の存在を知っている、もしくはその影を知る者達は、それが犯人ないし犯人だろうという事も分かっている。

因みにこのVille Pimordialeの惨状は知っての通りで、各FOBは全て半壊ないし全壊、或いは血の海。本拠地たるVille Pimordialeは大火災の上で全壊と、かなりひどい惨状である。

 

「なんだその、ドン引きはボイスは?」

 

『いやだって……ねぇ?』

 

「仕方ねーだろ、ボコボコにしたかったんだから」

 

『それでアレかよ!』

 

一応あの抗争というか戦闘で、直接的な死者は数千人単位。処刑された者、処刑される者、或いは処刑こそされないが死ぬのがほぼ確定している者も合わせれば、万を余裕で凌駕する。それを気分でやってるのだから、頭おかしい。

 

「で、だ。そのURを攻め込んだ結果なんだがな、あれはどうやら何処ぞの世界征服目指してる組織が作った組織でな、その組織はどうやら深海棲艦も作ったらしいんだわ」

 

『はっ?いや、えっ?ちょっ、はい!?』

 

「それで俺たちは真相確かめに行くがてら、Ville Pimordialeの地下で見つけて来た情報を元に、ちょっくら本拠地を攻める。お前達は後詰めというか、もっと簡単には俺達の手柄を流用して発言力高めろ」

 

『はあぁ!?!?』

 

「詳しくは親父に聞け。good luck!!」

 

 

「とまあ、こんな感じでな」

 

「比企ヶ谷さん…………」

 

「比企ヶ谷くん……ウチの旦那がごめんなさい…………」

 

一切悪びれる様子のない長嶺と、軽くドン引きするか比企ヶ谷に同情するオイゲンや大和達。いつもの事ながら、これはまあ酷い。こうなっては動かざるを得ないだろう。

 

「ご歓談のところ申し訳ないんですがね、間も無く敵支配域!!鬼ヶ島ですぜぇ!!!!」

 

スピットの声で、機体内の空気が切り替わる。もう比企ヶ谷どうのは言っていられない。

 

「全機突入!道行く深海棲艦を片端から血祭りに挙げてけッ!!!!」

 

「おう!!!!!」

 

パーガトーリィを先頭にPPX0896315の上空へ突入。さっきまで晴天だったのが嘘の様にドス黒くなり、海も真っ赤に染まっている。鬼ヶ島で間違いない。

 

「全兵器使用自由!!攻撃開始!!!!」

 

「ウィルコ!!戦闘モード起動!!!!」

 

『メインシステム、戦闘モード起動。オートモードで敵性目標を排除します』

 

深海棲艦というのは基本的に、手前ほど雑魚が多い。手前にいるのは駆逐艦、軽巡が殆どであり、対深海徹甲弾を装填した機関砲群であれば、容易に破壊できる。

 

『深海棲艦が溶けてるぜ!!!!』

 

『あっちには居たくない。だが手を緩めるつもりもない!!!!』

 

30mmバルカン砲、20mmバルカン砲、12.7mmバルカン砲、M134といった機関砲群が薙ぎ払う様に。ホウキで掃く様に。弾幕の嵐が通り過ぎるたびに、夥しい残骸と肉片と青い血が浮かぶ。

 

「第一ライン突破ぁ!!!!」

 

「全空母!航空隊発艦!!周辺確保!!!!」

 

黒鮫弍型の内、空母が乗っている機体のハッチが開く。念の為、ハーネスで身体を固定した上で艦載機を上げる。

 

「一航戦、赤城」

「同じく加賀」

 

「「戦闘機隊、発艦始め!!」」

 

「終わりだ!!」

 

「終わりだ、Funebre!!」

 

「重桜一航戦、赤城」

「重桜一航戦、加賀」

 

「「推して参る!」」

 

流星改(一航戦/熟練)、流星改(熟練)、ワイヴァーン、天山一二型(友永隊)、天山(村田隊)、噴式景雲改、天山一二型甲改(熟練/空六号電探改装備機)、TBM-3W+3S、バラクーダ。

試作型天雷(特別計画艦仕様)、試製南山、Ju87C改二(KMX搭載機/熟練)、AD-1スカイレーダー、彗星(江草隊)、菊花改、彗星二二型(六三四空/熟練)、F4U-7、彗星一ニ型(三一号光電管爆弾搭載機)、BTD-1デストロイヤーT3、フルマー、ファイアフライ、実験型XSB3C-1。

