2031年4月13日 太平洋 潜水艦「けんりゅう」艦内
『発令所よりSDV。乗り心地はどうだい、金色の狐さん?』
「快適だ」
長嶺は現在、魚雷型の
『そっちの準備が出来次第射出する。準備の程は?』
「いつでも良い」
『あいよ。なら速いとこ射出しちまおう。一番魚雷発射管、注水』
水密壁が開き、発射管に注水する。そして注水が完了すると、艦長がトリガーを引く。
『幸運を、ゴールドフォックス』
射出されたSDVは真っ直ぐ上方向に進み、ある程度の所で潜望鏡を上げ、上陸地点の砂浜を偵察する。
(上陸地点には見張りの類はなし。生物反応、熱源も特に反応無し。手薄だが、もしかするとトラップがあるかもしれないな)
偵察が完了し、さらに近くまで近づく。そしてSDVを降りて、今度は泳いで砂浜に近づく。
「ゴールドフォックスより本部。取り敢えずは上陸完了だ」
『了解。では手筈通りに内部を偵察してください』
「了解。アウト」
霞桜のオペレーターが指示を出す。それに従い早速偵察.......、ではなく相棒を呼び出す。
「我が主、参上したぞ」
「主様きたよー」
八咫烏が背中に犬神を乗せてやってくる。流石に潜水艦の艦内に連れて行く訳にもいかなかったので、2匹は空路で来てもらった。
「お前ら、早速偵察に行くぞ、と言いたい所だが朝を待って偵察に行く。それまではゆっくりしていろ」
「了解」
「はーい」
翌朝
「行動を開始する。八咫烏は上空から偵察、犬神は野良犬として偵察しろ。俺は目ぼしい所を虱潰しに行く。行動開始!」
それぞれが動き出し、自分の偵察を行う。今回は長嶺視点でお送りしよう。
(ここは宿舎か何かだな。ネームプレートの名前はと。クリーブランド?こっちにはモントピリア、ラフィー、セントルイス、ホノルル、それにヘレナ、エンタープライズ、ホーネットまで.......。アメリカ海軍の艦船大集合だ)
「フワァ.......」
「ラフィー」と書かれたネームプレートの部屋から、コーラか何かの瓶を持ったうさ耳の少女が出てくる。一応ステルス迷彩を機動しているので、姿は透明だが心臓には悪い。
(ビクッたぁ。ってか今の子、まさか艦娘か?他にも調べよう)
廊下を進むと、今度は「ROYAL」と書かれたプレートが目に入る。各部屋のネームプレートを見ると今度は「イラストリアス」、「ユニコーン」、「プリンス・オブ・ウェールズ」、「ベルファスト」などなど、今度はロイヤルネイビー大集合となっていた。
(ここまで来たら、完全に艦娘、若しくは艦娘に準ずる存在確定だな。さて次は、執務室でも探してみるか)
執務室を探して歩いていると、何人かの女性とすれ違う。少女から大人まで、年代は色々であるが美女揃いである事に艦娘説が現実を帯び始める。艦娘というのは「娘」とつくだけあり、必ず女性である。性格は様々で年代もバラバラであるが、特徴として全体的に美女である事が挙げられる。
人間である以上、好みは十人十色であるが「この子可愛い?」と聞けば大多数が頷くであろう程度には美女である。
(お、執務室発見。お邪魔しまーす)
こっそり開けると中に金髪ショートの女性が居た。服装は貴族や王子の様な服装で、凛々しい顔立ちをしている。
(さーて、書類内容を拝見させてもらいましょうかね)
こっそり後ろに立ち、書類を見る。見てわかったのは以下の通り。
・セイレーンという勢力があり、レッドアクシズはそのセイレーンの技術を使っている。
・セイレーンは人類共通の敵、言わば深海棲艦。
・アズールレーンというのは同盟の名前、NATOとかワルシャワと同じ様な物であり、参加している陣営はユニオン、ロイヤル、東煌、北方連合、自由アイリス教国。
・レッドアクシズも同盟の名前であり、参加陣営は重桜、鉄血、サディア帝国、ヴィシア聖座。
・アズールレーンとレッドアクシズの内、ユニオン、ロイヤル、鉄血、重桜は「四台陣営」と呼ばれており、元は同じアズールレーンでセイレーンに対抗していた。