烈風改二戊型(一航戦/熟練)、烈風改二戊型、紫電改四、試作型BF-109G(特別計画艦仕様) 、Me-155A艦上戦闘機、震電改、零式艦戦64型(熟練爆戦)、零戦62型(爆戦/岩井隊)、F7Fタイガーキャット、零式艦戦53型(岩本隊)、シーホーネット、シーフューリー、シーファング、F6Fヘルキャット、XF5U。

最上位の性能と激戦を生き抜いた確かな練度を誇った、高性能艦載機が飛び出していく。艦載機群は黒鮫弍型の周りに布陣し、撃ち漏らした深海棲艦に襲い掛かる。

 

「提督!レーダーに感あり!敵戦闘機!正面からきます!!!!」

 

「聞いたな!!」

 

「わかってますよぉ!!!!」

 

黒鮫弍型には胴体側面の他、屋根にまで機関砲群が搭載されている。その配置に死角は無い。そればかりか速射砲の類まで搭載されている。この弾幕を潜り抜けられる物なら、潜り抜けてみろというものだ。

 

「第二ライン突破ぁ!!!!!」

 

「総員降下開始!!!!行くぞ!!我が愛しの家族共ッ!!!!!!!」

 

進路を固定したまま、次々と降下していく。高度を下げてダイレクトに降りるので、パラシュートの類いは無い。艦娘とKAN-SENは反重力装置、霞桜の隊員達はジェットパックのブーストで安全に、かつ素早く着水していく。

 

「進路クリア!!」

 

「押し出せぇぇぇ!!!!!」

 

「うっしゃぁぁぁ!!!!!!!」

 

これに陣風改も続く。前回の偵察の時とは違って、数百台単位の陣風改が飛び出して着水していく様子は圧巻の一言。更には他の機体よりも高度を高めに取っている、ガンメタルで全身塗装された黒鮫弍型からは……

 

「エンジンスタート」

 

『エンジンオンライン。回転数安定。メインシステム、戦闘モード起動』

 

ラーマエルの操る特殊強襲戦車『チャリオットロード』が飛び出す。他のチャリオットと違い、チャリオットロードであればホバーでの移動が可能。チャリオットシリーズ唯一の、水上戦闘可能機体なのだ。

 

『第四大隊、準備完了よ』

 

『第一大隊、降下完了』

 

『第三大隊!いつでも暴れますぜ!!』

 

『こちらラーマエル!チャリオットロード他、第六大隊降下完了だ!!』

 

『第二、完了』

 

『第五大隊も暴れられます!!』

 

『本部大隊、降下完了しました』

 

『第七大隊、降下完了です!いつでもどうぞ!』

 

霞桜に続く形で、艦娘とKAN-SENからも降下完了との報告が上がる。この程度で落伍する者は居ないが、空でも確認は大事だ。

 

「ゴールドフォックスより全軍!鬼ヶ島本島に向け突撃!!眼前の敵は滅ぼせ!!邪魔なのは一切合切破壊しろッ!!!!行くぞ!!!!!!!」

 

長嶺を先頭に、鬼ヶ島目指して突撃する。長嶺はジェットパックで空を飛びながらも、懐から7枚の式神を取り出し投げる。いつもの様に空中超戦艦『鴉天狗』を呼び出し、それを纏う。まだ『鴉焔天狗』は温存だ。

 

『指揮官!敵機、まだ来ます!!』

 

「オーライ、ヘレナ。飛行場姫!!中間棲姫!!」

 

『任セテ。慈悲ハ、無イ!!』

 

『コノ為ノ私達。見テテ』

 

最後方にいる超重爆飛行場姫と中間棲姫から、次々に戦闘機が上がる。超重爆飛行場姫からは三式戦 飛燕(飛行第244戦隊)、三式戦 飛燕一型丁、一式戦 隼III型甲(54戦隊)、一式戦 隼II型(64戦隊)、Spitfire Mk.V、Spitfire Mk.IX(熟練)。

中間棲姫からは烈風改(三五二空/熟練)、零式艦戦21型(台南空)、零式艦戦32型(台南空)、零式艦戦22型(251空)、紫電改(三四三空) 戦闘301、紫電改(三四三空) 戦闘701、紫電改(三四三空) 戦闘407、Me 262 A-1a/R1、Fw190 D-9。どれもこれも、レアな機体ばかりだ。