・ある時、鉄血と重桜がセイレーン技術を艤装に取り入れ始めた事を機にアズールレーンを脱退。現在はアズールレーン対セイレーンではなく、アズールレーン対レッドアクシズ、若しくはアズールレーンに参加している陣営対レッドアクシズに参加している陣営での争いが主になりつつある。
・恐らく艦船の名前からユニオンはアメリカ、ロイヤルはイギリス、鉄血はドイツ、重桜は日本、東煌は中国、北方連合はソビエト、アイリスとヴィシアはフランス、サディアはイタリアと思われる。その為アズールレーン=連合国、レッドアクシズ=枢軸国と置き換えられる。
以上の事と、後はこの前線基地に配備される戦力の概要等と見取り図であった。また八咫烏と犬神が得た情報としては以下の通り。
・施設としては宿舎の他にラウンジ、テルマエ式大浴場、ゴルフコート、テニスコート、ジムなどの娯楽施設、大学の講義用の教室の様な学校施設、係留用の桟橋、工廠設備などの港湾施設、商店街や屋台、雑貨屋、花屋と言った街施設の4つに大きく分かれている。
・食事や文化面は洋式であり、食事に使われてる材料も大差ない。
・アズールレーン側は転移している事に気づいていない。
・大半の人員がここ数日で到着している。
・艦娘と思しき女性達は通称「KAN-SEN」と呼ばれており、艦娘とは別存在であるが性質としては近い。艦娘と同じ様に体に艤装を纏って、戦闘に使う。
と言った所である。この事は無線で日本本国にも報告し、明日からは次の段階に移る事となった。その段階というのは「適当な奴と接触して、敵意の有無の確認」である。もし敵意が無ければ出来れば友好関係を築き、敵意もあって日本に有害であると判断された場合は艦娘の力を持って、島をこの世から消し去るのである。
さらに翌日
「さーて、それじゃあ接触開始だ」
今回は流石に堂々と正体晒す訳にも行かないので、フェイスカムや変装を駆使して架空の少女となる。
「八咫烏と犬神は念の為、俺の護衛についてくれ」
「了解した」
「はーい」
「それじゃぁ、作戦開始よ」
口調も勿論女性らしくする。因みに見た目としては金髪ロングに、碧眼で肌の白い少女である。まずは人通りが多く、尚且つ同年代位の人口の多い学園区画に向かう。
(さて、誰にしようか?)
通っていく人達を物色し、目星い人物を探す。本当に多種多様な格好をしており、中には「これは人間、じゃないよな?」というファンタジーの亜人種がそのままな奴とかもいて、結構驚きながら物色する。
「あの、すみません」
振り返ると紫色の髪を後ろで結んだ少女、同じく紫色のロングに白いドレスを着た少女、それから昨日「ラフィー」と書かれた部屋から出てきた少女の3人がいた。因みに話しかけて来たのは髪を結んだ子。
「何かしら?」
「ユーちゃん、知りませんか?」
「ゆ、ゆーちゃん?」
白いドレスの子が聞いたことも無い何かの名前の所在を聞いてくる。そんでもって絵を見せてくれたのだが
(いやこれ、どう見てもアリコーンじゃね?ってか何。ここには幻獣までいんのかよ。あ、俺が言えた口じゃないな)
そこに描かれていたのは馬の頭に一本のツノが映え、ついでに胴体には白い羽を生やした生物であった。つまりユニコーンとペガサスを混ぜた見た目、所謂アリコーンなのである。因みに絵が無駄にリアル。
「ごめんなさい、見てないわ。もし困っているなら、私も探すの手伝うわ」
「ありがとうございます!」
「ありがとう」
「ムニャ.......」
髪を結んだ子と白いドレスの子はお礼を言うが、もう一人の子は寝てる。
「所で君達の名前はなんていうの?」
「私、ジャベリンです」
「ユニコーン」
「ラフィー.......zzz.......」
髪を結んだ子はジャベリン、白いドレスの子はユニコーン、寝てる奴、もとい昨日あった子はラフィーと言うらしい。因みに全員、イギリスとアメリカに存在した艦の名前にもある。
「ジャベリン、ユニコーン、ラフィー。良い名前ね。私はフォックス・ハウンドっていうの。よろしくね?」
「フォックスちゃんか。狐と猟犬ってカッコいい名前だね」
「面白いでしょ?意外と気に入ってるの」
因みにこれ、即興で思いついた名前である。勿論元ネタはメタルギアのアレである。
そんな訳で一同は色々探して回る。ついでに施設の簡単な説明もしてもらい、他にも数名の名前が分かったりと収穫は大であった。
数十分後 綺麗な崖の上
「?」
黒いローブを纏った、如何にも「侵入者」という格好をした少女が立っていた。その少女の足元に例のアリコーンのぬいぐるみ、もといユーちゃんが当たったのである。
「ぬいぐるみ?」
抱き抱えるとジタバタと暴れる。
「変な生き物です」
「ユーちゃん!」
ユニコーンら4人が近づいくるのに気付き、警戒を強める。長嶺以外の3人はお礼とかを言っているが、長嶺は密かに忍ばせている土蜘蛛HGの安全装置を外し、いつでも抜ける状態にしていた。目の前にいる人間が、超初心者の素人であるがスパイというのを見抜いたからである、
「私、ジャベリンです!」
「ラフィー.......」
「ユニコーン」
なんか全員自己紹介まで始めているので、流れに沿って名乗っておく。
「フォックスよ」
「私は.......」
ローブの子が名乗ろうとした瞬間、黒い何かが過ぎ去る。その何かに気を取られている内にローブの子が消えたのであった。
(八咫烏、さっきの物体を追え)
思念伝達で八咫烏に追う様に命じる。それに従い、謎の物体を追い続けると近くの岩礁にたどり着いた。そこには二人の九つの尾を持った赤と白の狐の様な女性がいた。
「ふふ、ねぇ加賀?戦いの本質とはなんだと思う?」
「赤城姉様、コードネームを.......」
赤い方、赤城が「戦いの本質」について語りだす。
「戦いとは傷つけること。戦いとは傷つくこと。戦いとは痛みを交換することよ」
「痛みを通じて互いの思いに触れ合うの。すなわち「愛」に他ならないわ」
そう言いながら赤城は白い方に触り出す。妙に手つきがイヤラしい気もするが、気にしてはいけない。
「加賀には姉様のいうことが解りません。」
白い方、加賀が立ち上がり式神を取り出す。
「私はただ、討ち滅ぼすだけ。」
そう言うと式神が青い炎に包まれる。この光景はリアルタイムで八咫烏の目を通して長嶺も見ていた。取り敢えず嫌な予感がした為、一度退避する様に命じた。
「それじゃあ私はそろそろお暇するね。また今度会いましょう?」
「あ、はい。さようなら」
「バイバイ.......」
「ユーちゃん探すの手伝ってくれて、ありがとう」
3人と別れ、本部にしている森林で犬神、八咫烏とも合流する。さっきの赤城と加賀の対策について話し合おうとした瞬間、港湾の方で爆発が起きた。確認に行くと謎の黒い近未来的な軍艦が数十隻と、深海棲艦の艦載機のジェット版見たいのが飛び回って攻撃をしていたのである。
「おいおいマジか。いきなり戦争おっ始めやがったよ.......」
「どうする主様?」
「取り敢えずは報告してだが、まあ確実に戦闘になるだろうな。お前ら、備えろ」
無線で江ノ島の本部と連絡を取り、現状の説明を行う。
「ゴールドフォックスより本部。現在アズールレーン基地が、アンノウンの襲撃を受けている。暇だから、問答無用でぶちのめす。じゃ、報告よろしく」
『隊長、そこは「許可してください」とかの話では?』
「こんなパーティーに参加しない方が野暮に決まってんだろ?」
『はぁ、もう好きにしてください』
「了解!」
完全に戦闘狂としての笑みを浮かべ、敵を睨みつける。気を張り巡らせていると、後ろから戦闘機が来ている事に気付く。
「八咫烏、朧影」
「心得た」
八咫烏が両サイドのラックから朧影SMGを射出し、長嶺の両手に飛んでいく。
「君、そこで何してる!!」
振り返るとカトラスを構えた金髪の女性がいた。よく見ると昨日忍び込んだ執務室にいた女性である。
「何って、戦争をおっ始める号砲の準備だ!」
そう言うと変装を解除し、戦闘服と狐面をつけた姿を晒して一気にカトラスを持った女性に向かって走り出す。
「な!?」
「せい!!」
一気にジャンプし10m程度飛び上がって、接近してくる戦闘機に照準を合わせる。
「堕ちろ」
トリガーを引いて、9mm弾の雨を降らせる。戦闘機は見事に縦に割れ、爆発しながら地面へと落ちていく。
「八咫烏!犬神!奴らに礼儀を教えてやれ!!!!」