 

『相棒よ!お客さんが来たぞ!!』

 

「なら打ち倒すのみ!!!!押し通れぇ!!!!!」

 

ただ一塊になって突撃しているのだ、相手もこちらを止めるべく全力を割いて止めにかかる。防衛側として、これほど分かりやすい布陣はない。攻撃側にとっては戦術という戦術が取れなくなる悪手ではあるが、こっちはそんなの関係なしにゴリ押す算段なのだ。問題はない。

 

「スキルは目白押しだぜ?止めれる物なら止めてみろ!!」

 

今の長嶺、正確には『鴉天狗』にはKAN-SEN同様にスキルがある。そのスキルというのが敵の回避、火力、命中が45%低下し、逆に指揮下の艦娘、KAN-SENは回避、火力、命中が60%増加する。

指揮下の艦娘、KAN-SENの耐久力、運が55%増加する。また指揮下の艦娘、KAN-SENがダメージを受けた場合、90%の確率で対象者の受けたダメージが半減し、周囲に15秒間シールドが展開される。

①300秒間、耐久力、運、回避、火力、雷装、対潜、対空、航空、装填、命中が80%上昇し、耐久が5秒につき15%回復する。② ①の効果が切れると、再度自動的に発動し、上記スキルが解除されると30秒間火力、雷装、対潜、対空、装填、命中が150%上昇する。

という3つ。どれもこれもがチートその物であり、まず間違いなく艦娘とKAN-SENは倒せなくなっている。伊達に化け物はやっていない。

 

「「「鬼神」の力、味わうがいい!!!」

「努力の成果を試す時です!」

「Jクラスの実力見せてあげる!!」

「状態良好。行こ!」

 

「海の藻屑と!!」

「なりなよ〜」

 

「釣瓶縄井桁を断ち、雨垂れ石を穿つ。鍛錬を我が剣に、斬れぬ物などない!!」

「ぱんぱかぱーん!」

 

艦娘とKAN-SEN達が長嶺の加護とでも言うべきスキルの効果で楽に戦闘を進める一方、霞桜の方もいつも通りの戦闘を行っていた。

 

「オラオラオラオラァ!!!!撃って撃って撃ちまくれ!!!!我ら汝等に問う!汝らは何ぞや!!!!!」

 

「「「「「「我ら弾幕信者!!地獄の神の代理人なり!!!!!!」」」」」」

 

今回はシービクター着用時にのみ使える、両腕と背部のマニュピレータでの対深海棲艦用歩兵機関銃イシス。これに肩のバトルシールドと、その中にある連装ガトリング砲。つまりイシス4挺とガトリング砲4門という、弾幕マシマシ仕様である。その弾幕たるや、重巡までなら溶けるように消え去り、戦艦でも致命傷を避けられず、姫級も無視できない強さだ。

 

「バルクの兄貴の所は、相変わらず怖いぜ。なんだあの弾幕」

 

「バルちゃんはいつもの事でしょ?それよりも、私達も行くわよ!!」

 

「あっ!!野郎共!姉貴と第四に遅れんな!!!!」

 

弾幕で敵を押し留めれば、そこを第四大隊と第五大隊が突っ込んで場を掻き乱すついでに狩り取る。

 

「死んじゃえ❤️!」

 

「死に晒せェェェェ!!!!!!!」

 

カルファンの鋼鉄糸改が深海棲艦を縛り上げ、そのまま切断。ベアキブルは懐に入り込み、腹から抉り込む様に愛刀の悪鬼羅刹を捩じ込む。

その他、両大隊のヤクザ共は次々に深海棲艦を格闘で血祭りに上げていく。

 

「そぉらぁ!!!!」

 

蹴り飛ばし、空中に舞い上がって身動きが取れない所を、対深海棲艦用突撃銃エリミネーターを突きつけてゼロ距離連射。他にも水面に叩きつけてから頚椎目掛けて足を振り下ろしたり、コンビネーションでボコボコにしたりと、多種多様だ。

 

「行こう。素材剥ぎの時間」

 

「だそうだ。近接戦で片を付けるぞ!!」

 

第二大隊は第三大隊に近づく連中を、先に片っ端から倒していく。レリックはフリーダムメカハンドのチェーンソーを使い、肉を掻き出す様に切断。その後ろで大隊員達も、各々の得意戦法で撃退していく。

 