その言葉を聞いた瞬間、八咫烏は大空へと飛び立ち、犬神は長嶺の後ろを追って大海原へと突っ込む。霞桜の使う戦闘服は高い装甲もさることながら、艦娘と同じように水上を滑走できる。
いきなり現れた人間と2匹にセイレーン達が群がる。それを見て周りのKAN-SENも援護に回ろうとするが、信じられない光景が目の前に広がった。
「ひゃっほぉー!!!!」
なんと人間が腕からワイヤーを打ち出して戦闘機へと乗り移り、そのまま周りの戦闘機に銃を乱射して撃墜し、さらに乗っていた機体も蜂の巣にする。こんな芸当は普通に考えて出来るわけもない。
しかも撃墜した数も可笑しいのである。その数、脅威の18機。因みに一機だけだとしても、駆逐艦にとっては脅威にはなる程度には強い。
「脆いな。深海棲艦の方が歯応えはある」
倒したのも束の間、今度は一体に桜の花が吹雪の様に舞う。
「そう。セイレーンを倒す為に、人類は私達を作った。だけどやがて利害の違いにより、四大陣営は二つの勢力にわかれる」
「一つはお前達。あくまで人類の力でセイレーンと戦う、ユニオンとロイヤル」
「そしてもう一つ。セイレーンを倒す為には、セイレーンの技術をも利用する。鉄血と私達重桜」
一際多く桜の降っている場所から、2隻の空母が姿を表す。それは艦首の菊花紋が桜になっている物の、その姿は帝国海軍の作りし空母の2隻、赤城と加賀に他ならなかった。ついでに零戦が赤城の場合は赤い、加賀のなら青白い炎を纏って発艦していく。
「重桜一航戦、赤城」
「重桜一航戦、加賀」
「「推して参る!」」
この一言を合図に、零戦がアズールレーン側のKAN-SENに襲い掛かる。
「八咫烏!!風神と雷神、それから幻月と閻魔!」
使っていた朧影を上に放り投げて八咫烏へと返し、新たに風神HMGと雷神HCを両手に、幻月と閻魔は背中に装備して艦載機の群れに突撃する。そして二つのトリガーを引き、常識じゃあり得ない弾幕を展開する。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
空の色は雷神HCの爆炎により赤黒くなり、時折風神HMGの弾幕がレーザーの様に発射される。
「あらぁ?どうやら一人、すごいのが居るわね」
赤城がその戦いぶりに気付き、他の機体も長嶺の元に送り込む。しかしその全てを破壊し、航空戦力はその4分の3が海中に消えていった。一方で基地からも迎撃機のシーファイアが飛来し、零戦とのドッグファイトを始めていた。
「お友達をいじめないで!!!」
因みに飛ばしていたのは、さっき謎の生物ユーちゃんを探していたユニコーンである。
「あの娘、空母か」
加賀が狐の面を取り出すと、艦船状態からなんと巨大な九尾狐になったのである。
「ええ......」
クリーブランドも驚きというか呆れというか、何とも言えない声を上げる。
「食ろうてやるぞ」
巨大な狐に長嶺も気付くが、ついでにもう一つありえない事も起きていた。何とユーちゃんが巨大化して馬と同程度の大きさになり、ユニコーンをその背に背負って空を飛んでいたのである。
「おいおいおいおい!!狐の獣人は出てくるし、巨大な九尾狐は現れるし、おまけにぬいぐるみに跨って空を飛ぶし、ここはいつからビックリ人間大集合の撮影場所になったんだよ!!!!!!」
いや、アンタも大概だろ。八咫烏とか犬神とか使ってるんだし。というツッコミはさておき、八咫烏が指示を求めてくる。
『我が主、どうする?』
「奴らがビックリ人間で行くなら、俺達もそうするまでよ。お前達、巨大化して格の違いを教えてこい」
そう言うと2匹の上空から雷が落ちる。その雷に当たるや否や、巨大狐と同程度の大きさとなる。
「こっちにもいた‼︎」
「ワオォォォン!!!!」
犬神は一度遠吠えをすると、一気に巨大狐へと肉薄し噛み付いたり引っ掻いたりして攻撃する。負けじと巨大狐も火の玉で攻撃するが、その程度では倒せない。更に上空から八咫烏も舞い降り、鋭い嘴で体を突き刺しまくる。
その攻撃に気を取られてる隙に、長嶺は赤城と加賀の背後に回り込んで攻撃を始める。
「姉様!後ろです!!」
まず狙いを定めたのは赤城である。しかし後一歩の所で加賀に気付かれ、奇襲は失敗に終わるが構わず弾幕を展開する。
「オラオラオラオラ!!!!」
所が赤城は、弾丸を周りに出した式神で防いで見せる。
「フフフ、その程度では倒せないわよ?」
「ほう。さっきの深海棲艦のジェット版よりかは骨がありそうだ。ならば、こう言うのはどうだい?」
同じように弾幕を貼るが、今度は弾丸が違うのである。さっきまでは普通の徹甲弾だったが、今撃っているのは「対深海棲艦専用弾」である。この弾丸は30mmクラスまでの弾丸であれば、弾丸の威力を10倍、30mmであれば300mm弾と同程度の威力となり、30mm以上だとしても通常弾よりも高い威力の物になる。更にこれを深海棲艦や艦娘に撃つと普通なら艤装で弾かれる所を、艤装を無視して本体に攻撃できるチート兵器である。まあ姫級や鬼級には効かなかったりとか、効くまで時間も掛かったりするし、製造が難しいなどの弱点はあるのだが。
それを知らない赤城は弾丸を同じ様に防ぐが、その式神をも突破してダメージを与えに入る。
「何!?」
咄嗟に避けれたから良かったものの、無事では済まなかった。ある程度のダメージは負ったのである。
「いい勘してるな。まさか、土壇場で避けてくるとは思わなかった」
「貴方、一体何者なの⁉︎」
「俺か?俺はゴールド、いや、ここは本名を名乗っておこう。新・大日本帝国海軍、三十三代目連合艦隊司令にして、海上機動歩兵軍団「霞桜」が総隊長、長嶺雷蔵だ!!」
「新・大日本帝国海軍?霞桜?そんな国、聞いた事ないわね」
「そりゃこっちも同じだ。俺だって鉄血だの重桜だの、それから一応味方してる形になってるユニオンもロイヤルだって知らん。まあ信じるから信じないかはお前達次第だし、アンタらが何をしようが気にしたりはしない。
だがな、これだけは覚えておけ」
一呼吸置いて、話し出す。それと同時に殺気と怒気を出して、赤城の本能にも警告する。
「ウチに銃弾一発撃ち込もう物なら、テメェらの本拠地ごと消滅させる。覚悟しろ」
一方その頃、犬神達の方はエンタープライズが大暴れした事により巨大狐と加賀本体を倒していた。加賀は満身創痍の状態であったが、長嶺の出した殺気と怒気に反応し赤城の元へと走る。
「姉様!!」
赤城の元に行くと、赤城が傷を負っている事に気づく。そして瞬時に目の前の男が犯人だと察知し、さっきのエンタープライズとの戦いの時よりも本能剥き出しで突っ込む。
「ウガァ!!」
「うおっ!?」
余りにいきなりすぎで対処に遅れるが、バックステップでかわす。そして武器を愛刀の二つに持ち変えて、ナイフの様に構える。
「よくも、よくも姉様を!!!!」
「加賀、やめなさい」
「姉様!加賀は、加賀はまだやれます!!」
「わかっているわ。でも、そろそろ潮時よ」
そう言って指差すと、後方に控えていた黒い艦船達をソードフィッシュやドーントレスが攻撃し、爆発して大炎上中だった。
「姉様がそう言うのでしたら」
「逃がすと思うか?」
横を見るといつの間にか居たエンタープライズが、弓を引いて二人を狙っていた。
「あら怖い怖い。そんな目で見つめられたら、私どうにかなってしまいそう」
その瞬間、何かの気配を感じその方向に刀で斬りつける。すると足元に二つに割かれた式神が落ちていた。その意味を感じ取った長嶺は、エンタープライズを止める。
「おいアンタ。ここは引いた方がいい」
「何?」
「あそこ」
そう言って刀で指す方向には、別の空母が居たのである。
「アンタがどれほどの強さかは知らないが、このまま2人を殺しても、こっちもダメージを負う羽目になる。それならここは痛み分けで引いた方が得策だ」
「あら。貴方も勘がいいのねぇ」
「伊達に指揮官してないんでね」
そう言うと赤城は少し笑い、直後にまた出てきた時の様な桜の花が吹雪の様に舞う。
「これは宣戦布告よ。アズールレーン」
「これより重桜は鉄血と共にお前たちの欺瞞を打ち砕く」
「未来とは強者に委ねられるもの。天命はこの力で大洋を制する我々にある」
「我らは赤き血の同盟「レッドアクシズ」なり」
そう言うと桜の花に包まれて、赤城と加賀は姿を消したのであった。