「いつもの事ながら、やはり若者は先んじてくれるから良いですねぇ。私の様なおじさんには、とても真似が出来そうにない」

 

「なら、援護に徹しましょう」

 

「えぇ。副長?第四と第五は任せますよ?こちらは全体を援護します」

 

『わかりました。もしもの時は手伝ってくださいよ?』

 

「当然です」

 

マーリン率いる第一大隊は前線で戦う者達の中でも、最後方に位置する場所で援護する。第一大隊は元々スナイパーやマークスマンが多い訳だが、そこにシービクターと対深海棲艦用狙撃銃オーバーロード4挺を組み合わせれば、生きたスナイパータレットに早変わりする。

 

「こちらも始めましょうか」

 

本部大隊はグリムがマークスマンの役割を果たす事もあり、援護向きの装備だ。近接戦で暴れ回ってる第四大隊と第五大隊に横槍を入れようとする不届者を、先んじて排除していくのが仕事である。

 

「………あっ、上から来ますね。飛行場姫さんか中間棲姫さーん?正面、上空のをお願いします」

 

『………ン!見エタ。今、倒ス』

 

「ありがとうございます、飛行場姫さん。この調子でバンバン倒してください!」

 

『任セテ。イッパイイッパイ倒ス。倒シテ、提督ニイッパイナデナデシテモラウ』

 

「そうですか。なら頑張ってください」

 

残る第六大隊と第七大隊は、右翼と左翼から攻め上がる。独立の遊兵として動かした方が、新参で霞桜に慣れてない者からすれば楽だろう。

 

「どうせなら大物狙いだ。…………おっほぉ!戦艦棲姫ちゃんに、装甲空母姫ちゃん!!それも3体ずつ。よーし、獲物は決まった。突っ込むぞ!!」

 

ラーマエルの操縦するチャリオットロードを先頭に、第六大隊が姫級の艦隊に突っ込む。巨大ホバー戦車が近付いてくれば、当然戦艦棲姫が砲撃で迎撃しようとする。だが姫級の攻撃を念頭に設計されたチャリオットロードであれば、その程度弾いて見せる。

 

「お返しだ、受け取れぇぇぃ!!!!」

 

正面に配備された57mmバルカン砲と20mmバルカン砲で牽制しつつ、上部の固定型高出力TLS 3基をチャージ。射撃モードを収束に変更し、強いレーザービームにして放つ。

そのレーザーは戦艦棲姫2隻を容易く溶かし、完全に消滅させる。幾ら霞桜が強かろうと、ここまでの威力は初めてだ。余りの出来事に、残る4隻が慌てふためくが、そこをパイルバンカーを装備した隊員が襲い掛かる。

 

「はいせーの!!」

 

「「「「ドガーーン!!!!」」」」

 

数人で息を合わせたパイルバンカーが炸裂し、1体1体確実に破壊していく。装甲が厚かろうが、パイルバンカー数本を同時に挿せば問題ない。

 

「ラーのところ、かなり派手に暴れてるね」

 

「隊長。我々も新参者ですが、役立つ事を見せなくては」

 

「そうだね。行こう!!」

 

テスランの第七大隊は、全員が盾を持っている。これまで各大隊の戦闘を見ると、壁役がいなかった。そこで彼らが壁役を進んで受け入れてくれたのである。丁度、テスランの兵装も盾装備がマストだというのもあり、意外と簡単にそういう流れとなった。

 

「ッ!大隊長!下に潜水艦です!!」

 

「ちょうど良いや。これを、試してみよう」

 

テスランは立ち止まり、左腕に装備された盾。否、グレネード投射機ヴォルカニックフォージを構える。そのまま腕を横薙ぎに振ると、無数の小爆弾が海の中に落ちていき、次の瞬間、凄まじい水柱を上げた。

 

「アハハハハ!!!!やっぱり爆発はいい!!対深海棲艦用特殊爆弾の効果はいいねぇ!!!!!!!」

 

「気は済みましたか?」

 

「済んだよ!!さぁ!彼女達に芸術を、アートを教えてあげようじゃないか!!」

 

なんか1番やばそうな奴の気がしてきたが、気にしてはいけないだろう。鬼ヶ島への道のりは、近い様で遠い。だが、彼らは突き進む。鬼ヶ島目指し、その先の未来を掴む為に。いや、コイツらは単純に暴れたいだけかもしれないが。

 

 

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